<Infinite Dendrogram>~王国の双獣~   作:烏妣 揺

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最新話のライザーさんがかっこよすぎて震えた。


第11話「ネクストストーリー」

第11話「ネクストストーリー」

 

 

【<UBM>【黒羽怪鳥 ローグ・フェネクスⅡ】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【セブン】がMVPに選出されました】

【【セブン】にMVP特典【黒羽炎衣 ローグ・フェネクスⅡ】を贈与します】

 

 

□<イースター平原> 【従魔師】コルヴァス

 

 オレとアタランテさんが、セブンのもとに到着したころには【ローグ・フェネクスⅡ】は光になって消えかけていた。

 その近くで壊れたネメアーに腰掛けるセブンを見つけて駆け寄る。

 

「・・・やったようだな」

 

「やってやったよ」

 

 そういうセブンは、黒いコートを着ていた。【ローグ・フェネクスⅡ】のあの黒い翼の意匠を持ったロングコートだ。

 

「それが”特典武具”?」

 

「あぁ、【黒羽炎衣 ローグ・フェネクスⅡ】だそうで、受けたダメージの何割かを炎として放出するそうだ」

 

 セブンの顔には色濃く激闘にあとが見える。相当疲れているようだった。

 

「何というか、お疲れ様」

 

「本当に疲れたよ畜生が!」

 

 セブンはネメアーの上に仰向けに転がった。

 

「あーあ! ネメアー壊れちまったからしばらくレベリングもクエストもおあずけだ!」

 

 そういってセブンは大げさに嘆いた。

 いや、でも<UBM>倒したんだからいいんじゃね?

 そうしてひとしきりうだうだと文句を垂れ流した後に、セブンはさっさと紋章の中にネメアーをしまうと、そそくさと立ち上がった。

 

「さぁ帰ってスバルさんに報告すんぞ! そんでもってうまい飯でもおごってもらおう!」

 

「・・・・・・うん、それがいい! それだけの働きはしたもんな!」

 

 そういってオレたちは王都への家路を急いだ。

 

 

□??? 【大怪盗】___(ナナシ)

 

 うむ、無事に【ローグ・フェネクス】を討伐できたようで何より。

 しかし、この結果は意外だった。

 二人の前ではああいったが、実のところ私はセブン君にはあまり期待していない(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 何故なら、彼の性質はいささか常人によりすぎている。

 イベントをこなすプレイヤーとしては優秀だが、イベントを起こす側になることはないだろう。

 その点コルヴァス君の方は、おとなしく優しいが突飛な思考回路を持っているのがわかっている。

 これからイベントを起こす側―――トラブルメーカーとしての素養が十分ある。

 だからこそ、”特典武具”を二つともコルヴァス君に授ける算段だったのだが・・・。

 結果は意外なものとなった。

 より手ごわいはずの【ローグ・フェネクスⅡ】は、弱点特攻をもつコルヴァス君ではなく、セブン君に倒された。

 これは、セブン君の評価を改めざる負えない。

 プレイヤーとしての適正レベルを一段階繰り上げる。

 そして、イベントを起こす側としての適正も(・・・・・・・・・・・・・・・・)考え直す必要性がある。

 今回の討伐で見せたわずかな異常性、あれをうまく爆発させることが出来れば―――それは特大のイベントになる。

 Mr.フランクリンから頼まれていたデミドラグワームを仕込んだ案件などより数段面白いイベントになるだろう。

 

 その時が非常に楽しみだ。

 

 

□王都アルテア 噴水前 【疾風騎兵】セブン

 

「―――おせぇ」

 

 今日は3月16日。リアルでは一昨日新生活に向けた引っ越しが終わったところだった。

 先日、入会予定のサークルの先輩方と顔合わせして、こっちのデンドロ内でも今日コルヴァスと一緒に再度顔合わせする手はずになっていたはずなんだが、奴が来ない。

 待ち合わせ時間一分前にもかかわらず、くる気配がない。

 おのれ、この前みたいに5時間遅刻とか許さんぞ。デンドロ内だと時間三倍だから5時間遅刻も現実味があるし。

 

『そうかっかしないクマ。焦っても仕方ないクマ』

 

「・・・クマさん」

 

 実は一人で待っている間に、話し相手が出来ていた。

 俺の隣に鎮座する2m近いクマの着ぐるみ。仮称クマさん。

 ティアンの子供たちに群がられていても動じないすごいクマさんだ。

 このクマさんも人を待っていた。なんせ「welcome弟」って書いた看板持ってるんだからな。

 

「クマさんの弟さん、今日が初ログイン?」

 

『そうクマ。歓迎会の準備もばっちりクマ!』

 

 そんな感じに暇つぶしの雑談に興じていると、遠くから見慣れた顔がやってきた。

 

「おっす、お待たせ」

 

「時間には余裕持って来いよ」

 

「悪い悪い、リアルでちょっとあってさ」

 

『無事合流できたみたいクマね』

 

「あ、今まで話し相手ありがとうございます」

 

『いえいえこちらこそクマ』

 

 そういって俺たちは噴水を後にする。向かう先は商業区だ。

 

「そういや、さっきの熊って何なの?」

 

「俺も詳しくは知らんが、いいひとだったよ」

 

「へー、いろんな人がいるんだね」

 

 そういって道すがら何かが、すごい勢いで目の前を横切った。

 

「「・・・・・・」」

 

 それは、跳ね飛ばされた<マスター>だった。着ているのが初期装備だからわかる。

 そして相手は近衛騎士団の女性だった。それも着ている鎧で分かった。

 本来は甘酸っぱいボーイミーツガールが始まりそうな感じではあったのだが、おそらくレベルさの暴力であろう。まごうことなき交通事故だった。

 

 女性がいそいで駆け寄ってヒールかなんかをかけてるのが見えた。

 

「あれ、大丈夫なのかな?」

 

「・・・・・・まあ、大丈夫だろ。行くぞ」

 

「え、オレたちも助けに行かなくていいの?」

 

「大丈夫だろ?それにルーキーにあんまりちょっかい出すもんじゃない」

 

 彼には彼の物語があって、それをここから紡いでいくのだろう。それこそあの時の俺たちのように。

 

「それもそう、なのかなぁ?」

 

「そうなんだよ、先輩方待たすわけには行けないから急ぐぞ」

 

「あ、待てよセブン!!」

 

 そういって、俺たちは駆け出したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――そしてこの時の俺はまだ知らなかった。

 今までうまくやってきた俺たちがいつか、致命的に決裂して、たもとを分かつことになるとは夢にも思っていなかったのだ。

 

 

 

 

・・・to be continued




次回、第12話「クラン」(2/11 12:00更新予定)

第二章(前)”アルゴナウタイ”編 (後)”フランクリンゲーム”編をよろしくお願いします。
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