転移列島   作:NAO

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【このお話の主な登場人物】

澁澤(しぶさわ) 太郎(たろう)=日本国総理大臣。
岩崎(いわさき) 正宗(まさむね)=内閣官房長官。
・ニタニエフ=イスラエル国首相。
・ペレス・ワイズマン=イスラエル国防軍中佐。



転生国家

2022年6月28日午前9時【東京都大田区 羽田空港 国際・宇宙ターミナル 特別ゲート】

 

ミツル航空チャーター便で、イスラエル首相のベンジャミン・ニタニエフがモサド長官をともなって来日した。

 

羽田空港宇宙ターミナルで後白河外務大臣と美衣子(ミーコ)の出迎えを受けたニタニエフとモサド長官は、初めて見るマルス人の爬虫類的 容貌(ようぼう)に内心驚きつつ、自らの国に救いの手を差し伸べてくれた日本人とマルス人の手をしっかり握りしめた。

 

羽田からそのまま東京の首相官邸に直行したニタニエフとモサド長官だったが、車窓から見える東京の青空と磨き上げられた摩天楼(まてんろう)を見て思わず、

「火山灰の無い街中を移動するのは久しぶりだな」

と呟いた。

 

ニタニエフの(つぶや)きを聞いた美衣子は、

「これから全地球循環ハイパーループシステムの建設が始まるわ。いずれ火山灰の中和、回収が始まるわ」

とだけ言った。

 

ニタニエフとモサド長官はいきなり飛び出した壮大な発言に驚いたが、

 

「細かいところは首脳会談後の官民合同協議で説明させて頂きます」

後白河外務大臣が淡々と美衣子のセリフを引き継いで言った。

 

首相官邸に到着したニタニエフは玄関先で澁澤首相の出迎えを受け、そのまま首相執務室へ招かれて二人だけの首脳会談が始まった。

モサド長官と岩崎官房長官は別室で会談を行った。実務的な地球と火星の情報交換である。

 

首相執務室を見渡したニタニエフは

「澁澤首相は質実剛健(しつじつごうけん)ですな」

と言った。

 

「タロウと呼んで下さってかまいませんよ。ニタニエフ首相閣下」

澁澤がニヤリと笑った。

 

「では私の事もベンと呼んで下さい」

ベンジャミン・ニタニエフが微笑んだ。

 

こうして日本とイスラエルの首脳会談が始まった。

 

ニタニエフは日本との協力関係強化を望み、過酷な地球環境で窮地(きゅうち)に陥るイスラエル国への支援を要請した。

澁澤は物資補給や火星開拓への支援を約束するとともに、2年後、アステロイドベルトから「日本列島オブジェクト」が極東に飛来することを明かしてイスラエル国にその管理運営を要請した。

 

「これはいまだかつてないプロジェクトです。私達はいつ転移するかわからない日本列島を離れることが出来ないが、ベンの国ならば我が国の様な不確実性がない。新たな安住の地の一つとして移住しながら管理して頂くことは出来ないだろうか?」

 

ニタニエフは大変驚いたが、

「もともと我らユダヤ民族は流浪(るろう)の民でした。安住の地が増えるのならば歓迎すべきことです。それに、極東はかつて我ら「失われた12氏族(しぞく)」の一つが向かった地、とも言われています。喜んで、移住、管理しましょう。ただ、移住初期のサポートは手厚くお願いしたい」

と応えた。

 

 

澁澤は了承し、

「感謝します、ベン。皆さんが日本列島オブジェクトに慣れるまでは最大限のサポートをしましょう。それと、あえて申し上げますが我々は地球到着後のオブジェクト取り扱いについてとやかく言わない。貴国の主権の下で地球復興の一助として日本列島オブジェクトが役立てばそれで構いません」

 

ニタニエフは

「心からタロウと日本国民に感謝を。我が国は新エルサレム、テルアビブ、火星ヘラス大陸、そして日本列島オブジェクトと人手が足りないくらいに広大な領土を得て嬉しい悲鳴を上げればいいのかわかりませんな」

と重責に自嘲(じちょう)した。

 

 

澁澤はため息をつきながら、

「正直、他に頼める組織的人口規模の国が無いのが実情です。ユニオンシティ国、火星協力機構は官僚主義な上に『マルス文明の方法』を頭ごなしに否定してくるくせに、異星文明の利用だけは(あつ)かましい。(ゆえ)に信用できません」

 

「スイス連邦はユーロピア共和国のジャンヌ首相が非公式に打診してくれましたが、国土であるアルプス地方を離れたくないと強く拒絶されてしまいました」

と語った。

 

「それと、ここだけの話にしてもらいたいが、マルス文明の三姉妹もあの国は「第三のアトランティス」になりかねないと危惧(きぐ)していますので」

「われわれの血塗(ちぬ)られた建国に比べればユニオンシティ国の方が遥かに健全と思いますが?」

 

「あの国は大国としての意識が強すぎます。おそらく復興が進むにつれ、大国の地位を自然と求めるでしょう。だが貴国は世界の覇権(はけん)よりも自国と国民の生命に貪欲(どんよく)だ。そういうあなた方だからこそ、日本列島オブジェクトをお任せしたいのです」

 

そう言って澁澤が頭を下げた。

「なにとぞ、日本列島オブジェクトを頼みます」

 

ニタニエフは日本の首相を見極めるような眼で視ながらこう()いた。

「我が国をそこまで本当に信頼してもよろしいのか?我が国は伝統的に我が国を支えてくれたアメリカに強い信頼を持っている。それはたとえユニオンシティと名前が変わろうとも変わりはしないのです」

 

「貴国は産油国であるアラブ諸国の顔色を(うかが)いながら風見鶏(かざみどり)の様な場当たり的外交で我が国に対応してきた。我が国が貴国の話を間に受けると、信頼できるとお思いか?」

 

ニタニエフの率直な発言に澁澤は、

「我が国の過去の外交政策のお粗末(そまつ)さについては弁明しません。貴国がどう思われようと、我が国は貴国にしか頼まないし、貴国以外に頼むつもりもない。我が国は既に地球から遠く離れております。残念ながら帰りたくても帰れないのです」

 

「我が国が転移したことによる惨事をこれ以上拡大させないためにも、我が国自体の帰還よりもオブジェクトの設置を優先する方針に変わりはありません。ベン、どうか引き受けてもらえないだろうか?」

 

ニタニエフは小さく息を吐くと腹を(くく)った。

「非才なる身を(もっ)て全力で、お引き受けします」

と澁澤に応えるのだった。

 

澁澤首相との単独首脳会談の後、ニタニエフとモサド長官は、岩崎官房長官とマルス文明三姉妹主催の官民合同政府協議で日本政府とミツル商事が推し進めている地球復興計画の説明を受けた。

 

二人は前代未聞の計画を躊躇(ためら)うことなく粛々(しゅくしゅく)と進める日本人に強い畏怖(いふ)の念を持った。

イスラエル国の国家移転と各地へ向かう移民の全面支援については幅広い分野で協議が必要となるため、あらためて両政府の官民代表団がカッパドキア新都市で協議を継続することとなった。

 

ニタニエフとの会談後、澁澤首相は応接室で三姉妹の付き添いとして呼んでいたイワフネと休憩がてら雑談をしていた。

「聞きにくい質問で申し訳ありませんが、イワフネさんは昔のイスラエル人に詳しいのですか?」

澁澤がイワフネに問う。

 

「私の記憶では、当時の彼らは死海(しかい)にほど近いソドムとゴモラの2つの都市で栄えていた文明だったと記憶しています」

 

「・・・確かソドムとゴモラの人々は周辺地域を支配して繁栄を謳歌(おうか)していましたね」

遠い眼をしたイワフネが語る。

 

「あー・・・」

澁澤はイワフネのトラウマたる一つの地雷を踏んだようだった。

 

「ですが、バベルと言う巨大な核融合炉実証実験が失敗して・・・都市ごと重力核爆発(グラビティー・ボム)?で滅んだような・・・」

「・・・嫌なこと聞いてすいません」

「いえ。私の印象は、彼らは良くも悪くも大変に「チャレンジャー」だったと思います」

「まるでゼイエスさんですね?」

「そう言えば・・・気が合うかも知れません」

「・・・今度は核融合失敗して欲しくないですね」

 

日本国とイスラエル国は、火星開拓共同研究と地球上でのイスラエル国に対する官民両分野での幅広い支援、地球上に取り残された日本人の救出、保護を条件とした相互友好協力条約を締結した。

 

同時に、火星南半球入植を支援する代わりに「封鎖された」アジア・アフリカ地域における非合法武装勢力掃討と、ミツル商事警備保障部門が保有するアンドロイド軍団への軍事顧問団派遣と訓練をイスラエル軍が行う事で合意した。

 

これを契機として日本政府はミツル商事航空部門に出資し、官民合同の航空宇宙会社『日本マルス航空』を設立し、マルスシャトルによる日本とユニオンシティ、カッパドキア、旧アルプスに直行便を開設した

また、貨物輸送部門も設けて、電磁カタパルトを使ったコウノトリ型無人宇宙貨物便を多用して種子島を起点に、フォボス、ダイモス、ボレアリフ、ユニオンシティ、カッパドキア、東部アルプス、ダウニングタウン、ユーロピアシティを宇宙輸送網で各地を結んだ。

 

この事業と火星南半球ヘラス大陸、アルテミュア大陸「西海岸」の沿岸開発、大規模警備保障部門(アンドロイド傭兵)でミツル商事の事業は急拡大した。

 

イスラエル国の火星進出から3ヶ月後、南半球ヘラス大陸「東海岸」に第2の人類都市『ガリラヤ』が誕生する。ガリラヤは40万人の人口を擁する一大都市になったが、9割がイスラエル国からの開拓民であり、イスラエル国の火星領土「地方都市」である。

 

人類都市「ガリラヤ」成立の翌月、イスラエル国は国民投票を行い、政府が国民に提案した「連邦制」を国民の80%以上が賛成して即日実施された。

「イスラエル連邦共和国」は旧首都テルアビブ、新エルサレム(旧カッパドキア)、極東に設置予定の日本列島オブジェクト「タカマガハラ」、火星ガリラヤの各地を「州」として州政府の権限を強く持つ連合体として新たな国家運営を行うこととなった。

中央政府は新エルサレム(旧カッパドキア)に置かれ、外交・軍事の権限を持つこととなる。各州には民間防衛隊が再編成され、「州警察」として治安維持を行う。

 

かつて「軍事国家・死の商人」の代名詞と言われた国家は、地球復興と火星開拓を使命とする750万の国民により「未来」を追求する国家に「転生」した。

 

イスラエルの火星開拓第一陣が到着した後に、東京で火星協力機構首脳会議が開かれ、イスラエル国も加盟承認されて参加した。

澁澤は、火星協力機構を地球復興と火星開拓に分けるべきと力説し、地球復興局、火星開拓局への組織変更を提案した。

この提案に対し、ソーンダイクは、人類共同体(HU)という統一政体での惑星間開発連合を対案として提示したが、日本やイスラエル連邦、列島各国は時期尚早として反対した。

 

結局、日本列島諸国からの技術支援、流通関連システムを握るミツル商事等火星陣営に対し未だ「支援を受ける側」に過ぎないユニオンシティ国は、渋々と組織変更を受け入れた。

 

地球復興局は、ユニオンシティ国とイスラエル連邦共和国主導により、月面都市ユニオンシティに本部を置き各国が本部人員を派遣、下部組織の職員は地球避難民が大半を占めるようになる。

 

火星開拓局は、アルテミュア大陸人類都市ボレアリフシティに置かれ、日本国、英国連邦極東、ユーロピア共和国、イスラエル連邦共和国、ユニオンシティ国が均等に人員と職員を派遣した。

 

イスラエルのクネセト(議会)から新たに選出されたイスラエル連邦共和国初代首相となったニタニエフは、地球圏復興に重きを置くユニオンシティ国と、地球復興局からの「指示」に反発する日本列島諸国で徐々に広がる溝に一抹の不安を抱くこととなる。

火星協力機構の発展的解消は、ニタニエフが懸念するように、地球と火星が対立する可能性を秘めるが、両陣営とも不足した国力で決定的な対立など出来るはずもなく、結果は次世代に(ゆだ)ねられると思われた。

 

ーーーーーーーーーー

2022年11月5日【神奈川県横浜市NEWイワフネハウス3階『ミツル商事』事務所】

 

「---ということで今日からミツル商事警備保障部門の軍事顧問を務めて頂けるワイズマン中佐です」

角紅社内ミツル商事担当役員のひかりがイスラエル国防軍から「出向」してきた軍人をミツル商事の面々と三姉妹に紹介した。

 

30代前半と思われるが、右目に眼帯(がんたい)をしてベレー帽を被るワイズマンは歴戦の強者であることは誰の目にも明らかだった。

 

「イスラエル国防軍火星派遣師団から来たワイズマン中佐であります!地球ではゴラン高原の最前線で機甲旅団に所属しておりました!日本最先端の警備軍に派遣されて光栄であります!」

ワイズマン中佐が勝手に盛り上がって挨拶していた。

 

「ウチは警備保障会社だから、軍隊ではありませんよ?」

大月社長が恐る恐るワイズマン中佐に話しかけると、

 

「なんと!あれだけの破壊力を持ちながら警備保障会社などとご謙遜(けんそん)を。あなた方は単独で地球の半分を占領できますぞ!」

「いやいや、占領しませんから。それよりもお願いしたい事があるのですが?」

「なんなりと」

 

「我々の警備保障部門はいずれ地球アジア、アフリカ地域での「警備保障業務」を委託される事になります」

「それは、あの無法地帯で武装勢力と戦うという事ですか?」

 

「そうよ」

美衣子がワイズマン中佐の前に進み出て言った。

 

「私達のアンドロイド戦闘軍団はまだ、『人間』との戦闘経験が足りないのよ」

 

「武装した人間から「人間」を(まも)るには両者の識別が必要。今のままでは皆殺しにしてしまう」

(ムスビ)が進み出て言った。

「実戦形式であらゆる戦闘場面で人間と戦う(すべ)を教えて欲しいの」

 

「ワイズマン中佐にみんなついていくっス!」

瑠奈(ルナ)が元気よく前に進み出て頭を下げた。

 

事前にモサド長官から「マルス文明三姉妹」についてブリーフィングを受けていたが、なかなか「教えがい」がありそうだ、とワイズマン中佐は嬉しく思った。

 

「微力ながら小官がお手伝いさせていただきます!」

ワイズマン中佐も元気一杯に応えた。

 

「楽しみだわ。ワイズマン、早速訓練よ」

美衣子と結がワイズマン中佐の手をグイグイと引いて「どこへもドア」の向こうに消えていった。瑠奈も二人に続いて上機嫌でドアをくぐって消えた。

 

「美衣子達はどこへ行ったの?」

大月社長がひかりに訊いた。

 

「多分、シドニア地区の地下戦闘訓練施設じゃないかなぁ?」

「刺激が強すぎないか?」

「歴戦のプロ軍人だから大丈夫でしょ」

ひかりがあっけらかんと言った。

 

大月はワイズマンに心のなかで手を合わせるのだった。

「ごめんなさいm(__)m」

 

【シドニア地区ナザレ 地下研究施設封鎖区画「イ・ワト」】

 

「おらおら根性だせやーっ!」

罵声が地下空間に響き渡る。

 

「お前の実力はこんなものか?この根性なしがー!!」

徹底的にしごかれていた。

 

ワイズマン中佐が。

 

「なんなんだお前らっ!いい加減くたばれよぉ!」

涙目で半狂乱になりながら短機関銃をターミネイター兵に乱射するワイズマンだが、多勢に無勢でゾンビのように迫りくるターミネイター軍団扮する「難民兵」に10回目の「蹂躙(じゅうりん)」を受けていた。

 

「ふう」

罵声(ばせい)を出しすぎて喉がカラカラになった美衣子がワイズマン中佐に休憩を告げる。

 

「ここで15分休憩よ」

ワイズマンがゾンビ役だったターミネイター軍団の手厚いケアを受けていた。

メイド服を着た「衛生兵アンドロイド」がワイズマンにスポーツドリンクのチューブをワイズマンに充てるとワイズマンは無言で(うつ)ろな目をしながらちゅうちゅうと飲んでいた。

 

結もスポーツドリンクをゴクゴクと飲みながら喉の調子を整えた。

「それにしても、人間相手の訓練は手加減が大変で勉強になるわ」

 

「そうっすね!これで人質も一緒に殺さなくて済みそうッスね!」

瑠奈がイチゴのシャーベットにかじりつきながら応えた。

 

「ワイズマン中佐。次のメニューをお願いします」

 

「まだ、やるのでありますか?」

 

「今まではパニックに陥った人質を抑える訓練だったでしょう?今度はあなたが海賊役で私達が制圧する側でいくわよ」

 

「ちょっと待ってくれ!せめてこちら側にも仲間が欲しい」

ワイズマンが懇願(こんがん)した。

 

「仕方ないわね。瑠奈、あなたがワイズマン中佐の相棒になるのよ」

「了解っす!中佐殿よろしくっス!あいたっ!!」

 

ワイズマンに両手を挙げて駆け寄る瑠奈が転倒して、携帯していたプラズマ手りゅう弾がワイズマンの足元に転がってくる。

 

「お、お前ら!絶対それワザとだろっ!」

ワイズマンが絶叫した後、地下空間にプラズマ手りゅう弾の蒼白(あおじろ)いスパークが飛び交った。

 

その日の夜【NEWイワフネハウス2階 ワイズマン中佐の個室】

 

「大臣!話が違いすぎます!これでは私が彼女たちに「訓練」されているようなものではありませんか!」

ワイズマン中佐が国防大臣に怒りの抗議電話をしていた。

 

「落ち着きたまえ中佐。誰があの三姉妹に訓練を「指導」しろと言ったのかね?私は三姉妹と「訓練」をして来いと言ったのだ。あのマルス文明の機械化兵士と人類がこれから共闘する時代になるのだ。我々がまっ先にそのノウハウを得る機会なのだぞ!?」

 

国防大臣がワイズマンの考え違いを正した。

 

「三姉妹の事だから我々が考える斜め上の対応で当たり前なのだ。ワイズマン中佐はゴラン高原の最前線で何を学んだのかね?」

「失礼いたしました。未来の戦友と共に訓練出来て光栄であります!!」

ワイズマン中佐が大臣に敬礼した。

 

「分かればよろしい。彼女達との訓練で得たものがあれば逐一(ちくいち)報告してくれ」

「かしこまりました」

 

国防大臣との通信を終えたワイズマン中佐はベットに腰を下ろすとため息をついた。

「そうは言うが流石(さすが)に一人はキツイな」

 

ワイズマン中佐は英国連邦極東のSAS(空軍特殊部隊)に所属している旧知の戦友達に助けを求めることにした。

しかし、以前に大月拉致未遂事件の際に目撃したターミネイター兵の恐ろしさを知っていた彼らは泣いて謝りながら助けを断るのだった。

 

結局、ワイズマンは瑠奈を唯一の「相棒」として人間の軍人としての行動を一から教え、美衣子と結の無慈悲な「訓練」に臨むこととなった。

瑠奈はワイズマン中佐の教育によりサバイバル能力が著しく上がってしまった。

 

瑠奈は時折(ときおり)ワイズマン中佐を「自主訓練」に誘い、二人で制圧して間もないヘラス大陸中央部の砂漠地帯で巨大ワームやサソリモドキに遭遇しながら経験値を積んでいった。

ワイズマン中佐は未知の巨大生物との闘いや、パワードスーツやアダムスキー型強行偵察艇を駆使した瑠奈の戦闘能力に驚嘆(きょうたん)しながらも着々と大月家の「普通」に慣れていった。

 

ワイズマン中佐は、マルス文明機械化軍団と直接共同作戦が執れる数少ないの軍人の一人として、火星諸国軍人達の羨望(せんぼう)の的となるのだが、それは本当にずっとずっと後の事である。




ここまで読んでいただきありがとうございましたm(__)m
次話は7月15日㈰に投稿予定です。
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