「はあっ!!」
アムロはビームサーベルで目の前の敵を斬る。だが、想像していたほどのダメージを与えられない。敵はお返しだと言わんばかりに砲撃を行う。
咄嗟に後退しながら、アムロは悪態をつく。
「クッ・・!!装甲が硬すぎる・・!!先ほどの鬼級とは段違いだ・・!!」
アムロ達が相手をしているのは深海棲艦の中で鬼級と呼ばれる部類に入る敵だ。
しかし、先ほどの空母棲鬼とは全く違う戦闘スタイルだ。
言うなればそれは『戦艦』。
圧倒的な火力と硬さで敵を倒すタイプだ。
伊勢達、艦娘も必死に攻撃を仕掛けるがその硬い装甲に弾かれて、有効弾は一向に生まれない。
それどころかこちらが攻撃をくらい、中破、大破にされ、ジリ貧になる一方だ。
「どうします!?このままじゃ・・!!」
敵の随伴艦を仕留めたキラは焦りの表情を浮かべる。そばにいるハイネも似た表情だ。
そこに同じく随伴艦を倒していたヒイロと刹那が合流する。
「ヒイロ、バスターライフルでどうにかならないか?」
「そうしたいのもやまやまなんですが・・。」
ヒイロは視線を敵の親玉である『戦艦水鬼』に移す。
戦艦棲鬼の目はじっとヒイロに向けられていた。さながらヒイロの動きを絶対に見逃さないと言わんばかりだ。
「どうやら私はマークされてしまったようです。バスターライフルを撃つにも少しばかりのタイムラグが生じてしまいますので、その瞬間を狙っているのでしょう。」
ヒイロにそう言われ、アムロは苦しい表情をする。
「ですが、手がないわけではありません。」
ヒイロはそういい、アムロ達にある策を伝える。
「なるほど、それで行ってみよう。」
「そう言ってくれれば幸いです。伊勢さんそういうことです。お願いできますか?」
『うん、わかったわ。日向もそれでいい?』
「ああ、悪くない。任せてくれ。』
伊勢と日向から通信ごしに承諾の声が上がる。
「それなら、皆さん、作戦通りによろしくお願いします。」
最初に仕掛けたのは刹那だ。GNソードⅢをソードモードにして斬りかかる。
「でぇやあああ!!」
大型実体剣を持っているにもかかわらず、素早い動きをする刹那に戦艦水鬼は対応に苦しむが、持ち前の硬さを使い、無理やり背後にある艤装の腕で殴りにかかる。当たってしまえば大ダメージは免れない。だが、それは当たってしまえばのである。
刹那は振り下ろされた人の体ほどの大きさの腕を蹴り、瞬時に離脱、直後に『GNマイクロミサイル』を浴びせる。が、やはり大した損害は見られなかった。
たが、爆風で視界は塞げた。なら、後は十分。
「ターゲット、ロックオン。目標、敵特殊深海棲艦・・・!!」
山吹色の閃光が戦艦水鬼を包むが、撃破には未だ至っていない。根本的にバスターライフルの出力を抑えているのもあるが、精々、表面の装甲を溶かす程度だった。しかし、してやられた戦艦水鬼はヒイロに怒りの視線を向ける。しっかりマークしていたにもかかわらずやすやすと撃たれたのだから。せめて随伴艦がいればまだどうにかなったかもしれないがすでにヒイロ達、MS隊によって全滅させられている。
「役ニ立タナイガラクタドモメ!!」
はたまた溢れ出たのは随伴艦に対する罵倒。近づけまいとしてヒイロ達に対して弾幕を張るが、その濃度はそれほど濃くない。その程度のものに当たるアムロ達ではない。しかし、アムロ達はそれほど接近せず、あくまで戦艦水鬼の動きを止めることに専念していた。戦艦棲鬼が怪訝に思ったその時、自身の足元に衝撃が走った。すぐさま艦娘達が魚雷だと察し、自分が誘導されていたことに気づく。
「直撃を確認した!!ハイネ、キラ、やるぞ!!」
「「了解!!」」
その爆発を合図にしたようにアムロ達3人が接近を開始する。艦底部がやられ、推進力がなくなり、固定砲台と化した戦艦棲鬼はアムロ達に対し、対空砲火を密にする。
「刹那、援護!!手伝って!!」
「了解!!目標を狙い撃つ!!」
ヒイロのバスターライフル、刹那のGNソードⅢのライフルモード、そして伊勢達の艦砲射撃で主砲を破壊する。
ヒイロ達の後押しを受けたアムロ達は戦艦水鬼にビームの嵐を浴びせさせる。
だが、それはただ闇雲に撃っているわけではない。
ハイネは対空砲台を狙い、アムロとキラは闇雲に撃っているビームに混ぜて、一箇所にビームを当てていた。
寸分狂わない射撃のおかげで戦艦棲鬼が気づかないうちに艤装の装甲を融解して行く。そして、赤熱し、柔らかくなったと確認すると、
「今だ!!伊勢!!撃つんだ!!」
『やるよ!!日向!!主砲、一斉射!!てぇぇぇぇーー!!』
伊勢と日向が全砲門で発射し、放たれた砲弾が吸い込まれるように融解しかけた部分に飛んで行く。
取った、そう思いかけたその時、
突如、戦艦棲鬼の艤装が勝手に動き出し、伊勢達の放った砲弾をその巨大な手で防いでしまった。
「う、嘘だろ!?あれ、勝手に動くのかよ!?」
「どうしよう・・!!もう伊勢さん達は疲労困憊なのに・・・!!」
「ちぃ・・!!千載一遇のチャンスを逃したか・・!!」
アムロが苦戦を覚悟したその時、突如として水色のビームが飛んできた。
それは融解していた装甲を貫いた。直後戦艦棲鬼は大爆発を起こして、沈んでいった。
「い、今のは・・!?」
「トラック泊地の方からだ。だが、今のはガロードではない。」
「ああ、そのようだが・・。」
「ふぅ・・・当たった・・?」
手に持っていた『ビームスマートガン』を置いて、地面にうつ伏せに、いわゆる狙撃態勢を取っていたアリスは大きくため息を吐く。
その目は両方とも真っ赤に染まっており、オッドアイではなくなっていた。しかし、それもすぐに元の碧色の目に戻った。
「ナイススナイプだぜ!あんた、すげぇな!!」
「それほどでもないですよ。」
少々顔を赤らめながら、軽く微笑むアリス。
(そもそも、ALICE任せでしたしね。)
アリス、もといEX-Sガンダムに搭載されているシステム『ALICE」は発動させると本来はパイロットの思考から学習し、人格を形成する、いわばAIである。
しかし、先ほど使ってみたところほとんど補助ユニットとしての機能しか出せなかった。
(あの時、周辺機器ごとあの人達を逃したからかな・・・)
アリスのいうあの時、というのは大気圏に入ってしまった時、パイロットであるリョウ・ルーツらを助けるためにコックピット部分をパージした。その時に周辺機器も一緒に飛ばしてしまったため、もはやALICEは補助ユニットとしての機能に落ち着いてしまった。アリスはそれでも一級品だと思ったが。
『こちら、アムロだ。ガロード、そこにいるか?確認してほしいことがあるんだが・・。』
「おう。ビームのことだろ?今、その張本人と一緒にいる。」
『一緒にいるのか!?』
アムロが驚愕の声を上げる。すると、アリスが気になったのか聞いてくる。
「仲間の人ですか?」
「ああ、そうだぜ。あ、アムロ、こっちの調査もだいたい終わったらから伝えるぜ。」
アムロから構わないと伝えられ、ガロードは結果を伝える。
「結果は艦娘が6人、見つけれた。だけど、トラック泊地の提督は死んじまったし、その6人以外の艦娘は見つけられなかった。」
『・・・・そうか。ありがとう。』
ガロードの心中を察してか、慰めるような雰囲気で礼を言うアムロ。
「あ、そうだ。ボートでもなんでもいいからよ。なんか乗り物用意してくんねぇか?
その6人の艦娘達のことなんだけどよ、艤装が完全に破壊されて、海に出られねぇんだとよ。」
『艤装がか・・・!?しかし、ボートを用意すると言っても、私達が抱えれば済む話ではないのか?』
「・・・その方が速いな。うん。」
それじゃあ頼む、と伝え、ガロードは通信を切った。
「話は着きました?」
「ああ、アイツらは私達で運ぶことになった。」
「二人だけ・・・ではないですよね?」
「んなわけないだろ。お、ちょうどきたな。おーい、こっちだこっち!!」
ガロードが手を振り、居場所を知らせるとヒイロ達が降りてきた。
「あなたですね?援護して頂いたのは。ありがとうございます。」
「いいえ、ほとんど成り行きです。気にしないでください。」
アリスはそう答えると、何か自身を見つめる視線があることに気づく。
「あの、なんでしょうか?」
「ああ、すまない。君の着ている服に見覚えのある部分があってな。気分を害したなら謝るが・・。」
「あ、そういえば。この人、宇宙世紀出身って言ってたぜ。アムロと同郷だよな?」
「宇宙世紀出身なのか!?」
「え、ええ、はい。ですが、アムロ・・?アムロ・レイですか?あの一年戦争の・・。」
アリスの言ったことに妙な引っかかりを覚えたアムロはすぐさま聞くことにした。
「まぁ、あくまで名乗っているだけなんだが・・。君はいつ造られたんだ?」
「U.C0088です。」
「・・・グリプス戦役の終盤か?しかし・・あまりデータでも見たことないが・・。」
「ペズンの反乱ってご存知ですか?」
「ああ、知っているが・・もしかして、ニューディサイズに対抗するために組まれたα任務部隊か?」
「EX-Sガンダムと言います。一応、この身ではアリス・スペリオルと名乗っています。」
「・・・そうか、アリスか・・。改めて言うが援護、感謝する。」
「ですから、成り行きですって。それよりも彼女たちをお願いします。」
「わかりました。ガロード、艦娘たちのところまで案内してくれる?」
「おう、任せな!!」
こうして艦娘達を救助し、ヒイロ達の初の大規模作戦は限りなく成功に近い形で幕を下ろした。
初めての戦闘描写でしたが、まだまだ未熟なんだと実感しますね〜・・
楽しんで読んで頂けたのなら幸いです。