自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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今回、だいぶ文章量が少ないです。


第20話 残留

「君たちの部隊を出撃する組と鎮守府に残る組に分けて欲しい?」

 

提督は困惑したような声でヒイロに聞いた。

 

「はい。難しいのを承知ですがお願いできないでしょうか?」

「理由を聞かせてもらえないか?君たちには世話になっているがさすがにこれはおいそれと変えることはできない。」

 

ヒイロはですよね、と言葉を置いてから話し始めた。

そのことは提督を驚いた表情をするには十分であった。

 

「馬鹿な・・!?そんなことが・・!?」

「前提条件に深海棲艦に第二次世界対戦の兵士の怨念、もとい記憶が入り込んでいるというのもありますが、もし、当たってしまえばこちらの首を確実に取られてしまうことになります。」

 

開いた口が塞がらないといった様子の提督にヒイロが追撃をかける。

 

「というより、深海棲艦は全世界に広がっているんですよね?つまりそれができるだけの戦力を既に持っている。たかが基地を一つや二つを捨てて、戦争に勝てればおつりは帰ってくるでしょう。」

 

提督はう〜む、と長い唸り声をあげながら結論を出す。

 

「わかった。君の提案を受け入れよう。確かに予防線を出来るだけ張っておいても損はあるまい。ただし、このことを話すのは君たちMS隊と赤城、加賀の間でのみにしてほしい。無用な不安は煽りたくない。」

「了解しました。」

 

ヒイロが執務室から出て行くと提督は大きく一つ、ため息をついた。

 

「よもや日付を言っただけであそこまでたどり着くとは・・。確かに言われてみれば可能性はゼロではないが、彼女の発想力には脱帽だな・・。」

 

 

「なるほど・・・分かった。私やガロード、キラとハイネはこちらに残ればいいんだな?」

「はい。私と刹那とアリスはこれまで通りミッドウェー攻撃部隊についていきます。」

「しかしよぉ・・。本当にヒイロの言った通りになんのか?」

「ならなければそれで構いませんし、なによりさせないための予防線です。」

「・・分かったよ。でも無茶はすんなよ。」

 

ガロードの疑いにヒイロは説明を行う。ヒイロの説明にガロードはとりあえず納得したようだ

 

「それでは、このことは基本的に他言無用でお願いします。」

「それと、赤城さん、もしくは加賀さんのどちらかに会ったらでいいので伝えてくれませんか?」

ヒイロの言葉にアムロ達はうなづき、解散した。

 

アムロはそこら辺を歩いているとタァーン、と何かを射抜くような音が聞こえてきた。

 

(そういえば、ここは空母の練習場だったか?)

 

ちょうどいい、と思いながら扉を開けると赤城と加賀が弓を引いていた。

その姿は凛々しく、見惚れてしまいそうだ。

赤城、加賀両名が弓を放つと吸い込まれるように的へ飛んで行き、見事、真ん中の黒い丸を撃ち抜いた。アムロがおお、と感嘆の声を上げていると、

 

「訓練中には邪魔になってしまうので入ってくるのを禁じているはずですが。」

 

赤城がアムロの方を見ずに警告してきた。

 

「ああ、そうだったのか。すまない。気がきかなかったようだ。」

「あら?アムロさんでしたか。でしたらしょうがないですね。初めてですよね?ここにくるのは。」

 

アムロだと気づいた瞬間、申し訳ない表情をする。反面加賀はムスッとした表情をしている。

 

「しかし、規則は規則です。守って頂かなねば全体の規律にも乱れが出てしまいます。気をつけてください。」

「ああ、分かっている。さっきも言ったがすまなかった。」

「いえいえ、それで何か御用ですか?まだ夕飯には早かったような・・。」

「おい、確かに早いがまだ3時だぞ。・・作戦についてなんだが・・。」

 

そういうと赤城の目つきが変わった。アムロはすごい変わりようだな、それだけ気合いが入っているのだな、と思いながら説明を行った。

 

「・・・分かりました。確かに言われてみればその可能性もゼロではありませんしね。」

「備えておいて、損はありません。私も異論はありません。戦力が下がってしまうのは目をつぶるしかありませんが。」

「そこは割り切ってくれ。君らも試合には勝って、戦いには負けるなんて思いはしたくないだろう。」

「ええ、そうね。それで、出撃するのは誰?」

「ヒイロ、刹那、アリスの3人だ。」

「となるとあなたは鎮守府にのこるのね。」

 

そういうと加賀は少し、ほんの少しだけ残念そうな顔をした。本来なら赤城にしか分からなかったが、相手が悪かった。

 

「・・・なぜ、少しだけ残念そうな顔をするんだ?」

 

アムロからの指摘に顔を真っ赤にした加賀。その様子を見た赤城が笑いながら説明する。

 

「ふふっ、加賀ったら、瑞鶴さんからアムロさんの報告を受けた時からアムロさんのことばかり考えていたのよね。」

「赤城さん!?ど、どうしてそれを!?」

「だって顔に出ていたもの。表情には出なくとも、ね。」

 

姉妹艦でもないのに仲睦まじく会話をする赤城達を見てアムロは珍しいと思っていた。

 

(姉妹艦でもないのに仲が良い艦娘のいるのだな。)

 

そう思っていると加賀がアムロに声をかける。というより、咄嗟に赤城の追及から逃れるために声をかけたと言っていい。

 

「う、えっと、空母棲鬼を単独で撃破したというのは本当なの!?」

「ああ、そうだが?」

「どうやって倒したの?以前、私たちが空母棲鬼と対峙した時は全員で夜戦まで持ち込んでやっとだったのに。」

「・・・・そもそも、私たちと貴方達とは戦い方が全く違う。私たちの戦い方を知るのは構わないが、参考にはしない方がいい。」

「そう・・。今回、貴方の戦い方が観れると思ったのだけど。」

「それは今度にしてほしい。だが、ほかのみんなもかなりのエースだぞ。

刹那は近接戦闘力が高い。右に出る者はいないだろう。ヒイロも火力と状況判断能力がずば抜けている。今回の件もヒイロが発端だ。アリスも、私も見たことないがガロード曰く、特殊な兵装もあるようだ。」

 

最後にこの情報が赤城と加賀だけには話さないことを伝え、アムロはその場を立ち去った。

 

「すごい方ですね。空母棲鬼という大きな敵を倒しておきながら、周りの方がすごいと言い切るなんて。」

「・・そうね。普通なら、誇ってもいいはずです。どうしたらあそこまで謙虚になれるのでしょう。」

 

赤城と加賀は訓練場から出て行くアムロの背中を追うだけだった。

 

 

皆が寝静まった夜、夢を見ている者がいた。

真っ白な空間にぽつんと一人で立っていた。

辺りを見回していると、突然前に一組の男女が立っていた。

驚いて警戒していると、その男女はお互いに微笑みながら夢を見ている者を指で指す。

 

「貴方に力を。」「過ちは繰り返すな。」

 

 

夢はそこで覚め、夢を見ていた人物、ガロードは飛び起きた。

 

「・・・なんだったんだ・・。今のは・・。」

 

AL/MI作戦まであと1日。

 

 

 

 

 

 




今回も楽しんで頂ければ幸いです^_^
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