自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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この小説をやってて思ったこと、色々とすっ飛ばしていること。(大本営へのMAの説明とか)


第54話 対話の始まりーーー

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」

 

絶叫にも等しい声を叫びながらヒイロは佐世保鎮守府の上空でエピオンと切り結ぶ。

しかし、エピオンのビームソードの出力の前に力負けし、幾度となく弾き飛ばされるヒイロだったが、彼女はそれら一切を気に留める様子を微塵も感じさせずに狂ったかのように戦闘を続ける。

 

「遅い!!遅いよ!!奴の反応速度を超えろォ!!」

 

ヒイロはその暗く濁らせた目を浮かばせながらエピオンに向かってビームサーベルを振り下ろす。

しかし、エピオンはそれを易々と避けると左腕のヒートロッドを炎熱した状態でしならせる。

ヒイロはその赤熱化した鞭をもろに受けるが、全く意に課さない様子で一心不乱にエピオンに詰め寄る。

それこそ、徐々に彼女の体が鮮血にまみれていってもだ。もはや彼女に自分を鑑みるほどの余裕はなかった。

 

 

「ちょ、ちょっと、提督どうしちゃったんですかっ!?」

 

ガロードからもらったディフェンスプレートを抱きかかえている阿武隈が上空のヒイロとエピオンの戦闘ぶりを見て悲痛な声をあげる。

誰がどう見てもヒイロの様子がおかしいのは目に見えていた。

 

「わからない・・・!!加賀があの血にまみれたような装甲をもったガンダムに斬られてから、提督の様子が変貌したとしか・・・・。」

「ど、どうするんですか!?あのままじゃ提督、死んじゃいますよっ!?」

「駄目だ・・・!!あれほどの高速機動で動き回れれば、私達にはどうしようもない・・・!!」

 

長門が歯噛みしながらの内容に阿武隈は再度悲痛な声をあげながらヒイロを見つめる。

ヒイロとエピオンの高速機動は目で追うには厳しいレベルまで上がっている。

そこに砲弾を撃ち込んでも、余裕で回避されるか、よくて砲弾が叩き落されるのが御の字だろう。

さらに最悪のパターンは現在海上で繰り広げられているヒイロとエピオンの戦闘が鎮守府の敷地内でやられてしまうことだ。

 

そうなって仕舞えば、誰も戦闘をとめることはできやしない上に一般市民にもどれほどの被害が出るから未知数だ。

 

「大淀に頼んで市長に緊急避難の指示を出してもらおう。一番不味いのは、この戦闘を市街でやられることだ・・・!!阿武隈、大淀のところへ向かってくれ!!」

「わ、分かりました!!」

 

阿武隈を大淀のところへ向かわせた長門の言葉に陸奥は重苦しい表情を浮かばせながらもそれが自分たちにできることだと言い聞かせるように頷いた。

 

「ねぇ、私達にできることはほかにないの?」

「・・・・強いて言うならば、市民の避難誘導の手伝いくらいか。」

「そうじゃなくて!!提督だよ!!何かないの!?」

 

伊勢がひつうな顔をしながら何かヒイロに対してできることはないのか尋ねるも長門は無言で首を横に振った。

自分達ではどうしようもない。その現実からか伊勢は思い切り壁に拳を打ち付けた。

 

「本来守るために前に出なきゃいけないのは、私達のはずなのに・・・!!どうして、どうして提督が・・・!!」

 

苦々しい唇を噛みながら、打ち付けた拳を震わせる伊勢の様子に長門達も遣る瀬無い顔を浮かばせる。

 

「長門!!」「長門さん!!」

「刹那、それにフェネクスか・・・!!」

 

そのタイミングで外へ買い物に出ていた刹那とフェネクスがやってくる。

驚いた表情をしながらも二人がやってきたことに少なからず感謝するような顔をする。

 

「何か嫌な予感がしたから戻ってきたのだが、どうやらかなり状況は不味いようだな。」

 

刹那はそういいながら上空でビームの刃がぶつかり合った時に生じる紫電を撒き散らしているヒイロとエピオンの戦闘を見て、苦い顔を浮かべる。

 

「あのヒイロの戦い方・・・・何かに囚われているのか?」

「囚われている・・・?どういうこと?」

「・・・・わからない。今の彼女の戦い方を見て、何故だかそう感じた。」

 

陸奥の質問に明確な答えを持っていないのか、曖昧な返答をする刹那。そのことに陸奥はわずかに表情を歪め、はっきりとした解答を求めようとした時ーーー

 

「いえ、刹那さんの言い方に何ら間違いはありません。ヒイロさんは今、何かに囚われています。」

「それは、怒りや憎しみとか、か?」

 

フェネクスのはっきりとした言葉に長門は疑問気に質問をすると、フェネクスは首を横に振った。

 

「正確に言えば、利用されているといえばいいのでしょうか。ともかく似ているんです。私がNT-Dを暴走させた時の状態と。」

「つまり、今の提督は我を失っているっていうこと?」

「それで済めばいいんですけど・・・。」

 

伊勢の言葉にフェネクスはヒイロの身を案じるような視線を送る。上空ではヒイロとエピオンが熾烈なドックファイトを繰り広げていた。

だが、幾度とか切り結んだところで、不意にエピオンが地上の鎮守府にその緑色のツインアイを向ける。

 

「っ!?」

「みんな、離れろっ!!」

 

刹那が周りの長門達に声を張り上げる。

次の瞬間、エピオンはヒイロのビームサーベルををかちあげると彼女のがら空きになったボディに蹴りを叩き込む。

吹っ飛ばされたヒイロに視線を向けることすらせずにエピオンはビームソードを構えると鎮守府に向かって、正確に言うならば刹那とフェネクスに向けて急降下を始める。

 

「こ、こっちに来たぁ!?」

 

伊勢の声が聞こえる中、フェネクスと刹那はそれぞれ腕部に装着されているビームサーベルとGNソードⅢを構えると、突撃してくるエピオンを迎え撃つ。

 

「つっ!?」

「この出力はっ!?」

 

振るわれるエピオンのビームソードをフェネクスと刹那のビームサーベルとGNソードⅢとぶつかりスパークを撒き散らす。

しかし、そのエピオンのジェネレーターから直結され、爆発的な出力の前に刹那とフェネクスの二人がかりでも徐々に押され始める。

 

「っ………このぉっ!!」

 

エピオンに押され気味だったフェネクスが声を張り上げながら拳を強く握るとそれに呼応するようにビームサーベルの出力が上がり、ビームの色がピンク色から青白い光に変わる。

 

先ほどまで徐々に押されていた二人だったが、フェネクスがビームサーベルの出力を上げたことにより、逆に押していく。

このまま押し切るつもりで力を入れる刹那とフェネクス、しかしーーー

 

「っ……がぁ………あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!」

「ヒイロっ!?」

 

突如、ヒイロが頭を抱えながら聞いているだけでも痛ましくなるような叫び声をあげる。

刹那が思わずヒイロに声をかけるも彼女にその声が届いた様子は見えず、悲痛な叫び声を上げ続ける。

 

「ヒイロさん、自分を保って!!貴方の纏っているソレは危険なものです!!」

 

フェネクスはニュータイプとしての感性ゆえか、ヒイロの周りをなにやら黒い良からぬものがまとわりついているのを見抜いていた。

しかし、それがなんなのかはフェネクスにそこまで正確しれるほどの力はなかった。

一刻も早くヒイロの元へ駆けつけなければ確実に良くないことが怒る。フェネクスのニュータイプとして直感がまざまざと感じさせていた。

今すぐにでも向かいたいところだが、エピオンがフェネクスに突撃をしかけ、ビームソードを振り下ろしてくる。

咄嗟にフェネクスが出力を上げたビームサーベルでこれを防ぎ、あたりにスパークを撒き散らす。

 

「このMSの相手は私がします!!刹那さんはヒイロさんを!!」

「っ…………了解!!」

 

一瞬、フェネクスの方を見やる刹那だったが、すぐさま視線を苦しそうに悶え続けるヒイロの方へ移すと、両肩のGNドライヴから緑色の粒子を出しながら飛翔する。

 

「ヒイロ!!私の声が聞こえるか!?」

 

刹那が必死に声をかけるもヒイロは頭を抱えながら絶叫しているだけで、とてもでないが聞こえているようには見えない。

苦虫を噛みしめるような表情を浮かべる刹那だったがーーーー

 

「……………。」

 

不意にヒイロが金切り声をあげるのをやめると脱力したかのように腕をだらんとおろした。

一瞬、ヒイロが元に戻ったかと思った刹那だったが、次の瞬間には不気味さをヒイロの立ち振る舞いから感じとった。

 

「刹那さん、離れてっ!!」

 

エピオンと格闘戦を繰り広げていたフェネクスがヒイロの様子が変貌したことに思わずエピオンから視線を外しながら刹那に声をかける。

刹那が一瞬、フェネクスの声を気を取られた瞬間、ヒイロが握っていたビームサーベルが振るわれる。

その切っ先は、エピオンではなく、目の前の刹那に向けられていた。

 

「何っ!?」

 

突如として自身に向けられたヒイロの攻撃に刹那は驚愕しながらもビームサーベルをGNソードⅢで受け止める。

 

「ヒイロ!!何の冗談だ!?」

 

刹那はヒイロと鍔迫り合いをしながらも必死にヒイロに声をかける。刹那の言葉に反応したのか、ヒイロがわずかに視線を刹那に向ける。

そのヒイロの瞳は一寸先すら見通せない闇に包まれていたと言っても過言ではないほど、淀み、荒んでいた。

 

「…………戦うのイヤなんですか?」

「っ………!?お前と戦うのは本意ではない!!」

 

不意にヒイロから刹那に向けて言葉に紡がれる。その声はいつものヒイロとはかけ離れたようなひどく冷たいものであった。刹那はその冷え切ったヒイロの声に苦い顔を浮かべながらも答える。

 

「だったら………戦わなければいいんだよぉッ!!!!」

「なっ………!?ウワァァァッ!!!」

 

ヒイロは刹那の答えが気に食わなかったのか、表情を怒りに染めながら無理やり刹那を弾き飛ばした。

 

「くっ………ヒイロ………何故だ………何故戦うっ!!私たちに戦う理由などないはずだ!!」

「…………。」

 

刹那の問いにヒイロはその冷酷な目で刹那を見下ろしながら、エピオンとの戦闘で落としたはずのバスターライフルを刹那に向ける。

それを見た刹那は咄嗟に回避行動を取ろうとしたがーーー

 

「っ………後ろには鎮守府が………!!!」

 

後ろに視線を見やるとバスターライフルの射線上にはたくさんの仲間たちがいる佐世保鎮守府があった。

このままヒイロがバスターライフルの引き金を引けば、もれなく鎮守府は甚大な被害を被るだろう。

 

「ヒイロっ!!撃つのをやめろ!!後ろには鎮守府がーー」

 

刹那はヒイロに声をかけるも彼女は無情にもバスターライフルの引き金を引いた。

バスターライフルから迸る山吹色の爆光が刹那に向かって一直線に突き進む。

 

「くっ!?GNフィールド、出力全開ッ!!!!」

 

刹那は自身の周囲にGNフィールドを展開し、バスターライフルのビームを鎮守府に落とさせまいとして自ら盾になる。

 

 

「うう…………くっ………!!」

 

バスターライフルの出力の前に流石のツインドライヴを有している刹那でも表情を歪ませてしまう。

だが、刹那が意地でその場に押しとどまったのが功を奏し、バスターライフルの光が鎮守府に届くことはなかった。

 

「ハァ………ハァ………!!」

 

バスターライフルを防ぎきった刹那だったが、表情には僅かに疲労の色が見える。

ただ防いだだけなのに、バスターライフルの出力は刹那の体力を大幅に削り取っていった。

 

「くっ………ヒイロ……一体お前の身に何が………!!」

 

刹那が上空でバスターライフルを構えているヒイロに険しい視線を送る。ヒイロは未だその冷酷な瞳で刹那を見下ろしていたがーーー

 

「っ………?なんだ………?」

 

不意にヒイロを見上げていた刹那の顔になにかが落ちてきた。刹那がその落ちてきたものを拭うと、その手には水滴が付いていた。

一瞬、雨でも降っているかと思ったが、空は雲がないわけではなかったが、あめが降るとは思えない晴れ晴れとした空であった。

 

「…………おかしいな………なんで、涙なんかが出てくるんだろう……?」

「涙…………?」

 

そう言ったのはヒイロだった。鬱陶しそうに顔を拭う彼女の様子を見た刹那は目をよくこらしながらヒイロの顔を見つめる。

すると、僅かにだが、ヒイロの瞳から涙が出てが零れ落ちているのを垣間見ることができた。

 

(何故突然涙を流した………?フェネクスはシステムに囚われいるといっていたが………まだ、自意識が残っているのか?)

 

刹那はさらなる情報を整理を行うためにヒイロの様子を凝視する。

しかし、先ほど涙を流していたはずの目は拭われ、奥が見えない暗く濁った目に戻ってしまっていた。

 

(…………おそらく、この戦闘はヒイロの本意ではないのは確かだ。ならば、私のすべきことは………!!)

 

刹那は意を決した表情をするとヒイロに向かって一直線に向かっていく。

ヒイロは馬鹿正直に突っ込んでくる刹那にバスターライフルを発射しようとするが、それより早く、刹那が動いた。

 

「トランザムっ!!!」

 

刹那が虎の子であるトランザムを発動させたことで体が薄い赤に包まれる。

GNソードⅢを構えるとツインドライヴから二つの緑色の円を作りながら、残像が見えるほどのスピードで回り込むように接近する。

通常より爆発的な加速を得た刹那だったが、ヒイロはその加速に動じている様子はなく、再度バスターライフルを構え直す。

 

(トランザムにも付いてくる………!!チャンスは一度しかないと考えるべきか………!!)

 

「ヒイロ!!少し手荒な方法を取らせてもらう!!」

 

刹那はGNドライヴの出力はさらにあげるとヒイロの周りを縦横無尽に駆け回る。

攻撃するわけでもなく、ただ自身の周りを飛び回っているだけの刹那の動きにヒイロは鬱陶しそうに表情をゆがめる。

 

「邪魔しないでよ!!」

(フェネクスが言ったヒイロにまとわりついている良からぬもの………今の私にも何故かそれを知覚することができる………)

 

ならば、と心の中で刹那が決意すると今まで周囲を飛び回っていた状態から一気にヒイロに詰め寄った。

急激な方向転換だったが、ヒイロはそれを不意をつかれたような様子を見せずにバスターライフルを向ける。

 

刹那のGNソードⅢが振るわれるよりヒイロがバスターライフルの引き金を引く方が時間的に早い。それを認識しながらも刹那はヒイロへ肉薄する。

 

ヒイロがバスターライフルの引き金を引く直前に突如として、刹那の体が霧散した。

 

「っ………!?」

 

予想外の現象にヒイロは思わず驚いた表情をしながら体を硬直させる。

霧散したGN粒子は少しの間、ヒイロを取り囲むように浮いていたが、急激に指向性を持ったかのように一箇所に集合していく。その場所はちょうどヒイロの背後だ。

ヒイロが咄嗟に後ろを振り向いた時には既に時遅く、刹那が次の行動に移っていた。

 

「トランザムバーストッ!!!!」

 

瞬間、刹那のツインドライヴからこれまでとは比べものにならないレベルのGN粒子が放出される。

その輝きは刹那とヒイロを包むこむどころか、鎮守府で行く末を見守っていた長門達すら包む込んだ。

 




感想とかくれるとやはり嬉しいです………。

また時間は開くと思いますが、頑張っていきたいと思います……
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