<Infinite Dendrogram>~王国の双獣~ 作:烏妣 揺
第18話「フィガロ」
□<サウダ山道> 【大狩人】HERO
バルバロイが光になって消え、【凶城】は全滅し、これで<サウダ山道>の封鎖は解除された。
「さて、これで仕事完了だな」
そんな風に軽く嘯くも、 《
「あー、頭痛てぇー」
ゲーム上故に肉体的な疲労は無いが、全力戦闘による脳疲労だけは避けられない。
糖分不足により、ズキズキとした頭痛を感じる。
気持ち休憩する為に一旦座るか。
そう思って地べたへ腰を下ろそうとした、その時。
パチパチパチパチ
まるで良い路上ライブを身終えた通行人がするような、場違いな拍手の音が聞こえてきた。
「誰だ!?」
まずい、新手か!?
そう思い、咄嗟に戦斧を音のした方へ構えなおす。
今の俺はSPもMPも使い切っている。この状況でもう一戦はちと辛いが──。
「とても素晴らしい戦いだったね」
そこにいたのは予想外の人物だった。
全身にデザインの違う装備をちぐはぐに重ねた優男。和洋中折衷もいいところ、外見の統一感なんて物をかなぐり捨てたその風貌は、実利最優先の超高性能装備祭りである。
俺は奴を知っている。
多分奴は俺なんて羽虫の名前は知らないだろうが、俺は一方的に知っている。
いや、そもそもの話。
奴の名前を知らないやつの方が、この王国では稀ではなかろうか?
「──【超闘士】フィガロ」
決闘ランキング一位にしてアルター王国三巨頭の一人。
三巨頭といっても方やカルト宗教の主、方や実態の分からない奴なので、フィガロは事実上この国最強のマスターと言っても過言では無い。
そんな人物が満身創痍の自分の前に立っている。
このタイミングで出てきたということは、奴はどっちだ?
【凶城】側か、第三勢か?
自然と戦斧を握る手に力が篭る。
しかし、フィガロの反応は案外呆気ないモノだった。
「少し掃除をしようとしたのだけど、先に君たちが綺麗にしてくれたみたいだ」
ニコニコと人の良さそうな笑顔を浮かべる王国最強に交戦する気はなさそう。
ならば一安心。
こちらも矛を納めよう──ってなる訳がない。
た、戦いてぇ!!
王国最強なんて強敵とやる機会なんて早々ない。
今なら【凶城】潰しする為の準備をしている上に無傷万全のフィガロと真剣勝負できる。
ここはいっそ自分も【凶城】で、さっきのは仲間割れです的なロールプレイしてわざと敵対するか!?
いやダメだ。
MPもSPも無いんだった今ぁ!!
「ぐ、うぅぅう!!」
「?」
一旦アルゴノーツへ戻って黒郎参のブテスで回復出来るなら或いは──なんだけど。
『ちょっとリソースが心元ないから回復してくる! 待っててネ!』
なんて恥ずかしい事、出来る訳がない。
悔しさに身体をワナワナと震わせたその時、想定外の事態が起きた。
フィガロの頭上。
その更に上空より、二頭の獅子が襲い掛かったのだ。