自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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第47話 ガンダム10機確認

ゼネラル・レビル、そしてリゼルを戦力に加えたジェガン隊はビームの矛先を全てシーブックとスウェンに向ける。放たれたビームが雲霞のごとく降り注がれる。

 

「くっ・・・!!さすがにこの数は・・・!!」

「戦力差は絶望的・・・。こちらがやられるのはやはり時間の問題か・・・!!」

 

シーブック、スウェン共々降り注ぐビームを避け、反撃しようとするが想像以上の弾幕の濃さに捌くのが精一杯になっている。

シーブック達がビームに手を焼いている間、ゼネラル・レビルからミサイルが発射される。

シーブックは自身らに飛来するものかと思ったが、ミサイルの軌道は明らかに二人を狙ったものではない。

では一体どこを狙ってーー

 

「まさかっ!?」

 

シーブックが振り向いた視線の先には無人島。つまりあのミサイルは港湾棲姫と北方棲姫を狙っているものかもしれない。

シーブックの予想通り、ゼネラル・レビルより発射されたミサイルはシーブック達の頭上を通り過ぎ、無人島へと接近する。

 

「やらせるものかっ!!彼女たちを!!」

 

シーブックは自身が羽織っているマントを脱ぎ捨てた。ヒラヒラと舞うマントはジェガンたちのビームに焼かれるかと思ったが、

 

「『ABCマント』だ!!こいつで強行突破する!!」

 

ビームがマントに触れるとさながら弾くようにビームがそれていった。

シーブックに装着されてある『ABCマント』。ABCとは、アンチ・ビーム・シールドの略。つまりビームに対し、耐性を持つ性能が付与されたマントである。

しかし、耐性を持つとは言え、せいぜい五、六発を防ぐのがやっとのため、マントは一瞬のうちに焼き切れる。

 

「なんとぉーーー!!!」

 

だが、その一瞬の隙をシーブックは見逃さなかった。ブースターを一気に蒸すことでビームの嵐から離脱する。

 

「スウェン!!保たせられるかっ!?」

 

シーブックはミサイルを追跡しながらスウェンに問いかける。

対するスウェンはビームの嵐を潜り抜けながらため息を吐く。

ジェガン隊はリゼルを戦列に加えて、スウェンに対しさらにビームの弾幕を濃くする。

囲まれる形となったスウェンにジェガン、リゼルのビームライフルが襲いがかる。普通であれば絶望的だがーー

 

「ふっ!!」

 

四方八方から飛来するビームをスウェンは回転しながら避けた。体を捻りながら行った回転にビームは脇や股の下などスウェンの体ギリギリを通り過ぎる。

スウェンは回転している中、両手にビームライフルをハンドガンのサイズに収めた『ビームライフルショーティー』をカウンターと言わんばかりに乱射する。

回転しているというのもあって命中率はおざなりだが、それでも5、6機に直撃し、爆発に包まれる。

 

「行け。彼女らを頼む。だが、長くは保たない。」

「・・・注文の多い奴だ。だが、ありがとう。」

 

軽く笑いながらお互いの相手を見据える。シーブックはミサイルへ、スウェンはモビルスーツ隊と。

 

「間に合うか・・・?いや、間に合わせる!!」

 

特徴的なX字のブースターを蒸しながら、ミサイル以上の機動力で接近すると、ビームの刀身が斬馬刀のような形をしている『ビーム・ザンバー』でミサイルを斬りふせる。

 

「くそっ。飛んでいるのはいくつだ・・!?」

 

飛来していくミサイルの数は残り10。対して潜伏していた無人島までは残り数百メートルほど。

到底間に合うような距離と数ではない。だが、ここて諦める訳にはいかない。

シーブックはビームザンバーを振るい、ミサイルを斬り落とす。

しかし、圧倒的に時間が足りず、全機撃墜は絶望的、そう思われた時。

 

『そこの人!!どいてください!!』

 

シーブックに対する呼び掛けとレーダーに映った高出力反応に咄嗟にその場を離れた。直後、ミサイルを山吹色の閃光が駆け抜け、閃光が過ぎ去ったあとにはミサイルのかけらも残っていなかった。

 

「今のは一体・・・?」

 

シーブックが閃光が飛んで来た方角を見ると、八人の人影がシーブック達に向かっているのが見えた。

その中の一人と思われる者から通信が入れられる。

 

『こちら、佐世保鎮守府提督、ヒイロ・ユイです。確認します。あなたがシーブックさん、もしくはスウェンさんですね?』

 

シーブックとスウェンの名前を知っているのは港湾棲姫、北方棲姫、もしくは先に目的地であった佐世保鎮守府に向かった深海吹雪しかいない。そして、佐世保鎮守府がシーブックとスウェンの名前を言ったということはーー

 

「そうか・・・。彼女は、無事に着いたんだな・・。」

 

深海吹雪が無事に生きていることの現れである。シーブックはそのことに安堵しながらヒイロの通信に答える。

 

「ああ、私が、シーブック・アノーだ。まさかとは思うが救難信号を拾ってくれたのか?」

『たまたま、そこの海域付近を通っていた遠征艦隊が居ましてね。援護します。動けますか?』

「なるほどな。救援、感謝する。すまないが私とスウェンには手に余る数でな。」

 

シーブックとの通信を終えたヒイロは視線の先に展開しているモビルスーツ部隊に目を向ける。

 

「あのモビルスーツと戦艦、ゲルズゲーやザムザザーといったモビルアーマーと同じようにダウンサイジングされていますね。」

「あれは・・・ジェガンか。私の時代の頃のもののようだな・・・。だが、あのZ系列のような機体と奥の黒い戦艦はなんだ?」

 

ヒイロとアムロが敵MS部隊に対する見識を述べる。アムロはジェガンは知ってはいるがその他の機体、および戦艦は知らない。だがーー

 

「あれは、Z系列の量産機、リゼルとドゴス・ギア級二番艦、ゼネラル・レビルです。」

「フェネクス?知っているの?」

 

フェネクスが戦艦とモビルスーツの名前を述べるとアリスが驚きの表情でたずねる。その問いに対して、フェネクスは無言でうなづく。

 

「あれは、私の時代。UC0096の時代の機体です。」

「となると、第二次アクシズ抗争の際のジェガンと思わない方がいい、ということか。」

「キラ、先行して吹っ飛ばしちゃってください。」

「分かったよ。」

 

ヒイロがキラに指示を飛ばす。キラが先行するとフルバーストモードに移行する。

 

「ターゲット、マルチロック・・。」

 

キラがマルチロックオンシステムでジェガンとリゼルにターゲットを合わせる。

もちろん、戦っている最中のスウェンはちゃんとターゲットから外している。

 

「ああいう乱戦状態から撃ち抜くのは得意な・・・はずだよ!!」

 

キラの一斉掃射がスウェンの周りのジェガン隊を撃ち抜いた。

 

「今の攻撃方法・・・見覚えがあるな。」

 

突然の砲撃に驚いたスウェンだったが、自分に対する攻撃ではないことを察すると自身に引っかかることがあったのか、ポツリと言葉をこぼした。

 

「そこの君、大丈夫?」

 

スウェンのそばにキラが駆け寄った。キラの後ろの青い翼を見てスウェンは合点のいった表情をした。

 

「・・・その青い翼、お前はフリーダムガンダムか。」

「・・・・君は、僕のことを知っているんだね。」

「お前の悪評は連合にも届いているからな。」

「え、僕、何かやらかしてたっけ?まぁ、ザフトと連合を相手取って色々やってたからなぁ・・・。」

「ストライクノワール、スウェン・カル・バヤンだ。今はあの部隊を叩くぞ。

コーディネイターとナチュラルに関係なくな。」

 

スウェンのその言葉を聞いて、キラは驚いた表情をしながらビームサーベルを構える。

 

「君、珍しいね。連合だからてっきり目の敵にされるって思ってたけど・・・。」

「・・・コーディネイターにも様々な人間がいることを知っているからな。」

 

そういいスウェンは自分の記憶の中にいた緑色の長髪のコーディネイターの女性を思い返した。その女性は自身のパイロットをナチュラルでなおかつ敵であるにもかかわらず、助けてくれた。その出来事にはスウェン、ストライクノワールにも少なからずの影響を与えていた。

 

「僕のことはキラって呼んでほしいな。キラ・ヤマト。」

「・・・了解した。」

 

スウェンとキラはブースターを蒸し、ジェガンをラケルタ・ビームサーベルもフラガラッハ3ビームブレイドで斬り裂く。かと思うと即座にルプス・ビームライフルとビームライフルショーティーを構えて、互いに援護するようにジェガンを撃ち落とす。

 

「さすがだな。」

「そっちもね。」

 

シーブックも再びジェガン隊との戦いに戻る。バスターガンでリゼルに攻撃を仕掛ける。しかし、クロスボーンガンダムX1は接近戦向きの機体。射撃には若干の不得手があるのか、リゼルには避けられてしまう。リゼルはお返しと言わんばかりに変形機構を駆使してシーブックを翻弄する。

 

「くっ。精度が低いな・・。」

「ディバイダー!!こいつでぇ!!」

 

ガロードが苦戦しているシーブックにディバイダーで援護を行う。

無作為に拡散するディバイダーのビームはリゼルの逃げ道を狭めて行く。

リゼルはビームをやり過ごそうとするがーー

 

「逃すものかっ!!」

 

好機と見たシーブックがビームザンバーを投擲する。ディバイダーのビームに気を取られていたリゼルは避けることが出来ずに胴体部分にビームザンバーが深々と突き刺さる。

さらにシザーアンカーでビームザンバーの持ち手を捉えると、シザーアンカーの鎖を掴み、振り回す。鎖の動きと連動し、ビームザンバーがリゼルの装甲をえぐり取り、爆発四散する。

 

「すまない、助かった。・・・・いい武器だな。それ。」

 

シーブックはガロードのディバイダーを見て、感想を述べた。

 

「おだててもなんもでねぇからな?とりあえず今はあっちが優先だろ。」

 

それに対しガロードはゼネラル・レビルに目を向ける。ダウンサイジングされているとは言え、元々ドゴス・ギア級は600メートル以上のサイズを誇る宇宙世紀最大の戦艦である。モビルスーツの搭載量も火力面でも他の戦艦とは一線を成す。いわば、大和型の宇宙世紀バージョンといったところだろうか。

ガロードの言葉にシーブックは納得の表情を挙げる。だが、ふと思いついたことをガロードに述べた。

 

「・・・そうだ。名前はなんて言うんだ?」

「私?ガロード、ガロード・ランだ。」

「なら、ガロード、申し訳ないのだが、あのモビルスーツ隊のビームライフル、残しておいてはくれないか?」

「・・・別にいいけどさ。何に使うんだ?」

「少し、作ってみたいものがあってな。」

 

シーブックの言葉にガロードは疑問の表情をあげるしかなかった。

 

 

 




今回も楽しんで頂ければ幸いです^_^
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