自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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推奨BGM『UNICORN』


第24話 絶望、再来

「また、あなたに助けられてしまいましたね・・。フェネクスさん。」

 

爆煙が晴れるとそこには如月をウェーク島周辺海域で艦載機から守ったようにアームドアーマーXCを前面に構えたフェネクスがいた。

 

「・・・私、本当は分かっていたんです。自分がニュータイプだってことは。」

「フェネクスさん・・・?」

 

独白のような口ぶりのフェネクスに如月は疑問の表情を浮かべる。

 

「だから、いつNT-Dが発動するか分からなくて、逃げていたんです。また私のせいで・・あの時の、『バンシィ』と闘った時のパイロットのように誰かが死ぬのを見るのは、嫌だったから。でも!!」

 

一瞬、悲しい表情をするが、それはすぐさま決意を固めた目に変わる。

 

「それでも!!仲間が傷ついていく様子を見るのは、もっと嫌だッ!!」

 

「人は変わる・・・!!変わることができる・・!!だから・・・!!」

 

刹那に言われた言葉を口で繰り返しながら、フェネクスはついに変革の道を歩む。

 

「私に力を貸して!!お願い!!」

 

直後、フェネクスの装甲が展開し、蒼く輝くサイコ・フレームが現れる。

 

「こ、これ、あの時の・・!?フェネクスさん!!」

「え、え、な、なにあれ!?」

 

状況についていけてない睦月を置いといて如月はフェネクスに心配するような声をあげる。またあの時のように獣のような戦いぶりをされたらひとたまりもない。

祈るような視線でデストロイモードとなったフェネクスを見つめる。

 

「フェネクス・ベルナル・・!!ユニコーンガンダム3号機、行きます!!」

 

目から光は相変わらず見えないがそれでも感じる熱意を纏い、フェネクスはハッチから出撃していった。

 

「フェネクスさん・・・!!」

「如月!!無事か!?」

 

嬉しそうな視線でフェネクスを見つめていた如月に爆発音が聞こえたのか長門が駆け寄ってくる。

 

「ええ、何とか大丈夫です。魚雷もフェネクスさんが落としてくれましたから。」

「フェネクスが・・?まぁ、いい。ハッチは無事なようだな。ほかの面々もか?」

 

長門が辺りを見回し、負傷者がいないことを確認するとほっとした表情浮かべる。

 

「よし。なら出撃だ!!アムロ達が稼いだ時間、無駄にするな!!全艦娘、出撃!!」

『了解!!!』

 

長門が声を張り上げると、鎮守府に残っていた艦娘達が気合の入った声をあげる。反撃の狼煙が今上がった。

 

「ハッチはどうなったんだ・・!?」

 

一方、アムロ達は外でハッチの様子をうかがっていた。爆炎がハッチから上がり、悔しさをにじませるアムロだったが、

 

「・・・?この感覚・・・まさか!?」

 

アムロが何かを感じ取った瞬間、爆炎を切り開いてフェネクスが出てきた。

 

「フェネクスか!?その姿は一体・・・!?」

「話は後です!私も戦います!!」

「それはいいけど、ハッチは!?」

『こちら長門だ。ハッチは幾分かの損傷は受けたが出撃にはさしたる影響はない。艦載機はこちらに任せて、アムロ達は敵艦隊の中枢を叩いてくれ。』

 

キラがハッチを気にする発言の直後長門からの無事を伝える通信にアムロ達は安堵の表情を浮かべる。

 

「任せていいんだな?長門。」

『ふっ、愚問だな。ビックセブンの力、侮るなよ。』

 

長門達、鎮守府に残っていた艦娘の出撃を確認すると、キラを肩に担いでいたハイネに声をかける。ハイネの様子は息が絶え絶えで疲労からか目にも覇気が感じられなくなっていた。

 

「ハイネ、君は一度下がった方がいいよ。」

「なぁ・・・これ、どうなってんだ・・?」

「それは、根本的にエネルギー不足だよ。しばらく休めば戻ると思うけど、無理は禁物。これからはもう少しエネルギーに気を使ってね。」

「・・・悪い・・・こんな肝心な時に・・。」

「大丈夫です。先も言いましたけど、私も戦います。任せてください。」

「へへっ、言うようになったじゃねぇか・・。じゃ、頼むわ・・。」

 

フェネクスにそう言うとハイネはキラから離れて、一人で鎮守府へ戻っていった。

 

「よし、仕掛けるぞ!!反撃開始だ!!」

 

アムロが先頭に立ち、砲撃や艦載機が入り乱れる戦場へと進む。守る目標を艦娘達に任せたアムロ達に艦載機の攻撃は当たることはない。互いに互いを援護しながらただ一直線に敵の中枢へと突入する。

 

「そこっ!!外さない!!」

 

フェネクスがビーム・マグナムを放つ。紫電を纏ったビームは戦艦ル級をまとめて三隻ほど貫いた。そのほか、近くにいた複数隻にも大ダメージを与える。

 

「フィン・ファンネル!!」

 

エネルギーがチャージされたのを確認して再びフィン・ファンネルを6機すべて展開するアムロ。だが敵には向かわせず、代わりにビームライフルの銃口のまわりに円を描くように滞空させた。

 

「今思いついたことだが、この威力なら・・・!!」

 

ビームライフルのトリガーを引くと同時にファンネルのビームも発射する。

七本のビームは一本にまとまり、敵艦隊に風穴を開ける。

 

「二隻・・・!?でも、やるしかない!!」

 

キラは二隻並んで砲撃を行なっているル級に目をつける。キラに気づいたル級は対空砲火を行うがキラは上半身を晒して避け、一気に懐に入り込み、ビームサーベルでル級を斬りつける。その後、瞬時にル級の体を蹴りつけ、その反動で離脱する。

 

「そっこだぁぁぁ!!」

 

蹴られたル級は態勢を崩し、隣にいたル級にぶつかる。その隙に背後に回ったガロードがハイパービームソードで一気に串刺しにする。キラはガロードに礼を言おうとしたが、ガロードが何やら思考に耽っている表情を見せた。

 

「ガロード?大丈夫?」

「えっ、あ、悪い。次行こうぜ。」

 

ガロードは我に返ったような反応をすると、逃げるようにその場を後にした。

 

「どうしたんだろう・・。って、そんなこと考えてると場合じゃない・・!!」

 

気にはなったキラだったが、戦場の中で突っ立てるわけには行かないため、ガロードの後を追うようにブースターを蒸した。

 

(・・・・大丈夫・・・だよな・・・?)

 

ガロードは感じたことのない不安を感じていた。その理由は戦う直前に見えたビジョンとも取れる映像。最初はわずかに感じる程度だったが、今になってはかなり鮮明になって来ている。その内容は、燃えている鎮守府で呆然としている自分、その場にはアムロ達の姿すらない。文字通りの全滅。

 

(なんなんだよ・・・。このビジョン・・。)

 

不安に苛まれながらもビームソードで深海棲艦を斬り裂いていく。

 

「ううっ・・・さすがにこの数は・・!!」

 

フェネクスはビーム・トンファーで深海棲艦を倒していたが物量に押されて始めていた。

 

「向こうに攻撃が向かないだけマシだが、完全にこちらを落としに来てるな・・・。」

 

深海棲艦の攻撃を避けながら、カウンターで倒していくアムロだが、顔には疲れの表情を浮かべ始めていた。そろそろ限界か・・・?そう考え始めたその時。

 

深海棲艦が突如爆発を起こし、海の底へと沈んでいった。

何事かと思うと、アムロの後ろから声が響く。

 

「各艦、敵の艦隊に攻撃を集中させろ!!」

 

そこには長門含めて横須賀鎮守府の艦娘達がいた。砲門の口から煙が上がっているということは、今の砲撃は彼女たちから発射されたものだろう。

 

続けて、上空を飛んでいた飛行隊が長門たちの砲撃による傷ついた深海棲艦に魚雷や爆弾を仕掛ける。深海棲艦は満足な回避行動も取れずに魚雷や爆弾が命中し、海に沈んでいった。

 

「あれは・・・瑞鶴や翔鶴の航空隊か・・?なら・・・。」

 

アムロは周りを見渡すと今まで周囲を飛んでいた敵の艦載機群がほとんどいなくなっているのが確認できた。

 

「制空権なら、取ったわよ。といってもアムロ達が頑張ってなきゃ難しかったと思うけどね。」

「制空権は確保できたか・・・なら後は敵艦隊を撃破するだけか。」

 

アムロに近づいてきた瑞鶴の言葉でアムロはとりあえず笑みを浮かべる。

少しずつであるが状況が好転してきたからだ。

 

「ええ。でも、さすがにあの数はみんなでかかっても骨が折れるわ。・・・改めて思ったけど、よく持ちこたえたわね。」

「・・・・文字通り、かなり骨が折れた。少しでも鎮守府に砲火が向いたら終わりだったからな。」

「それにまだ100はいるわよ。まだまだ、骨が折れるわね。でも、アンタ達と一緒ならどうにかなる。そんな気がする。」

「・・・冗談はよしてくれ。私にあの勢力差を覆す力はない。買いかぶりすぎだ。」

「でも、覆す努力はしてくれるでしょ?アンタ達なら。」

 

瑞鶴にそう言われ、アムロはため息を一つついた。

 

「そうだな。私一人ではどうにもならないが。みんなでやればどうにかなるかも・・・いや、してみせるさ。」

 

アムロは再びブースターを蒸し、深海棲艦にビームライフルを撃つ。ビームライフルに当たった深海棲艦は当たった箇所に大きな穴を開けられ、爆発する。

 

「HI-νガンダムは、伊達ではないッ!!!」

 

次々と深海棲艦を倒していく姿を見ている瑞鶴は気合の入った表情を浮かべる。

 

「いくらアムロ達が強くたって、私だって負けてられない!!航空隊、発艦して!!」

 

瑞鶴は航空隊を発艦させ、艦隊と合流する。その時、若干、長門に咎められたが状況が状況なので特にお咎めはなかった。

 

艦娘達の合流で再び勢いを取り戻したアムロ達は艦娘達と協力して深海棲艦達を打ち倒していく。深海棲艦が確実に数を減らしていき、皆に希望が見え始めた時、怪訝な表情を挙げている者がいた。

 

「・・・なんか妙じゃないか?」

 

鎮守府に戻っていたハイネだった。エネルギーが戻ってきたのかその髪色は元のオレンジ色に戻りかけていた。

 

「妙・・・とは、どういうことだ?」

「えっと、提督はヒイロから深海棲艦がカウンターを仕掛けてくるってのは聞いてるだろ?」

 

隣に立っていた提督がそう呟いたハイネに問うと、そう言われ、提督は頷く。

 

「ああ、事実、その可能性を考慮した結果こうして彼女たちは戦っている。ヒイロには礼を尽くしても尽くしきれないよ。もし彼女からの進言がなかったら今頃、ここは火の海だっただろう。」

「それに関してなんだが、指揮できる奴って、基本的に本隊に組み込むよな。」

「ああ、やられては部隊が混乱してしまうからな。」

「・・・それと深海棲艦で指揮できる奴って姫級、鬼級なんだろ?基本的に。」

「・・・ああ。そうだ。」

 

提督がそういうとハイネは青い顔して戦闘を見つめる。気になった提督がハイネの様子を見て、少し焦りを含んだ質問をする。

 

「お、おい、何か不味いものを見つけたのか!?」

「見つけたんじゃなくて、見つからねぇんだよ・・。」

 

ハイネは戦慄した表情で提督に語りかける。

 

「指揮ができそうな、姫級や鬼級が見つからねえんだよ・・・!!」

 

ハイネの言葉に提督が目を見開いた瞬間、鎮守府の敷地内で爆発が起こった。

 

「な、なんだ!?何が起こった!?」

「そんな・・クソ!!深海棲艦の戦力って、どんだけあるんだよ!!」

 

ハイネが見つめる先はアムロ達が戦っている海域とはまた別の方向、そこに再び現れる黒い霧とも表現できるほどの艦載機群。

 

「アイツら・・・もう一隊、用意してやがった!!しかも最初の部隊の頭数はそんなに変わんねえと来たぞ!!」

「ば、馬鹿な!!まだ潜んでいたのか!?」

 

提督はありえないといった表情をする。しかし現実は現実、深海棲艦は事実としてそこにいる。もはやどうしようもできない。艦娘やアムロ達も疲労困憊である。迫り来る絶望に誰もが諦めかけたその時、

 

 

「へへっ、なんだよ。こんなあからさまな選択肢、決まってんじゃんーー。」

 

「みんなで生き残った方が、断然いいに決まってるーー!!!」

 




今回も楽しんで頂ければ幸いです。
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