「学校だあ!遂に俺も学校に行けるぞ!」
ガッツポーズと共に校門で叫ぶ。
そう、遂に来週から正式に高校に通えるという事で、前日の日曜日、最終の手続きのついでに学校見学を許されたのだ。
なんか謎のゲート?とか、妙に厳重な警備とか色々あったが、学校は学校。テンションが上がり、更に誰も居ない校舎の前ということも重なって、気づけば叫んでいた。
ふう、思いっきり叫んだらスッキリしたわ。
にこやか笑顔で、校門の直線上にある入口を見る。
なんの変哲もない、普通の下駄箱が、ガラス戸から見える。
そうそう、こういうのが良いんだよこういうのが。
帰郷からこっち、なんか妙な話ばかり聞かされた俺には、あの入口がオアシスに見えるぜ。
気持ち大股で、入口に向かう。
後、三歩……二歩……
最後の一歩を踏み出す直前に、目の前の地面が、不自然に盛り上がった!
「んー?」
いや、地面ではない。よく見ると、地面の模様をした布だ。
それが自分の胸の高さまで持ち上がると、ひらりと落とされる。
そこに居た人間を、自分はどう表現したら良いのだろう。
黒を主体とした和風テイストの服を着ているのだが、丈が短い。
そう、なんか色々短い。
身長はおそらく150前後のやや低めの身長に反して、存在を主張する胸や、引き締まったお尻は半分ほど服からこぼれ、それを黒いメッシュが危なげに隠している。
その上に乗る顔も、自分と同じ日本系の顔で好みだ。
長い髪を後で結わえた髪型にピッタリの和風美人な顔は、もし通学路であったら、一目でほとんどの男は恋に落ちるだろう。
もし俺の前で一発芸のような登場をして、ヘンテコな格好をしなければ……という、但書がつくが。
余りの事に絶句している真介を余所に、彼女は口を開いた。
「主どの、はじめましてで御座る!拙者風魔茜(ふうまあかね)と申す」
「リテイク」
「ひどい!」
ボソッと呟いた声に彼女は涙目で反論するが、普通に考えて、休日の校舎前で出会うには彼女の格好はひどすぎた。
昔レンタルで借りた恋愛ドラマレベルまで要求はしないが、こちとら花の高校生で、ここは休日の学校である。
パンをくわえないごく一般的な女子高生を要求して、何が悪いのか。
正直、泣きたいのは俺の方だと言いたい。
だが、流石にこんな可愛い子を涙目にさせたままも気分が悪い。
「まあ、良いや。とりあえず俺の名前は赤山真介、聞いてるかもしれないが、今年からこの高校の生徒だ。まあ、色々あってド田舎からここ来てるんで、分かんないことは沢山あるから、教えてな。」
無難に自己紹介を終えて手を差し出す。
自分の情報がどれだけ世間に知られてるかは分からないが、とりあえず自らすすんで客寄せパンダになるつもりはない。
なるべく無難な言葉を選んで手を差し出すと、彼女はその手を掴んだ。
瞬間、身体が引き寄せられる。
気づけば、真介の身体は、茜に抱き寄せられていた。
「油断大敵、で御座るな」
そう耳もとで囁く茜だが、対する真介は、反応できない。
女性特有の柔らかい身体に、ふわりと感じる香水の香り。
先ほどは悪態をついたものの、健全な男子高生の彼の身体は、茜の身体に反応していた。
「ふふっ、身体は正直でござるな」
それを感じたのか、茜は微かに笑みを浮かべると、真介を離した。
そして直後に自身の右手を真介の左手に絡ませて言う。
「色々教えてあげるで御座るよ。とりあえず詳しくは校舎の中で、ね?」
そう微笑む彼女に、彼は目を伏せて赤くなることしか出来なかった。
例えどんな格好をしようが、美人は正義(結論)