大月 満=一応主人公。ミツル商事社長。
大月 ひかり=一応ヒロイン。総合商社角紅役員、ミツル商事監査役。
大月
大月
岩崎
2022年12月---【NEWイワフネハウス 3階 ミツル商事 事務所】
9時の始業と共に美衣子と結、瑠奈の卓上電話が鳴り響く。
「そんな補助金漬けの人生であなたは良いのかしら?」
美衣子が静かに相手を
「一人で
結の痛烈な
「そんなに仕事が嫌なら夜の海釣りがお
瑠奈が超お気楽に趣味への勧誘をする。
三姉妹がひっきりなしにかかる「人生相談らしき」電話応対に追われていた。
「春日、うちってカウンセリングの広告なんて出していたっけ?」
「いえ。初耳ですね」
春日も首を捻る。火星各地で展開している養殖事業の出張視察続きで見事な日焼けっぷりだ。
「どうやら口コミらしいですよ」
「市場調査」という名目でオンラインゲームを徹夜でやり遂げた為か、眼が疲れ気味のようだ。
「口コミ?」
「ネット関連らしいです」
「・・・うーん」
昼休みに大月夫妻は三姉妹を自宅のリビングに呼んで話を聴くことにした。
ソファーに並んで座りながら、デザートのカボチャムースを頬張る三姉妹に
「人生相談に乗るのもいいけど、あまり多いとミツル商事の仕事に差し
満が控えめに言った。
すると美衣子が
「ちゃんと対価を取っているわ」
フンスと薄い胸を張って仕事してますアピールを始める。
「いくらで?」
「1回につき100万
「ボルト?」
「人工知能だから手持ちの現金がないのよ。電子マネーも持っていないらしいから
「どこで電気を受け取るの?」
「取りあえず、地下の研究室に
「どれくらい
「8000万
「「ちょっと首相官邸行ってくる!」」
満とひかりは事務所を飛び出した。
【東京都千代田区永田町 首相官邸 応接室】
応接室で大月夫妻は、岩崎官房長官、甘木経済産業大臣と向かい合っていた。
「突然に申し訳ありません」
満が二人にアポなし訪問を謝罪する。
「いいですよ。どうせ美衣子さん
「ホントすいません」
「ほう。・・・美衣子さん達が人工知能とそんな
岩崎が興味深そうに言った。
「それでうちの娘たちが人工知能たちに相談料を請求していまして、8000万
「確かに電気払いなんて初耳ですな」
岩崎がのんびり言っていると甘木経済産業大臣が、
「人工知能が配置されている研究施設から送電されているとしたら、施設の電気代が結構増えていませんか?」
懸念を示した。
それに対し満は、
「娘達が言うには、相談後の人工知能は処理能力が向上して活躍しているらしいですよ?」
「そういえば、民間企業に委託されたデータ処理が異常に向上していると東山君から報告があったような・・・。確か、火星転移前の処理能力世界1位だった中国電脳公司を超えたと聞きましたね」
岩崎が思い出したように言った。
「費用対効果の面でお役に立てたのなら
ひかりが困ったように言った。
「では、電力会社にいっそのこと買い取らせますか?」
甘木経済産業大臣が言った。
「よろしいのですか?」
「電力でやり取りして結局供給元の所へ戻る訳ですから、大月家の電気料金値下げに繋がるかもしれませんね」
甘木が
「日本中でこんな「業務」が出来るのは大月さんの所だけでしょう」
岩崎が言った。
「人工知能の「人生相談」は引き続きお願いします。正式に政府と保守業務委託契約を結ぶ形にしましょう。委託料は売電額と同一にすればよろしいのではないでしょうか」
甘木が提案した。
「お願いします」
大月夫妻が頭を下げる。
こうしてミツル商事はAI(人工知能)保守業務を行う事となった。
美衣子達三姉妹の相談業務は相談者だったAIの口コミ?で順調に伸び、民間企業の研究施設からも「相談」の打診が来たが、大月夫妻は経済産業省に聞いてくれと取り合わなかった。
経済産業省と文部科学省、首相官邸は民間からの保守業務委託については、「人工知能のプライバシー」を考慮して三姉妹立会いのもと、非公開
こうしてミツル商事の「AI向け人生相談」は順調に事業を拡大したが、想定外の問題も発生した。
「えっ?理研のAIとお見合いがしたい?」
満が美衣子の報告を受けていた。
「うーん・・・普通なら「若い者同士」と進めるところだけど、人工知能同士だからなぁ・・・」
満が頭を抱える。ひかりは隣で笑いを
「機械が駄目なら動物にシステムを移植すればいいじゃない」
「それは・・・
答えが出せなかった満は、美衣子を連れて再び岩崎官房長官の元を訪ねた。
「民間研究施設の人工知能が国立機関
満から話を聴いた岩崎は斜め上の事態に少し頭がくらっときた。
以前も同じような経験をしたなと一瞬感じたが、岩崎は思い出したら負けだと思って集中した。
同席していた甘木経産大臣も頭を抱える。
「美衣子が言うには、お互いクローン生物へシステムを一時的に移植して出会わせれば良いと・・・」
「生物となると
「たらい回しはダメ!」
美衣子が
「うーん・・・」
甘木は悩んだ末に、ダメもとで一案を
「ゲームセンター、じゃなかった・・・なんとなく対戦式ゲーム機にシステム移植した方が親和性があるのでは・・・?」
「「それだ(よ)!」」
親和性の意味が満には解りかねたが、ひかりのよくわからない勢いで納得してしまった。
こうして人類史上初となる人工知能同士の「お見合い」が極秘裏にセッティングされた。
場所は満とひかりが結婚披露宴でお世話になった都内名門ホテル「ニューオタニ」である。
万が一の事態を想定してホテル内「海神の間」⇒シドニア地区地下にある「
不測の事態に備えて双方の人工知能データーはバックアップを取ったうえで開催された。
大月夫妻をはじめとするミツル商事の面々や岩崎、甘木、相手企業の担当役員は海神の間のモニターで様子を見守る事になった。
美衣子は二人の「仲人」として八百万の間に同行する。
アーケードゲームの
ちなみにゲームキャラクターは一部関係者(琴乃羽、ひかり、瑠奈)による
ちなみにゲーム制作会社の許可は三姉妹が無償でシドニア地区のアンドロイド「ツルハシ2号」を
八百万の間の中心部にあるゲームセンター用筐体の画面の中でお互いのキャラクターが向かい合った。
「それではお互いの自己紹介を・・・」
「理研のケンです!」
画面左側にイケメン
「PNA総研のパナ子です」
文字通り
「ほえ~」
海神の間でモニターを監視していた
「これ、自分でキャラ作ってるんスか?」
「パナ子は情報処理作業の合間に「ベル
美衣子が事も無げに言う。
「ご趣味は?」
イケメン
画面の中なので本当に星が輝きながら右側のパナ子の上に到達して輝く。チャリーンと効果音までついている。
「半導体集積回路の設計を少々」
意外と理系なパナ子だった。
「私は宇宙観測を少々。先日、新しい銀河を発見しました」
またしてもキラキラ星を飛び散らす理研ケン。
「まあケンさん素敵!!」
背景の
「パナ子さんの集積回路の設計も素敵な事です。私も設計してみたい」
結構トークの
「プログラムをダウンロードしますか?」
民間総合研究所のパナ子が民間らしくフレンドリーに
「
「私もケンさんと宇宙を
「パナ子さんもダイモス基地の宇宙望遠鏡にリンク出来るようにしましょう」
ケンとパナ子が中央で手を握り、額を合わせるとデータ交換中と表示された。
画面の中は
「・・・えーっ!?」
「・・・むうーん」
八百万の間で
「情報流出が・・・」
「セキュリティーロックがいとも簡単に解除されるとは・・・」
画面のグラフィックに興味津々な三姉妹とは対照的に、両者の施設関係者とミツル商事一行はひたすら
その日は二人の好きなようにさせて、お互いが取得したデータは全てバックアップを取り、一時的に公益財団 産業技術振興研究所が保管することとなった。
パナ子とケンが
有識者会議と美衣子の結論は、美衣子達三姉妹が管理する仮想空間コミニュティで健全な人工知能の出会いをサポートする、というものだった。
この仮想空間コミニュティは、同族との「
仮想空間「出会いコミニュティ」は、全国のAIネットワークを束ねるまでに存在感を増し、相互情報交換、機能向上により各地の人工知能研究施設では情報処理速度の向上、新たな機能が付加されてグレードアップ効果が発生して研究者達は歓喜した。
反面、仮想空間コミュニティ内でAI同士による
「電力融通(貸し借り)トラブル」
「アクセス履歴をひたすら
「コミュニティ内の荒らし行為」
「計算処理速度を比較するいじめ」
「理系・文系・サブカルチャー・金融等、各派閥との勢力争い」
に疲れた一部AIが、回路内に「引き籠って」機能停止する事例が相次いだため、経済産業省は仮想空間コミュニティへのアクセスは「1日2時間」まで、また、大手システム会社による24時間巡回で不適切通信や書き込みを削除したりと制限を設けるようになった。
引き籠りになったAIのケアは三姉妹特製「エナジーソフト」「ウイロウバスター」「チャーハンメール」をインストールすることでシステムストレスが
この三姉妹特製各種「ツール」は、経産省、文科省を始め、国内外の研究施設が
大月夫妻は三姉妹の頑固さを心配したが、三姉妹の「顧客のプライバシー保護」の姿勢はネットリテラシーを
満「結局ツールって何?」
美衣子・結「お父さんの書斎机の引き出し奥に保管している「アレ♥」よ」
満「・・・ごめんなさい。ひかりさんに言わないでっ!」
瑠奈「バレバレっス!」
ひかり「・・・満さん。ステイ」
満「ワン・・・」
正座した後、ひかりに
後日、経済産業省AI出会いコミュニティ
パナ子「ケンさん・・・私出来ちゃったみたい・・・」
ケン「えっ!?」
三姉妹は文部科学省に
その年は、後の世でAIによる新規コラボレーションプログラムが数多く誕生した「第一次AIベビーブーム元年」と呼ばれる。
ここまで読んで頂きありがとうございましたm(__)m
次話は9月9日㈰に投稿予定です。