自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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「何か、嫌な予感がします・・・。」

慌ただしい様子の鎮守府内で呟いた。
その不安はだんだんと大きくなり、無視できないレベルになっていた。
それは具体的に言うとここで動かなければ、一生後悔する。そのような感じだ。
居ても立っても居られなくり思わず仕事を放り出して走り出した。



第23話 魔の5分間

鎮守府に迫り来る敵艦載機の数はおよそ300。

単純計算で一人あたり75機を担当しなければならない。それに時間が経つにつれ、敵艦隊からの砲撃も加わる。戦力は絶望的だ。

だが、それで止まるアムロ達ではない。

 

そろそろ有効射程内に入るところでハイネがやってみたいことがあるといって、先行する。

ハイネは背部バックパックから折りたたまれていた長距離ビーム砲を構え、狙いを済ます。

 

(単発モードから照射モードへ切り替えて・・!!)

 

放たれたビームは艦載機を消し飛ばす。しかし、ビームは砲口から依然出されたままだ。艦載機がビームから逃げようと回避運動を取ろうとした。

 

「逃すかよ!!これでぇぇぇーー!!!」

 

ハイネがビーム砲を横に向けるとそれにつられてビームも艦載機を薙ぎ払うように動く。たくさんの艦載機を落としたが、横に広がっていた艦載機群はさらに迫り来る。

 

「ターゲット、マルチロック・・!!ハイネ、撃ち漏らしはこっちに任せて!!」

 

キラがバラエーナ・プラズマビーム砲やクスフィアスレール砲、ルプスビームライフルの計五つの砲門が撃ち漏らした多数の艦載機を撃墜する。

アムロとガロードも続いてビームライフルとDX専用バスターライフルを連射する。

 

「ガロード、一機ずつではなくある程度まとめて撃ってくれ!!」

「わかってるっ!!」

 

一発につき数機を巻き込みながら次々と撃ち落として行く。

このままのペースでいけば持ちこたえられかもしれない。そう思い始めた瞬間。

 

遠くから何かが光った。次に聞こえたのは主砲など放つ時に生じる爆音。

 

「っ!?もう射程圏内に入ったのか!?」

 

降り注ぐ砲弾を避けながらも艦載機を撃ち落とすアムロ達、しかし、そのペースは格段に落ちてしまった。明らかに鎮守府に届いていない様子を見て、キラが気づく。

 

「こ、これ、もしかして、僕たちの邪魔をするため・・!?」

「くっそーっ!!やらせてたまるかぁーー!!!」

 

ハイネは声を荒げながら背部のヴォアチュール・リミュエールを展開しながら最大稼働で敵艦載機を叩き落とす。そのスピードは残像が見えて来るほど。しかし、

 

「ハイネ、迂闊に離れるな!!フォローができなくなる!!」

「絶対に・・!!通してたまるかぁぁぁ!!!」

 

アムロの声に聴く耳を持たずハイネはペースを落とすことなく長距離ビーム砲やビームライフルで撃墜して行く。ハイネはアロンダイトを取り出し艦載機を斬り裂いたり、肩部からフラッシュエッジ2を手に取り、投げた。投げられたフラッシュエッジ2はブーメランのように回転し、複数の艦載機を真っ二つにする。

アムロ達はハイネのカバーに入ろうとするが主砲や敵の艦戦で身動きが思うように取れない。

 

「くっ!!行け、フィン・ファンネル!!」

 

アムロが背部ウイングから六つ全てのファンネルを射出する。

 

「落とすんだ!!」

 

アムロの呼びかけに答えるようにファンネルが縦横無尽に動き回り、ビームを放つ。

放たれたビームは次々と艦載機を撃墜して行く。

アムロ自身もフィン・ファンネルを動かしながら艦載機をビームライフルで撃ち落としていく。

 

「おい、あとどれくらいだ!?」

「あと1分です!!提督、そちらの準備は!?」

『みんな全力で取り掛かっている!!あともう少しだ!!耐えてくれ!!』

 

ガロードの確認にキラと提督が答える。やはり戦力は足りても物量が圧倒的に足りないためじわじわと防衛線を下げざるをえないのが現実であった。

だが、提督が指定した五分まで残り30秒。艦娘達が出撃するためのハッチが開かれる。

 

「アムロ!!ハッチが開いた!!」

「いけるかっ!?よし、みんなもう一息だ!!持ちこたえるんだ!!」

 

アムロ達は最後の踏ん張りだと言わんばかりに艦載機を怒涛の勢いで落としていく。

しかし、ここでアクシデントが発生する。最初に気づいたのはキラだ。

 

「っ!?ハイネ!!」

 

キラがハイネに向けて叫んだ。ハイネに敵艦載機が爆弾を引っさげて迫っていた。普通であれば特に気にする必要がないためハイネは疑問の表情をあげていたが、アムロとガロードはハイネの変わりように驚いた。

 

「か、髪が灰色に・・・!?」

「ど、どうしちまったんだ!?」

 

ハイネの髪が灰色に変色していたのだ。アムロとガロードは突然のことに反応出来ずにいたが、キラは違った。なぜなら、知っていたのだ。その現象を。

 

(あれはおそらく、フェイズシフトダウン・・・!!エネルギーの使いすぎで装甲にエネルギーが回らなくなったんだ!!)

 

フェイズシフトは実弾にとても強い耐性を持つがそれはちゃんと機能が働いていればの話だ。機能が動いていなければフェイズシフトはほとんど普通の装甲と大差ない。つまりーー

 

(今のハイネに、爆弾とか当たったら・・・!!)

 

思えば、ハイネは最大稼働の状態で出力の大きい長距離ビーム砲を乱射にも等しい頻度で使用していた。自分がある程度注意しておけば・・・そんな後悔がキラの胸の内に出るが、もうどうしようもできない。自分の今の状態に気づいたのかはわからないがハイネは回避運動をしようとしていた。

しかし、エネルギーが残りわずかなのか思うように動かない体に苦悶の表情をあげた。

 

「ハイネェーーー!!!」

 

爆弾が落とされ、ハイネの周囲で爆発が起こった。

アムロとガロードが心配した面持ちで見守る。

爆煙が晴れてくると、キラがハイネの前で盾を構えていた。間に合った証拠にハイネが無傷でキラの後ろにいた。

だが、ほっとするのもつかの間、アムロがあることに気づいてしまった。

 

「キラ!!後ろだ!!一機、突破した!!」

 

アムロの言葉に後ろを振り向いたキラは魚雷を落とすコースに入っている艦載機を見つける。

 

「ク・・ッ!!?間に合えぇーー!!」

 

ビームライフルを放ち、艦載機を撃ち落とす。しかし、キラの叫びは虚しく、魚雷が落とされ、開かれたハッチに向かう。続けてビームを放つが水中ではビームが減衰してしまい、魚雷を破壊することができない。

 

魚雷はそのままハッチに吸い込まれ、大爆発を起こしてしまった。

その爆発をアムロ達はただ見つめるしかなかった。

 

 

時間は少し巻き戻り、横須賀鎮守府内のハッチ。

 

そこでは、艦娘達が今まさに出撃しようとしていた。その中には如月や睦月もいた。

 

「うう・・まさか深海棲艦がここまで入ってくるなんて・・・。アムロさん達が踏ん張っているらしいけど・・早く援護に向かわなきゃ・・。」

「ダメよ、睦月ちゃん。確かに早く援護に行きたいけどここで私達二人が出てもアムロさん達の邪魔になるだけだわ。それに見えるでしょ?外の様子。」

 

睦月が開かれたハッチを見ると、アムロ達が必死に艦載機を落としている様子が見えた。敵艦の砲撃による水柱も見えた。しかし、逆を言えば、吹雪に聞いただけでしかないが、とても強いアムロ達でもかなり押されている、ということでもある。

 

「にゃしい・・・。如月ちゃんの言う通りだね・・。みんなはまだなのかにゃ?」

「やっぱり、準備には何事も時間がかかるものよ。でも、そろそろだと思うけど・・。」

 

既に準備を終えていた睦月と如月、その他数名が今か今かと待ちわびている時、

誰かが叫んだ。

 

「っ!?魚雷だよ!!みんな離れて!!」

 

叫んだのは白露型一番艦の白露だった。しかし、突然のことにハッチに近かった者たちは動くことができなかった。如月が思わず目を瞑り、大爆発が起こった。

 

「う・・・うう・・?あれ、生きてる?って、如月ちゃん!?どこに行ったの!?」

 

爆風で吹き飛ばされた睦月がぶつけた頭をさすり、如月を探すと、呆然と立っている如月が目に入った。思わず駆け寄り無事かどうかを確認する。

結論からすれば彼女はしっかりと生きていた。しかし、なぜか嬉しそうに爆風を見つめていた。

気になった睦月が爆風を見つめると、爆風の中に人影があるのに気づいた。

 

「また、あなたに助けられてしまいましたね。」

 




今回も楽しんで頂ければ幸いです。
それと最近新生活が始まり投稿スピードがただでさえ不定期なのにさらに不定期なると思います。
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