そして思ったこと、元のストーリーがあるとある程度書きやすい・・・。
「提督、大本営より作戦要項が来ています。」
「・・・またですか?」
最近作戦が続くなぁと思いながらヒイロは大淀から作戦要項の入った封筒を受け取る。
封筒の封を切って中身を確認する。作戦要項の表紙には『霧の艦隊関係の報告書』と書かれてあった。
「霧の艦隊・・・・?」
その言葉に妙な引っ掛かりを覚えるヒイロ。記憶を掘り起こしていくとーー
『霧が出た、とーー。』
「・・・大淀さん、件の霧の艦隊が本格的に活動を開始したようです。」
「霧とは、まさか?」
「はい。大淀さんが私が着任した時にお話ししてくれた、あの霧です。」
ヒイロが封筒から報告書と共に取り出したのは指令が書かれた一枚の書類。
そこには霧の艦隊を打ち果たせという旨の内容が記されていた。
「・・・・・・。」
ヒイロは報告書を一枚一枚じっくりと見て霧の艦隊に対する考察を組み立てていく。
(霧の艦隊は簡単に言ってしまえば近未来的な改装を施した第二次世界大戦中の艦船、なんでしょうね。主砲は基本的に実弾。それはいいですが、問題はミサイルを叩き込んだにも関わらず、無傷であったこと。)
大和クラスでもバイタルポートにトマホーク等のミサイルを叩き込まれればただでは済まない。だが、報告書ではシルエットだけみれば金剛型クラスとの記載がなされている。仮に敵が金剛型だと仮定すればミサイルを撃ち込まれたら少なくともノーダメージでは済まないはずだ。にも関わらず無傷ということはーー
(何か、バリアのようなものを張っている?)
それにいくつか特殊な兵装も見られる。ミサイルの他に電撃を行う無人飛行ユニット。これは報告書に記されている分だけど、その他にも何か妙なものを積んでいると直感する。
「大淀さん、出撃メンバーを伝えます。講堂へ艦娘のみんなを集めてください。」
「了解です。」
講堂では毎度のごとく艦娘達が集められていた。流石に慣れてきたのか艦娘達の間でも作戦だろうという空気が流れている。
「ガロード、何が始まるんだ?」
「大方、上から作戦でも出されたんじゃないのか?」
「やはりか。艦娘達の間に張り詰めた空気が流れているのはそのためか。」
シーブックの質問に答えたガロード。
スウェンはなんとなく想像がついていたのか合点のいった顔をする。
しばらくするとヒイロが現れ、今回の作戦の説明が始められる。
艦隊は第1艦隊と第2艦隊の連合艦隊で行動するとして、メンバーは第1艦隊の旗艦を金剛として、榛名、摩耶、鳥海、北上、大井。
第二艦隊は旗艦を比叡として、霧島、アイオワ、妙高、那智、高雄、愛宕となった。
そして、随伴としてヒイロと刹那、それにフェネクスを除いた七人が編成された。
ヒイロが編成の説明を終えたあたりで赤城から質問があがる。
「提督、今回は高速艦で統一されているようですが、空母が誰一人としていないのは・・・?」
「理由として、敵艦隊は電撃武装を所持しています。それは対空としても使える利便性の高い代物で最悪、それに航空部隊が一網打尽にされる可能性があります。空母を編成しなかったのはそのためです。アムロ達にはとても負担を強いてしまうことになりますが・・・。」
「気にすることはないさ。私達はやることをやるだけだ。」
「だが、私とフェネクスを抜いた理由はなんだ?」
アムロからの返答にありがたみを感じていると刹那からの質問があがる。
「これははっきり言えば予備戦力です。大本営が霧の『艦隊」というほどです。この間のミッドウェーの作戦の時のように敵がカウンターで別働隊をけしかけてこないとは限らないので。」
「了解した。」
「今作戦では敵の戦力は完全に未知数です。出撃する人は敵が完全に沈黙するまで警戒を怠らないように!!」
『了解!!』
講堂で作戦要項を伝え終えたヒイロはある人物に声をかけようと探していた。
「あ、ガロード。ちょっといいですか?」
「うん?ヒイロ?どうしたー?」
「今回の作戦、敵は特殊なバリアを所持しているようです。最終的な判断はガロードに任せますけど、ツインサテライトキャノンの使用を考えておいてください。」
「・・・・わかった。考えておく。」
「ごめんなさい。あなたがそれをあまり使いたくないのはわかっているんですけど・・・。」
「いいよ。どんなものも使いようだ。適材適所ってやつか?」
「・・・あなたのその性格にはとても助けられますね。」
「それに使わなきゃいけないタイミングで使わなかった方がワタシは後々絶対後悔するからな。そんじゃあ留守を頼むぜ。」
「はい。任せてください。」
「しっかし、また面倒な敵と戦うことになったもんだ。」
「摩耶ったらもう・・・。でも分からない訳ではないわね。」
摩耶が腕を頭で組んで面倒くさげに言う。鳥海はそれをため息をつきながら見るが中々面倒な敵とは感じているようだ。
「報告書にあったバリア・・・。一体どれほどの強度なのでしょうか?」
「少なくともミサイルでは効果的なダメージは出なかったと提督が言っていましたが・・・。」
榛名と霧島が報告書にあったバリアの考察を考えていると北上は大井の方を向きながら、言葉をこぼす。
「それって、魚雷でもダメなのかな?どう思う?大井っち。」
「・・・・やっぱり実際見てみないと分からない、というのが正直なところですね・・・。」
「珍しいこともあるんですね。いつもの大井さんだったら北上さんと一緒ならどんな敵でもやれますよ、的なことを言うと思ったんだけど・・・。」
「比叡さん、魚雷、叩き込まれたいですか?」
「ひ、ひぇぇ・・・。じょ、冗談ですからぁ・・・!!」
比叡の冗談に大井が魚雷をちらつかせることで怒りを表す。
それにビビって涙目を見せる比叡の姿を見て艦隊の間で笑みがこぼれ、和やかなムードが漂う。
「私だって北上さんと一緒ならどんな敵でもやれるって思っているわ。でもそれは相手が深海棲艦であればの話。それこそ、アムロさん達みたいなモビルスーツとかが現れたらどうしようもないのが正直なところね。」
「・・・一応、それを見越して訓練のプランをやってはいるのだがな。」
大井の言葉にアムロは一応の対応はしているという旨を言うが大井の目は厳しいもののままであった。
「でも、兵装が貧弱だとどう抗ってもジリ貧なのは否めない。アムロさんもそれは分かっているはずですよね。」
「・・・・分かった。戻ったら艦娘がモビルスーツに対応できるように開発を色々試してみるようにヒイロに具申してみる。」
「うーん、やはりそうなりますか・・・。」
「霧島、こればっかりはしょうがないネ。提督達はそもそもがこの場にいるのがミラクルのようなものネ。いつもだと大抵、この前見せてもらったジェガンとかいうモビルスーツみたいな感じなんでショ?」
「そうですね。この間のジェガンのようなものです。その認識で間違いはないかと。」
霧島を宥めるため言った金剛の言葉にアリスが同調の意思を示す。
するとーー
「っ!?何か来るぞ!!」
突然何かを直感で感じたシーブックが厳しい表情をしながら浮上する。
その瞬間ーー
「で、電探に感あり!!で、ですが、この速さ・・・艦載機ではありません!!」
「ならミサイルかっ!?キラ、頼んだ!!」
「了解です!!」
鳥海の報告からアムロが指示を飛ばす。頼まれたキラがバラエーナ・プラズマ粒子砲を展開しながら、シーブックと同じように浮上する。
「手伝うか?」
「お願いします!!」
シーブックがピーコック・スマッシャーを構えながら、キラの隣で浮遊する。
視界にミサイルが飛んでくる様子が映ると、それぞれトリガーを引き、ビームが発射される。
発射されたビームはミサイルを悉く撃ち抜き、空に花火を作り上げた。
「・・・どうやら、件の霧の艦隊のお出ましか。」
ハイネの言う通り、アムロ達の視線の先にはいつのまにか霧が立ち込めていた。
霧の中はよく見えないがなんとなく巨大ななにかが発光しているのが見える。
「・・・各員、気を引き締めろ。この敵はいつもような深海棲艦とは違う・・・。」
「あ、あれは・・・・っ!?」
霧の中から出てきたのは『艦船』であった。艦娘とも深海棲艦とも違う、まさに船。第二次世界大戦中の艦船が今まさにそこにあった。その数、6隻。
「あ、あの形・・・長良型っ!?」
「な、なんだよ、アレ・・・!!」
「呆気に取られている暇はないぞ!!戦艦組は砲撃を開始しろ!!微調整はこちらから伝える!!」
アムロの声で我に帰った艦娘達は砲撃を開始する。放たれた砲弾はその巨体故に長良型のような艦船の直撃コースに入っていた。
砲弾は見事に直撃し、長良型と思われる艦船は爆煙に包まれた。
「直撃したっ!!」
霧島は手応えを感じたのか、手を握って感情を露わにする。
「霧島!!油断するな!!」
「えっ?」
アムロに声をかけられ、爆煙を見つめる霧島。そこには無傷の長良型が自分に砲塔を向けている様子が見えてしまった。
「しまっーー」
そう思ったのもつかの間、砲撃が開始される。直撃する、そう直感した瞬間ーー
「やらせるものかっ!」
飛んできた砲弾が突然真っ二つに両断される。二つに分けられた砲弾は霧島の左右でそれぞれ爆発を起こした。
霧島が爆風に煽られながらも前をみるとそこにはビーム・ザンバーを振り下ろしたシーブックがいた。
「大丈夫か?」
「・・・すみません、油断しました・・・。」
「気をつけた方がいい。相手は並みの戦力では返り討ちにされる。それほどの相手だからな。」
シーブックは霧島にそれだけ言うと接近戦を仕掛けるために長良型に突撃する。
「接近戦なら・・・!!」
弾幕を軽々と掻い潜り、長良型の甲板に降り立ったシーブックはビーム・ザンバーを甲板に突き刺しながら走り始める。
その先には長良型の艦橋部分、つまるところブリッジがある。
「こいつで、どうだぁぁぁぁーーー!!!!」
艦橋部分の麓にたどり着くとそのまま一気にブースターを蒸し、上空へ上昇する。
艦橋部分にダメージを負った長良型は爆発を起こす。しかしーー
(くっ、浅かったか!!)
ビーム・ザンバーの刀身がそれほど大きくなかったためか長良型は未だその身を海上へと浮かばせている。
その時、歯噛みするシーブックの側をオレンジ色の閃光が駆け抜けた。
「まだ行ける筈だ!!」
ハイネは対艦刀、アロンダイトを構えながら傷を負った長良型へと突撃する。
長良型は件のバリアで逃れようとするがーー
「逃がすかぁ!!」
ハイネがヴォアチュール・リミュエールでさらに加速し、ばら撒かれる弾幕を張り切ってそのままバリアの中へ突入する。
「この距離じゃバリアを張られねぇみたいだな!!」
上段で構えたアロンダイトをブリッジに向けて袈裟斬りをする。
元々損傷を受けていたブリッジはハイネの一撃で斬り落とされる。
ブリッジが機能しなくなった長良型はそのまま爆発を起こし、その身を鉄屑へと姿を変えた。
「よしっ!!まず一隻だ!!」
「くっ・・・。このバリア、陽電子リフレクターと同じような性質を持っている・・・!?」
キラは一隻の長良型を相手どっていた。ルプス・ビームライフルやクスィフィアスレール砲を放つが敵のバリアに阻まれ、有効的なダメージは与えられない。
「でもあれ・・僕たちのどの技術体系にも該当しそうなものがないんだよね・・・。あんな六角形のブロックのようなものを構築して形成するバリアなんて知らないし・・・。」
敵の兵装について疑問に思っていると迎撃用のミサイルが飛んでくる。しかし、これに当たるキラではないため、引きつけて一気にバラエーナで掃討することで対処する。
「キラ、援護を頼めるか?」
ミサイルを迎撃しきって、どう相手の防御を切り崩すかを考えているとスウェンから声をかけられる。
「スウェン?いいけど・・・どうするの?」
「バリアの一つのブロックに一点集中だ。全体ではともかく一箇所に集中的に攻撃を受ければ破れるかもしれない。モビルスーツの部位破壊をやっていたお前なら楽な仕事だろう。」
「・・・わかった!!行って!!」
スウェンが駆け出すと同時にキラはバラエーナを長良級へ向ける。弾幕やミサイルは先行するスウェンに向けられている。
「これなら落ち着いて狙える・・・。スウェンの突入コースから計算して、一番楽なのは・・・。あそこかな。」
狙いをつけたキラはそこに向けてバラエーナを連続で発射する。
バラエーナは寸分の狂いなく連続でキラが狙いを箇所に命中する。5、6発撃ち込むとーー
「バリアの破損を確認!!スウェン、行って!!」
「・・・・流石はスーパーコーディネーターが駆っていただけのことはある。」
スウェンはフッと笑みを浮かべるとキラがこじ開けたバリアの穴から長良型へと接近する。そのまま『グリフォンビームブレイド3』を二振り取り出すとーー
「はぁっ!!」
ブリッジ部分を覆っていた窓を突き破り、ブリッジ内部へ潜入する。
「ブリッジ内部は、さほどコズミック・イラの戦艦と変わらないか・・・?」
ブリッジ内部を一通り見て回ると今度はビームライフルショーティーを手にする。
「なんであれ、不穏分子は排除させてもらう。」
そのままビームライフルショーティーを乱射する。放たれたビームはブリッジの壁を穿ち、そこからスパークを生じさせる。
それを見たスウェンはすぐさまブリッジから離脱する。
「今だ!バリアを無効化した!」
そう通信機に伝えると無力化した長良型に砲弾の嵐が降り注ぐ。
最初こそは原型を保っていたが、程なくすると爆散した。
「これで二隻目か・・・。倒せない訳ではないが、骨が折れる。」
スウェンの眼下にはまだ四隻もの長良型と思われる艦船がいた。
今回も楽しんで頂ければ幸いです^_^