「トランザムライザー、目標へ飛翔する!!」
一瞬、刹那のGNドライヴから二つの円が出たかと思うと、ものすごいスピードで赤城達のほうへ向かった。
その速さは刹那の姿がブレて見えてしまう程だった。数秒かからずに赤城達への前に躍り出る。そして爆発。
ヒイロとアリス含め、全員が息を飲んだ。爆煙が晴れると、緑色のバリアのようなフィールドに包まれた無傷の刹那と赤城の姿があった。
その様子を見てとりあえず安堵した。が、再び爆弾を積んだ艦載機が刹那と赤城に迫り来る。刹那はGNソードIIIをソードモードにすると、目にも止まらぬ速さで艦載機を斬り裂く。
刹那が爆炎に包まれている飛行場姫の方を見据えると、爆炎から傷が元に元に戻った飛行場姫、否、『中間棲姫』が爆炎の中から出てきた。
「傷が再生した・・!?それに形も変わって・・・!?」
「多少、姿が変わっても私たちがやることに変わりはない。」
赤城は姿の変わった中間棲姫に驚くが、刹那は動じないが手間がかかるのは事実だ。刹那は赤城に目を向ける。目を向けられた赤城は刹那の目が金色に輝いていたように見えたが、今は気にかけないことにした。
「私はこれより突入する。援護を頼めるか?」
「・・・了解です。貴方に頼んだ方がいいと思いますので。ですが、ごめんなさい。貴方のその状態はいわば、切り札ですよね?」
「・・・・そうだな。その認識で間違いはない。だが、お前が気にすることはない。使うべき時にこそ使うのが切り札じゃないのか?」
刹那は軽く援護を頼む、と言うと中間棲姫に突撃する。途中、中間棲姫の艦載機や戦艦、重巡に砲撃に遭うが、ヒイロやアリス、赤城や加賀達の艦載機が刹那の突撃を援護する。
残像を出しながら中間棲姫にたどり着いた刹那は中間棲姫の殻のような外装に斬りかかる。
刹那の爆発的な加速力とGNソードIIIの鋭い切れ味が相まって、紙のように外装が断ち切られる。
中間棲姫は反撃で近接攻撃を仕掛けるが、刹那が素早く反応し、後退する。
その後も刹那にヒットアンドアウェイを繰り返され、中間棲姫は表情を歪める。
「すごい・・・。あんな速さでの戦闘、見たことない・・。」
蒼龍がそう呟いた。飛龍も同じように刹那の戦闘を見守っていた。
刹那のヒットアンドアウェイが5回ほど繰り返されたのち、ついに刹那が決めにかかった。
腰部についてある『GNビームサーベル』を左手で掴むと、ナイフ投げの容量で中間棲姫に投擲する。正確に投げられたサーベルに中間棲姫は反応することが出来ずに肩部に突き刺さる。肉が焼き切られるような感覚に中間棲姫の表情が再び歪む。
続けて刹那はGNソードⅡを一振り取り出して、GNソードIIIとの二刀流で斬りかかる。さながら剣舞のような機動で中間棲姫の躰に傷をつけてゆき、最後に剣をクロスさせて斬り抜けた。
少し、傷に悶える様子を見せた中間棲姫は再び、爆炎の中に消えた。
それを見届けた刹那は膝をついた。
「刹那!?大丈夫!?」
「・・・問題ない、と言いたいが・・・」
ヒイロが心配しながら駆け寄ると刹那は気恥ずかしそうな表情を見せる。
不思議に思った瞬間、ヒイロの耳にかすかに音が響いた。
それは、腹が減った時に鳴る空腹の音。
「何か、食べるものはないか?それと、体への負担が想像以上に厳しい。」
「でしたら、肩貸しましょうか?」
そう声をかけたアリスの好意に素直に答え、肩を借りる刹那。
「まぁ、帰ったらいっぱい食べましょう。一週間ほど近くかかりますが。」
ヒイロの言葉を聞くと、刹那はわずかにしょんぼりした顔をする。
と、同時に艦娘達が駆け寄ってきた。主に駆逐艦に囲まれ、ヒイロ達は困った顔をする。
その様子を赤城は微笑ましい表情で見ていた。しかしーー
「赤城さん。アリューシャン列島方面の艦隊から連絡です。」
「っ!?内容は!?」
気がかりになっていたアリューシャン列島方面からの連絡に赤城は急かすような声で加賀に聞く。
「向こうも無事任務を完遂したそうよ。だけど・・」
「だけど・・?どうしたの?」
加賀の不安感溢れる表情に赤城の頭の中で悪い予感が流れ出す。
「敵の部隊は想像より遥かに少なかったみたいです。さながら、基地を放棄したようだったと。」
「っ・・・!?ヒイロさん!!」
報告に顔を顰めた赤城はヒイロを呼んだ。びっくりした駆逐艦達を押しのけてヒイロは赤城の元に駆け寄る。
「どうしましたか!?」
「アリューシャン列島方面から連絡が入りました。向こうも敵の数が少なかった、だそうです。」
ヒイロは報告を聞き、すぐさま思考の海に入った。
(敵の数はこちらも、アリューシャン列島の方も想定より少なかった・・。
でも中間棲姫の強さは別格、なら、ここの指揮官は中間棲姫で間違いはない。)
だったらーー
「ね、ねぇ、赤城さん、どういうこと!?」
「あれで終わりじゃなかったの!?」
事情を知らない二航戦の二人が困惑した表情で詰め寄る。
「ヒイロさん、これは・・・やはり・・・。」
「ええ、おそらく、というかやはり我々の作戦は敵に筒抜けだったようです。いえ、もっと正確に言うなら、本能的に避けた、と言った具合でしょう。」
ヒイロの言葉に艦隊の皆に驚愕の表情が走る。
「ホ、ホワッツ!?い、一体どういうことデスか!?」
「つ、筒抜けって、どうしてですか!?」
金剛、榛名を筆頭に再び詰め寄られる。が、先ほどとは真逆の表情を挙げられている。
「まず、これを説明するには深海棲艦の本質について知っていなければなりません。」
「本質・・・?怨念ってこと・・・ですよね?」
メガネをかけた金剛型の霧島がそう答えると、ヒイロは頷き、話を進める。
「怨念・・というのは言い換えれば、記憶。恨み、妬みの記憶です。我々は今回、1924年6月5日、つまり、赤城さん達がまだ艦艇だったころのミッドウェー海戦をそのまま繰り返しを行ったのです。姿形、状況は違えど、やっていることは一緒。これにもし、当時の兵士の記憶が、深海棲艦にあったとしたら、どうするでしょうか?」
そとまで言ったところで艦隊のみんなハッとした。
「絶対に、避けようとします・・!!」
吹雪が皆の声を代弁するように言った。その事実に息を飲んだ。
「じゃ、じゃあ、今、私たちが倒した敵艦隊は・・?」
「・・・これ以上は仮説の域を出ませんが・・。おそらく、アリューシャン列島にいた艦隊かと。私たちは出し抜くつもりが逆に出し抜かれた訳です。」
比叡が絞り出した質問にヒイロは事実を突きつけた。
「な、なら、ミッドウェーにいた敵艦隊はどこに!?も、もしかして私たちを取り囲むつもりじゃ・・!!」
「いえ、その可能性は低いかと。」
慌てふためいた様子の蒼龍をヒイロは鋭い声で否定する。
「彼女らは我々の首を取りに行ったのでしょう。」
首、という表現に艦娘達は疑問の念が生じた。
ヒイロは正直、自分で言っておきながら、深海棲艦の戦力を過小評価してしまった。
情けない、と心の中で悪態を吐くが、もう遅い。あとは鎮守府に残したアムロ達に任せる他はない。
「敵は横須賀鎮守府、および大本営に対し、奇襲を仕掛けるつもりです。」
(できることはしたつもりです・・・。あとは頼みます・・!!)
ヒイロはもう、そう願うしかなかった。
同時刻、横須賀鎮守府では警報が発令されていた。
鎮守府近海を警戒していた艦隊が深海棲艦の大部隊を確認したとの通達が入った。
あらかじめヒイロから聞いていた提督は慌てふためく様子も見せずに大淀に警報を発令。全艦娘に出撃命令を出した。
作業は迅速に進み、あと少しで準備が整うところで敵の艦載機が見えてしまった。
その艦載機群を確認したアムロ達はすぐさま鎮守府から飛び立った。
「くそ、やはりヒイロの予想は当たったか!!提督、あとどれほどで出撃準備を整えられる!?」
『どう頑張っても5分はかかる!!すまないが持ちこたえてくれ!!」
「あの量を四人で、しかも五分も・・!?」
キラは鎮守府の正面海域に広がる深海棲艦を見て絶句する。
その量はさながら黒い霧、そう言っても過言ではないほどの深海棲艦の艦艇と艦載機がいた。
「やるしかないんだろ!?やってやるさ!!」
「こっちだって、むざむざやれるつもりはねぇ!!それにこの先にはアイツらが、天龍達がいるんだ!!」
ハイネとガロードは気合十分といった具合だ。
アムロは一度息を整え、声を張り上げる。
「各機、無茶はするな。私たちがやるのは時間稼ぎだ。艦載機を優先的に狙え。
行くぞ!!」
『了解!!!』
アムロ達はブースターを蒸し、絶望へと立ち向かう。
今回も楽しんで頂ければ幸いです、