トラック泊地の奪還作戦に向けて、艦娘達の訓練に励む声が鎮守府中に響く。
特に出撃する第1、第2艦隊の気合の入れようはかなり高い。
そんな中、ヒイロは、
「間宮さん、野菜のカット、終わりましたよ。」
そういい、調理をしている艦娘、間宮のそばに置く。
受け取った間宮は申し訳なさそうな口調でヒイロに話す。
「あの、本当にいいんですか?手伝ってもらって・・。」
「いいんです、暇でしたし。それに、間宮さんもあの人数の分を毎日作るのは大変でしょう?自分の時間、取れてます?」
「どう・・でしょうか・・?まぁ、誰かしらいつも手伝ってくれますからそれなりにあると言えばありますが・・。」
間宮は慣れた手つきでヒイロが手頃にカットした野菜を鍋に放り込む。
「あ、すみません。そこのヘラを取ってもらえますか?」
「これですね?はい。」
ヘラを間宮に渡すと、ヒイロはトースターを確認する。中で焼き上げられているパンに焦げ目が軽く着いたのを確認し、取り出す。それを手早く皿に乗せる。
「自分の時間は取れるだけ取っておいた方がいいですよ。料理が趣味、というのであれば別に構いませんが、女性の趣味と言えばやはり服でしょうか?その割烹着も十分お似合いですが、たまにはご自分をコーディネイトしてみるのもいいんじゃないですか?間宮さんはお綺麗ですし。いろいろ似合うと思いますよ?」
そういうと間宮はどうやら恥ずかしかった様で顔を真っ赤にして顔を晒した。思わず調理を失敗するところだったが、そこは長く料理をしていたからくる慣れで立て直した。
間宮の反応に少し気になったヒイロだったが、問題ないと判断して次の調理に移った。
「お、やってんなぁー。」
「見たところ、砲撃訓練かな?」
ハイネとキラは艦娘達の訓練場に来ていた。水上を滑り、主砲を構えて、トリガーを引き、放たられた砲弾は用意された的に吸い込まれるように直撃する。
その様子からかなりの練度を積んでいることが分かる。
訓練していた艦娘は一度切り上げる様で岸に近づいてくる。
「ん?君たちは・・。」
「あれ、アンタは確か・・第1艦隊の・・?」
「伊勢型二番艦、日向だ。こうして自己紹介をするのは初めてだったな。今回の作戦はよろしく頼むよ。」
日向は笑顔でハイネに握手を求めた。ハイネとキラはそれに応じ、差し出された手を握る。
「お一人で訓練をなさっていたんですか?」
「まぁ、そうなるな。午前の訓練は少し前に終わって、時間もあったからな。」
そういうと、日向は何かを思いだしたようにキラ達に問いかける。
「あ、そうだ。せっかくだ。君たちのことは瑞鶴達からある程度聞いてはいるのだが、具体的に他にどんなことができるんだ?」
「他のこと・・ですか?」
「・・・分かりやすく言うと、得意分野見たいなものだ。例えば、第2艦隊の摩耶と鳥海は対空防御を得意としている。誰かしら得意なことはあるからな。聞いておきたいと思ってな。」
「あー、たしかに得手不得手を知っておけばフォローとかしやすくなるもんな。」
ハイネがそういった時、キラの中で疑問が生まれた。
「あれ、でもそれってどちらかと言うと、旗艦の役目なんじゃ・・・?」
日向は苦笑いをして、キラの質問に答える。
「伊勢は・・ああ、私の隣にいたポニーテールの奴だ。あいつはズボラな所があってな。私がやっておかねばすっぽかすのが大半なんだ。」
「く、苦労してるんですね・・。」
「まぁ、慣れてしまった自分がいるがな。・・話しがそれてしまったな。」
「あ、すみません。そのつもりはなかったんですが・・。えっと、僕が得意にしているのは、一対多の戦闘ですね。」
「俺は基本的になんでもできるぞ。そつなくできる程度で器用貧乏になりそうだけどな。」
「ふむ・・わかった。ありがとう。」
日向は感謝の気持ちを述べると、キラ達にこんな提案をする。
「そうだ。これから昼なんだが、君たちも一緒にどうだ?親睦を深める意味合いでな。」
「え、いいんですか?」
「ああ、他の艦隊の人との顔合わせも兼ねてな。」
「おお、それはいいな。」
キラとハイネは日向に連れられ、食堂へと向かった。
「そういえば、他の4人はどこにいるんだ?」
「確か、ヒイロは食堂、アムロ達は工廠だったか?」
「ふむ、そのヒイロはまだ誘えるが、他の3人は無理、か。」
「まあ、いいんじゃないか?なんかアムロは気にかけている奴がいるみたいだし。」
ところ変わって工廠ではアムロ達、3人が来ていた。
「あれ、アムロさん?それに貴方達は・・、ガロードさんと刹那さん?」
「おう、確か、フェネクスだったか?よろしくな。」
「・・・・・。」
刹那はフェネクスの顔をじっと見つめている。
(なんだ?彼女から威圧感を感じる・・?彼女自身の応対からは感じないが・・どういうことだ・・?)
「あの、どうしてここに?」
フェネクスはアムロに工廠に来た理由を問う。アムロは少し気恥ずかしく、
「中々言いにくいのが、暇になってしまってな。なにか出来ることはないだろうかと思っていたところ、ここに行き着いてな。まぁ、要は手伝いだ。忙しいんじゃないのか?ここのところ。」
「そう・・ですね。大規模作戦が近いというのもあって装備のメンテ要請もだいぶありますし・・。明石さんも夕張さんもあんな感じですし・・。お願いできますか?」
フェネクスが脇目を振ると、栄養ドリンクを片手に装備のメンテを行なっている明石と夕張が目に入る。
「ガロードと刹那は彼女たちのほうへ向かってくれるか?」
二人は分かった、と返事をし、明石達の方へ向かって手伝いを始めた。
アムロもフェネクスのそばに腰掛け、装備のメンテを始めた。
最初こそ、少し手間取ったが、慣れてくるとトントン拍子で作業が捗った。
そしてしばらく経つと、唐突にフェネクスが口を開いた。
「あの、アムロさんはサイコ・フレームを使っているんでしたよね。」
「・・・唐突だな。どうかしたか?」
「貴方は、その、サイコ・フレームが怖いって、思ったことはありますか?」
「怖い?まぁ、技術的にオーパーツに等しい代物だから何が起こるか分からないからな。そういった意味では怖いかもな。」
「やっぱり・・・ですよね・・。」
フェネクスはそういうと乾いた笑いをする。だが、その直後、アムロはフェネクスとは対照的な本心からの笑みを浮かべる。
「だが、その何が起こるか分からない代物のおかげでアクシズを押し戻せた。色々な不確定要素が合わさった結果かもしれないが、それは事実だ、私はそう思っている。物は使いようだ、とは良く言ったものだ。」
「物は使いよう・・・?」
フェネクスは驚きの表情をあげ、アムロの言葉を反芻する。
「確かに訳が分からない代物を扱うのは最初こそはかなり抵抗がある。
だが、一度コツを理解してしまえば後はそれを繰り返せばいいだけのことだ。
まぁ、そこまで行き着くまでには手探りで見つけなければならない。特に、私と君に搭載されてあるサイコ・フレームはな。」
「えっ!?どうして、それを・・!?」
驚愕の色に染まるフェネクス。アムロは如月から聞いたと答えた。
そのことに少し苦い顔をするフェネクス。
「そう・・ですか・・。まぁ、黙っててとは言ったものの、あんまり強制気味じゃなかったからなぁ・・。あ。」
フェネクスは何かに気づいた声をあげると、
「あの・・・もしかして、暴走していたことも・・?」
「・・ああ。聞いた。なんなんだ?暴走した、とは?普段の君からはそのような感じはあまりしないのだが・・。」
「あまりっていうことは・・やっぱり感じるんですか?」
アムロはフェネクスの指摘に、
「正直に言うとな。君とは別に、かどうかは分からないが突き刺さるような気配を感じる。さながら、私が目の敵にされているような感覚だ。」
アムロがそう伝えると、フェネクスは暗い顔をする。そしてか細く言葉を発くる。
「実は、わたしには、NT-Dというシステムが搭載されているんです。」
「NT-D・・?ニュータイプに関連する何かか?」
「・・・表向きは『ニュータイプ・ドライブ』と呼ばれています。でもその実態は・・ジオン・ズム・ダイクンが提唱したニュータイプ理論を完全に根絶するために作られた代物。『ニュータイプ・デストロイヤー』なんです。」
「ニュータイプ・・・デストロイヤー・・・!?」
フェネクスのその言葉にアムロは言葉を詰まらせる他なかった。
そういえば、キャラ設定とか欲しいですか?
要望によってはおつくりしますので、感想欄にてコメントをいただけると嬉しいです。