自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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第34話 カムラン半島にて Ⅱ

「航空隊、Make a sally(出撃)!!」

 

イントレピッドが弾丸を発射する。彗星、天山にイントレピッドが元々持っていた唯一の米軍機、『F6F-3』を含めた航空隊へと弾丸が姿を変えて、敵艦隊へ接近する。しかし、当然、空母がいるのであれば敵艦隊も航空隊を出してくるだろう。数はおよそ、イントレピッドが出した航空隊の二倍。向こうには空母が二隻いるため数の劣勢はどうしようもない。だからーー

 

「F6F-3!!敵の艦爆、および艦攻を最優先に!!Fihgter(艦戦)には構わないで!!」

 

イントレピッドが指示を飛ばす。F6F-3に搭乗している妖精さんはその通りに艦爆、艦攻を優先的に叩き、こちらへの被害をできる限り減らそうとする。しかし、敵の艦戦もむざむざと見逃すはずもなく、F6F-3の妨害に入る。

敵の艦戦がF6F-3に意識が向いた隙に彗星、天山共々、敵艦隊に攻撃を仕掛ける。

攻撃の矛先は、駆逐艦二隻と、戦艦ル級。しかし、敵の対空砲火により変に攻撃がばらけてしまい、駆逐艦二隻は大破どまり、戦艦に至っては直撃はしたものの、大したダメージは見当たらなかった。

 

「Shit!!ごめんなさい、倒し損ねてしまったわ・・。」

「むしろよくやった方よ。Good job!!」

 

しょぼくれるイントレピッドにアイオワがサムズアップをする。それを尻目にイントレピッドの航空隊を振り切った敵の艦載機が迫ってくる。

 

「敵艦載機、来ます!!」

「対空砲火よ!!Fire、Fire!!」

 

五月雨の報告にアイオワはすぐさま表情を切り替え、指示を飛ばす。主砲や機銃を駆使して弾幕を張る。その中で違和感を覚える者がいた。

 

「あれ・・・?」

 

疑問の表情を上げながら、ポツリと口を漏らしたのは吹雪だ。叢雲、漣、五月雨も同じような顔をしている。お互い顔を見合わせ、気になったことを述べる。

 

「なんか、遅く感じない?艦載機の動き。」

「う、うん。心なしか、だけど。」

 

吹雪の言葉に五月雨が同調の意を示す。

 

「それっ!!」

 

続けて、叢雲が主砲を放つ。放たれた砲弾は見事、空を飛ぶ艦載機に命中した。

 

「やっぱり、よく当たるわね。慣れて来たってことかしら?」

「慣れって、もしや、アムロさんのフィン・ファンネル?」

 

漣がそう言うと叢雲は頷いた。

 

「アムロは演習のとき、艦載機と同じ速さで動かしているように見せて、実は艦載機より速い速度でやってたのよ。」

「マジで?・・・いや、まぁ、それもそっか・・。それ以外理由が見つからなぇ・・。アムロさん、マジパネェ。」

 

漣がアムロに対し、畏敬の念を挙げていると叢雲が悔しそうな表情を挙げていることに気づく。

 

「ただーー」

「ただ、ってどしたー?叢雲さん。」

「アムロのフィン・ファンネルに一発も当てられてないっていうのがもどかしい・・!!」

 

叢雲はイライラを艦載機にぶつけるように主砲を放った。

吹雪達は叢雲の様子に乾いた笑いをしながら艦載機を撃ち落とす。

 

「アムロさん、割とスパルタなんだよね〜。」

 

艦載機を次々と撃ち落としていく吹雪達、その命中率はおよそ5割、しかし、これはあくまで個人のを集計したものである。実際はお互いに援護をすることでおおよそ全体で7割を保っている。

 

「・・・凌ぎきりました!!」

 

押し寄せる艦載機による攻撃をなんとか凌ぎ切った吹雪達。

すぐさまアイオワが砲撃、敵の空母を仕留めにかかる。

砲弾は見事命中したが、撃沈には至っていない。

 

「Unn・・中破にできただけでもよしと考えるべきね。」

「っ!?敵戦艦発砲!!」

 

五月雨の言葉に表情を硬ばらせるアイオワ。その直後、砲弾が着弾、あたりが水しぶきに包まれる。

 

「ウッ・・・スタートから至近弾って、中々ストロングな艦隊ね・・!!みんな、大丈夫!?」

 

水しぶきが収まった後、艦隊の無事を確認するアイオワ。どうやら全員、ダメージはなかったようだ。とりあえず、一安心する。

 

「OK。駆逐の皆は主砲、撃って!!」

「主砲、撃ちます!!当たって!!」

 

アイオワの指示で主砲を撃つ吹雪達。狙いは敵の駆逐艦。今度はしっかりと直撃したのか、直撃した駆逐艦は沈んでいった。

 

「駆逐艦二隻、撃沈確認しました!!」

「Niceよ!!イントレピッド、艦載機出せる?」

「換装は済んでるけど、いくらか落とされてるからピンポイントでやるけどいい?」

「OKよ。むしろそれでお願い!」

 

すぐさま艦載機を出撃させるイントレピッド、発艦した彗星と天山は一直線に敵艦隊へと飛び立つ。

目標は未だ無傷のもう片方の空母ヲ級。

彗星と天山は対空砲火を掻い潜り、爆弾と魚雷を落とす。

攻撃の結果はーー

 

「天山からsignal(通信)!!敵空母を大破させたわ!!」

「Excellent!!サイッコーよ!!イントレピッド!!」

「これで、実質残り三隻ですね。」

「But、油断はダメよ。向こうにはまだ無傷のBattle shipがいるんだから。」

「はい、分かっています。」

 

警戒するように注意深く敵のル級を見つめる五月雨。すると、敵の陣形が変わっているのに気づいた。

手負いの空母ヲ級二隻がル級の前に立っている、さながら壁のようである。だが、それと同時にーー

 

「囮ね。どうみたって。胸くそ悪いけどかなり合理的ね。」

 

叢雲が敵の陣形を見つめて悪態をつく。その目はかなり冷ややかになっている。

 

「それじゃあ、こうしまショ。まぁ、ベリーシンプルだけど、ね。」

 

 

「主砲、撃つわ!!Fireー!!」

 

アイオワが主砲を一斉に発射する。狙いは取り巻きの空母ヲ級二隻、砲弾は両方とも直撃、大爆発を起こして沈んでいった。

しかし、爆炎の中から覗いているのは、戦艦ル級の主砲である。狙いはアイオワ自身だろう。しかし、狙われているアイオワは至って冷静の様子だ。、

 

「Hun、まぁ、そうくるわよね。でもーー」

 

アイオワは軽く口角を上げる。それはさながらル級を鼻で笑っているかのようだった。

 

「遅かったわね。ザンネン♪」

 

同時にル級の足元でアイオワの主砲が着弾した時以上の爆発が起こる。

 

「魚雷、着弾しました!!」

 

吹雪がル級がどうなったか確認しようとするが、爆煙に包まれて、どうなったか判別することができない。

 

「んー、あれくらいの爆発だったら、さすがに沈んだんじゃない?」

 

漣が疲れた様子で爆煙を見つめる。

 

「ま、普通ならね。戦艦でもあの駆逐艦四隻分の魚雷を叩き込まれたら流石に沈むでしょ。」

 

叢雲も同調気味にいう。それにアイオワはーー

 

「Unn・・・どう思う?」

 

イントレピッドに尋ねることにした。尋ねられたイントレピッドは困惑顔をする。

 

「わ、私に聞くの?て、言われても・・ねぇ・・・!?」

 

何気なく見た爆煙の中に、気づいてしまった。わずかながらであるがル級の姿が爆煙の中から覗いていた。狙いはおそらく、駆逐艦の誰か。そう直感したイントレピッドは思わず吹雪達の前に躍り出た。

 

イントレピッドの突然の行動に驚いた表情を上げるアイオワ達。

飛んでくるであろう砲弾に思わず目を閉じた。

 

そして、聞こえてくるル級の主砲の爆音、ここでアイオワ達が気づいたが、もう遅い。放たれた砲弾はイントレピッドに着弾ーー

 

いつまで経っても来ない衝撃に恐る恐る目を開く。

爆煙の中にわずかに見えていたル級は見えなくなっていた。

 

「W・・What's ・・?何があったの・・?」

 

何があったのかわからないため困惑の表情をあげると空から見守っていたアリスが駆け下りてきた。

 

「危なかったです。数秒、発見が遅れていたら間に合いませんでした。」

「アリス・・?Youがやったの?」

「ええ、爆発の所為で視界が埋まってしまい移動していたところ、ちょうど爆煙の中から撃とうとしている敵戦艦を見つけまして。すぐに撃破に向かいました。」

 

アリスはイントレピッドからアイオワ達に目を向けると彼女らの申し訳なさ気な表情が目に入る。

 

「・・・今回は反省ですね。爆煙に包まれていたとはいえ、撃破したと高を括っていたのはいただけません。」

「う・・・反省します・・・。」

 

漣は顔をうつむかせた。最初に警戒を怠ったのは自分のため、責任を感じているのだろう。その様子にいたたまれない気持ちになったアリスは軽く漣の頭に手を乗せた。突然の状況にあまりついていけない漣。

 

「・・・ですが、今回はよしとしましょう。即座に対応できなかった私にも責任はあります。」

 

アリスは表情を和らげ、アイオワ達の艦隊は鎮守府への帰路に着くのだった。




今回も楽しんで頂ければ幸いです^_^
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