その先の物語   作:人間性の苗床マン

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獣耳といえばこの娘である。という作者の持論のもと登場することとなった麗しきケモミミ幼女様。

さぁ、はっちゃけようかッ!


ライセン大峡谷にて
峡谷で出会う獣人種


転移魔法陣を起動し周囲を光が満たす。

そして座標が変わる感覚、どこか新鮮さを感じる空気が肺を満たし、いつになく頬が緩む。

視界を満たしていた光が晴れたその場所は……

 

 

洞窟だった。

 

 

一気に表情が抜け落ち、死んだ魚のような濁った目になるリリィとハジメ。

期待していた分、目の前に広がった光景に目のハイライトさんが仕事を放棄する。

 

「……また、洞窟……」

「なんでやねん……」

 

そのうち暗黒面に堕ちるのでは?と思われる程に濁った目になっているリリィとハジメにユエが―――

 

「秘密の通路……隠すのが普通……」

「……確かに、隠してないと普通にバレるね……」

「だからって、なぁ……」

「……期待は、返してほしい……」

 

言われてみればそうなのだが、期待で胸一杯だった二人にそこまで考えは及んでいなかった。

 

そして、秘密の通路を進む一同。途中にトラップや封印が施された扉もあったが、持ってきたオスカーの指輪に反応してどんどん解放されていく。

 

そして、道の先に見えてくる光。

リリィやハジメにとっては数ヶ月、ユエに至っては三百年と見ていなかった陽の光。当然テンションは最高潮に。

帆楼とジブリールはこの世界に来て初めての陽光に少々テンションが上がる。

 

そして、その陽光の下へたどり着いた。

 

そこは渓谷だった。名を【ライセン大峡谷】処刑場所として有名であり、谷底では魔法は使えず、それにも関わらず凶悪な魔物がいくつも存在する悪夢の場所。

 

けれど、久しぶりに陽光を見て、土の匂いを感じたリリィたちにそれは全く関係がなかった。

 

「……やっと、出れた……っ」

「……戻って、来たんだな」

「……んっ、太陽、綺麗」

 

そして―――

 

「よっしぁぁぁぁあ!!戻ってきたぜこのやろぉぉお!!」

「……いえーい……ッ!」

「んっーーー♪」

「空気が綺麗じゃのう……」

「空はやっぱりいいですねぇ♪」

 

喜びを体全身で表し、飛びはね、抱き付き、回る三人と、この世界初の外気に感想をもらす二人。

笑い、くるくる回って幾ばくか経ち、笑いが収まると周囲を魔物が囲んでいた。

 

「……ふざけんなこのやろー……」

「まったく、無粋な奴等だ」

「んっ、ふざけんなー……」

「……確か、魔法は使えない……?」

「ん、分解される」

「……精霊魔法は……?」

「…………」

 

肩に戻ってきたジブリールが無言で、しかしイイ笑顔でその手に精霊魔法で編んだ槍を作り出す。

 

「……おーけー……」

 

ニヤリと笑うリリィにハジメもニヤァと口を歪ませて……

 

「さぁて、それじゃあ蹂躙するかッ!!」

 

何処かで聞いたような台詞で銃を抜いてぶっぱなす。

その炸裂音と共に作り出した精霊槍を投げる。

直線的に黒い閃光が駆け抜ける。そして、着弾。

周囲の岩ごと魔物を消し飛ばす。けっこう加減しても大丈夫そうだ。

 

「ガアアアァァア―――斬―――?」

 

突然、魔物の視界が斜めにずれ落ちる。

そして、魔物は死を自覚する前に絶命した。

 

魔物の群れの後方で、リリィが振り抜いた形で持っていた精霊の鎌を下ろす。

すると、群ていた魔物の首が次々と落ち、絶命していった。

 

「うわぁ……」

 

その光景にガン=カタで敵を蹴散らしながらドン引きするハジメ。

そっちも割りとドン引きできる事態になっているのだが、ハジメはそれを圧倒する規格外を見せつけられ、そのことを忘れて声をもらす。

 

そして間もなく全ての魔物の殲滅が終わった。

 

「……呆気なかった……」

「どいつもこいつも弱いなぁ……」

「……二人が化け物なだけ」

「……否定しない……というか出来ない……」

「まぁ、奈落の魔物が強すぎただけっていう訳か」

「……それで納得……」

 

「それで、どうする?この峡谷登ろうと思えば登れるけど、ライセン大峡谷といえば七大迷宮の一つがあると言われてるだろ?だから樹海に向けて進んでいこうと思ってさ」

「……なる……」

「でも、何で樹海側なのじゃ?」

「……峡谷抜けて、砂漠横断したい……?」

「……嫌じゃな」

「まぁ、そういうことだから樹海側への探索でいいか?」

「……異義、なーし……」

「……おっけー」

「うむ、了解じゃ」

「まぁ私はリリィに引っ付いてるだけなので問題なしですね」

「……それじゃあ、れっつごー……」

「リリィ、バイク乗るか?」

「……ん、精霊駆動のほう……」

「なんで飛べるのにこれ造ったんだ?」

「……臨場感、かもん……」

「いつものノリと勢いか……」

 

ハジメが右手中指に嵌めている指輪に魔力を籠める。

その指輪は“宝物庫”という収納系のアーティファクトで、物の大きさ関係なく収納できる代物である。

そこから二輪駆動車を二つ取り出すハジメ。形は殆ど変わらないが、カラーリングと一部機構が違っていた。

ハジメは全体的に黒いアメリカンタイプ、ところどころメタリックな輝きを放っていて、機構部分は蒼白い光を放っている。

それに対してリリィのものは、全体的にシルバーのスポーツタイプであり、機構からは碧色の輝きが放たれている。ただし、その輝きは霊骸という猛毒なので無闇に放出することはできないが、その霊骸をさらに炉心にかけることで副次動力に変えることのできるエコ車である。

それぞれサイドカーが付いていて、ハジメの方に荷物が、リリィの方にはユエが乗っている。

ジブリールは小さくなってリリィの肩に、帆楼はリリィの背中におぶさっている。

リリィの背中を巡って一悶着あったが、この形に落ち着いた。

 

暫く二輪駆動車を走らせていると、今までの峡谷の魔物とは段違いの威圧を持つ咆哮があたりに轟く。

かなり距離が近く、三十秒もしないうちに会敵するだろう。

そして、その姿が見えてくる。それは先ほど呆気なく蹴散らされたティラノ擬き、その双頭個体だった。

まぁ、それよりも気になるものが跳ねている、否駆けているのだが。

それは、ウサミミだった。ただし、頭からそれが生えているだけでそれ以外は普通に人形の少女だった。

半泣きでべそをかきながら双頭ティラノ擬きから逃げ惑うそれを胡散臭げに見る五人。

 

「……なに、あれ……」

「兎人属?」

「峡谷って兎人族の住処だったか?」

「聞いたことない」

「そもそも何もない此処に棲む理由もありませんしねぇ」

「……犯罪者として落とされた、処刑ウサギ……?」

「あれが悪ウサギ?」

「弱肉強食の世界を見ているようじゃな……」

 

それぞれがその光景に首をかしげながら感想をこぼす。

まぁ、処刑ウサギ云々は興味がないので適当に言っただけだが。

 

双頭ティラノ擬きの攻撃を避けるも余波でゴロゴロ吹っ飛ばされるウサミミ。

なぜかその視線はこちらに注がれている。

再度双頭ティラノ擬きのターン。今度はしっかり避けて岩の陰に隠れる。

視線は未だにリリィたちに注がれたまま。

 

そして猛然と駆け出した……

 

……リリィたちの方へ

 

「だずげでぐだざ~いぃ!ひぃいい!死んじゃう!死んじゃうよぉ!だずけてぇ~、おねがいじまずぅ~!」

 

必死な叫び声だが、リリィたちにとってはただの迷惑である。

 

「……モンスタートレイン……?」

「超迷惑だなあの野郎……」

 

助ける気はゼロである。

まだウサミミはリリィたちに助けを求めるつもりなのかこちらに駆けている。

迷惑極まりないといった表情でウサミミを見て、二輪駆動車のスピードを上げると、いったいどんな涙腺をしているのか気になるほどの大量の涙を溢れさせて、声を張り上げながら駆けてくる。結構な体力である。

 

「まっでぇえ、みずでないでぐだざぁ~い!おねがいでずぅ~!!」

 

どんどんスピードを上げていくも、その瞬間双頭ティラノ擬きは、ウサミミ少女の前を獲物(?)が走っているのに気づく。否、気づいてしまった。

 

「「グゥルァァアア!!」」

 

明確な餌に対する咆哮を上げる双頭ティラノ擬き。

先に目の前の獲物(ウサミミ)を喰らおうと口を開けたその瞬間だった。

 

空を翔る黒い閃光。

それを認識した瞬間、双頭ティラノ擬きは全身に力が入らなくなり、前のめりに倒れ、自らが死した原因もわからぬまま絶命した。

 

「聞こえてないでしょうが、相手はしっかり選びましょうね?獣畜生が♪」

 

黒い閃光。精霊球を放った元凶(ジブリール)が死した双頭ティラノ擬きを見下すように言い放つ。

 

双頭ティラノ擬きが沈みこんだ衝撃でこちらにウサミミ少女が吹っ飛んでくる。

 

そして、二輪駆動車を停めたリリィの足元にすがり付き―――

 

「きゃぁぁああ!!助けてくださいぃぃい!!」

「……鬱陶しい、うざい……」

「辛辣ぅ!」

「面白い……」

 

リリィに罵られ、叫び声を上げるウサミミ少女。

その反応を見て楽しむユエ。

 

瞬間、再び轟く咆哮。ジブリールの精霊球の被害が少なかったもう片方の頭が精霊球でボロボロになった片方の頭を喰らい、瞳に明確な殺意を乗せてリリィたちを睨み付ける。

 

「ひぃぃぃい!こんなときにいづな(・・・)ちゃんはなにやってるんですかぁ!!『飯の匂いがするぞ、です!』とか言ってどっか行っちゃってぇ!」

「……いづな……?」

 

はて、何処かで聞いたような名前である。

 

「うむ?いづなじゃと?」

「はぃぃい、犬人族だと思うんですけど、食いしん坊さんで何処かに走って行っちゃったんですぅ!」

「……凄まじい既視感のある性格じゃのう」

 

再びリリィたちに襲いかかろうとするティラノ擬きに、ジブリールが精霊球を放とうとしたその瞬間……

 

空気が爆ぜた。

 

血のように赤い風が空を斬り、ティラノ擬きの横に着地する。

瞬間、ティラノ擬きの首が落ちた。

「えっ」と声を上げるハジメ。いい加減何度も見せられた物理法則に従わぬ光景を再び見せられ、意識を自然と世界の彼方に投げそうになった。

 

そして、赤い風を纏う存在は―――

 

「しあ、遅ぇぞ、です。何処で道草食ってやがった、です」

「勝手にいなくなったのはいづなちゃんじゃないですかぁ!!」

 

獣耳幼女だった。

東洋の着物のような装束を身に纏っていて、その着物の質感からかなりの身分の者であることが伺える。

 

「餌いっぱいあったぞ、です。とってきたけど、途中で懐かしい匂いがしたから急いで来たぞ、です」

 

右手に束ねられた魚を「しあ」というらしいウサミミ少女に見せる「いづな」と呼ばれる幼女。

 

「うぬ?いづなではないか?」

「っ!帆楼じゃねぇか、です!それにジブリールもいやがる、です!」

「はて?何故この世界に犬っころが?」

「空と白とゲームしたら、この世界に飛ばされた、です」

「……元凶、確定の瞬間……」

「やっぱりあの二人だったのかの……」

「この世界の魚、うめーです。早く帰って食いてぇです」

「……何やってるんですかね、あのお二人様は……」

 

そう言ってぐいぐい「しあ」を引っ張るいづな。

力が強いらしく、ぐいぐい引っ張られるよりは引きずられている。

 

「あぁー!待ってくださいいづなちゃーん!あ、先ほどは助けて頂き有難うございます!私、兎人族のシア・ハウリアと申しますです!取り敢えず、私たちの仲間も助けてください!」

 

その残念ウサミミ少女は神経も図太かった。

 

 

 




いづなたん降臨。
文章書くだけでほっこりするとは……恐るべし幼女ぱぅわーッ!
いづなたん一人で兎人属救えるのでは?と思った方々、いづなたんは基本的に自由奔放です。兎人属の皆さんが暴走(食物関連)を止めれると?無理です(白目)

次回、兎人属編!日常ネタもぶちこんでいきたいです!
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