え、バレンタインデー?0個でしたがなにか?
提督からあてがわれた部屋でヒイロ達は暇をもてあわせていた。
しかし、アムロの姿はそこにない。気になることがあるといって、部屋から出ていったのだ。
「暇、ですね・・。」
「外でも回ってくるか?アムロのように。」
「それも悪くはないかもな。」
「けど、どこを回るの?そろそろ日が沈んじゃうけど・・・。」
キラの言う通り、日は沈みかけ、空がオレンジ色に彩られている。
外からは艦娘達が訓練している様子がときおり見え、様々な声が聞こえる
「海の近くを見て回るだけでいいんじゃないでしょうか?誰かしらはいると思いますけど?」
「そうだな。それに世話になるのなら最低限、顔と名は覚えておかなければならないしな。」
ヒイロ達はそういい、部屋を出ていった。
埠頭では先ほどの部屋とは打って変わり、とても静かだった。
心地よい風が海から吹き、心が落ち着く感覚がする。
談笑をしながら歩いていると、反対方向から人影が走ってくる。
「あれ、吹雪ちゃん?」
人影の正体は吹雪だった。服装がジャージだったため、おそらくトレーニングをしていたのだろう。
「あ、ヒイロさん。トラック泊地の天龍さん達の方には行かなかったんですか?」
「これ以上彼女達に関わる訳にもいきませんからね。とりあえず提督さんに誘われてここに所属することになったよ。よろしくね。」
「えっと、他の皆さんも、ですか?」
「まぁな。よろしくな!!」
ガロードが笑顔で吹雪に答える。吹雪も釣られて笑顔になり、
「はい!!よろしくお願いします!!」
敬礼をガロードに返す。
「ところでなんだが、トレーニング中なのか?」
「はい!ちょっとでも赤城先輩に近づけるように毎日やってるんです!」
「そうか、頑張り屋なんだな、吹雪は。」
ハイネがそう言うと、吹雪は顔少し赤らめ、
「そ、そうですか?ありがとうこざいます・・」
「だが、適度に休息は取っておいた方がいい。顔に少し疲労の色が見える。」
「え!?そ、そうですか!?」
「過度な訓練は自分を余計に傷つけるだけだ。」
「わ、分かりました・・。」
刹那の言葉に吹雪の気持ちは少し沈む。それを感じ取った刹那も困った顔をしてしまう。
「・・・別にやるなと言ってる訳ではないんだが・・すまない。少し言葉を選ぶべきだったか・・。」
「えっ!?あ、いえ、こ、こちらこそすみません!?」
なんか謝り合戦が始まりそうな空気を察してか、キラとガロードが言葉を挟む。
「刹那が言いたいのは、メリハリをつけてやって、ってことだよ。休める時に休んで、やる時はやる。そうじゃないと、本当に潰れちゃうよ?」
「ま、そういうこった。吹雪が使ってる砲台とか魚雷もメンテとかなんにもしないとそのうち壊れるだろ?それとおんなじさ。」
「なるほど・・・。」
吹雪が感嘆の声も漏らす。
「と、いうことだから、夕飯でも食べに行きます?そろそろその辺りの時間ですよね?」
「はい!」
吹雪の顔に再び笑顔が戻る。それを見たヒイロ達はそばにある草むらに目を向ける。
「そういうことだ。アンタも一緒にどうだ?パパラッチさんよ?」
ガロードがそういうと、草むらをかき分けて艦娘が一人出てきた。その艦娘はピンク色のポニーテールに手にカメラを持っていた。その艦娘の名は青葉である
「ば、バレてましたか・・・。ちなみに、どこから?」
「部屋を出た時からだが?気配が分かりやすかった。」
「始めからじゃないですかー!?」
刹那の言葉に打ちひしがれる青葉、
「あ、青葉さん!?またネタ探しですか!?」
「そりゃあそうですよ!何やら新しい子が参入するという噂を聞きつけて、私が動かないはずがないでしょう?」
「ようするに、アンタは取材しに来たってことか?」
「もちろんです!!あ、ちなみに私は重巡洋艦の青葉です〜。以後お見知り置きを!!」
元気な言葉と共にヒイロ達に近寄る青葉、その手にはメモ帳とペンが握られている。ここでヒイロ達に質問の嵐を浴びせさせるつもりだろう。
「それじゃあガロード、頑張ってね。こういうタイプ、かなり時間がかかると思うから。」
ガロードを除くヒイロ達は吹雪を連れてその場を後にする。予想外の反応にガロードはすっとんきょうな表情を上げることしかできない。
「誘ったのはガロードだろう。その責任は取るべきではないのか?」
「え、ちょっ、刹那ぁ!?」
「ぼくたちはこれから夕飯を食べに行くからね。取材はまた今度でお願いね。」
「ご愁傷様。ま、割り切れよ。」
「は、計りやがったなぁ!?」
ガロードの悲痛な叫びと共に青葉の質問の嵐がガロードを襲い、結局ガロードは夕飯にありつくことはなかった。のだが、見かねたとある軽空母が作ってくれたため、事なきを得ることができた。
時間は少し遡り、アムロは工廠に向かっていた。目的は先ほどのオレンジ髪の女性だ。工廠に着くと、たまたま手が空いていたらしい艦娘、夕張に声をかける。
「すまない、キミ。少しいいだろうか?」
「え?いいけど・・って、貴方は・・アムロ・・でしたっけ?」
「アムロ・レイだ。今日からここで世話になることになった。よろしく。」
「軽巡洋艦の夕張です。よろしくね。それで?何か私にご用かなにか?」
「ああ、少し人探しをな。特徴は・・」
アムロはその探し人である女性のことを伝えると、夕張は
「あー、その人なら向こうにいましたよ。多分、装備のメンテの手伝いをしてたと思うけど・・。」
「そうか、すまない、ありがとう。」
「いえいえ、そういえばお知り合いなんですか?」
「いや、そういう訳ではない・・。同郷、と言えばいいのか・・?」
「同じ出身とかですか?」
「そうだな。そういう言い方が一番いいのかもしれない。ともかく、教えてくれてありがとう。」
アムロは夕張に別れを告げ、その女性の元へと向かった。
少し経たないうちにそのオレンジ髪の女性は見つかった。
さっきは遠目から見たためよくわからなかったが、その女性は髪をショートカットにしており、服は心なしか、ロンド・ベルの制服に似ていた。具体的に言うとブライト艦長が着ていた服だ。
女性がアムロに気づくと緊張した面持ちになる。
「・・何か私にご用ですか?」
「・・別にそれほど緊張しなくていいぞ。確かにアムロとは名乗ったが、あくまで名乗っただけだ。本人ではない。」
「でも知ってはいるんですよね?」
「・・・その口ぶりだと、君も宇宙世紀出身か?」
「・・はい、RX-0、ユニコーンガンダム3号機。他の皆さんにはフェネクス・ベルナル。そう名乗っています。」