・鷹見結(タカミムスビ)=マルス文明尖山基地管理人工知能だったがバージョンアップされた。
・大月瑠奈(るな)=マルス文明地球観測天体(月基地)管理人工知能『ルンナ』。月基地に保管されていた日本人標本から誕生。
・ジョーンズ=ユニオンシティ防衛派遣艦隊指揮官。
・ソーンダイク=月面都市国家『ユニオンシティ』代表。
・アレクセイエフ=宇宙国家アース・ガルディア、アンゴルモア艦隊司令。
・イゴール=アース・ガルディア総代表。
地球暦2021年11月13日(月面時間)午前1時【地球と月面の中間地点『ラグランジュポイント』】
火星協力機構宇宙軍 旗艦(きかん)『ドゥ・リシュリュー』CIC(戦闘管制室)
真空である宇宙空間戦闘に備えてCIC要員は全員が宇宙服を着用していた。
「アース・ガルディア軍アンゴルモア艦隊捕捉。大型戦艦3、空母1、重巡洋艦8、大型シャトル18、我が軍との相対距離15000m」
ヘルメットを
「全艦射程に入り
ヘルメットを被っているにもかかわらず、ジョーンズ少将がよく響く声で次々と指令を出した。
『ドゥ・リシュリュー』
【アース・ガルディア アンゴルモア艦隊 旗艦『ムルマンスク』CIC(戦闘管制室)】
「反乱軍艦隊 急速接近中!ヴァンガード型(改)巡洋艦5、ロスアンゼルス型(改)戦闘艦20、戦闘機・支援戦闘機45、重機動兵器3、相対距離12000m」
「反乱軍には火星日本軍も居たか」
レーダー管制官から機動兵器(モビルスーツ)部隊存在の報告を聴いたアレクセイエフが
「反乱軍に情けは無用だ。全艦隊ミサイル発射!空母エカテリナから迎撃機を出撃させろ!」
アレクセイエフが命令した。
アース・ガルディア アンゴルモア艦隊と、ユニオンシティ防衛軍・火星協力機構宇宙軍の連合艦隊は正面から激突した。
最初は艦隊同士で宇宙魚雷やノンアクティブミサイル、艦首レールガン等長射程兵器を撃ち合い、両軍が激突した宇宙空間に紅蓮の光球が無数に
大破した艦船が双方に出たものの、撃沈艦が無いと分かるや両軍は機動兵器を投入して近接戦闘に移行した。
アンゴルモア艦隊は、昨年の敗北を教訓として恒久的宇宙戦艦を開発、ハリネズミの
機動兵器対策としては、細長い葉巻型の機体に短い翼と両翼に16連装ミサイルランチャーを装備したミグ89宇宙戦闘機を
『エカテリナ型宇宙空母』から発進したミグ89宇宙戦闘機は、ユニオンシティ軍F45宇宙戦闘機をドッグファイトの末に次々と撃墜して防衛網を突破、方舟(ロスアンゼルス)型宇宙巡洋艦の対空砲火をくぐり抜けて艦隊に突入し、多連装ミサイルを放って巡洋艦を撃破しながら戦場の主導権を徐々に握っていった。
「アンゴルモア艦隊搭載機からのミサイル飽和攻撃が激しさを増しています。近接迎撃兵器の対応限界を超えています!」
「ユニオンシティ艦隊『オクラホマ』『ミズーリ』大破!戦線離脱します」
「『フィラデルフィア』より、推進機関に被弾、航行不能」
「ガルディア戦闘機が損害を省(かえり)みないで編隊を崩さず連携攻撃を仕掛けています。
ユニオンシティ軍戦闘機の半数が撃墜されました」
戦闘管制官が報告する。
「奴等、物量作戦で来たか」
「ジョーンズ司令。シティのムスビから通信」
「読み上げろ」
「瑠奈(ルンナ)による敵戦闘機、ミサイル回避行動解析完了。対抗プログラムを送る。との事です」
「仕事の早い事だ」
ジョーンズが感嘆した。
「全艦隊データリンクシステムをルンナに接続せよ」
「データリンク接続完了」
「プログラム受信。全艦隊にリンク」
ミグ戦闘機の行動パターンと、ガルディア軍ミサイル機動を解析したムスビとルンナから送られた対抗機動プログラムを入力したモビルスーツ部隊と三菱F7宇宙支援戦闘機は、戦場の主導権を握ろうとしていたミグ89戦闘機を次々と撃墜してアンゴルモア艦隊に突撃した。
プログラム更新で身軽になったモビルスーツとF7支援戦闘機にまたもやアンゴルモア艦隊は
騎馬戦優勝チームの重武装ジムゥ033は量産型プロトタイプだが、バックパックに装備した8連装ロケットランチャーと、両肩に装備した120mmキャノン砲による圧倒的火力であらゆる方向からガルディア艦隊の主力ブレジネフ型重巡洋艦に攻撃を仕掛けてミサイル砲台を1つずつ沈黙させていった。
アレクセイエフ司令官は戦局の不利を察知すると機動兵器よりも母艦攻撃を優先させ、旗艦『ムルマンスク』の艦底(かんてい)に装備された地上攻撃用ガンマ線レーザーをユニオンシティ防衛艦隊と火星艦隊に浴びせた。
ガンマ線レーザー照射範囲にいた支援戦闘機や戦闘艦艇の計器はブラックアウトを起こして機能を停止させられ、ブレジネフ型重巡洋艦の多連装ロケットランチャー群の集中攻撃をまともに受けて撃破されていった。
双方の戦闘機が死闘を続ける中、火星軍機動兵器のジエットストリーム部隊は火星五輪での騎馬戦を彷彿(ほうふつ)とさせる働きを見せていた。
3機の重武装モビルスーツはそれぞれ連携しながらブリッジ、ミサイルランチャー、レーダーセンサーを攻撃して敵艦の戦闘能力を確実に奪っていった。
艦隊戦は双方ともに一進一退(いっしんいったい)の様相を
【地球シベリア北極圏 タイミル半島 地下都市『シャンバラ』】
古代アトランティス文明の遺産であるこの都市は、マルスアカデミー承継データで見る限り、都市というよりは軍事基地に近い『施設』だった。
「アンゴルモア艦隊の戦況はどうなっている?」
イゴール総代表が部下に訊いた。
「ラグランジュポイント補給基地に接近した反乱軍艦隊と激しい攻防戦を続けているとの事!」
通信オペレーターが答えた。
「アレクセイエフには今しばらく時間稼ぎをしてもらわねばならん」
「プラズマ兵器の発射準備は?」
「マグマエネルギー
「反乱軍にはせいぜいラグランジュポイントの無重力を味わってもらおう」
「プラズマシステム目標照準、月面、『ユニオンシティ基地』」
イゴールが命令した。
ここまで読んでいただきありがとうございましたm(__)m