魔法使いのToLOVEる   作:T&G

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第二十九話

今日の授業も無事に終了し、俺は帰宅するために鞄に教科書を入れていた。

 

しかし、教科書というのは何故こんなにも種類があり、そして分厚いのだろう。

 

「結城君」

 

そんなことを考えていると、このクラスの委員長を務める男子生徒から話し掛けられた。

 

「ん? 何か用か?」

 

「うん。 今日、君は日直だよね。 風邪で欠席している古手川さんにプリントを届けに行って欲しいんだ」

 

どうやら今日は日直で、古手川が風邪で休みだったらしい。

 

俺はいつもの花の水やりしかしていなかったのだが、もう一人はなにも言ってこなかったので忘れていた。

 

「あまり白雪さんばかりに仕事をさせてはいけないよ。 キチンと二人でやらないと」

 

「あ、あぁ。 白雪には俺から謝っとくよ」

 

「それじゃあ、コレは古手川さん家までの地図だからよろしく」

 

そう言いながらかけている眼鏡をキラリと光らせるクラス委員長。

 

そして持っていたプリントと地図を俺に手渡してそのまま帰って行ってしまった。

 

地図を見てみると学校からの道のりが簡単に描いてある。

 

「・・・・・・個人情報なのにいいのか?」

 

などと思わず呟いてしまったが、無くては届けられないので仕方がないと思うことにする。

 

「あっ、白雪!」

 

ゴミ捨てに行って来てくれていたのか、空になったゴミ箱を抱えた白雪が戻ってくるのが見えたので声を掛ける。

 

「ふぇ!? ゆ、結城君!?」

 

俺の声に驚いたのか、ビクッと肩を震わしてゴミ箱を落としてしまった。

 

そんなに驚くような声をだしていたのだろうか、少し気を付けよう。

 

「今日、俺も日直だったんだな。 全く手伝ってなくて悪い」

 

「う、ううん。 私が好きでやってることだし・・・・・・」

 

彼女の言葉の続きがなかなか聞けなかったので、静かな時が数分続く。

 

「・・・・・・そういや、古手川へプリントを届けないといけないんだった」

 

沈黙に耐えきれなくなった俺はそう切り出して、先ほどクラス委員長から貰った地図とプリントを見せる。

 

「そ、そうなんだ。 後は私がやっておくから結城君は古手川さんに届けに行ってあげて」

 

「いいのか? 俺、なんだかんだで日直の仕事をしてないけど」

 

「後は日誌を職員室へ持って行くだけだから大丈夫」

 

そう言って彼女が微笑んでくれたので言葉に甘えることにしよう。

 

重い教科書が入った鞄を片手に俺は残りを白雪に任せて教室を後にする。

 

「ここが古手川の家か・・・・・・」

 

地図を頼りにやってきた一軒家。

 

なかなか大きな家でどうしても自分の家と比べてしまう。

 

「まぁ、今の家でも充分満足なんだけどな」

 

そんなことを呟きながら俺は玄関についている呼び鈴を鳴らす。

 

「へーい。 ん?」

 

「すみません。 古手川・・・唯さんにプリントを持ってきたんですけど」

 

思わずいつもの口調で話してしまいそうになったが、なるべく丁寧な言葉を使うように努力した。

 

「・・・・・・おう、わざわざワリーな」

 

少し間があったので、おそらく俺が無理に丁寧な言葉を使っていることに気付いたのだろう。

 

しかし、特に何も言うことはなくそのまま接してくれているので安心することにした。

 

「これが今日のプリント・・・・・・」

 

「なぁ! どうせならあがって、直接渡してやってくれよ!」

 

俺が最後まで言い終わる前に古手川家の人がそう言って背を押してくる。

 

結局、無理に抗うことはしなかったのでそのまま古手川家に入ってしまった。

 

「二階の部屋の・・・・・・何処だ?」

 

階段を上がったのは良いものの、部屋がいくつかありどれが古手川の部屋かわからない。

 

いや、この家の人は皆、古手川なのはわかっているんだけどな。

 

「気配があるのはここだけか、ならばここだな」

 

「えっ?」

 

そう呟きながら開けた部屋の中に居たのは探していた古手川唯だったのだが。

 

汗を拭くためか、タオルを手にパジャマをはだけさせた状態で俺と目が合う。

 

「悪い、邪魔した」

 

「ハレンチな!」

 

扉を閉めると同時にドアに何かがぶつかる派手な音がしたので、おそらく何か投げたのだろう。

 

前にもこんなことがあったような気がしたが、相手は誰だっただろうか。

 

「・・・・・・気をつけないとな」

 

最近はこの世界に身体がというか感覚が馴染んできているような気がする。

 

このままでは戦う時に色々と支障が出てきそうだ。

 

「全く、女子の部屋にいきなり入ってくるなんて、非常識だわ!」

 

「悪い、家族の人に入れて貰ったからベッドに横になってるだけだと思ってさ」

 

実際、年頃の娘が着替えてたり、風呂に入ってたりしたら家族も家に入れないだろう。

 

俺の場合は美柑がそんな状態だったら玄関すら開けたくない。

 

「もう、お兄ちゃんね。 で、何の用なの?」

 

「クラス委員長にコレを渡すように頼まれてさ」

 

俺は鞄から取り出したプリント類を古手川に手渡す。

 

ちなみに教室とか玄関で出し入れしていたので少しクシャクシャになってしまっている。

 

「あ、ありがと・・・・・・」

 

プリントを渡すだけの用事だったのだが、それだけで帰るのもどうかと思い体調を尋ねてみることにした。

 

「それで体調はどうだ? まだ具合とか悪いのか?」

 

「熱も下がったし、明日には学校に行けると思うわ」

 

「そうか、それは良かった。 それにしても・・・・・・」

 

まぁ、体調が良くなっているのなら俺としては何もすることはない。

 

宇宙からの病気とか、ウィルスなら何かしなければならないかと思ったが。

 

「な、なに・・・・・・」

 

「古手川ってネコ好きか?」

 

ベッドの上でガクッと頭を下げる古手川が気になったが、飾ってある物やぬいぐるみなどからそう判断したのだが。

 

「そ、そうよ! 悪い!?」

 

「いや、別に悪くはないんだけど、なに怒ってんだよ」

 

「ふんっ!」

 

すっかりと機嫌を悪くしてしまった古手川だが、俺には理由が思いつかなかった。

 

ちなみに猫と言えばやはり思い浮かんでしまうのはあの姉妹だろうか。

 

「くっ、あの二匹。 今度会ったら撫でくりまわしてくれる」

 

「えっ? 二匹ってもしかして猫?」

 

思わず呟いてしまった言葉に以外にも喰いついてきた古手川。

 

あの二匹の所為で俺の服が毛まみれになったり、財布が空になったことが何度あったことか。

 

「あぁ、ロッテとアリアって言ってな。 珍しい猫の双子姉妹だよ」

 

「撫でくりまわすってことは結城君、あなたもしかして・・・・・・」

 

「ん? あぁ、なんか動物に結構好かれる体質でな。 前には猫に埋もれたこともあ・・・・・・」

 

そこまで言ったところで古手川が身を乗り出し、俺のすぐそばまで顔を近づける。

 

「ぜひ、今度私に猫を撫でさせて貰えないかしら!?」

 

そう言い放った彼女だが、今はベッドの上で床に座る俺に顔を近づけたということは。

 

「あっ!?」

 

「お、おい!?」

 

顔から床にぶつけそうになる古手川を咄嗟に抱締め、なんとか受け止める。

 

「大丈夫か?」

 

「え、えぇ・・・・・・」

 

まだどこか放心しているような声で古手川が返事をするので、俺は今のうちに手を放しておく。

 

ちなみに受け止めたときの感触はやはり柔らかったとだけ言っておこう。

 

「それじゃあ、俺は帰るな。 猫の話はまた今度にしようぜ」

 

「そ、そう? あ、ありがと」

 

俺の言葉で我を取り戻した古手川はいそいそとベッドに戻って布団を被る。

 

「俺の所為でまた体調が悪くなったら困るしな」

 

「そ、そんなこと・・・・・・風邪なんて吹き飛んだわよ」

 

布団で口元が隠れていたので俺の耳でも最後の方に何と言ったのか聞き取れなかった。

 

「ん? 何か言ったか?」

 

「なんでもない!」

 

そう言って完全に頭から布団を被ってしまったので、どうすることも出来ず俺は訳のわからないまま古手川の部屋を後にするのであった。

 

 

 

***

 

 

 

「くそっ、ちょっとビビらせやがって・・・・・・とっちめてやる!!」

 

「ペ、ペケ! トランス!!」

 

古手川の家からの帰り道を歩いてたらヤミの格好をした美柑が宇宙人に襲われていた。

 

美柑の声を聞く限りペケの衣装のようだが、そんなことを考えている場合ではない。

 

「人の義妹になにしてんだ、コラ!」

 

宇宙人の後ろから飛び回し蹴りを放ち、壁に吹き飛ばした。

 

思わず口調が荒っぽくなってしまったが、可愛い義妹の為だし仕方ない。

 

「トシ兄ぃ!」

 

半分泣きそうになっている美柑が嬉しそうに俺のもとへ駆けよって抱きついてくる。

 

「大丈夫か、美柑」

 

「どうしてここに?」

 

腰に抱き付いたまま上目遣いでコチラへそう尋ねてくる美柑。

 

「友達の家にプリントを届けに行った帰りだよ。 で、なんでヤミの格好?」

 

「えっと、色々訳あって・・・・・・」

 

えへへと照れたように笑う美柑へ深く事情を聞くのはやめ、先ほど吹き飛ばした宇宙人に視線を向ける。

 

「うっ、ぐっ・・・・・・くそっ! 地球人・・・ぐぇ!?」

 

壁にめり込んだ状態から復活した宇宙人が懐から銃を取り出したあと、そのまま地面に叩きつけられた。

 

「私の護衛対象に向かって銃を向けるとはいい度胸ですね」

 

「ヤミ!」

 

「ヤミさん!」

 

たい焼きをモグモグと美味しそうに食べながら宇宙人の上に立ったヤミ。

 

「結城トシアキ、アナタも相手を殺すまで油断しないでください」

 

「悪いな、ヤミ。 どうも最近感覚が鈍ってる気がしてな」

 

「わ、私が守るので構わないといえば構わないのですが」

 

俺と目を合わせず、何故か頬を赤くしながらそう言ってくれたヤミ。

 

だが、このままでは俺も問題だと思っているので、今度一緒に訓練をしてもらうことにしよう。

 

「で、コイツはどうする?」

 

「美柑が望むなら息の根を止めてしまいますが?」

 

相変わらずたい焼きを頬張りながら緊張感の欠片もない声で美柑に尋ねるヤミ。

 

「い、いいよ。 盗られたものも戻ってきたし」

 

流石の美柑もヤミの息の根を止める発言に冷や汗をかいている。

 

「あなたは構わないのですか、結城トシアキ」

 

「ん? 美柑がいいって言ってんだからいいだろ。 ザスティンにでも頼んどくよ」

 

「そうですか・・・・・・」

 

ギドを通じてザスティンに引き取りにくるように頼んでいる間、ヤミは何かを考える様にしながらたい焼きをモグモグと食べ続け。

 

「しかし美柑の身体を触ったあと、荷物を強奪し、さらにすくーる水着姿にさせ、最後には襲おうとした輩で・・・・・・」

 

「よし、今すぐ殺ろう」

 

「ちょっ!? トシ兄ぃ!?」

 

ヤミが教えてくれたことが事実ならば早急にこの宇宙人を始末しなければならない。

 

ザスティンに連絡をしてしまったから、奴が到着するまでに指一本も残らないように消滅させなければ。

 

「ヤミさん、最初から見てたなら助けてくれてもよかったのに・・・・・・」

 

「すみません、美柑。 ですが、私は護衛者。 雇われて依頼されているのはそこの結城トシアキですので」

 

美柑の言葉がヤミの発言を真実だということを証明している。

 

「つまり、こいつは消さなければならないと・・・・・・」

 

「トシ兄ぃも! いい加減にする!!」

 

怒られたので渋々と宇宙人抹殺計画を諦めることにした。

 

その後、身柄を引き取りに来たザスティンに宇宙人を引き渡した俺たち。

 

ヤミは相変わらず遠くから見守ると言って飛んで行ってしまった。

 

「俺たちも帰るか」

 

「うん」

 

盗られていた買い物バッグは俺が持ってやり二人並んで仲良く歩く。

 

ちなみに美柑の衣装となっていたペケはララのもとへ先に帰っている。

 

「あれ? この公園でなにかやってるのかな?」

 

「ドラマか映画の撮影か? こんなところで珍しいな・・・・・・って!?」

 

歩いて帰る途中の公園で人だかりが出来ていたので見てみると、機材やスタッフから何かの撮影を行っているのだとわかった。

 

「トシ兄ぃ? どうかしたの??」

 

「いや、アレって・・・・・・」

 

俺の視線の先には何でもかんでも燃やして解決でお馴染みの大魔王キョーコが居たのだ。

 

「ホントだ! あの人ってゲームの中だけじゃなかったんだねぇ」

 

「ん? ルンもいるのか」

 

コチラの視線に気付いたのか、キョーコの傍に居たルンが手を振ってきたので振り返しておく。

 

あれ以降、ルンは自分の道を見つけたようでアイドル稼業を頑張っている。

 

「邪魔しちゃ悪いし帰るか」

 

「・・・・・・んと、えいっ!」

 

「お、おい! 美柑!?」

 

何を思ったか、買い物バッグを持つ手とは反対側の腕に抱き付いた美柑。

 

「ダメ?」

 

「いや、ダメってわけじゃないが・・・・・・」

 

「じゃあ、このまま帰ろ?」

 

結局そのまま美柑と一緒に歩いて家まで帰る羽目になってしまった。

 

身長差の所為か凄く歩きづらかったが、柔らかかったとだけ伝えておこう。

 

 

 

~おまけ~

 

 

キョーコちゃんとお友達になって、残りのシーンの撮影を始める少し前に見学者の中にトシアキ君がいることに気付いた。

 

「おーい、トシアキくーん!」

 

衣装が派手なので恥ずかしかったが、トシアキ君に向かって手を振っていると。

 

「あれ? ルンちゃん、知り合い?」

 

傍に居たキョーコちゃんも私が手を振る先に視線を向けた。

 

「うん! 同じ学校で結城トシアキ君っていうの!」

 

「へぇ・・・・・・結構、カッコイイね」

 

トシアキ君も気付いてくれたみたいでこっちに手を振ってくれている。

 

だからその時にキョーコちゃんが言った言葉が全然聞こえなかった。

 

「えっ?」

 

「ううん、なんでもないよ」

 

キョーコちゃんはそのまま撮影の為の最終メイクに入り、トシアキ君も妹の美柑ちゃんと一緒だったからか、その場から帰って行った。

 

「ルンちゃーん! 最後にメイクして最終シーン行こうか!」

 

「あっ、はーい!」

 

その後は無事に撮影も終わり、今日の芸能活動は終了して私は事務所に戻ります。

 

その日のブログにはキョーコちゃんと友達になったことを載せました。

 

でも、アイドル活動しているのでトシアキ君のことは書けないのが残念でした。

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