自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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最近書いていて思い始めたこと

あれ、自分、シリアスめっちゃ苦手・・!?


第38話 S.E.E.D/そのまなざしの先にはーー

ハイネの中で『種』が割れたことで思考がクリアになる。目から光は失われたがその瞳の奥にある闘志はむしろ跳ね上がっていた。それと同時にハイネ自身の武装についての知識も頭の中に流れ込んでくる。

ハイネは自身の手をザムザザーのクローにあてるとーー

 

「吹っ飛べぇぇぇぇーーー!!!」

 

一瞬、ハイネの手のひらが発光したかと思うとハイネを掴んでいたクローが爆発を起こし、解放される。ハイネは手に装着されていた武装、『パルマ・フィオキーナ』でザムザザーのクローを破壊したのだ。

 

「うおぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!」

 

クローが壊されたのを驚いているような反応を見せるザムザザーを尻目にハイネは対艦刀、アロンダイトを引き抜き、ヴォアチュール・リミュエールをフル稼動にして、ザムザザーに突撃を行う。

 

「こいつなら、どんなやつが相手だって!!」

 

ハイネの背中のウイングから放出されるヴォアチュール・リミュエールの光はハイネの動きに残像を生み出させ、ザムザザーが翻弄する。手当たり次第にビーム砲『ガムザートフ』を放つがそれらを全て見切り、ザムザザーに肉薄する。

その様子を見ていた長門たちはハイネの変わりように皆驚いたような表情をあげていた。

 

「な・・なんだ?あれは、ハイネの動き、いつもとは全く異なる・・!?」

 

長門がハイネの動きを掴もうとするが、目がほとんど追いつかない。

ザムザザーがクローを振りかざすが既にハイネの姿はそこにはなく、次々とザムザザーの装甲を抉り取っていく。

 

そして、ついにザムザザーが損傷をあげた箇所からスパークをあげ、動きが固まった。ハイネはその瞬間を見逃さず、ザムザザーのコックピット部分をアロンダイトで突き刺す。すかさずアロンダイトを抜き取ると、アロンダイトにより穴が空いた部分をパルマ・フィオキーナで追撃。ハイネがザムザザーが離れると同時にザムザザーは爆散し、火の玉となった。

ハイネの戦いぶりに思わずハイネの顔を見てしまう艦娘達。そのハイネ自身は悲しげな表情をしていた。むしろ、今にも泣きそうだ。

 

「敵を倒したけど・・・島風が帰ってくるわけじゃない・・・。くそ・・・くそ・・・こんちくしょ「おい、勝手に殺すな!!」・・・・え?」

 

ハイネが慟哭しかけたその瞬間、明らかに島風ではない声の持ち主がハイネに対し、怒声をあげる。

 

「あれ・・アムロさん・・?って、どうしたんですか!?その左腕!!」

 

声の主はアムロだった。いの一番にアムロを見た横須賀の吹雪はアムロの左腕の見て驚愕の表情をあげる。アムロの制服が焼き切れ、その下にあった皮膚は大きく焼け焦げていた。

 

「ど、どうしたんだよ!?それ!!というか、勝手に殺すなって、どういうことだよ!!」

 

思わずハイネがアムロに駆け寄る。その瞳には光が戻ってきていた。

ハイネがアムロに今にも掴みかからんとしている様子を見て、軽くため息を吐くとーー

 

「見ての通りだ。艤装に損傷を受けてしまったが、体自体に大きなダメージはない。」

 

アムロが軽く後ろを指差すとハイネの視界に艤装にダメージは受けているもの五体満足でいる島風の姿があった。

 

「島風!?ど・・どうして・・うっ!?」

 

ハイネが島風に駆けよろうとしたとき、胸を押さえて触り混んでしまうハイネ、心配した古鷹がハイネに寄り添う。

 

「は、ハイネさん!?大丈夫ですか!?」

「おそらく、ザムザザーに捕まったとき、肋骨をやられたんだろう。だが、あそこまで動けていたということは、ヒビですんだのだろう。」

「な、なぁ、アムロ・・?どうして島風が生きてんだよ・・?」

 

冷静に分析を行うアムロに対して、息も絶え絶えといった様子のハイネの質問にアムロは特に気にする様子もなく答えた。

 

「防いだからだ。コイツでな。」

 

そういい、自身のフィン・ファンネルを射出すると、アムロの周りに三つのフィン・ファンネルを基点にして、ピンク色のフィールドが形成される。

 

「な、なんだよ!?それ!?・・イッダァ・・・・!!」

 

思わず叫んでしまい、悶絶するハイネ。その様子をみながらアムロは説明を始める。

 

「ヒイロ達と別れる前に宇宙世紀にはビームを弾く「I フィールド」があると言っただろう?それがこれだ。」

「そ、それが I フィールドだったのか・・・。でもそれだとその左腕は・・?」

「・・・思っていた以上にザムザザーのビーム出力が高くてな。I フィールドだけでは凌ぎきれなかったんだ。I フィールドで凌ぎきれなかった分は咄嗟にシールドで防いだのだが、それでもギリギリがいいところだった。結果として防ぎきれたのだが、程なくシールドは爆発、そのままシールドの裏に仕込んであったミサイルやビーム砲が誘爆。この火傷はその時のものだ。」

 

アムロは苦い顔をしながら火傷を負った自身の腕を見つめる。だが、傷とは別にアムロは別のことを考えていた。

 

(ハイネのあの爆発的な戦闘力の向上はなんだったんだ?ガロード程ではないにしろ、人が変わったようなものだった。)

 

まぁ、ガロードはそもそも人格自体がかわっていたのだが、そこまで考えたところで、自身の火傷を受けていない腕、つまるところ右腕をだれかが掴んでいるのに気づく。顔をあげると、なにやら鬼気迫っているような顔をしている赤城が目に入る。

 

「アムロさん、火傷をなめてはいけません。ウジでも湧いてしまったら、最悪、切り落とさなければならなくなります。さぁ、早く!!」

「お、おい、待て!?焼けたのはあくまで皮膚組織までだ!!骨や筋肉には達してはいないぞ!?」

 

思い切りアムロの右腕を引っ張る赤城、予想外の怪力に赤城の手を出して振り切ることができない。そして、どこから取り出したのか救急箱のようなものを取り出している。

 

「ちょっと待ってくれよ。その救急箱、どこから取り出した?」

 

思わずツッコミを入れてしまうハイネ、だが、のちに藪蛇を突いたことを悟る。

ほかの艦娘、主に佐世保の艦娘達が、ハイネに視線を集める。

 

(あ、やべ。)

 

そう思い、逃げようとしたハイネだが、そばにいた古鷹に取り押さえられる。

悲しいかな。艦船とMSでは元々のサイズに差がありすぎる。そのため力で押し負けてしまい、ハイネは動くことができない。

 

「お、おい、古鷹。ちょっと待て、は、話せばわかる。ほ、ほらアムロも言ってただろ?ヒビで済んでるって・・・。だ、だからよ。」

 

古鷹は無言でハイネを取り押さえ続ける。顔は笑ってはいるが、その目はどこか笑っていなかった。

ハイネのそばに金剛たちが近づく、手にはどこで手に入れたのか知らないが、チューブの容器に『カルシウム100%』とどでかく書かれたものが握られていた。

 

「お、おい。待て、待ってくれ。お、落ち着けよ。大体そんなので治るわけーー」

 

そこまで言いかけたが金剛にチューブの中を突っ込まれ、ハイネの意識はそこで暗転する。

辺りにはハイネの絶叫が鳴り響いたそうな。

 

「・・・・何があったんですか?」

 

ヒイロ達と合流してヒイロが開口一番に言ったのはアムロとハイネがやつれた表情をしていることについてだ。

ヒイロに聞かれたハイネは死んだ魚のような表情でヒイロに告げた。

 

「・・・・しばらく乳製品を喰いたくねぇ・・。具体的にいうとカルシウムが入ってるやつ・・。」

 

状況がよく分からなかったため苦笑いしかできないヒイロはアムロに視線を向ける。目が合ったアムロはヒイロに疲れた表情でため息をつきながら答える。

 

「そのうちで構わないから、彼女たちに応急手当ての手ほどきをしてくれないか?流石にこれは目に余る・・・。」

 

そういい、包帯でとりあえずグルグル巻きにされたような左腕を見せるとヒイロ達は共通して頭を抱えた。

 

「・・・分かりました。とりあえず、見せてくれませんか?」

 

ヒイロに促され、アムロは包帯と化した左腕を見せる。ヒイロが手早く包帯を取り外す。すると包帯に隠れていた火傷が露わになる。

 

「本当に何があったんですか?深海棲艦から誰かを庇いました?」

「半分当たりで半分外れ、といった具合だな。」

 

そういうとアムロはヒイロ達にザムザザーが一機潜んでいたことや火傷の経緯を伝える。

 

「・・・・ザムザザーが、もう一機・・・。そうでしたか。島風ちゃんは特にこれといった不調はありませんか?」

「うん、連装砲ちゃんが一つ爆発に巻き込まれちゃったけど、それ以外は大丈夫。」

 

島風はヒイロに問われると首を横に振り、問題ない、といったリアクションをする。

 

「・・・すまないな。もう少し早めに退避できればなんとかなったのだが。大事にしていたんじゃなかったのか?連装砲ちゃんのことを。」

「それは、そうだよ。でもアムロが守ってくれなかったら、連装砲ちゃんどころの話じゃなかったから。」

「・・・そうか、君がそういうのであれば、それ以上は何も言わないこととしよう。」

 

島風にそう言われ、表情を緩めるアムロであった。ヒイロも手早く包帯を巻き直し、切り落とした包帯を片付けていた。

 

『ーータイーーーリタイーー』

 

そこに突如として頭の中で響くような声が聞こえた。思わず振り向くアムロ、しかし、そこにはだれもいなかった。ヒイロ達も同様に振り向くような素ぶりをしている。

 

「・・・聞こえたか?」

「はい、突然だったので、よく聞き取れませんでしたが。」

 

目線だけを合わせて確認を取るアムロとヒイロ。

 

「いまのは、テレパシーのようなものか?」

「かも、知らないね。他の人たちはどう?」

 

刹那の質問に答えつつ、キラが艦娘達にも確認を取ると揃って聞こえた、との声が帰ってくる。

 

「子供、だったか?今の声。」

「そのようにも聞こえましたけど・・。アリスさん、方角、分かります?」

 

ハイネの言葉に同調しながらフェネクスはアリスに尋ねる。しかし、アリスは難しい顔をした。

 

「・・・解析不能、といった具合です。頭の中で直接言われたような感覚でしたので。」

「やっぱりですか・・。」

 

フェネクスは肩を落とすように落胆の表情をあげる。フェネクスも頭の中で直接言われたような感覚だったのはわかっていた。フェネクスが顔をあげると、ふと、ガロードの顔が目に入る。何か、一点を見つめているようなーー

 

「ガロードさん?どうかしました?」

 

思わずフェネクスが尋ねるとガロードは無言で指をさした。指し示す先には何も見渡らない。

 

「あっち・・・。あの水平線の向こうになにかある・・。」

 

ということはおそらく方角を指しているのだろう。そう考えに至ったヒイロは大和に方角を尋ねた。

 

「その方角は・・、アイアンボトム・サウンドの奥地・・つまり、我々の最終目的地点です。」

「・・・そうですか、ちょうどいいのか、悪いのか・・といった具合ですが・・。」

 

どのみち行くしかない。そう判断し、大和の指示でアイアンボトム・サウンドの奥地へと進路を取った。

奥に行けば行くほど空を厚く覆っていた雲は次第に灰色から赤へと色を変えていった。

 

「おいおい、これってかなりヤバくねぇか?」

「雰囲気だけでわかる・・。この先にいるのはかなり手強いぞ。」

 

アムロとガロードが赤く染まった雲を見て、敵の強大さを感じとる。

そして、水平線にとんでもないものがヒイロ達の目に入った。

 

「な、なんなんだよ!!アレは!!」

「光の、柱・・・?」

 

ハイネと刹那が目を見開きながら天空に突き刺さるようにそびえ立っている光の柱を見つめる。

 

「赤城さん、彩雲の発艦を!!」

 

ヒイロが早急に指示をどこ飛ばす。あれは本能的にとんでもないものだと察したからだ。赤城はすぐさま彩雲を飛ばし、偵察へ向かわせる。

 

程なくして彩雲から報告が挙げられるが、内容は赤城の表情を歪ませるほどのものであった。

 

「っ・・・彩雲より報告!!あの光の柱の麓では半径30メートルクラスの穴が形成されている模様!!並びに敵の大艦隊を発見せり!!数は・・戦艦棲鬼2空母棲鬼1を筆頭におよそ200!!」

「こ、これってかなりやばいって感じ?」

 

ガロードが額から汗を垂らしながらヒイロに尋ねた。ヒイロは苦虫を噛み潰したような表情をあげていた。

 

『カエリタイーーカエリタイーー』

 

奥地に進んだためか、頭の中に直接呼びかけてくるような声ははっきりと聞こえてきた。

 

「帰りたい・・・か。」

「・・・あまり、良い予感はしませんね。」

 

先ほどは遠かったため正確な場所は分からなかった。しかし、今度はアムロとフェネクスにもはっきりわかった。

 

「・・・あの中なのか?声の主は。」

 

刹那が光の柱を見据えた。こちらを見下ろすようにそびえ立つ巨大な柱は否応にもヒイロ達の気を引き締める。

 

「大和さん、戦闘海域には、あとどれほどで?」

 

大和は電探担当の妖精さんを呼び出すと妖精さんは大和に耳打ちをした。

 

「あと30秒ほどで戦闘海域に突入します!!各員は戦闘態勢を取ってください!!」

 

大和の指示とともに砲塔を構える合同艦隊、ヒイロ達も戦闘態勢を取った。

 

「アムロ、ハイネ!!怪我しているんですから、無理は禁物ですよ!!」

「この状況で言っていられるか!!」

「わかってるけど、そうも言ってられないぜ・・。こいつは・・。」

「・・・ですよね。すみません、不粋でしたね。」

 

ヒイロ達は空へ飛び上がり海上から自分たちを見つめる戦艦棲鬼二隻と目を合わせた。

 

「全艦、攻撃を開始してください!!暁の水平線に勝利を!!」

『了解っ!!」

 

大和の号令とともに艦娘と深海棲艦の砲撃が火を噴いた。

 




今回も楽しんで頂ければ幸いです。
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