現在、ヒイロ達は食糧調達をしていた。刹那とアムロは海で釣り、
キラとハイネは鎮守府で艦娘の面倒を見て、ヒイロとガロードは果実採取をしていた。
そして、アムロから聞かされた、艦娘が暴行されていた可能性があるということ。
「ガロードはどう思います?」
「・・・アムロが言ってたことか?もし、それが事実なら私は正直言って許せねぇな。」
ガロードの手に力が入る。それ以上力を込めると血が出て来そうだ。
「ですよね・・。あんなちいさな子供に暴行するなんて。」
「っても、まだ確証したわけじゃないけどな。今、とりあえずアイツらのメシの調達だろ?」
めざとく高い木に成っている果実を見つけると、登ろうと木に手をかけるが、
「あ、わたしが登りますよ。ガロードは下で待ってて下さい。」
そう言い、手早く木を登り、果実のある所にあっという間に着き、ガロードがおお、と感嘆の声をあげる
「ガロード、行きますよ。」
「OK。いつでもいいぜ。」
静かな海が見える場所、海岸にある岩場を足場にして刹那とアムロが自作の釣竿(針をつけた糸を棒にくくりつけて作った超簡易式)で釣りをしていた。
「静かだな・・。」
「ああ。」
ただひたすら待つ。魚がかかるまで。
「釣れないな・・・」
「ああ。」
刻々と時間は過ぎてゆく。
「釣れるのか・・・?」
「・・・・ああ。」
「待て、今の間はなんだ。流石に見過ごせないんだが。」
「餌に問題があるかもしれない。」
「話・を・そ・ら・す・な。」
はぁ、とため息をついて刹那に話始める。
「はぁ、この前はあれほど採れていたのに・・・」
「いや、この前をこのくらいだったぞ?」
まさかのカミングアウトにアムロは絶句する。
「じゃ、じゃあお前はどうやってあの量の魚を・・・?」
「決まっている。こうだ。」
ドボンッ、という音と共に刹那は飛び込んだ。一瞬、言葉を失ってしまい、かろうじて出した言葉が、
「馬鹿なのか!?」
一方、キラ達は天龍達の面倒を見ていた。
「大丈夫?見たところ、君が一番酷いらしいからね。」
「う、うん。大丈夫。こ、このくらいどうってことないわよ!」
「意地を張っちゃ駄目だよ。骨にヒビが入ってるんだから。」
「ピィッ!?」
キラは一番怪我が酷かった艦娘、暁のヒビが入った腕をつついて、強制的に言うことを聞かせる。
突かれた暁は尋常じゃない痛みから涙目になる。
「ほら見たことか。とりあえず、君は安静にしてて、分かった?」
「はぁい・・・。」
立ち上がり、ほかの艦娘達の様子を見に行こうとした時、ハイネが声をかける。
「あ、ハイネ、どうだった?」
「からっきしだ。キズ薬になりそうなのは一つもありゃしねえ。」
「そう・・やっぱり、どうしようもないか・・。」
暁の腕のヒビはアムロが板と布で応急処置は為されているものの、それ以外の天龍達の傷は手付かずとなっている。
早く適切な処置を行わなければ、傷口から膿が発生し、最終的に死に至る可能性も上がってくる。
「早く、ここを出る目処を立てた方が良いかもね。」
「ああ、それには賛成だ。だがどの道、それ相応の食糧を準備しなきゃ、どうしようもねぇよ。」
ヒイロ達はこの無人島から脱出しようとしている。前までは現在地を知ることがでけなかったため、出ることができなかったが、
天龍達からヒイロ達の現在地の情報を得ることができたことである程度のプランを立てることができた。
場所はトラック諸島、今で言う、チューク諸島から20、30キロ離れた島らしい。
無人島から脱出できたのち、目指すのは大本営、ないしは横須賀鎮守府、そこで天龍達を保護してもらおうというのがヒイロの提案だ。
とりあえず、出来ることをしようと、天龍達の方がに向かおうとした時、
ガタッという、物音が響いた。その音は天龍達には聞こえなかったが
「・・・ハイネ、聞こえた?」
「ああ、聞こえたぜ。」
気づかれないように、音源へと近づく。そこには、キラ達を見て驚いている手のひらサイズ程のちいさな小人がいた。
「え、こ、これは・・?」
「小人、だよな。」
『あ、あの!!』
困惑していると、小人から声をかけられた。驚くハイネに対し、キラは落ち着いて小人の話しを聞く。
「えっと、話しは聞くけど、まず君の素性を教えてくれないかい?」
『妖精さんです!!』
「ようせい?妖精って、あの妖精か?」
ハイネは背中に半透明の羽が生えているファンタジーによくある妖精を思い浮かべる。キラも同じような想像をしたが今は置いておく。
「君はどこから来たの?」
『工廠です。そこで他の妖精と一緒にいました。」
「工廠、調べてない場所だな。」
「おーい、なにやってんだ・・って、妖精さんじゃねぇか。」
「えっ、その名前で通ってるんだ・・。」
「俺とキラは今から工廠を見てくるんだが、大丈夫か?」
「・・・分かった。」
何か、言いたそうに見えた天龍だったが、キラは気にしなかったことにしたが、
「何かあったら、ヒイロかアムロに言ってね。そろそろ戻ってくると思うから。」
「ああ、ありがとな。」
天龍の言う通り、キラ達と入れ違いで、ヒイロとガロードが帰ってきた。
「あれ、キラとハイネは?」
「工廠へ向かった。って、だいぶ取ってきたんだな。」
「そりゃあ、おおよそ三日分だしな。これぐらいの量にはなるさ。」
「・・・そうか。」
天龍の微妙な反応に怪訝な感情を抱いたヒイロは彼女に聞く。
「どうかしましたか?」
「・・いや、なんでもない。」
「話せることなら話した方が良いぜ。」
ガロードにも見透かされたと思った天龍は観念して話すことにした。
「・・俺たち、戦わずに逃げてきただろ?でも、向こうには戦っていた奴もいたんだろうなぁって思ってな。」
「情けねぇよなぁ。本来、戦わなきゃなんねぇっうのに、敵を見たとき、思わず足がすくんじまった。」
「んじゃ、お前、自分の選択に後悔してんのか?」
「あ・・?後悔・・?」
「正直な思い言って良いか?私は、今お前をすごくブン殴りたい。」
ガロードの怒りのこもった声に天龍は目を白黒させる。
「は、はぁ!?なんでだよ!?」
「お前の言った言葉はなぁ!!私達のお前達を助けたいって言う思いを侮辱してんだよ!!」
凄まじい剣幕で天龍に摑みかかる。そして、龍田達を指差し、
「それになぁ!!お前はあいつらの笑顔まで侮辱するのか!!」
天龍が目を向けると、そこにはかつての鎮守府では笑顔を見せる余裕すらなかった彼女たちが、屈託のない笑顔を浮かべる様子が見えた。
「お前は、今のアイツらの様子見て、自分の判断が間違っていたって言えんのか!!」
ガロードの怒りに何も言い返すことができない天龍。そして、我に帰ったガロードは天龍を掴んでいた手を離す。
「・・・悪い、カッとなった。」
ガロードはバツの悪そうな顔をする。だが、天龍は黙りこくったままだ。
やらかしたか、と自己嫌悪に陥りそうになった時
「・・・わねぇ・・!!」
「俺は、判断を間違ってちゃいない!!」
涙ぐんだ声でガロードに向かって叫んだ。
「・・へへ、お前がそういうなら、私も怒った甲斐があるものだぜ。」
「まぁ、ほとんど言われてしまいましたが、私もガロードと同意見です。せっかく助けたのに後悔だの何だの言われてしまうと、助けたい甲斐がありませんしね。」
「その、悪かった。」
天龍はヒイロとガロードに頭を下げる。
「貴方に分かって貰えれば、私はそれ以上を求めませんよ。」
「同じくだぜ。」
ヒイロとガロードは天龍に笑顔を向ける。
「とはいえ、本当に懸命な判断だったと思いますよ。変に意気込んで突っ込んでも無駄死にするだけです。」
「うぐっ・・。」
ヒイロからの辛辣な言葉に天龍の心は大破しそうだった。