僕のポケットモンスター   作:ユンショウ・S

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※世界観としてはリメイク版、ORASを基にエピソードδ終了約半年後となっております。


第1話

空気が綺麗で穏やかな町、シダケタウン。ここに一人の少年……と呼ぶには少し歳を重ねた男が一人居た。

彼の名はカナト。重い病に罹りその療養とリハビリの為本来10歳で旅立つ予定だった筈が今日で16歳、その間にこのホウエン地方では様々な事件が起こり、そしてある少女によって解決された…彼にしてみれば自分より歳下の少女の名が世界に轟いた事は嬉しくもあり悔しくもあった。

そしてそれ以上に、この町に越してきた新たな友人ミツルの成長にも嫉妬した。自分と同じで身体が弱かった彼と仲良くなるのに時間は掛からなかった、然し気付けばミツルの叔父に「あの子は旅に出た」と言われその後メガストーンを使いこなし、ホウエンリーグの一歩手前まで進んだとまで知った時には歯を食いしばり嫉妬の言葉を飲み込み祝福した。今はとある島でポケモンバトルを重ねている……

 

「父さん、約束通り今日から旅に出るよ」

「本当にもう旅に出るのか?もう少し伸ばしたって……」

「オレはこの日を6年伸ばしたんだ、もう待てない!」

 

カナトは今、まだ日も上り切ってない様な時間に父と話をしている。身体は既に健康ではあるが家族はまだ不安が残っている為にここまでおよそ2年、息子の旅立ちを先延ばししてきたのだ。当然カナトは我慢の限界、ヒソヒソ声の会話と分かっていながら思わず声を荒げてしまった。

 

「そこまで子供じゃないんだ、悪人は分かるし地図も読める。身体も丈夫なのになんでまだ……止めようとするんだよ」

 

一瞬、申し訳ない、と謝る様に表情曇るもすぐに真面目な表情に戻り父に問いかける。

 

「確かに地図は読めるし人の嘘や悪意を見抜く能力がズバ抜けて高い事は父さんも分かってる。けどな、子供の旅立ちなんて俺も初めてだから……不安なんだ」

 

父もまた、本当は息子の旅を応援したい。けれど病に倒れた事のある息子を送り出す事にとてつもない不安を感じるのもまた事実であった。

 

「……分かった、ちゃんと連絡するし偶には帰ってくるから。それで良い?」

「ハァ……中身の詰まったリュック背負ったままそう言われちゃ俺が悪者みたいじゃねえか。母さんには後で伝えるから早く行きなさい」

 

カナトの言葉に父も諦めがついたのか、自分の財布から小遣い二万円と息子の旅を見守ってくれる、筈の自分のネイティオの入ったハイパーボールを手渡した。

 

「ありがと、行ってくる!」

 

父の餞別を受け取り、扉を開けて家を出れば丁度日の出……キンセツシティを照らす太陽の眩しさに目を眩ませつつ自分の唯一のポケモン、スバメのスーと共に冒険を始めた……

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