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・西野 ひかり= 20代後半。一応ヒロイン。総合商社角紅社員。社長の孫娘。
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・春日洋一=総合商社角紅若手社員。海産物に詳しい。
・東山=マルス文明担当内閣官房首相秘書官。
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・イワフネ=マルス人。大月家にホームステイしながら生け簀によく落ちる。
・後白河政徳=財務大臣兼外務大臣。外交は中立派。
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2021年11月27日【神奈川県横浜市金沢区沖の東京湾】
「春日さん、この海老を見て欲しいのですが・・・うわっ!」
イワフネがまたしても生け
「イワフネさん・・・またですか」
春日がイワフネに手を差し伸べて生け簀の上に
「すいません。うっかり足元が・・・」
海水を
「いよいよ本格的に考えないといけませんね」
春日がつぶやいた。
その日の夕食後【NEWイワフネハウス1階 共用ダイニングルーム】
「それでは今からイワフネさん転落防止会議を始めまーす」
春日が開始を宣言する。
メンバーは春日の他に、大月とひかり、東山、岬教授、琴乃羽教授、美衣子、結、瑠奈である。
当事者のイワフネは海水でべとべとになった身体を地下の自家温泉浴場で流している最中である。
「
岬教授が指摘した。
「それはないですねぇ。アルマーニ社製の滑り止め付きの特注品ですから」
ひかりが答える。
「もしかしたら身体を張ったギャグとか?よく芸人さんが「絶対押すなよっ!」とか言っておきながら自分から熱湯に落ちるやつみたいな?」
東山がサラリーマンの性質を探求するイワフネを思って言ってみる。
「「それはない」」
「イワフネは月面ラボ所属の調査隊長だったからとても責任感が強い。自分からわざとミスはしない」
長年
「では生け簀の構造的な問題?」
「ごくごく一般的な材料で生け簀は作られていますよ。私は落ちないし、もちろん
春日が答える。
「春日はなんだと思う?気になることがあるか?」
大月が
「習性ではないかと」
春日が答えた。
「習性?」
「もしかしたら
「だから私達温泉好きなのかな?」
「それは違うでしょう」
「はっ?!私と結の温泉好きも実は本来の習性!?」
「単なる温泉マニアなだけじゃないっすかね?」
「よろしい瑠奈、表に出なさい」
「なんでっ!?」
うーん。一部を除いたダイニングルームに集まった面々が首を捻(ひね)る。
「おや?皆さんお
バスローブを着たイワフネがフルーツ牛乳の
「うーん」
大月は言おうかどうか悩んでいたが、
「イワフネ
元気よく瑠奈が宣言した。
「あはは・・・」
イワフネが苦笑した。
「私もよくわからないんですよ。足元は常に注意していますし、
イワフネが言った。
「でも・・・気が付いたら生け簀の中で水中の生き物と
うっとりとした目つきでイワフネが語りだす。
「海の中は神秘の世界です。海底で幻想的にゆらゆら揺れる昆布やワカメ、元気に泳ぎ回るハマチや火星車エビ、海は生命のゆりかごとは良く言ったものです!」
一同ドン引きする。
「イワフネさんは
岬教授がボソッと
翌日以降、イワフネは春日と生け簀を訪れる際は必ず海岸でウエットスーツに着替え、生け簀の外側の海中から生け簀の中を見る事になった。
後日、イワフネが会社の同僚たちと品川の
「イワフネさんを見ろ。火星人でさえ、やるときはやるんだぞ!」「イワフネさんぱねぇ!!」
と方向性の違う評価をされていた。
そんなイワフネの習性に目を付けた美衣子と瑠奈がイワフネを神奈川県漁業協同組合に勧誘し、「
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2021年11月30日午前10時【神奈川県横浜市神奈川区 NEWイワフネハウス 大月家】
大月家のリビングでソファーに座る大月とひかりの前で三姉妹が自主的に正座をしていた。
「話を聴こうか?」
素晴らしい笑顔で大月が三姉妹に勧告した。となりに座るひかりも
「なんで
財務省から内容証明郵便で送られてきた差し押さえ通知書を手にしたひかりの問いに、
「固定資産税」
美衣子が言った。
「尖山基地、ダイモス宇宙基地、ヘルシティ地下研究区画、ユニオンシティ研究区画、各種シャトルと連絡艇が対象」
「合計たった年間7000億円くらいよ」
「楽勝っすね」
三姉妹が答える。
「よし。じゃあ美衣子達のお小遣いから引いていい?何十万年分か分からないけど」
「「「私達が間違っていました」」」
三姉妹の正座が見事な土下座に変化した。
「取りあえずシドニア地区のヘルシティから全ターミネイター兵を連れてきて霞が関に
「わかった。ドアを使って連れてくる」
「お上と戦争ね」
「ちょっと待ったー!」
大月が慌ててひかりと美衣子を止めにかかる。
「東山を呼んで話を聴いてからにしようね」
大月はお腹が痛くなっていた。
ーーー同日午前11時時頃【神奈川県横浜市神奈川区 NEWイワフネハウス 大月家】
大月家のリビングでソファーに座る大月とひかりと三姉妹の前で東山が自主的に正座をしていた。
「話を聴こうか?」
素晴らしい笑顔で大月が東山に勧告した。となりに座るひかりも物凄い笑顔である。二人の額に青筋が浮き上がっているのは言うまでもない。
三姉妹はおやつのかぼちゃプリンを食べていた。
「
痛むお腹をさすりながら東山が言った。
自主的に三姉妹がプリン片手に東山のポジションへ移動して正座する。
「券売機に問題が?」
ひかりの問いに、
「券売機に問題があるのでは無くて、使える貨幣(かへい)に小判とか貝殻とかあったじゃないですか」
東山が説明を始めた。
「口コミで一万円札を入れたら「おつり」で縄文貝殻や
「レートの問題は置いておくとして、単に物珍しいだけじゃないですか」
「たまたま神奈川県民の文科省職員が免許更新で二俣川の試験場に行って、このような文化財がおつりとして使われるのはいかがなものかと」
「「ちょっと霞が関行ってくる」」
「お上とバトルよ(っす!)」
大月とひかりが三姉妹の手を引いてシドニア地区に向かおうとする。
「落ち着いてくださいっ!問題はそこじゃないんです」
「すでに問題じゃん」
「文化財の話から、三姉妹さんの乗り物や設備が資産ではないかとの話になって財務省が・・・」
「「やっぱり霞が関に行こう!」」
「いざ霞が関よ(っす!)」
大月とひかりが三姉妹の手を引いて「どこへもドア」をくぐろうとする。
「お願い!待ってください!」
二人の脚に器用にしがみつく東山だった。
「結局、資産の話は官邸に持ち込まれて首相案件になったんです」
「「永田町も
「霞が関最後の日よ(っす!)」
大月とひかりが三姉妹の手を引いて「どこへもドア」をくぐろうとする。
「待って!」
二人の脚に抱き着くようにしがみつく東山。
「そこで岩崎官房長官が言ったんです「今までの働きで十分ではないかと」」
「もう少し詳しく」
大月家がソファーに戻る。
三姉妹は正座に戻った。
「そこで主計局と会計検査院、国税庁が協議を行いました」
「それで?」
東山がごくりと
「やはり7000億円程不足分が」
「美衣子。ダイモス基地永田町に落として」
「やるわ」
「月も移動させるわ」
「月は勘弁っす!」
「ごめんなさい政府が悪いから説得するから助けてっ!」
プライドの高い東山が土下座ガチ泣きしてくる。
「東山の説得で効果があるのか?」
大月が疑問を口にする。
「そこでご相談です。三姉妹さんの資産を使う政府に使用料を請求してください」
「使用料はいくら?」
「累計3兆円くらいで十分かと」
「「「「「乗った(っす!)」」」」」
大月家の全員が賛同した。
ーーー同日正午頃【お昼のNHKニュース】
「政府がマルスアカデミー所有のシャトルや施設について、火星転移直後から使用料を支払っていないことが会計検査院の調べで明らかになりました。未払いの使用料は3兆円に達する模様です。日本政府の他にも列島各国とユニオンシティ国も先の欧米救出作戦時のシャトルや月面基地研究施設の利用料が未払いになっている模様です」
ニュースを
「財務大臣に連絡を。あと、東山君を直ちに連れてきなさい」
盛りかけそばを汁まで
ーーー同日午後2時【東京都千代田区永田町 首相官邸 総理大臣執務室】
応接セットに大月とひかり、三姉妹が座り、お茶うけに出された
東山はソファーの背後に立つ。
大月たちの向かい側には澁澤総理の他に、岩崎官房長官と後白河財務大臣兼外務大臣が座っていた。
「差し押さえの件はこちらの計算ミスですいませんでした」
冷や汗をハンカチで
「ですから、使用料の件はなかったことに・・・」
「美衣子ダイモス基地はどれくらいでここに落ちる?」
「3分もあれば十分よ」
「ごめんなさい年間7000億500万円で固定資産税と
「それぐらいで許してあげるわ」
美衣子が言った。
後白河大臣が手続きを急いで進めるために退席した。
「やたー!お小遣いアップっす!」
瑠奈がバンザイする。結も拳を握りしめて勝利の感触を味わっていた。
「それとは別にご相談が」
澁澤総理が話す。
「やっと本題ですか」
大月が疲れた顔で言った。そうでもしないと官邸に一般人を呼べないのだろうか?
「まわりくどいやり方だったのは謝罪します。火星協力機構が人類の統一政府となりつつある現在、大月家の皆さんへの処遇が加盟各国政府の官僚たちから問題視されつつあるのです。軍は好意的なのですがね」
岩崎官房長官が説明した。
「えっ!?」
大月達には初耳だった。
「すなわち、大月家の三姉妹を日本国民としてみるのか、火星人としてマルスアカデミーから「承継、贈与された」人類共有財産として見るのか?水面下で外務省が日本国民であると必死に対抗していますが、決め手に欠けるのです」
澁澤が言った。
「美衣子達はモノじゃありませんよ」
大月が
「日本政府とケビンやジャンヌの方も大月さんと同じ考えです。ですが、それ以外の最近機構に登用された地球避難民が・・・」
澁澤が苦しそうに言った。
「美衣子の日本列島環境維持システムの事は皆さんご存知ですよね?」
大月が確認する。
「ゼイエスさんの話を聴いた各国の科学者達から話は伝わっている
澁澤が答えた。
「日本列島の物理的な支配権を握っているのは美衣子と結、瑠奈です。全国に散らばっている
大月が言った。
「しかしシステムの
岩崎が言う。
「システムは自律進化型ですから必ずしも将来もそうだとは限らない」
大月が決めつけに対抗する。
「そうでしょうなぁ」
澁澤と岩崎が思案する。
「ここはひとつ、日本国とその国民の立場に戻ってお互い考えるべきでしょうね」
岩崎が言った。
「では、私たち日本人と美衣子達が独自に手柄を立てて人類に貢献するのはどうでしょう?」
ひかりが提案した。
「火星協力機構の力を借りずに、大月家と日本企業で火星開拓と独自の地球復興策を実行しましょう。「私達」大月家と日本企業、例えば
「悪くない案だ」
澁澤が
「ええ。開発資金は美衣子さん達へ支払う
岩崎が具体的に思考して同意した。
こうして「大月家」と日本政府との間でいくつかの非公式協定が結ばれることになった。
火星海洋ファンド(別名イワフネファンド=大月家のNEWイワフネハウスから引用)の立ち上げと地球二酸化炭素削減事業の官民合同プロジェクトである。
日本国と大月家の新たな歴史が始まろうとしていた。
ここまで読んでいただきありがとうございましたm(__)m
次話は6月3日㈰に投稿予定です。