「さっそくだが この子に名前をつけないといけないな」
名付けか……
このマントと腰に巻いた毛皮以外着けていない青年とグラマラスな聖母様のやりとりを横で聞いていると、あれを思い出す。
「う~ん………」
そう。名付けから始める某物語だ。
そして名前が
「よし うかんだぞ! 」
「とーにゅら」
あ、声が出てしまった。
「そうだ トンヌラというのは、どうだろうか!?」
「まあ ステキな名前! いさましくてかしこそうで………」
「「え?」」
「マ、ままま、マーサ?」
「パ、ぱぱぱ、パパス?」
息がぴったりだ。
「こ、ここっこ! この子!」
この部屋には四人しかいない。
うち二人は赤子。
そしてトンヌラは今パパスが腕に抱いている。
「「いま しゃべった!?」」
必然的におれが当たりという事になる。
考えてみよう。もしも産まれたばかりの子供が話したらどう思うだろうか?
分からないけれど、もしかしてこの状況少し不味いか?
う~ん………
〇△□の 攻撃!
指を咥えて! 目をウルウルと させた!
会心の 一撃!
パパスは しびれた!
パパスは うごけない!
パパスは メロメロだ!
マーサは しびれた!
マーサは うごけない!
マーサは メロメロだ!
我が策成れり……。
おれを産んだことを
あの世で後悔するがよい!
〇△□は ドヤ顔を している!
「か カワイイ!!」
キャーと〇△□を抱きしめるマーサ。
〇△□は 虚ろな目を している!
「ぬわーーーーーーー」
全力で突撃してくるパパス。
気迫が! すごい! ガクッ………。
〇△□は 昇天した!
「エーン ……… エーン ……… エーン」
〇△□は泣いてしまった。
その泣き声は正しく赤ん坊の物だった。
「よしよし パパが こわかったのよねえ?」
「え?」
「もう パパは いないいない ばー」
「え?」
「zzz zzz zzz」
「あら 寝ちゃったわ」
〇△□をベッドへ寝かせるとマーサはパパスへ向き直った。
「パパス…」
「マーサ…」
「うちの子は 天才よ(だ)!!」
わーい、わーいとグランバニア踊りを始める二人。
指を絡めてノリに乗る。
パパスの腕に抱かれているトンヌラも嬉しそうに「キャッ キャッ」と声を上げていた。
スッチャラッカ スッチャラッカ ホホイノ ホイホイ
………
ひとしきり踊った後パパスが言った。
「そうだった! かの子には まだ名前がついて無かった!」
あら大変と口を覆うマーサ。
トンヌラは「バブー………」と不満そうに声を上げていた。
「そうね あなたも まだ 名前をつけてなかったわよね」
「え?」
パパスはキョトンとしている。
トンヌラはトンヌラ(仮)となってしまった。
「そうだわ! あなた!」
ピコーン!、とマーサの頭の上に電球が灯ったような幻想をパパスは見た。
「大神殿の フトッチョ様に お名前を頂くというのは どうかしら!?」
マーサの目はキラキラと輝いていた。
「おお! それは良い考えだ! あの御肩なら きっと太い名前を くださるに違いない! ワアッハッハッハ!」
パパスは大きな声で笑い声を上げて言った。
トンヌラ(仮)も嬉しそうに笑った。
〇×△はそのことを知らない。
大切な名付けを邪魔した俺には名前をくれなかったのだと拗ねた。
彼には前世の記憶がある。
彼はいい年の青年であった。
とは言えどちらかといえば前世の記憶はかれにとって副産物のような物で
残念ながらかれは彼と似た思考をしながらにして別物だった。
かれは知識を知っていてもそれを使う経験等を合わせた精神力が無い。
その心は赤ん坊であった。
御一読頂きありがとうございました!
~おまけ~
ミルドラース「一人では淋しかろう…… 子供も連れて来るのだ」
イブール「おまかせを! 」