自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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テスト期間中ゆえに遅れました。ものによっては難しいものもあるから勉強が辛い・・・。
やはりテストは悪い文明・・・。


第43話 本当の強さとはーー

アムロ、ガロードと一緒に昼食を済ませたヒイロは執務室に戻っていた。

 

「提督、大本営より手紙が届いています。」

 

大淀はそういい座っているヒイロに三通の手紙を手渡す。

受け取ったヒイロは若干予想していたかのような表情をする。

 

「大方、モビルアーマーに対する説明でしょう・・・」

 

ため息をつきながら一通目を開ける。

内容は予想通り、先の作戦でのモビルアーマーに対する説明のため大本営に出頭せよ。とのことであった。まぁ、日付は一週間後でのことだだから今は置いておこう。

 

「となると、残りの二通は・・?」

 

残っている二通のうち片方を開けた。ヒイロは手紙に書かれている文章を読み進めているうちに困った顔に表情を変える。

 

「大淀さん・・・。私って階級『中尉』だったんですね・・。」

 

ヒイロが大淀に手紙を見せると、

 

『ヒイロ・ユイ中尉。今回の作戦の戦果を称して貴官の階級を中尉から大尉へ昇進する。』

 

「えっと、本来であればおめでとうございますと言うべきところなんでしょうけど・・・。」

「いりませんよ・・階級なんて・・・。所詮形なんてないものなんですから・・。」

 

そういいながら机に項垂れるヒイロ。

 

「クマー。もう一通はどうクマ?」

 

今日の秘書艦である球磨型一番艦『球磨』が急かすようにヒイロに近寄る。

うなだれた姿勢のまま手紙の封を解き、中に書かれてある文章を読み進める。

 

「あれ、内容がさっきの昇進のものと同じ・・・?」

「クマー?何かあったクマ?」

「内容が同じですか・・?大本営もミスをするんですね。」

 

そういいながら、大淀と球磨と一緒に手紙を見つめるヒイロ。

一見、ほとんど同じ内容に見える文章だがーー

 

「あ。」

 

ヒイロが口を驚いた形にしたまま固まった。

大淀と球磨が怪訝な表情でヒイロを見つめていると、ヒイロは指を震わせながら二箇所、指し示した。

 

『え"っ!?』

 

思わずダミ声で驚く大淀と球磨。二人とも目を丸くしている

 

「こ、これは・・なんとも縁起が良くないというかクマ・・。」

 

いつもは大らかな笑顔を浮かべている球磨でさえ、笑顔が引きっつらになる。

 

ヒイロの指差した箇所を見つめるとさっきの手紙では『中尉』と『大尉』と書かれていた箇所が、『大尉』と『少佐』に置き換わっていた。

つまりーー

 

「私、二階級特進してるんですけど・・・?いや死んでいないから昇進、ですね。この場合・・・。」

「えっと、その、お疲れさまです?」

「もう嫌だ・・・。」

 

机に項垂れるどころか沈むヒイロであった。

 

晴れて(?)少佐になったヒイロだが、特に階級とか興味ないため淡々といつも通り執務をこなしていく。

 

「まぁ、薄々鑑みてみればわたし達佐世保鎮守府は『一応』姫級三隻倒していてスコア的にはなんだかんだ言ってトップなんですよね・・。それでも2階級昇進はやりすぎ感が否めませんが・・・。」

「でも提督達が頑張ったのは事実クマ。少しくらい自分を労ったらどうクマ?給料も上がってるはずだクマ。」

「自分を、ですかぁ・・・。」

 

自分を労うと言ってもこれと言った趣味がないため正直に言ってお金をもらっても宝の持ち腐れ気味なヒイロ。

 

「うん。まぁ、考えておきます。」

「・・・・ホントクマか?」

「あ、あれっ!?どうして疑いの目で見るんですか!?」

 

所変わって、埠頭では古鷹が埠頭の淵から足をぶら下げるように座っていた。

 

(提督達・・・やっぱり強いなぁ・・・。演習でもわたし達にちょうどよくなるように調整してくれているし・・・。)

 

古鷹は演習を行う度にヒイロ達に対してわずかながらの無力感を感じていた。

この前のアイアンボトム・サウンドにおける戦いで自分たちは進撃をやめている中、ヒイロ達はまだ前に進めれたことは古鷹達出撃組には大なり小なり心の変化が起きた。

 

演習でもアリスや刹那が航空機代わりに対空演習を行うが、基本的には刹那達が艦娘に合わせて動いている。それが艦娘達の無力感を助長しているしまっている面もあった。余談だが、新しく来た艦娘の担当はいつもアムロである。アムロは若干スパルタな所があるため大抵の新任の艦娘は地獄を見る。さらに本人は艦娘達のことを考えてやってくれているため、なおタチが悪い。

 

「古鷹ちゃん?どうしたの、大丈夫?」

「あ・・・、キラさん・・・。」

 

たまたま通りすがったキラが古鷹に話しかける。

 

「・・・隣、いい?」

「えっ、あ、はい。どうぞ・・?」

 

古鷹に許可を一応もらい、隣に腰を下ろした。

 

「それで、どうかしたの?何か思いつめているようだったから。」

「・・・・。」

 

気まずそうに視線を晒す古鷹。無力感を味わっている原因が側に来てしまったのだから無理もない。

 

「・・・・キラさんを含めて、提督達が来てくれてから最近の戦いはとても楽になっています。」

 

口を開く古鷹にキラは対称的に口を噤む。聞き手の姿勢を取らないといけないと感じたからだ。

 

「でも、最近思うんです。提督達が戦っていくだけで、この戦争、終わっちゃうんじゃないかって。」

「その、別に戦争が続いて欲しいなんて微塵も思ってません。むしろ終わって欲しいって思ってます。だけど、提督達が戦って、何十隻もの深海棲艦を倒していく姿を見ていると、自分が何のために生まれてきたのかわからなくなるんですよね・・・。」

 

古鷹の顔に影がかかる。その様子を見ながらもキラは未だ口を挟まない。

 

「艦娘は確かに、人間だと思います。こういう感情もあるし、考えることもできる。でも、あくまで人の形を成しているだけで本質はやっぱり兵器なんですよね・・・。」

 

顔をさらに沈めて、表情を伺うことができなくなった古鷹に対し、ついにキラが口を開く。

 

「・・・・大したことが言えるわけじゃないけど・・・。」

「古鷹ちゃんは、自分が弱いって考えてる?」

「弱い・・・ですか。確かにキラさん達と比べたら技術的にも、経験でもやっぱり、劣っているって感じちゃいますね・・・。」

 

古鷹の答えにキラは特にこれといった反応を示さなかった。技術的、経験の差は明白であり、キラはフォローをしようと困った顔なりなんなりすると思っていた古鷹は少し意外な顔をする。

 

「質問を変えるよ。君は何のために戦っているの?」

「何のために、ですか?それは深海棲艦を倒して、平和を得るため・・・。」

「追加の質問。君は目の前には傷ついた深海棲艦の艦隊、追撃すれば確実に仕留められるダメージだ。これを倒せば作戦は成功し、君は名誉を得る。提督もそれを望んでいる。この際提督をトラック泊地の提督にしとくね。だが、君の足元には同じく甚大な被害を被っている加古ちゃん、青葉ちゃん、衣笠ちゃん達だ。今にも沈んでしまいそうで深海棲艦の追撃を行えば、沈没は避けられないだろう。君はこういう場面になったとき、どうする?」

 

 

キラからの質問に古鷹は頭の中で鮮明に浮かびあげてしまった。

顔を青くしながら浮かびあげたイメージの中で自身の行動を考える。

トラック泊地の提督、自分たちに暴力を振るい、艦娘達を恐怖のどん底に突き落とした張本人。命令に逆らえば、もれなくこぶしが飛んでくるであろう。

仲間を取るか、名誉を取るか。

古鷹がとった選択はーーー

 

「私は・・・加古達を優先します。やっぱり失うのは嫌だから・・・。」

 

古鷹の答えにキラの反応はーー

 

「うん。それでいいと思うよ。君は弱くないし、むしろ強いよ。」

 

笑顔を浮かべ、古鷹は強いと言った。強い、という言葉に疑問符を付けられたが、

 

「あの、強いんですか?私。キラさん達の様に戦場を駆け回れる実力はないのに・・。」

「強さっていうのはね。思いとか、そう言った気持ちの問題だと思うんだ。単純な力の強弱じゃなくてね。」

「思い・・・ですか。」

「うん。単純な力の強さも持たないといけないけど、それは行き過ぎるとただの暴力に成り果ててしまうんだ。」

「ただの暴力・・・。」

 

古鷹はそういいながら自分の拳を握ったり開いたりする。

キラは話を続ける。

 

「本当に強い人っていうのは、大切なものを守ろうとする人だと思うんだ。どんな劣悪な環境でも、誰かを守りたいっていう思いで人は強くなれる。だから、さっきの質問で君の大切な人を救うって決めた君は十分強いよ。」

 

キラは話は終わったと言わんばりに立ち上がりその場を後にしようとする。

 

「あ、あのっ!!」

「どうかしたの?」

 

立ち去ろうとするキラの背中を古鷹が引き止めた。なぜなら古鷹は気になったからだ。

 

「キラさんは・・・貴方が守りたいモノってなんですか?」

「僕の守りたいモノは、佐世保鎮守府のみんなだよ。」

 

古鷹はその回答を聞いて、心の中で何となく悔しいと感じている自分がいることを感じた。

それはさながら、ほかの誰かに自分の好きな人を盗られてしまったようなーー

 

(好きな人・・・?え、嘘・・・っ!?わ、私、まさか・・・)

 

自覚したと同時に心臓の鼓動が早くなっていくのを感じる。それはキラを見つめれば見つめるほど鼓動の間隔が短くなっていく。

 

「・・・大丈夫?何か顔が赤いけど・・・。熱でもあるのかな・・・?」

 

そういいながら顔を近づけるキラに対し、古鷹は自身の心がこれ以上もたないと感じ、

 

「だ、大丈夫ですからぁ!!!」

 

一目散に退散してしまった。キラが静止の声を上げるが古鷹は聞き入れる様子もなくいなくなってしまった。

 

「・・・僕、何かしたかな・・・?」

 

自身の行動を省みるがとくに何かした記憶はない。まぁ、大丈夫だろうと結論づけ、その場を離れようとするとーー

 

「ここにいたか、キラ。」

「あれ?アムロさん?どうかしたんですか?」

 

キラの後ろにアムロが立っていた。

 

「少し、相談事があってな、同郷の君なら何か知っているんじゃないかと思ってな。」

 

アムロの言葉にキラは疑問符をあげるだけであった。

 




今回も楽しんで頂ければ幸いです^_^
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