<Infinite Dendrogram>~王国の双獣~ 作:烏妣 揺
TYPE:アームズギア 到達形態:Ⅵ
紋章:星の海と船
能力特性:航海
固有スキル
《オール・フォー・ワン》Lv6:パッシブ
乗船員の総合レベルに比例してステータスが上昇する。上限は40名。
《ワン・フォー・オール》Lv6:アクティブ
???
《アームズ・アポーツ》Lvー:アクティブ
戦艦の一部(大砲など)を限定的に召喚し、武器として行使できる。
《
あらゆる”航行不可能”な状況は、そのまま”航行可能”になる。
※早めに書き終わったので、予定より早めに投稿します。
第16話「ブテス」
□<サウダ山道> 【鎧巨人】バルバロイ・バット・バーン
自分たちの頭上に形成された特大の火球を見た瞬間、俺はその火球が落ちるであろう場所から全速力で距離を取った。
そしてその火球が地面に激突する瞬間に振り替り―――
『―――《アストロガード》!』
瞬時に【鎧巨人】の固有防御スキルを発動させる。
移動ができなくなる代わりに防御力を五倍にする【鎧巨人】最強の防御スキル。
これにより俺の防御力は一万五千を上回る!!
あとは、自分の盾で頭部―――気管火傷をしないように気管を守り、自前の火耐性を信じて、祈る。
そして、火球が地面に激突し大爆発が起こった。
爆心地から離れたこの場所にも、瞬時に膨大な熱気が押し寄せる。
『―――!!』
だが俺は耐えきった!!
直撃じゃなかったことが幸いしてか、自前の火耐性スキルによるものかはわからないが、HPが八分の一削られただけにとどまった。
しかし、《アストロガード》をしても、離れてもそれだけ削られたということは、爆心地にいた奴らはーーー。
【PTメンバー<魔ムドー>が死亡しました】
【蘇生可能時間経過】
【<魔ムドー>はデスペナルティによりログアウトしました】
【PTメンバー<ロワード・ベルトマルス>が死亡しました】
【蘇生可能時間経過】
【<ロワード・ベルトマルス>はデスペナルティによりログアウトしました】
【PTメンバー<夢色吾郎>が死亡しました】
【蘇生可能時間経過】
【<夢色吾郎>はデスペナルティによりログアウトしました】
『―――助からなかったか』
「ゼェ、ハァ、オカシラ、どうします?」
俺の陰に隠れてやり過ごした晩ブルが問う。
そうだ、これはあくまで奴らの初撃、時間がたてば第二波が来る。
そう考えたとき、俺は迅速に行動を移した。
クランメンバーと連絡が取れるアイテムを取り出し、まだ息のある連中にこう通達する。
『てめぇら、一時撤退だ。体制を立て直す! 動ける奴は動けないやつを背負って脱出しろ!』
「お、オカシラ」
『晩ブル、てめぇも早く脱出―――』
そう言いかけて晩ブルの方へ振り返った瞬間目にしたのは―――
―――額を矢で打ち抜かれた晩ブルの姿だった。
【PTメンバー<晩ブル>が死亡しました】
【蘇生可能時間経過】
【<晩ブル>はデスペナルティによりログアウトしました】
「よし、まずは一匹」
そして晩ブルを殺した下手人は、空から浮遊するように―――まるで天女が降臨するように降り立った、強弓を構えた女武者だった。
□<サウダ山道> ジョーダンα
「はぁ、はぁ、く、くそったれ!!」
「ま、待てよジョーダン!」
「いそげモヒカン!」
俺、ジョーダンαとモヒカンXは偶然さっきの《クリムゾン・スフィア》から生き残ったクランメンバーだ。
たまたま爆心地から離れたところにいたから助かった俺たちは、王都に逃げ込もうと全力疾走していた。
敵は火力型だ、王都に入ってしまえば被害がでかすぎてスキルを行使できないと踏んでの行動だ。
「王都に入っちまえばこっちのも―――」
―――《
そんな中、どこからかそんな声が聞こえた気がした。
「あ?」
そして同時にパタリと立ち止まるモヒカンX。
「おい、どうしたモヒカンX?」
「・・・なんか聞こえないか?」
「あん?」
そういわれて耳を澄ますと、確かに何かが聞こえる。
地鳴りのような、大きな羽音のような―――
「!?」
そして後方を振り返すとその正体が判明した。
―――蜂だ。
さっき見た大量の蜂が、黒雲を作りながら俺たちに迫ってきていた。
「は、走れぇぇぇぇええええええええええええ!!」
そして俺たちは先ほどまでとはくらべものにならないくらい全力で疾走した。
しかし、蜂の方が早い―――。
「た、助け―――」
俺の後ろを走ってたモヒカンXが蜂の群れに飲み込まれた。
「モヒカン!」
捕らわれたモヒカンXを助けようと、俺が武器を取って振り返ったその時だった。
「う、腕が! 俺の腕がぁぁぁあああああああ!!」
「も、モヒカン・・・!?」
蜂たちに集られたモヒカンXが左腕を抑えて悶えて苦しんでいた。
モヒカンXの左腕はひじから先が青い光になって無くなっていた。
―――いや、違う。
よく見ると腕だけじゃない、肩や顔、足からも蒼い光が出ている。・・・分解されている!
やがて、右足も完全に分解され、立てなくなったモヒカンXは地面に転がる。
―――そっから先は、地獄絵図だった。
だってそうだろう?
デンドロの設定で痛覚はキャンセルされていても、細かな蜂たちに群がられる生理的恐怖、生きたまま身体を分解される恐怖からは逃れられない。
「ぎゃぁああああああああああああ!!」
そばで見ている俺が―――助けようとした俺が、恐怖で足がすくんで動けないんだ。
本人が感じている恐怖はそれ以上だろう。
【PTメンバー<モヒカンX>が死亡しました】
【蘇生可能時間経過】
【<モヒカンX>はデスペナルティによりログアウトしました】
やがてモヒカンXが完全に分解されると、デスペナになった。
そして残った蜂たちは―――
―――ギロリ。
一斉にその複眼が、俺に向いた気がした。
「―――ひっ」
【PTメンバー<ジョーダンα>が死亡しました】
【蘇生可能時間経過】
【<ジョーダンα>はデスペナルティによりログアウトしました】
□<サウダ山道> 【大船長】サフィラ
「や~、大量大量」
そういって黒は蜂たちが回収してきた
すると小瓶の中でそのリソースは圧縮され黄金に―――蜂蜜に変わる。
黒郎賛の【秘蟲密匣ブテス】は、蒐集に特化した<エンブリオ>だ。
蒐集するのは、”情報”と”経験値リソース”。
広範囲に放たれた蜂型エンブリオたちは、黒から指定された情報か経験値リソースを回収して戻ってくる。
そして回収された情報やリソースは、黒に還元されるか、経験値リソースは”蜂蜜”という形で外部出力される。
ブテスにできることは、ただそれだけ。
だが、このクランの中で唯一の完全生産職である彼は、同時に最強の広域殲滅型でもある。
それは、必殺スキルの存在だ。
通常ブテスが集めてくる経験値リソースとは、フィールドに存在する余剰リソースや、花の蜜などの消耗品的なアイテムリソースだ。
しかし、必殺スキルはその対象を変更する―――敵に。
その瞬間、蜂たちはいっせいに敵に襲い掛かり、対象を生きたまま経験値リソースに分解する。
一度発動してしまえば、全ての蜂たちを殺す以外に防ぐ術はない。
だが、ブテスの到達形態はⅦ。いわゆる<超級エンブリオ>と呼ばれる種類である。
蜂たちは、物理以外のあらゆる攻撃に耐性を持ってるし、その数は
ぶっちゃけ、むりげーである。
「相変わらずえぐいわー」
「え、そんなにえぐいですか?」
そして多分一番の問題が、当の黒本人がそのえぐさを正しく認識してない所かもしれない・・・。
□<サウダ山道> 【大狩人】HERO
「あんたが、バルバロイ?」
『そうだとしたら?』
目の前の鎧大男―――バルバロイ・バット・バーンはそう答えた。
『まずはてめぇが名乗るのが筋じゃねぇか?』
「ん、そうだな。 HEROだ、【大狩人】やってる」
その自己紹介を受けたバルバロイの反応は劇的だった。
『てめぇがあの、トリプルランカーの”戦闘狂”か!!』
お、俺のこと知ってるのか。地味に嬉しいな。
討伐ランキングは17位、決闘ランキングは13位と微妙な位置だけど、あのバルバロイともあろう奴に覚えられているなんて嬉しいね。
「あんたのことも知ってるよ、バルバロイ。ずいぶん硬いんだってな」
『あぁん?』
「一度殺ってみたかった」
その言葉と同時に、テセウス・第四形態である強弓の剛射をお見舞いする。
―――が、それはいともたやすく盾によって防がれてしまった。
・・・いいね。
「いいね、こうも簡単に防がれるとは思わなかった」
『そりゃどうも―――』
その瞬間、バルバロイが肉薄し、大きく盾を振りかぶった!
『―――お礼に死ね!』
「おっと!」
それを俺は慌てて横に飛んで回避する。
『―――!?』
それに驚いたのは、バルバロイの方だった。
「おい、どうした?」
『―――何故、避けた?』
「あん?」
『鈍重なはずの俺の動きを完全に見切れていなかった段階で、てめぇが
「あんた、見た目脳筋なのに意外と理系なんだな」
『答えろ、お前は
あー、そこ疑問なんだ。
それは、俺がここまで上り詰めれた理由でもあるし、まだここで足踏みしてる理由でもあるんだけど―――
「それは、コイツを喰らえばわかることさ!」
今度は俺がバルバロイに肉薄した。
「テセウス・第三形態!!」
即座に手元のテセウスを大剣に変形させ、横なぎに振りぬく。
その力強いが鈍重な一撃は、当然の如く二枚の盾によってガードされる。が―――
『なんッーーー!?』
バルバロイの巨体が受けた攻撃の威力を殺しきれずに宙に浮き、吹き飛ばされた。
しかし奴は途中で姿勢を立て直し、両盾を楔にして強引に止まる。
『この俺が、ただの攻撃を受けきれないどころか、ダメージを喰らうとは・・・』
「お、ダメ入ったか。それは上々」
だが、これでバルバロイもわかっただろう。
俺がどんないびつなビルドをしているのかが。
『まさかとは思ったが、お前
「ご名答」
STR型。
AGIが足りないから早い奴には避けられない当てれない、ENDも足りないから当たった攻撃は簡単に致命傷になるという代表的な欠陥ビルド。
だが、俺はあえてそれを選んだ。
『はっ、まさかトリプルランカーがそんな欠陥ビルドだったとはな』
「その欠陥ビルドに負けたのなら、お前のビルドはどうなるんだろうな?」
『抜かせ、俺のビルドは完璧だ』
その言葉からは奴の絶対の自信が見て取れた。
なら、頂点を目指すゲーマーとして戦う以外の選択肢はなかった。
「よし、じゃあ殺ろうか」
『あぁ、
そして俺たちは全面戦争に突入した―――。
・・・to be continued
次回、「コントラデクション」(3/24 12:00更新予定)
ここ数回エンブリオがたくさん出てきたので、それに関する質問・疑問なんかを感想で送ってもらえたら補足説明しますのでよろしくお願いします。