その先の物語   作:人間性の苗床マン

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とてつもなく投稿が遅くなり、誠に申し訳ありません。
夏休みに突入するので、それなりには更新ペースは上がると思います。

尚この小説とは関係ありませんが、私、ハジメTS、つまりハジメちゃんなる小説を見たのですが、うん、すごくいい(笑顔)
そんなこんな(?)で投下します、ゆっくり見ていってねっ!


ハルツィナ樹海へ

帝国兵と敵対し、蹂躙を経て、リリィたちは中央に亜人の国【フェアベルゲン】を抱える【ハルツィナ樹海】へとやってきた。

 

ハジメの魔力駆動二輪が大型の馬車二台を牽引し、殿をリリィの精霊駆動二輪が務める。

 

数時間馬車の速度に合わせて進み、平原と森林の境界地点へと到達した。

 

「それでは皆さま、中に入ったら決して我らから離れないで下さい。リリィ殿とハジメ殿を中心にして進みますが、万一はぐれると厄介ですからな……それと、行き先は森の深部、大樹の下で宜しいのですな?」

「ああ、聞いた限りじゃあ、そこが本当の迷宮と関係してそうだからな」

「……ゲーム脳的に考えると、大樹の下にでもありそうだね……?」

 

リリィたちが目指すは【ハルツィナ樹海】の最深部に聳える巨樹【大樹 ウーア・アルト】。神聖な場所として有名であり、滅多に人が近づくことはないらしい。カムからはそう聞いている巨樹である。

 

当初、リリィとハジメはこの樹海こそが迷宮なのでは?と考えていたが、その中に亜人が住んでいるとなるとオルクス大迷宮との差が凄いことになる。もしくは亜人族全員がもれなく世紀末なヒャッハーメンズ&ガールズということになる。

まぁ、後者はシアたちの様子を見て「無いな」という結論に至った。

 

その後、気配遮断を使いながら歩みを進めていく。

しばらく歩くと……

 

「「「キィィイイ!」」」

 

目視でこちらを確認したのか、四つの手が生えた猿のような魔物が三匹躍り出た。が……

 

「うるっせー、ですっ」

 

──ドゴンッ

 

耳障りな金切り声に不機嫌になったいづなに踏み潰される。

紛うことなき出オチ。まことに哀れである。

 

「……いづなたん、ないす──今日の食料確保……」

「リリィ、食えるの俺たちだけだぞ?」

「さかなもあるからだいじょーぶだぞ、です!」

 

その後、隠れているつもりの魔物を標的にハジメの新武装『ニードルガン』を試し撃ちしたりしながら進んでいく。

 

暫く進むと、突然索敵のために耳をぴこぴこ動かしていたハウリアたちの耳が一斉にピンッと伸び、へにょりと曲がる。どうやら、めんどくさい事が起こるようである。

 

すると、虎模様の耳と尾を生やした筋骨隆々とした亜人がリリィたち一行の前に立ちふさがった。

 

「貴様等……何故人間といるッ!種族と族名を吐けッ!」

「あ、あの……私たちは───」

 

シアが答えようとして前に出る。

そして、その姿を認めた虎人族が眼を剥いて──

 

「なっ、白髪の兎人族だと!?貴様等ッ……報告にあった亜人族の面汚し、ハウリアかァ!同胞を騙し続け、忌み子を匿い、更には人間を招くだと!?反逆罪だ!最早弁明を聞くまでもないッ!この場で処刑する!総員かッ……」

 

「「……」」

 

───ドパンッ

───パシュンッ

 

紅の閃光と黒の閃光が虎人間の両サイドを掠め、背後の木々を貫いた。

 

「なっ……ぃま、のは……魔法、なのか?しかし詠唱も……」

「……うるさい、とっとと最深部つれてけおるぁ……」

 

リリィがいつもの無表情に、しかしメンチを切るヤクザのような据わった目で告げる。

 

「そーだそーだー、周りのヤツごと頭ブチ抜くぞー?」

「……容赦の欠片もねぇ、です」

 

手の中で銃を弄ぶハジメの無慈悲な威圧と軽口のような宣告に背筋が凍るような感覚に陥る虎人族。

ブラフか?とも考えたが、弄ぶ間にも銃口が向けられるその先には潜伏していた仲間の位置なのだ、その事実に震えながらも声を絞り出す。

 

「なっ、何故最深部なのだ?あの大樹の下に何があるというのだ?」

「……七大迷宮の入口、恐らくあの大樹こそが【ハルツィナ大迷宮】の入口……」

「な、何を言っている?この樹海こそが天然の大迷宮、【ハルツィナ大迷宮】だろう?亜人族以外の者が足を踏み入れれば二度と外へ戻ることの出来ない──」

「それはありえない、第一、ここが大迷宮だとすれば出現する魔物が弱すぎる。大迷宮というのなら、オルクスの奈落のように魔物も化け物揃いのはずだ。それ以上に大迷宮は解放者──いや、お前らに合わせるのなら反逆者、そいつらの遺した試練……亜人族であれば簡単に踏み込めるここは試練として成立しない──そんなものが大迷宮である訳ないだろ?」

 

反逆者の別称、解放者。樹海の魔物が弱いと断ずる異様。そして、異常なほどの威圧──どれもデタラメのようで、しかしながら実感の籠ったその言葉に戸惑いを隠せなくなる虎人族の男。

 

しかし、戸惑っていては話は進まない。そして、話の優位性を持っているのは力量を含めて相手側、そう判断した虎人族の男は口を開く。

 

「……わかった、お前らが国や同胞に手を出さないと言うのなら、大樹の下へ向かうのは問題ないと俺は判断しよう。部下の命を無残に、無意味に散らす訳にはいかないからな」

 

周囲の気配から動揺を感じ取る。先程の態度から簡単に推測する限り、人を本国に招くのは本来ありえないらしい。

 

「だが、一警備隊長の私ごときが独断で下していい判断ではないのも事実……本国に指示を仰ぐ。お前達の話も、長老方なら知っている方もがおられるかもしれない──お前達に、本当に含むところがないというのなら、伝令を見逃し、私達とこの場で待機しろ。いいな?」

 

少し考える。

ここで彼らの忠告を破ればフェアベルゲンに包囲されるのは必至。

忠告を守ればあの大樹の下へ安全に辿り着けるかもしれない。

結局、敵対することになるかもしれないが、一々殲滅しながら進むのも面倒、そして勇者ーズに見つかりたくないというのもあるのであまり波風を立たせたくない。

 

故に、忠告の遵守を選択する。

 

「……いいだろう。さっきの言葉、曲解せず、一句も漏らさずちゃんと伝えろよ?」

「無論だとも。ザム!聞こえていたな!長老方に余さず伝えろ!」

「了解!」

 

こちらがプレッシャーを解いたことで、空気が融解する。

空気が軽くなったことで動けるようになった一部の亜人が臨戦態勢をとるが──

 

「……なにやってるの……?」

 

音も立てず、まるで空間転移したかのように隣に現れたリリィに構えをとった亜人が腰を抜かす。

 

「やめろ!力量差は分かっているはずだ!……そちらもちょっかいを出すのは止めてくれ、心臓に悪い上にこちらも動かざるお得なくなる」

「……ん、了解(ヤヴォール)……」

 

そして、その弛緩した空気に流されるかのようにぴょーんと帆楼といづなが背中とお腹に飛びついてくる。「堅苦しい話が終わったのなら構え」と言わんが如くに。さらにそれに触発されたユエが飛びかかろうとしてジブリールに防がれる。

ナチュラルにイチャつき始めたリリィ達にシアも便乗してハジメに抱きつこうとして反射的に関節技を極められ「ギブ、ギブですぅ」と言った感じで地面を手でタップし

ていた。

 

そんな彼らのマイペース空間に亜人達が呆れた視線を向けるというシュールな構図が成立した。

 

しかし、その次の瞬間、【気配感知】に高速でこちらに迫ってくる何かが引っかかった。

 

再びその場の緊張感が高まっていく。ハジメの極め方がキツくなりシアの肩に電流の如き痛みが走る。

 

そして、霧の奥から数人の亜人と共に一人の老体が姿を現した。

その老体だけ纏う気配が違っていた、王のカリスマと言った感じだろうか。それだけで、この老体がフェアベルゲンの長老と呼ばれる存在なのだろうと直感的に看破する。

流麗に靡く金の髪、知性的な輝きを灯す碧眼、身は細くともその顔に刻まれた深い皺がアクセントとなり威厳のようなものを感じさせる。

そして何より、尖った耳だ。その特徴から彼が森人族(エルフ)であるということを顕著に示していた。

 

その彼が口を開く。

 

「ふむ、お前さんが問題の人間族かね? 名は何という?」

「ハジメだ、南雲ハジメ。こっちはリリィ、リリィ・ドーラだ。あんたは?」

 

ハジメの強い態度にお付の亜人が憤慨するも、彼が片手を上げると鎮まり、彼は答えた。

 

「私は、アルフレリック・ハイピスト。フェアベルゲンの長老の座を一つ預からせてもらっている。短い間かもしれぬが、宜しく頼む」

 

そう、威厳に満ちた表情で言い放った。

 




本当に今回は難産でした。息抜きに別のものでも書きましょうか……
次回更新も何時になるか分かりませんが、出来れば早めに投稿したいと思っております。
待っていただけると、嬉しいです。

今回も「その先の物語」を読んでいただき有難うございました。
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