・大月(おおつき) 満(みちる) = 40代。主人公。総合商社角紅社員。内閣官房室に出向中。
・西野 ひかり= 20代後半。ヒロイン。総合商社角紅社員。社長の孫娘。
・西野美衣子(ミーコ)=日本列島生態環境保護システムの人工知能。
・鷹見結(タカミムスビ)=マルス文明尖山基地管理人工知能がバージョンアップされた。
・大月瑠奈(るな)=マルス文明地球観測天体(月基地)管理人工知能『ルンナ』。月基地に保管されていた日本人標本から誕生。
・澁澤 真智子(まちこ)=瑠奈が通う小学校の担任教師。夫は澁澤首相。
・名取 優美子=瑠奈のクラスメイト。父は航空宇宙自衛隊「ホワイトピース」艦長の名取大佐。
・天草 華子=瑠奈のクラスメイト。父はJAXA理事長の天草治郎。
・澁澤 太郎=日本国総理大臣。
・岩崎(いわさき)=内閣官房長官。
大月家三姉妹の末娘『
「はい。では次の所を大月瑠奈さん、読んでください」
「竹を割って見つけた可愛い少女をお爺さんは自宅にお持ち帰りすると、お婆さんが帰る前にコスプレを教えてあげました」
「はい、瑠奈さんストープッ!」
頭を抱えた真智子先生に注意された瑠奈は、
「え?教科書に書かれていることは事実に反します。本当は竹林で遭難していた少女を見つけたイワフネ隊長が・・・」
瑠奈の教科書と離れた『お話』が始まるや否や真智子先生が遮って、
「はい。瑠奈さん。このお話は止めて『ガリバー旅行記』にしましょうね」
「分かりました。それでは・・・『ガリバーが目を覚ますと小さい人がガリバーの上にまたがって色々と動いていました。小さい人は縄でガリバーを縛るとガリバーが喜んでーーー』」
「瑠奈さんストーップ!キチンと教科書に書いてある文章を読んでください。瑠奈さん文章を省略して読んではダメよ。表現が
「シンデレラは意地悪な
文部省(お城)の王子さまが同情してカボチャの馬車を手配しました。
その日の夜、お城で政治パーティが開かれるとシンデレラは王子さまが手配したカボチャの馬車でお城に向かいましが、お城で降りようとしたシンデレラはカボチャの馬車料金が払えなかったので御者に通報されてしまい、困った王子さまはお城で働いて返すようにシンデレラに言いました。
お城の鐘が10時に鳴っても政治パーティは続き、シンデレラはバニーガールドレスを着ながらみんながダンスをする中懸命にメイドの仕事を頑張っていました。
やがてシンデレラを見つけた王子さまはシンデレラに近付くとこう言いました。
『夜10時以降に児童は働いてはいけないんだよ』
と言って、児童保護法違反でシンデレラと相談員の魔女はお城の
相談員の魔女は12時の鐘が鳴るのを待ちなさいと言いました。
真夜中12時の鐘が鳴ると魔女は魔法で牢屋の鍵を開けると脱獄しました。シンデレラは魔女に誘われましたが共犯は嫌だと言って牢屋に止まりました。
朝になって魔女の脱獄が分かるとシンデレラは魔女の脱獄を通報しなかった罪で更に長い間牢屋に居ることになり、継母達から虐待されずにすみましたとさ。つ。」
「はい瑠奈さんそこまでストープッ!放課後に職員室へ来てください!」
「お誘いありがとうございます。ですが、放課後は秋葉原のゲームセンターで自衛隊の方とくんれ・・・」
「お誘いではありません!生徒指導です!必ず来なさい!」
怒りで真っ赤になった顔で真智子先生が瑠奈に命じた。
「了解しました。サー」
瑠奈が敬礼して応えた。
「・・・」真智子先生は突っ込むのを諦めた。
授業が再開されると瑠奈は右隣の席に座る優美子から
「瑠奈さん怖く無いのですか?澁澤先生はしつけにとても厳しいお方ですのよ?」
と小声で聞かれた。
「え?そうなの?"あれで"厳しいの?」
瑠奈がけろっとして優美子に聞いた。
「とてもお説教が怖くて職員室に呼ばれた生徒はみんないつも泣きながら帰って来ますわ」
ゲームセンター仲間の
「でも、トイレの花子さんよりはマシっしょ」
左隣に座る
天草と名取は瑠奈の親しいクラスメイトである。
瑠奈が転校してきた時に最初に声をかけてきた二人組である。
天草華子の父はJAXA理事長 天草士郎であり、名取優美子の父は航空宇宙自衛隊『ホワイトピース』艦長 名取大佐である。
ちなみに真智子先生の夫は澁澤総理大臣である。
勿論子供達はその事を知らない。
真智子先生は夫から"やんちゃ"なマルス文明人の教育を
「それだー!」
突然瑠奈が叫んだので、ぶち切れた真智子先生から超音速でチョークが放たれたが、瑠奈は
「シールド」
と唱えるとチョークは瑠奈の顔前で停止してしまった。
二人が慌てて
「ちょ、瑠奈ちゃん、本気出しすぎだよ。また先生に怒られちゃうよ?」
「ごめんっす」
正気に戻った瑠奈は、
「先生。ごめんなさいッス」
と深く頭を下げた。
国語の授業が終わると瑠奈は二人にトイレの花子さんについて詳しく聴くのだった。
放課後、一時間半に及ぶ真智子先生とのトークバトルで一汗かいた(真智子先生はしばらく職員室でシクシク泣いていた) 瑠奈は、トイレに行きたくなったので、4階の隅に有る古いトイレに入った。
個室でお花を摘んでいると、ドアがノックされたので
「新聞は取ってません」と瑠奈は応えた。
再びノックされたので、
「NHKは払っているので結構です」と答えておいた。
更にドンドンと強くノックされたので、
「お前誰だよ?!」
と切れ気味に応えると、ドアの向こうから
「俺だよ、オレ」
「オレオレ詐欺ですね。通報しました」
「ちょ、待ってよ!何で怖がらないの?」
ドアの向こう側から焦った声が聞こえた
「何で怖くならないといけないの?システム端末444番?」
瑠奈がドアをババーンと開けると水色の
「
「や、やめてー、それだけは勘弁してくださいー!」
必死に水色の光球体が瑠奈の周りを飛び回った。
「話しなさい。こんなところに居る理由を」
瑠奈がサブシステムの上位者として命令した。
「目に見えないものへの信仰心ですか?」
瑠奈がコテンと首を傾げて問う
「はい。こうして人間が幼少な時期から目に見えない存在に
光球体が答えた。
「でも、こんなところでチビチビやっても1億1000万人の国民に対して効果ないわよ?」
瑠奈がシビアに指摘する。
ちなみに瑠奈が本気モードになるとキチンと言葉使いが普通になっていたりする。
「昔からのコマンドなもので・・・」
光球体が恐縮して弱々しく点滅した。
「幼少な人間多数を
瑠奈が確認する。
「はい。メインシステムミーコの解析結果に基づいていますので」
「ふぅん。もっと効率的で現代的な方法を教えてあげるから明日もこの時間にここに来なさい。わかった?」
「いえっサー」光球体が心なしか敬礼したように瑠奈は感じた。
帰宅した瑠奈は姉の
「うっかりしていた。瑠奈の好きになさい」
と美衣子に言われるのだった。
瑠奈は、マスコミに詳しい
翌日の夕方―――
学校のトイレ個室で光球体(花子さん)と待ち合わせた瑠奈は、光球体を連れてNHKのスタジオぱーくに向かった。
「あなたが姉様のポンコツシステムね」
スタジオの中で結が光球体(花子さん)にさらりと毒を吐いた。
「ポンコツですいません。非効率でホントすいません」
光球体(花子さん)は今にも消えそうになった。
「仕方ないわね。ディレクターさん、ちょっと良いかしら?」
結が番組ディレクターと打ち合わせを始めた。
翌日、朝のNHK教育チャンネル『ムスビさんと一緒』でその光球体は新たなデビューを果たした。
子供達が"ムスビおねえさん"と楽しく体操している背後に少女が無表情で立っていたり、カメラに向かって皆が笑顔で手を振る中、一人だけムスビの肩から女の子が顔を出してジッと見つめたりしていたが、子供達は誰も気付けなかった。
「こんなところね」フンスと胸を張る結に、
「姉さんさすがッス」と瑠奈が喜んだ。
この日、NHKの幼児向け教育番組で幽霊が映っているとの問い合わせが渋谷の放送局に殺到した。
ネットや民放のニュースでも話題となり、番組に出演していた子供達が恐怖のあまり出演を拒否する事態に発展した。
大月とひかりは当然の事ながら
事情を聴いた岩崎官房長官と真智子先生の夫である澁澤総理大臣は溜め息をついて、番組
その日、ひかりのお仕置きで三姉妹に晩御飯は出されなかった。
反省した3人は光球体(花子さん)と話し合って、花子さん(光球体)のジョブチェンジを決めた。
「別に怖がらせるのではなくて、奇跡を起こして幸せにすれば良いのよ」
結が言った。
瑠奈の通う学校に新しい『怪談』が生まれた。
トイレの個室で願い事をすると必ず
この怪談はまことしやかに校内で
瑠奈が小学校を卒業する頃には、日本の代表的な『学校の怪談』として"トイレの神様"が世間に認知されるようになっていた。
ちなみに瑠奈は物語に興味を示すと、自分で昔話を書いて投稿サイト『なろう小説』に毎日投稿した。
瑠奈の毎回予想を覆す昔話は多くの読者からブックマークをされて、転移列島の作者が悔しがる事になる。
ここまで読んで頂きありがとうございましたm(__)m