自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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中々筆が乗ったので前話から2日で投稿です。
楽しく読んで頂ければ幸いですー


第10話 疑念

「フェネクス・・か。少し聞きたいことがあるんだが、構わないか?」

「はい。私なんかでよければですけど・・。」

「君は、何年に作られたんだ?」

「宇宙世紀0096です。」

「なら、第二次ネオ・ジオン抗争は知っているんだな?」

「・・もしかして、アクシズのことですか?」

 

フェネクスにそう言われるとアムロは少し目を瞑り、こう話す。

 

「私のMSとしての記憶はサイコフレームの輝きに包まれたところで終わっているからな。気になってしまってな。」

「・・結論から言えば、アクシズは進路を変えて地球は救われました。後に世間はこのことをアクシズ・ショックと呼んでいます。」

 

そう言われ、アムロはホッとした顔をする。だが、フェネクスの次の言葉に再び険しい表情に戻る。

 

「ですが、Hi-νガンダムのパイロット、アムロ・レイとネオ・ジオン総帥、シャア・アズナブルの消息は絶たれたままです。」

「・・・それは、本当なのか・・?」

「・・・残念ながら、事実です。」

「そうか・・・。」

 

アムロは少し、悲しい表情をしたが、すぐに表情を戻し、フェネクスに向き直す。

 

「ありがとう。教えてくれて。」

「貴方は、やっぱり、Hi-νガンダムなんですね。」

「ああ、そういえば名乗ってなかったな。その通りだ。」

 

アムロは軽く自己紹介を済ますと、ふと気になったことを話す。

 

「そういえば、君はいつからここ(横須賀鎮守府)に?」

「えっと、4日、5日程前からです。」

「それは、気づいたらここにいたのか?」

 

アムロにそう聞かれると、フェネクスは突然、顔を青くし、

 

「・・ごめんなさい!!そろそろ夕飯の時間なので・・!!」

 

と逃げるように工廠から走って逃げてしまった。

 

「お、おい!?」

 

制止の声も届かず、フェネクスを見失ってしまったアムロは行き場のない手を戻す。

 

「何か触れて欲しくないところに触れてしまったか・・。」

「あ、あの・・・。」

 

反省しているアムロに一人の艦娘が声をかけた。その艦娘は紫がかった髪をストレートにしており、ときおり見せる仕草から幼いながらにも妖艶さがにじみ出ている。

 

「君は・・・?見たところ駆逐艦の子か?」

「睦月型二番艦の如月といいます。あの、フェネクスさんとはお知り合いなんですか?」

「まぁ、同じ出身、と言った所か。自己紹介がまだだったな。アムロ・レイだ。

他の5人と共に今日から世話になることになった。」

 

アムロがそういうと、如月はああ、と何か思い出したような声を上げる。

 

「もしかして、フェネクスさんと同じ、MSの方ですか?」

 

如月のこの言葉にアムロは驚いた表情をする。

 

「なっ!?どうしてそれを!?」

「フェネクスさんがMSのことについて教えてくれたんです。最初は信じられなかったけど、あんな凄い戦いを見てしまったら・・。」

(そういえば、フェネクスはここにきた経歴を教えてはくれなかった。彼女の預かり知らない所で聞くのは気が引けるが・・)

 

如月の言葉にアムロは先程のフェネクスが喋らなかったことを如月は知っていると踏んだ。

 

「・・・フェネクスのこと、教えてくれないか?」

「フェネクスさんのこと、ですか?」

「ああ、彼女がここにきた経歴を。」

 

アムロがそう聞くと、如月は少し考え、

 

「分かりました。あれは、一週間程前、ウェーク島の攻略に向かった時のことです。」

 

 

 

 

 

響く轟音、鳴り止まぬ敵艦載機のエンジン音、如月はそんな地獄のような戦場に来ていた。戦局ははっきりいって劣勢、撤退もやむなしと思われる状況だったその時。

 

 

重く、太い、腹に響くような重低音な音が聞こえた。戦艦の主砲の出す爆音とはまた違う、重い音。

それはたった一筋の光線、紫電を纏ったそれは今まで猛威を振るっていた敵の航空機の編隊に風穴を開けた。10機、20機は落とされただろうか。中には掠めただけで堕とされた機体もあった。

再び、重い音が空に響く。今度は一発だけではなく、2、3、4。

四発もの光線が空を疾る。

 

突然の攻撃に敵艦載機は対応できるはずもなく、ことごとく堕とされた。

如月含めた艦隊の皆が突如として開けた空を見上げていると、

 

 

「アアアアアアアアアアァァァァァァァ!!!!!」

 

聞こえた絶叫に驚く。方向は先程の光線が飛んで来た方角だ。

何かが飛んでいる。鳥か?艦載機か?如月達は疑問に思いながら、警戒だけはしていた。

 

「え、人・・・!?」

 

艦隊の誰かが呟いた。空を飛ぶなにかの正体は人だった。

ありえない光景に目が見開かれる。

空を飛んでいる人、もとい、フェネクスはバックパックに付いている装備、『アームドアーマーDE』が展開されて、そこから発せられる青い光が相まってさながら不死鳥のように空を舞い、如月達には目にもくれず深海棲艦の艦隊に突っ込んで行く。

 

二振りのビームサーベルを持ったフェネクスは深海棲艦を次々と切り捨てて行く。

途中から腕にも装着されていたビームサーベルを用いて、ビームトンファーにする。そこからはさながら獣のごとき戦い方であった。

中には八つ裂きにされ、原型を留めない程斬られたりなどで深海棲艦を殲滅すると、如月達に目を向ける。その目は虚ろで生気をまるで感じない。

 

「ヒッ!?こっ、こっち見てないっ!?」

 

誰かが悲鳴を上げる。先程の惨劇にも等しいものを見せられては、無理もないだろう。

フェネクスは如月達を見て少しすると、ブースターを蒸す。

 

「く、来るクマ!!弾幕張るクマ!」

 

旗艦である軽巡洋艦 球磨の声に続き、主砲で弾幕を形成する。だが、フェネクスはそれを余裕だと言わんばかりの機動ですべて避ける。

 

フェネクスが目の前に迫り、もう駄目だ、と目を瞑ったその時。

 

如月の真横で爆発音が響く。それと同時に煙で視界が塞がれる。

 

「ケホッケホッ、な、なに・・?」

 

むせながら目を開くと目の前にアームドアーマーDEを自身の前に持ってきているフェネクスがいた。あたりに敵の艦載機の破片が散らばっているのを見ると撃ち漏らした敵艦載機が特攻を仕掛けてきたのを察することができる。つまり、目の前にいるフェネクスは、

 

「・・もしかして、守ってくれた・・の?」

 

如月がそう呟いた瞬間、フェネクスの体が電源が切れたかのように脱力し、海面に落ちる。展開していたフレームは元に戻り青い光は見えなくなった。

 

「と、止まったクマ・・?」

「そ、そう見たいニャ・・。生きた心地がしなかったニャ・・。」

 

皆、安堵の息を吐く。フェネクスの放ったプレッシャーから解放されたのか、腰が抜けて動けないという艦娘もいるなか、如月はフェネクスに駆け寄る。

血色は良く、気絶しているだけのようだ。

 

「ねぇ、球磨さん、この人、連れて行けませんか?」

 

如月の言葉に球磨は若干、嫌な顔をする。

 

「え、マジで?」

 

いつも語尾についている『クマ』が抜けるレベルで驚いているようだ。

それは置いておいて、如月は先程の自分の状況を伝える。

それを聞いた球磨は渋々と言った顔で、

 

「・・分かったクマ。でも、またさっき見たいに暴れられるとどうしようもないからしっかりと面倒見るクマ。球磨達も手伝うクマ。」

「多摩達もかニャ!?」

「ふふん、一蓮托生クマ!!」

 

そういい球磨はフェネクスの肩を担ぐ。だが、思ったより重かったようでバランスを崩し、『クマー!?』という叫び声と共に海に顔面を叩きつけた。

見かねた多摩達が手伝い、如月達は帰路へとついた。

 

 

 

 

如月の話を一通り聞いたアムロはある疑問が出てきていた。

 

(フェネクスは装甲にサイコフレームを使っているのか・・?だが、色がアクシズの時とは違う・・。)

 

疑問はとりあえず、頭の隅に置いておき、如月に別の質問をする。

 

「君はフェネクスからMSのことを聞いたんだったな?他に何か聞いてないか?」

「えっと、あ、一回だけ、フェネクスさんの展開していた装甲について聞いて見たんです。そしたら、『暴走するとそうなる。』って言ってました。」

 

(暴走・・?一体何のことなんだ・・?)

 

フェネクスに対する疑問は解消するどころか、増えてしまったが、如月にお礼をいい、アムロも食堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

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