<Infinite Dendrogram>~王国の双獣~   作:烏妣 揺

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【聖獣乙女アタランテ】
TYPE:メイデンwithガードナー 到達形態:Ⅳ

固有スキル
《カースド・リフレクション》Lvー:パッシブ
 自身を対象とした状態異常をSPを消費して反射する。

聖なる焔よ、魔を照らせ(セイクリット・フレア)》Lv4:アクティブ
 自身の周囲に広範囲の魔属性・アンデット特攻ダメージ。

《ダメージスワップ》Lv1:アクティブ
 見方のダメージをすべて肩代わりし、そのダメージを半減させる。
 範囲:視界。条件:メイデン形態でのみ使用可能。

聖なる焔よ、魔を飲み干せ(セイクリット・ガード)》Lv:1:パッシブ
 天属性の魔法スキルを無効化し、自身のMPに変換して貯蔵する。

《MP・ブースト》Lv:-:アクティブ
 自身のMPを消費してステータスを一定時間強化する。強化倍率は、消費量に比例する。


第15話「クローズドシティー」

第15話「クローズドシティー」

 

 

□王都アルテラ  "クイーンホーネッツ"拠点  【疾風騎兵】セブン

 

「「「はぁ~」」」

 

 入団試験から少ししたその日、俺とコルヴァスそしてアタランテの三人はクランの拠点である屋敷のリビングで盛大な溜息をついていた。

 そして三人ともボロボロの格好をしていた。

 

「まさか<超級殺し>がここまでまずいとは・・・」

 

「正直、打つ手がないですわね」

 

 現在の王国―――正確には王都ではある事件が発生していた。

 それは、王都の初心者狩場4つがPKクランによって完全封鎖されているというものだ。

 南のサウダ山道は<凶城>に、西の<ウェズ海道>は<ゴブリンストリート>に、俺たちにとってなじみ深い東の<イースター平原>は<K&R>によって立ち入ったマスターが皆殺しにされている。

 特にやばいのが北にある、先日俺らが入団試験を行った<ノズ森林>だ。

 あそこは<超級殺し>と呼ばれる一人によって封鎖されていた。

 

「<超級殺し>はティアン狙わないらしいけど一応ソフィが近くに住んでるから、不安で何とかしようとしたんだけどねぇ」

 

 結果<超級殺し>と思われる謎の敵から襲撃されて、命からがら逃げ帰ってきたわけで。

 

「俺としてはルーキーたちが心配だな」

 

「あぁ、封鎖されてるの全部初心者狩場だもんな」

 

「これがきっかけでアルター王国を見限らないといいんだが・・・」

 

 あのくそ怪盗の時と違って四方全部というのがまた痛い。

 スバルさんもさぞ嘆いていることだろう。

 

「「「はぁ~」」」

 

「―――あれ、みんなしけた顔してどうしたの?」

 

 そこに現れたのは、船乗りのような恰好をした中性的な少女―――オーナーのサフィラだった。

 

「いやまぁ、最近の王都封鎖事件についてちょっと・・・」

 

「お、タイムリーな話してるね、丁度いい」

 

「丁度いい?」

 

「<サウダ山道>のPKには解決のめどが立った」

 

「マジっすかサフィラさん?」

 

「ついさっき、スバル君から頼まれてね―――」

 

 

 

 

「―――私たちが、<凶城>を何とかすることになった」

 

 

 

 

「「「は!?」」」

 

「え、何とかできるんですか!?」

 

「何とかしよう、お得意様の頼みだし」

 

「てか、なんで<サウダ山道>?」

 

「あぁ、あの先にギデオンがあるだろ?」

 

「・・・ギデオン?」

 

 コルヴァスはわかってないようだが、ギデオンは別名”決闘都市”の異名でも知られるアルター王国第二都市だ。観光客が多いことでも有名だっけか。

 

「近々、そのギデオンで一大イベントがあるらしく、そのために出稼ぎで行くのに邪魔なんだって」

 

「あぁ、それも理由か」

 

 ちゃっかりしたとこもあるんだな、少し安心。

 人がいいだけで商人は成り立たないものな。

 

「―――てことは大規模戦闘か。初めてだなセブン」

 

「あぁ、腕が鳴る」

 

「あ、申し訳ないんだけどさ。二人とも今回は見学で」

 

「・・・戦力外通告?」

 

「違う違う!理由はあとでしっかり話すから! それに―――」

 

「それに?」

 

 

 

「―――今回は多分、私たち4人で事足りるから」

 

 

 

□<サウダ山道> <凶城>オーナー 【鎧巨人】バルバロイ・バット・バーン

 

 俺たち<凶城>は今日も今日とてPKに精を出す。

 何故かって? それが俺たちの存在意義だからだ。

 

「しっかし、今日は暇っすねオカシラ」

 

『俺たちの噂が結構轟いているからな。もう初日のような入れ食いはないだろう』

 

「いひひひ、あの日はすごかったっすね!」

 

『まぁな』

 

 今回のPKは依頼だ。

 一人殺すごとに一万リル。初日は百万リルも稼げて大繁盛だった。

 最近はそんな狩りやすい初心者は減ったが、代わりに自警団のような俺たちを退治しにやってくる正義の味方面した馬鹿どもが増えた。

 まぁ、そんな馬鹿どもを返り討ちにするのも愉快なんだがな。

 

 そんなことを考えていると目の前を一匹の虫が通り過ぎた。

 現実にいるような小さなサイズの何の変哲もない普通の蜜蜂だった。

 

『?』

 

 このデンドロに普通の(・・・)蜜蜂だと―――?

 そこまで考えたとき、ある可能性に思い至った。

 そして即、左手の盾でその蜂を叩き潰した。

 

「オカシラ、どうしたんです?」

 

『―――敵襲だ』

 

「は!?」

 

 今のはおそらく<エンブリオ>。それも情報収集に特化したものだ。

 この程度の強さとなるとレギオンの、更に数に特化したタイプ。

 つまり、もっといる。

 

『蜂型のエンブリオが潜んでる!一匹残らず探し出してつぶせ―――』

 

 ソレは、俺がそんなこと言った瞬間だった。

 

 俺の鎧や、仲間の装備、その辺の草むらや岩陰から大量の蜂が大空へ飛翔した。

 その蜂たちは<サウダ山道>全体から飛び出し、空に黒い雲を形づくり、一斉に北の空へ飛び立つ。

 その数、数千―――いや数億!?

 

「お、オカシラ今のは!?」

 

『やられた、おそらく上級以上のエンブリオだ』

 

 しかし、あれは手掛かりだ。蜂型の高位エンブリオなんてそんなに多くない。

 一番有名なのはあの―――。

 

『―――まさか』

 

『・・・オカシラ、次の獲物が来たんですがその―――』

 

 そこで見張りをしていたクランメンバーから通信が入る。

 

『どうした、歯切れが悪いな。なんかおかしな点でもあるのか?』

 

 そう問いかえると、本人も困惑したようにこう答えた。

 

『―――船です』

 

『あ゛?』

 

『巨大な帆船が空を進んできます!』

 

 その回答に、頭の中でカチリと何かがはまった。

 

『そいつらは無視しろ』

 

『え、いいんですかい!?』

 

『そいつらは<クイーンホーネッツ>だ。相手するにはリスクが高い』

 

 そういって俺は通信を切る。

 

「・・・オカシラ、<クイーンホーネッツ>ってあれだろ、15位の何でも屋クランの」

 

『あぁそうだ』

 

「そんなに恐れる相手ですか?」

 

 晩ブルのいうことはある意味最もだ。

 俺たち<凶城>と<クイーンホーネッツ>、ランキングの差で行ったら大した差はない。

 それに俺たちはPKクランだ。戦闘にも慣れているから、たかが何でも屋に後れを取るなんてことはないだろうと考えてるんだろう。

 ―――普通なら(・・・・)そうだろうな。

 

『晩ブル、アイツらの構成人数知ってるか?』

 

「20人くらいですか?」

 

『―――4人だ(・・・)

 

「え?」

 

『あいつらはたった4人でランキング15位まで上り詰めてるんだよ』

 

 これを異常と呼ばずに何というのか。

 

『あいつらがここを通りたいだけなら素通りさせろ、狩るにはリスクが高い。そうじゃなかったら―――』

 

「そ、そうじゃなかったら?」

 

 もし、奴らの目的が俺らだった場合は―――

 

 

 

□<サウダ山道> 【大船長】サフィラ

 

 <サウダ山道>全域に散らばっていた黒郎賛のエンブリオ【秘蟲密匣ブテス】が、無事回収され情報を甲板にいる黒郎賛に伝える。

 

「あ、敵のあらかたの居場所わかりましたよサフィラさん」

 

「ありがとな、黒。コロネに伝えて、あとみんなを甲板に集めてきて」

 

「了解」

 

「さてと」

 

 そういって私は甲板を船首の方へ移動し、拡声器を持つ。

 

『あーあー、ただいまマイクのテスト中』

 

 しばらくそうやってマイクのテストをしていると、甲板にみんなが集まってきた。

 

 前回とは違う、エキゾチックな衣装に身を包んだチョココロネ。

 いつもと変わらない格好の黒郎賛。

 入団試験の時と違い三つの特典武具(・・・・・・・)を装備したHERO。

 そして今回の見学組の二人。

 

「みんな準備はいい? これから交渉に入るけどもしもの場合は―――」

 

「わかってる、戦闘だろ!」

 

「はいそこー、ワクワクしないー」

 

「へーい」

 

「まぁ、HEROの言った通りなんだけどね」

 

 そうならないように祈ってはいるが、相手はあの<凶城>。どうなることやら。

 

『<凶城>の皆さんこんばんわ。<クイーンホーネッツ>のオーナーのサフィラです。まことに勝手ながらここでの迷惑行為をやめていただきたく参りま―――』

 

 そこまで言った段階で、早くも返答が来た。

 

 ―――大量の矢と魔法攻撃という形で。

 

 ドンドンと船の底に攻撃が当たる。―――がこの船はびくともしない。

 そりゃそうだ。この船の名は【英雄戦艦アルゴノーツ】。”乗船したマスターたちの合計レベルが高ければ高いほど強くなる”能力を持つ到達形態:Ⅵの私のエンブリオだ。

 TYPE:アームズギアではあるが、乗船員が私を含め6人もいる今のENDは下手なTYPE:フォートレスをも凌駕する。

 

「―――あー、やっぱりこうなったか」

 

「じゃー、ボクの出番?」

 

「コロネさん、やっちゃってください」

 

「あいあーい」

 

 チョココロネはそう言って、自分の<エンブリオ>を召喚する。

 

「きて―、コルキス」

 

 そう言って現れたのは、二頭の黄金の毛を持った子羊だった。

 その名は【並列詠唱コルキス】。TYPE:レギオンカリキュレーターのエンブリオ。

 能力は”マスターの代わりに魔法スキルを使用する”こと。故にチョココロネは、やろうと思えば別々の魔法を三つ同時に行使することが出来るが、その真価は別のところにある。

 

「じゃあ行くよー、『赤より紅く、朱よりアカく―――』」

 

『『赤より紅く、朱よりアカく―――』』

 

 船首へ歩きながら歌うチョココロネの詠唱と重なるように、二頭のコルキスもまた全く同じ詠唱をする。

 

『『『炎の光星、爛々と燃え盛り―――』』』

 

 これが、コルキスの真骨頂。

 その難易度の高さからマスターには不可能といわれた魔法の高等スキル《ユニゾン・マジック》。

 同じ詠唱を寸分たがわず唱えることで、魔法の効果を爆発的に高めるそのスキル。

 それを易々と可能にしたのが、コルキスである。

 

 そして船首に到達すると同時に詠唱が完了する。

 

『『『―――厄災もたらし光輝け! 《ユニゾン・マジック》、《クリムゾン・スフィア》!!』』』

 

 頭上に現れるのは、以前HEROとセブン君をミディアムレアにした時とは比べモノにならないほど巨大な火球。

 それが重力加速によって落下し―――

 

 

 

 

 

 

 

 ―――地上で大爆発を引き起こした。

 

 

 

 

 

・・・to be continued

 

 




 次回、「ブテス」(3/16 12:00更新予定)
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