自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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第31話 初めての建造、初めての外国

工廠に入ると、ハイネの言った通り、ガロードと明石のそばにイージス艦に積まれているタイプのミサイルが置いてあった。形は筒状のものが四つほど斜めに傾けられて台座に取り付けられている。

 

「この形状だと、ハープーンですね。とは言うもの、CIC(戦闘指揮場)かイージス艦の艦娘が来てくれないと運用ができないので、宝の持ち腐れですね。」

「あー、やっぱそうなる?」

 

ガロードも薄々そう思っていたようだ。明石に倉庫に置いておくように頼んで、先ほどのヒイロの仮説をガロードに伝える。

 

「へー、成る程な。ま、たしかに少なくともイージス艦が使われていた時代よりは後に作られただろうし、あながち嘘でもなさそうだな。」

「はい、その仮説をもう少し、試してみることにして、大型建造を回します。」

「スッゲェ大きく出たな・・・。大丈夫だよな?」

「二回だけですから。資材も支給してもらったものが五万ほどありますし。」

「あれ、最低値が1500だったぞ。少し見せてもらったけどよ。」

 

明石がハープーンを倉庫に運びに行ってしまったため、代わりにガロードが建造用のコンソールを操作する。一度に建造できるのは二隻であるが、資材を使う量を示すメーターがガロードの説明とは違い、最低値がそれぞれ30だ。

 

「あれ、数値が小さいですね・・・。」

「それは普通の建造だからな。大型建造はこっち。」

 

ガロードがコンソールに表示されてあった『大型建造』のマークを押すと、メーターの表示が切り替わり、メーターがガロードの言う通り、1500を表示していた。

 

「なるほど・・・。これ、逆に最大値は幾つなんですか?」

「あー、そっちは見てない。メーターをあげてみたらどうだ?」

 

そう促され、適当にメーターをあげていくと、数字は6000で止まった。

 

「どうやら、それが最大値のようだな。」

「あ、これ結構細かい・・。一桁まで入力できる。」

 

ヒイロが操作に慣れるために色々といじっているとハイネがふと疑問に思ったことを言う。

 

「なぁ。これって建造される艦娘は完全にランダムなのか?」

 

そう聞かれたガロードはうーん、と首を傾げながらも答える。

 

「さぁな。でもよ、ハイネの言った通りだと数値化する意味がねぇから、ある程度は指定できるんじゃねぇか?例えば資材を多く使えば、戦艦とか空母が出やすいとか。」

「確かに。言われてみればそうだな。どうするんだ?ヒイロに任せるが。」

「空母を狙っていきましょうか。うちにはまだいませんし。」

 

ヒイロ達が建造について話している時、後ろで見ていた吹雪達は暇を持て余していた。

 

「初めての建造が大型建造って・・・。驚きを通り越して呆れるわ。」

「あはは・・・。まぁ、無駄遣いはしないんじゃないかな・・。」

「ん〜、しかも話しを聞く限り、狙うのは空母みたいだね〜。」

「空母と聞いてすぐ思い浮かぶのは・・、赤城さんか加賀さんの一航戦でしょうか?」

「飛龍さん蒼龍さんの二航戦かもしれないよ?」

「五航戦の二人もあるんわよ。まぁ、誰が出てきても構わないけど。」

 

呆れた、と言っておきながら叢雲も誰が建造されるか気になるようだ。

 

「ふっふっふっ・・。読みが甘いですな〜。」

「え、でも提督さんが空母狙うって言ってるし・・・。ねぇ?」

 

吹雪がそう言うと叢雲と五月雨もうなづく。その様子を見た漣はチッチッチッ、と指を振りながら答える。

 

「漣は戦艦が出てくると大穴で予想するよ。具体的に言うと長門さんあたり。」

 

「よし、じゃあ、これでやってみますか。」

「お、どうやらやるようだぜ。」

 

吹雪達の会話を眺めていた天龍が吹雪達に伝えるとヒイロの方に向き直る。

 

「それじゃあ、建造開始っと。」

 

ヒイロがコンソールに表示された『建造』の二文字を押すと妖精さんによって建造が始められる。さらにコンソールに時間が表示される。どうやら建造完了までの時間を指しているようだ。一つは8時間強。もう一つは7時間クラスだ。

 

「これ、結果はどうなんだ?」

「分からん。いかんせん、基準を知らないからな。」

「後は時間が過ぎるのを待つだけってところですか?」

 

ヒイロがそう言うとガロードは首を横に振った。

 

「高速建造のバーナーを使えばすぐ完成するらしいぜ。」

「高速修復材のようなものか?」

「そんな感じでいいと思うぜ。」

「それじゃあ、お願いします。いくつ使うんですか?」

「妖精さん曰く10個。大型だからか使う量が多いんだとよ。」

 

それをいわれ、ヒイロの顔は少し難しい顔になる。

 

「なるほど・・。利用は計画的に、と言うことですね。」

「ま、そういうこった。で、どうすんだ?」

 

ガロードが尋ねると、ヒイロは少し考える仕草をすると、近くにいた妖精さんにバーナーの使用をお願いした。頼まれた妖精さんはヒイロに敬礼をすると、どこから持ってきたかはわからないが妖精さんにサイズを合わせた火炎放射機のようなものを取り出し、文字通り焼き払った。

 

『!?』

 

初めてみた光景に目を奪われていると、今まで8時間近くを指していた建造時間が両方とも0になっていることに気づいた。

 

そして、艦娘が出てくるスペースから二つの人影が映し出される。

緊張した面持ちで望み、二人の艦娘を覆っていたベールが剥がされる。

 

一人は煌びやかな金髪をロングにした艦娘だ。服装は全体的に解放的。というか寒くないんですか?と思わず聞きたくなるレベルである。よーく見てみると目の中に星が見える。瞳孔どうなってるんですか?艤装は巨大の一言に尽きる。その巨大さに見合った砲門は彼女が戦艦であることを決定付けていた。

もう一人は先ほどの艦娘とは対照的にそれなりに服は着ている。亜麻色の髪を短くポニーテールにしており、濃紺の色のセーラー服のような服の上にグレーのワンピースをベルトで止めている。さらに首には救命浮き輪のようなものがかけられている。そして何より目を惹くのは手に持っている銃の艤装。横須賀の赤城と加賀が弓を射ることで艦載機を射出していたことを鑑みると、おそらく待望の空母だろう。

ここだけ言えば、完全勝利以外の何物でもない。

 

「Hi!! I am the Iowa class battle ship, Iowa!!

You are the admiral of this fleet,are not,you?So good!!

Nice to meet you!!」

 

「H i!!Essex class Aircraft carrier number five ,Intrepid!!

You are the admiral ,are not you?That's nice.

Well,let's go together!!Is it OK?」

 

彼女達が発音がバリバリネイティブ感が溢れ出る英語を話さなければ。

唐突だったためよく聞き取れなかったのもあって、吹雪達は揃って反応することができなかった。ただ、英語ということだけは理解できた。しかし、情報量が少なすぎたためどのみち何も反応を示すことができなかった。

 

何も反応が返ってこなかったことを疑問に思ったのか金髪の艦娘、アイオワが質問をする。

 

「HEY?What's happen?」

 

だが、英語である。吹雪達は敵国であったアメリカが話していた言語である英語を聞き取ることが出来ずにパニック状態に陥る。騒がなかったのは不幸中の幸いか。しかし、ヒイロ達は至って冷静だ。伊達に戦場を生き抜いてはいない。不測の事態にも迅速に対応する。

 

「誰か、英語はできるか?」

「無理。あの二人が言ってる言葉が英語だってのは分かるけどそれまでだ。」

「ハイネと同じく。何言ってか全然わかんねー。」

 

ハイネ、ガロードはいの一番にお手上げ状態を示す。アムロも聞き取れはするが会話はできない。頼みの綱はヒイロだけだが・・・。

 

*ここから先は『』内は英語で話しています。by作者

 

 

『え〜と、失礼。突然のことに反応に時間がかかってしまいました。』

 

どうやらヒイロは英語を話すことが出来るようだ。それを理解したアムロ達はこの場をヒイロに任せることにした。

 

『私がここ、佐世保鎮守府の提督、ヒイロ・ユイです。よろしく。』

 

ヒイロが握手を求めるとアイオワとイントレピッドは心地よく握手を返してくれた。

 

『よろしくね。でも・・・サセボってどこ?米国にそんな地名はなかった気がするけど・・。』

 

アイオワが困惑顔でヒイロに尋ねるとヒイロも困った顔をしながら答えた。

 

『その・・、大変言いにくいのですが、ここは日本です。アメリカではありません。』

 

ヒイロの言葉にアイオワとイントレピッドは驚愕顔をする。

 

『う、嘘!?そ、それじゃあ、そこの子達はジャパニーズ!?』

『ええ、そうです。それに貴方達と同じ艦娘です。』

『Oh・・my got・・・。』

 

アイオワとイントレピッドは信じられないと言った表情をしている。それをみたヒイロはある提案をする。

 

『でしたら、少し外を回ってみますか?申し訳ないのですが、現状、貴方がたを納得させるにはこれしか方法が思いつかないんです・・。』

 

ヒイロの提案に少し思案に耽るアイオワとイントレピッド、アムロ達はその様子を見守っている。

 

『そうね。よろしく頼むわ。』

『そう言ってくれてありがたいです。』

 

ヒイロはそういい、笑顔を浮かべる。会話が終わったと判断したのか、アムロが声をかける。

 

「どうだったんだ?」

「すみません。少し、鎮守府の外を回ってきます。彼女達、ここを日本だと思っていないそうなので。」

「そ、それで、彼女達は・・何者なんです?」

 

大淀が恐る恐る、尋ねる。それはその場に居合わせた吹雪達の総意でもあった。

 

「彼女らは・・・。ごめん、ちょっとまって。」

 

ヒイロはアイオワに英語で吹雪達に紹介していいかどうかを尋ねた。

答えは承諾。ヒイロは吹雪達にアイオワとイントレピッドの説明をした。

 

「アイオワさんとイントレピッドさん・・ですか。英語を話しているっていうことはやっぱり・・。」

「アメリカ艦ですね。それは間違えようのない事実です。」

 

それを聞いた吹雪達は難しい顔をする。無理もない。艦艇時代は敵同士だったのに、いきなり味方で仲良くしろと言われてもすぐにはできないのは分かりきっている。

 

「すみません。完全にこちらの不注意です。まさか、海外艦が出てくるとは・・。」

「・・・それはこっちだってお互い様よ。単なる好奇心でアンタの行為を見逃したんだから。」

「いや〜司令官はホントにとんでもない方ですなあ〜。ま、誰が来ても驚きはしないつもりだったんですけどね。まさかアメリカの艦娘が来るとは・・・。」

 

漣は乾いた笑いをあげながらも、特に気にすら様子は見られない。叢雲は止めなかった自分にも責任があると、お互い様ということにした。

 

「ま、まぁ、それほど悪い方々という訳でもなさそうですし・・。」

「提督はそれほど気にしなくても大丈夫です。」

「それよりもヒイロは彼女達を軽く案内してきたらどうだ?そちらの方が早急にしなければならないことだと思うぞ。」

「こっちはある程度任せておけよ。」

「ほら行った行った。」

 

アムロやハイネに促され、アイオワとイントレピッドを引き連れて、鎮守府の外に向かうヒイロ。

 

『ねぇ、よかったの?貴方、提督なんでしょ?」

『大丈夫ですよ。あの人達は色々こなせますからね。』

『信頼してるのね。』

 

「あれ?ヒイロ?見慣れない人がいるけど、彼女たちは・・?」

 

途中、キラと出会いアイオワとイントレピッドについて説明をする。

 

「アメリカ艦なんだね。となると話すのも基本英語なのかな?」

「そうですね。何か自己紹介するんでしたら、通訳しますよ?」

 

ヒイロが通訳を申し出るとキラはなら・・と前置きを置いて自己紹介をした。

 

『キラね。これからよろしくお願いね。アイオワよ。』

『イントレピッドよ。お世話になります。』

「えっと、ないすとぅーみーとぅー、でいいんだっけ?」

 

キラはたどたどしい英語を話しながらアイオワ達と握手をした。

 

「あ、ちょうどいいですね。キラ、刹那やフェネクス達にアイオワさん達について軽くでいいので説明を頼めますか?」

「分かったよ。面倒だもんね、いちいち説明するの。」

 

キラと別れた後、鎮守府を出たヒイロ達3人は商店街を巡り歩いていた。

アイオワとイントレピッドは辺りを見渡すが書かれているのは日本語ばかりで内容をほとんど理解することができない。

 

『・・・本当にニホンなのね。どこもかしこもジャパンの言葉で書かれているわ。』

『ホントね。聴こえてくるのもジャパンの言葉ばっかりね』

 

どうやらここが日本であることは理解してくれたようだ。ホッと息を吐きながら、どうするかと考えていると。

 

「ん?ヒイロ君じゃないか。こんな所で美人の女性を引っ掛けて何してるんだ?」

 

話しかけてきたのは佐世保の市長であった。しかし、服装はこの前出会った時はスーツで決めていたというのに、今はアロハシャツを着たラフな格好にヨーグルトソースをたんまりとかけられたケバブ片手にコーヒーを嗜んでいた。

 

「あれ、市長さん?何してるんですか。こんな所で。」

「何って、見ればわかるだろう。休憩だよ。休憩。」

 

日時は仕事をしている労働者であれば、まだ仕事をしている時間である。それは市長も例外ではない。ということはーー

 

「サボりですか?」

「美人二人を引き連れて歩いている君にはあまり言われたくないな・・・。」

「あいにく、これも立派な執務なので。」

 

そう言われると市長は話題をヒイロからアイオワ達に切り替えた。

 

「ところで、後ろの二人はアメリカの艦娘か?」

「・・・分かっちゃいますか?」

「そりゃあ英語を話しているのを見てしまえばな。それに彼女らは女性にしては身長が高い。外国人にはよくあることだ。そしてなによりーー」

 

市長は口調に力が入った声で、それでいながら静かに呟いた。

 

「胸の発育がよすぎるじゃないかーー。」

「セクハラで訴えますよ?」

「辛辣だな・・・。」

 

市長のすっごい失礼な発言をズバッと切り捨てるヒイロ。

市長は焦りもせずにコーヒーを啜る。

 

「まぁ、色々と大変だろうよ。様子を少し見てたが、彼女らはあまり、というか全く日本語が話せないようだしな。」

「・・・まぁ、そうですね。こちらに不測の事態が起きてしまったというか・・。」

「とりあえず、他人事のように聴こえてしまうかもしれないが、なんとかなるんじゃないか?」

「・・・年寄りの勘ですか?」

「そこは年の功と言ってもらいたいのだがな・・・。」

 

市長はケバブを食べ終わると最後にヒイロに言葉を発する。

 

「彼女たちの好きなようにやらせたらどうだ?それを寛大な心で受け止めてやるのが、提督、というか、上司の気構えってやつじゃないのか?」

 

市長は休憩は終わったのか、市役所へと戻っていった。

 

「好きなように、ですか・・・。」

 

ヒイロはアイオワ達に向き直る。ずっと待っていたのか若干不安気な顔をしていた。

 

『そうですね・・・。何か食べてみたいものとかあります?』

 

唐突な言葉に思わずキョトンとする二人、少し間を空けて口を開いた。

 

『じゃあ・・・、スシ?だったかしら、あれが食べてみたいわ。』

 

イントレピッドがスシを食べたいというとアイオワも賛同の声を上げる。

 

『いいわね!!スシ!!行きましょう!!」

 

(スシ・・・?スシ・・・。ああ、魚の切り身が米の上に乗っかっているものでしたね。)

 

ヒイロ自身、知識でしか知らない寿司。それらしき店を見つけると回っている店と回っていない店があったが、掲げられている旗を見て、回っている方を選んだが、そこは戦艦と空母、かなりの量を食べられ、費用はかさみ、ヒイロの財布は薄くなった。

 

 




今回も楽しんで頂ければ幸いです^_^
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