自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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よくある作戦前のブリーフィングのようなもの。 イメージするのはGジェネNEOかSEED。

「今回の作戦内容はアイアンボトム・サウンドに居座る敵深海棲艦群の掃討がメインとなります。前情報はほとんどありませんが、辛うじて確認できるのは圧倒的な装甲を誇る戦艦棲姫が二隻、そして、顔が吹雪ちゃんとよく似た姿を持つ深海棲艦、鬼級が姫級でしょうけど、おそらくその深海棲艦が敵の司令塔と思われます。さらに本作戦では横須賀、呉、そして、私達、佐世保鎮守府の三鎮守府合同での任務となります。ですが、数の優位では向こうの方が圧倒的です。囲まれないよう注意して下さい。
そして、何よりネックなのは過去の戦いの生存者が言っていた『化け物』の存在があります。事実かどうかはわかりませんが各員はこのことを留意しつつ戦闘を行って下さい。健闘を祈ります。


第36話 戦いを呼ぶ者

「イントレピッドさん、これを貴方に預けます。」

「What's !? Admiral、これは・・。」

「やはり、わかりますか。」

「え、ええ・・。一応最近まで船としての原型はあったから、コレがなんなのかはわかるわ。」

「コレは私達にとっての決戦兵器(リーサルウェポン)です。もし、私達MS隊が動けないと判断した時、躊躇なく使ってください。」

「・・・Sure。わかったわ。任せて。」

 

 

横須賀、呉の艦隊とのランデブーポイントに差し掛かるところ、アムロがハイネに対し、気になっていたことを聞いた。

 

「ハイネ、そういえば君のその兵装を展開するたびに手に装着されるものはなんだ?」

「ん?ああ、これ?ううん・・俺にもよくわかってないんだ。」

 

ハイネは自身の手を包むようになっている兵装の手を開いたり閉じたりする。

手のひらには何か丸い窪みのようなのが見られる。

 

「まぁ、仕方ねぇさ。俺には自分がMSだったころの記憶がねぇんだ。兵装に関する記憶がないのはむしろ当然だな。そこら辺は割り切ってやっていくしかねぇよ。」

「そうか、いつか思い出せるといいな。」

「ああ、そうだな。」

 

本人がそう思うなら、これ以上あれこれ言うわけにはいかない。そう思い、アムロはハイネの兵装に関する思考を打ち切った。

 

「そろそろ、各鎮守府の艦隊のランデブーポイントです。見えてくると思いますが、どうですか?」

 

ヒイロが艤装に乗らせてもらっている長門に問うと、長門は少し、目を凝らした。

 

「ああ、確認した。人数を確認する限り、私達が最後のようだ。」

「見えてきたならそれで構いません。さて、おおよそ一ヶ月ぶりですけど、元気ですかね?」

「むしろ、元気でなければこれからが不安だ。」

 

久しぶりの再会に自然と表情が緩むヒイロ。そのつぶやきに答えた刹那も心なしか表情が穏やかだ。

 

「こちら、佐世保鎮守府所属艦隊。艦娘12名、MS隊8名、計20名。ただいま到着しました。」

 

ヒイロが敬礼をして挨拶をすると、それについで長門達、全員が敬礼をする。

艦隊の代表としてなのか、番傘をさしたポニーテールの女性が敬礼を返した。

 

「横須賀鎮守府所属、連合艦隊旗艦、大和型一番艦、『大和』です。今回の作戦、よろしくお願いします。貴方がヒイロ・ユイ提督ですね。貴方がたの活躍ぶりは提督より兼ねて聞いています。」

 

そういい、大和は握手を求めてきた。それに対し、ヒイロは気恥ずかしいそうに頬をかいた。

 

「やれやれ、参ってしまいます・・。座りながらで申し訳ないけど、それでよろしいなら。」

 

いえ、構いませんよ、と大らかな笑顔で答えた大和はヒイロの手をとり握手を交わした。大和と握手を交わしている中少し視線を横に向けると、呉鎮守府の艦娘達が観察するような目でヒイロ達を見ているのが確認できた。

 

「改めて、ヒイロ・ユイです。よろしく。」

「本当に提督自身が出てきているのですね・・。」

 

呉艦隊の旗艦、扶桑がヒイロを物珍しそうに見つめる。

 

「まぁ、戦えるのならできる限り手は尽くすつもりです。」

 

一通り挨拶し終わった後、案の定というか、ヒイロ達もまぁ、そうなるな、と予想していたことが起こる。

 

「そういえば、後ろの金髪とちゃぱつのお二方はどなたですか?あまり見慣れないんですけど・・。」

 

アイオワとイントレピッドのことである。彼女達自身も予想はしていたのか驚いた様子は見せずにしょうがないといった表情を見せる。ヒイロは元々予想してたのもあったし、隠しても意味がないため普通に打ち明けることにした。

 

 

アイオワやイントレピッドといったアメリカ艦をヒイロが建造してしまったことは結論として、とても驚かれたが正直に話したためか、艦隊の理解を得ることができた。旗艦である大和は疲れた顔をしていたが、

 

「ほ、本当に規格外のことをするんですね・・。あの人達は・・。」

「ま、まぁ、それで私達も救われましたし・・。」

 

服装が改二ーーつまるところ、横須賀鎮守府の吹雪が大和に寄り添うように声をかける。

 

「吹雪ちゃん、お久しぶりです。」

「ヒイロさん!!はい!!お久しぶりです!!・・・えっと、アメリカ艦を建造したのは本当ですか?」

「なら聞いてみる?アイオワさーん。」

 

ヒイロがアイオワを呼び出すと、キラとハイネをを乗っけた状態で近づいてきた。

 

「Admiral?どうかしたの?」

「横須賀の吹雪ちゃんが君の英語を聴きたいって。」

「Oh、OKよ。Hello!!My name is Iowa。I'm a menber of Sasebo guardian office!!」

 

アイオワが久しぶりのネイティブ感溢れる英語で吹雪に話しかけると、ちんぷんかんぷんな表情を見せる。

 

「え、ああ、その・・。」

「ふふっ、そんなに慌てないで。Don't worry。日本語もAdmiralに教えてもらったからネ。」

 

吹雪が対応に困っている様子を見て、アイオワは笑いながら日本語で話す。

ヒイロが教えたという事実に吹雪は驚いた表情を上げた。

 

「ええ!?ヒイロさん、英語を話せるんですか!?」

「はい、できますよ。」

「す、すごい・・。」

「余談だけどよ。佐世保の艦娘らはそれなりには英語を話せるぞ。というか、ヒイロがほとんど教えた。」

「ぼくたちも例外なく教えられたね。」

 

キラとハイネの言葉に吹雪は再び驚いた表情にかえる。

 

「ということは、長門さんも・・?」

 

吹雪に視線を向けられた長門は若干視線を逸らしながら答えた。

 

「わ、私は少し物覚えが悪いほうでな・・。まだ簡単な会話しかできん・・。陸奥のやつは既に日常会話までこなしているがな。」

「ナガトも別に遅いわけじゃないわ。時間が経てばできるはずよ。Admiralの教えもVery goodだしネ。」

 

アイオワの言葉に長門は照れ臭くなるのだった。

 

36人の艦娘とヒイロ達8名、総勢44人の大艦隊がアイアンボトム・サウンドへと針路をとる。

 

海域を進めば進むほど、海は黒く染まってゆき、空は厚い雲に覆われていく。

ヒイロ達も艤装に乗っかって海風を楽しむのもやめ、空を飛んで警戒態勢を取っていた。

 

その中でヒイロは考え事をしていた。

 

「やはり、気になるのは件の『化け物』か?」

 

アムロが声をかけるとヒイロは不安気に頷いた。

 

「ええ、戦場には不確定要素が付き物ですが、この『化け物』はいわばその塊です。」

「内容によってはこちらが負ける可能性も孕んでいる、そういうことだな?」

 

刹那が確認の質問を取ると、ヒイロはこれにも頷いた。

すると、ヒイロ達、MSとしてのレーダーから警告が突如として、ヒイロ達の頭の中で鳴り響いた。

 

「ロックオン警報!?どういうことだ!?」

「分かりません!!ですが、これは・・。っ!?続けて、熱源反応を確認!!熱源、来ます!!」

 

アムロが声を荒げ、ヒイロが状況を伝える。咄嗟にガロード達がバラけるように避けると四つの赤い光を白く包んだようなビームがその場を通り抜けた。

 

「これは、キラとハイネが扱っているビーム!?」

『だ、大丈夫ですか!?今の光は一体・・!?』

「くっ!?いったい、どうして・・。」

 

刹那が気づいたことを述べる。無事の確認をする大和の通信をしり目にしつつ、キラがビームの飛んで来た方向を見つめる。

 

『電探に反応あり!!っても、なんだよこのでかさ!?航空機のでかさじゃねぇぞ!?』

 

続いて、横須賀の摩耶が、この前見たときと服装が変わっているが改二になったのだろうーー、自身の電探に映った反応の大きさを見て驚きの声をあげる。

ヒイロ達も目を凝らすようにビームが飛来してきた方角を見つめると、

 

「お、おい、ありゃあ、MA(モビルアーマー)じゃねぇか!?」

「あの大きさや形状を見る限り、そのようだな!!キラ、あのMA、知っているか!?」

 

ガロードの言葉に賛同しながらキラに質問をぶつける。キラは目を凝らしながら、ビームを放って来たと思われるMAを見つめる。装甲は薄い緑色をしていて、形状はまるでカニのような形をしている。手と思われる四つのアームからはビームの発射口のようなものが見られる。しかし、そもそも、キラ自身の記憶にはあれほど巨大なMAは見たことがない。

 

「そんなこと言われても僕にはあんな巨大な兵器、見たことないよ!!?」

「先手を打ちます!!ターゲット、敵MA・・!!」

 

キラの困惑の表情を見て、いち早く迎撃態勢を取ったヒイロはバスターライフルを構え、標準を敵MAに合わせる。

 

「攻撃、開始!!」

 

バスターライフルから閃光がほとばしる。一直線に敵MAに向かっていき飲み込むかと思われたその時ーー

 

バタバタバチッ!!

 

機体を前につんのめる形にした敵MAは上部にシールドのようなものを展開するとヒイロが放ったバスターライフルを防ぎきってしまった。

 

「・・・防がれた?」

「ビーム・シールドまで持っているのか!?」

『どうかしましたか!?』

 

ヒイロとアムロが敵の兵装に関して驚いている中

こちらの様子がおかしいことを察したのか、大和が通信をして来た。

 

「敵にこちらの兵装を防げるのがいる!厄介だぞ、これは!!」

 

アムロが大和への状況説明をしているなか、摩耶が悲鳴のような声でヒイロ達に伝えた。

 

『おい、気ぃつけろ!!さっきのやつ程の質量はねえが、それでもデカイのがいくつか現れたぞ!!』

「数は!?」

 

ヒイロが端的に聞くと摩耶から帰ってきたのは予想外のものであった。

 

『さっきのを除いて・・・5つだ!!』

 

その言葉を聞いて、思わず敵MAのほうを見つめるヒイロ達、摩耶の言う通り、先ほどヒイロのバスターライフルを防いだMAの周りに別のMAを確認できた。種類は二つ、片方はMSの下半身を蜘蛛のようにしたーーさながら神話に出てくるアラクネのような風貌をしたのが二機、そして、戦闘機をそのまま大型化させたような流線的な形をしたMAが三機、合計6機がヒイロ達の前に立ちはだかるように現れた。

 

「も、MAが、あんなに・・!?」

 

フェネクスが苦い顔をする。一機いるだけただでさえ厄介なMAが自分たちの目の前にはそれが6機いるのだ。

 

「でも、よく見ると向こうはいくらかダウンサイジングされているようです。」

 

アリスがビームスマートガンのスコープを覗きながらそう報告する。ヒイロ達がよく見てみると確かに3m程度に落ち着いている。しかし、それでも強力なのは違いない。

 

「こ、これって、アイツらが例の『化け物』ってやつか!?」

「あぁ、状況を鑑みるにその可能性が高い。だが、だからと言ってここで退くわけにはいかない。」

「ええ、寧ろ余計に帰れなくなりました。あんなの放っておけば、この先どうなってしまうか、わかったものではないです・・!!」

 

刹那、ヒイロ、両名が厳しい表情をしながらGNソードⅢとビームサーベルを構える。それを見て、意を決するアムロ達。各々が武器を構える中、ヒイロ達は気になってなかったが、今までだんまりだったハイネが口を開いた。

 

「あれは・・・、『ザムザザー』?それに『ゲルズゲー』と『ユークリッド』?」

「知っているのか、ハイネ!?」

「いや、なんか、頭ん中に浮かんできたっていうか。俺のじゃない誰かの記憶・・みたいな?」

「とりあえず、アイツらの名前はそれぞれ、ザムザザー、ゲルズゲー、ユークリッドでいいんだな?」

「あぁ、それは確信を持って言える。」

 

ハイネがなんとも言えない表情をしていたが、少し問い詰めるとそれぞれのMAの特徴など、わずかながら詳細な情報を手に入れることができた。しかし、一番厄介なヒイロのバスターライフルを防いだバリアーについての情報がわからなかったのは痛かったが、無い袖は触れない以上どうしようもなかった。

 

「大和さん、私達MS隊は件の『化け物』、もといザムザザー、ゲルズゲー、ユークリッドの撃破に向かいます。そのため、その他の深海棲艦の掃討を頼みます。」

『あれらの正体がわかったんですか!?』

「いえ、ハイネからかろうじて名前が聞けた程度で、対策は手探りで探していくしかないのが現状です。」

『・・・わかりました。あれらの撃破をお願いします。』

「・・・任務、了解です。」

 

大和との通信を切ったヒイロはザムザザー達と向き直る。

 

「MS隊は敵MAの撃破を最優先とします!!各機、十分に注意して戦闘を行って下さい!!」

『了解!!』

 

ヒイロ達はブースターを蒸し、ザムザザー達へ肉薄を開始する。

戦いの口火は切って落とされた。

 

 

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