自我を手に入れた少女達の翼   作:わんたんめん

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第7話 介入

「うん、これくらいあれば少なくとも三日は保つかな。」

 

目の前には、大量の果実と魚。ヒイロは魚がこれほど取れるとは思っていなかったため、アムロにその訳を聞くと

 

「刹那が乱獲した。全く、無茶をする・・・。」

 

ため息をつきながらずぶ濡れの刹那を見る。

 

(たぶん、潜ったんだろうな〜。)

 

皆で気づいていながら、暗黙の了解、つまりスルーを決めてこれからの方針をヒイロが話す。

 

「では、これから日本列島、もっと詳しく言えば、横須賀鎮守府へ向かいます。最短三日で着く予定ですが、途中、深海棲艦からの襲撃は必至でしょう。」

「もし、敵と接触した場合、主に迎撃するのは、私達がやる。天龍達は食糧の運搬をメインに置いてくれ。」

 

天龍達から威勢のいい、了解の返事が返ってくる。

 

「君たちは我々がかならず守り通します。では、出航します!!」

 

目指すは横須賀鎮守府、そう意気込みヒイロ達は大海原を出航した。

 

「そういえば、アムロ。天龍ちゃん達の装備、いつ直したんですか?」

「ああ、それは・・・」

 

アムロいわく、修復の二文字か書かれたバケツをかけたら瞬く間に損傷が再生したらしい。天龍達に聞いたら、そのバケツは『高速修復剤』というそうだ。

 

「修復に使えるだろうとは思っていたが、まさか、あそこまで速いとは・・。」

 

ヒイロは次に目に入ったのはちいさな箱を抱えているキラの姿だった。

 

「キラ、その箱は・・・?」

「ああ、これ?これは・・。」

 

キラが箱の蓋をあけると、中から妖精さんが複数人出てきた。しかし、妖精さんの存在を知らないヒイロや刹那は驚きを隠せない。

 

「それは・・人・・なのか?」

「妖精さんっていうらしいよ。艦娘の装備にくっついている時が大半らしいんだけど、中には工廠っていう建物にいる種類もいるんだって。」

「工廠・・か。なるほど、人の気配がしたのに見当たらなかったのはそのためか。」

「妖精さんですか・・可愛い顔をしてますね。」

 

指で妖精さんの顔を突っついていると、ガロードから声がかかる。

 

「お〜い。ヒイロ、龍田がなんか呼んでるぞ?」

「あ、はい。わかりました。」

 

飛ぶ高度を下げ、会話ができる距離まで近づく。

 

「ごめんなさいね〜。お取り込み中だったかしら〜?」

「いえ、別に構いませんよ。どうかしましたか?」

「えっと、横須賀まで三日かかるって言っていたわよね?」

「ええ、まぁ正直おおよそなので誤差はあるでしょうけど・・。」

「別にそれは構わないのだけれど、寝る場所はどうするのかしら?」

 

龍田のその質問に天龍を含めた艦娘があ、という顔をする。

 

「それは・・行き当たりばったりが答えになってしまいます。暫定的な地図は分かりますが、詳しいことはさらさらわかりませんので、どうしても、区切りの良い場所で北上を止めて、寝床となる島を見つなければなりません。」

 

ヒイロはそういい、天龍達に頭を下げる。

 

「ごめんなさい。こういうことは言っておくべきだったんでしょうけど・・。」

「別に気にはしないんだけどなぁ・・・・」

 

思いもよらなかった反応にヒイロは驚く。

 

「え、気にならないんですか?」

「普通、作戦を始めると三日以上かかるなんてザラにあるからな。寝る時は寝るけど、多少寝なくてもそんな気にならねぇよ。」

「そ・・そうですか・・。」

 

余計な心配事でしたか。そんな風に思い、ホッとするヒイロだった。

そんな彼女らの航海は途中、深海棲艦に発見されることが何回かあったが、その都度ヒイロ達が秒殺するという、比較的安全に三日間を過ごし、目的地へ進むことができた。

 

 

そして、転機は4日目に起こる。

 

変わらぬ海を進んでいたヒイロ達、食糧も底が見え始め、刹那がまた素潜りを画策し始めた頃、ガロードがある一点を見つめていることに気づく。

 

「ガロード?どうかした?」

 

最初に気づいたのはキラだ。前も感じた、儚げな気配がガロードからした。

次点でアムロと刹那だ。

そして、ガロードが、言葉を紡ぐ。

 

「向こうから、貴方がたが求めるものがあります。」

 

キラは一度見たため、驚きはしなかったが、ほかの5人は突如としたガロードの変わりように驚きを隠せない。

 

「お、おい、どうした?なんか、へんなものでも食ったか?」

「いや、この変わり方・・・さながら、人格そのものが変わったような・・!?」

「この感覚・・君はニュータイプか・・?もしくは、それに準ずるナニかなのか?いや、それ以前に、君は何者だ!?」

 

ニュータイプ、それは宇宙世紀にて、ジオン・ズム・ダイクンが提唱した思想『ジオニズム』において、存在が予言された、人類の革新とも呼べる者たちの総称である。

 

ガロードはアムロの質問には何も答えず、一方的にヒイロ達に告げる。

 

「私が言えるのはこれだけ・・。まず、彼女が自分自身のことに気づく必要があります。」

 

フッ、と消えた気配と共にガロードの体が重力に従い落ちて行く。

 

「っ!?ガロード!!」

 

刹那が咄嗟にガロードの手を掴み、事なきを得るが肝心の彼女は目を閉じたままだ。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

ヒイロがガロードの口元に手を当てる。幸い、息はしっかりしている。

 

「良かった・・失神しているだけのようです。」

「・・・しかし・・ガロード、いや彼女と呼ぶべきか?一体何者なんだ・・?」

「・・・なんつーか、こう・・。いつものガロードとは真逆の性格だったよな。」

「・・・本人に聞くか?」

「多分、ガロード本人に聞いても分からないと思う。」

 

キラのその言葉に疑問符をあげるアムロやハイネ、だが、ヒイロは気づいた。

 

「キラ。貴方、ガロードが前にもこのような状態になったの、知ってましたね?」

「え、見たことあるのか!?」

「そうなのか?キラ。」

 

キラは天龍達の救援を行う前、ガロードが先ほどの状態になっていたことを告げた。そして、その後、ガロード本人に聞いたが、知らないと言われたことも。

 

キラが話し終えたと同時にガロードが目を覚ます。

 

「ん・・?あれ、私、寝てた?」

「・・・ああ、休むか?」

「いや、大丈夫。それより、なんか、あっちに行かなきゃなんない気がするんだ・・。」

 

ガロードはそういい、先ほど、見ていた方角を見つめた。

 

「わかりました。あっちに進めばいいんですね?」

「・・・ああ。頼めるか?」

 

ヒイロは自分たちの異常を察して止まっていた天龍達に伝えるため高度を下げ、進路変更の旨を伝える。

 

そして、彼女が示した方角へ進むと、見えてきたのは、

 

「・・・あれ、低気圧かな・・?」

 

海の上にポツンと、暗い場所がある。その上には真っ黒な雲が立ち込めており、瞬時にその下で雨が降っていることが分かる。

ヒイロ達が雨雲を避けようとした時、

 

「・・待て、艦娘だ!!」

 

刹那が叫んだ。よく目を凝らして見てみると、二人の艦娘が雨の中を駆け抜けているのが確認できた。

一人は傷だらけで立っているのもやっとの状態だ。

もう一人はその傷ついた艦娘を抱え、必死に水上を駆け抜けている。

しかし、その先には深海棲艦が待ち構えている。

 

「不味い!!彼女達があぶない!!」

 

雨の中を抜ければ間違いなく、敵の艦載機が彼女達を襲うだろう。普通なら間に合わないだろう。()()()()

 

(私なら間に合うかも・・!!確か、アレは構造上、人体で行っても問題ないはず・・!!)

 

ここで少し話しは逸れるが、ヒイロ、もといウイングガンダムが強襲離脱型と言われる所以は主に二つだ。

 

強襲の部分はヒイロがもつバスターライフル、そして、離脱の部分は、

 

「私が向かいます!!みんなは後から来てください!!」

 

ヒイロはバスターライフルのつけたシールドを背中に装着させ、背中のウィングを広げると、さながら鳥の姿に()()した。

 

「へ、変形機構を持っていたのか!?」

 

アムロが驚愕の声をあげるのを他所にしてヒイロは豪雨の中に突入した。

 

「速っ!?」

「あれほどのスピード・・。強襲離脱型とはよく言ったものだ。」

「私達も続くぞ!!」

 

アムロ達もヒイロに続き、襲われている艦娘の救援に向かう。

 

 

「くっ・・・いよいよ不味くなってきたわね・・!!」

「瑞鶴!!もういいのよ、私を置いて、逃げて・・!!

「そんなこと、できるわけないじゃない!!」

 

頼みの綱であった低気圧の抜けての奇襲も対処され、いよいよ、万事休すかと思われたその時、目に入った、いや目に入ってしまった。自分に向けて放たれている魚雷。それも二本。

 

(タイミング最悪・・!?)

 

寄りにもよって目を離した瞬間を狙われるとは、衝撃を覚悟して、目をつむった。鳴り響く爆音。耳には嫌という程衝撃はきたが、体には衝撃は一切来なかった。不審に思った瑞鶴が目を開くと、

 

「ま、間に合った・・。大丈夫ですか?」

「え、あ、うん、ありがと・・?」

 

目の前に立っていたのは、シールドを構えたヒイロだった。

 

ヒイロはシールドで魚雷を防いだ。若干嫌な記憶が頭をよぎったが、どうやら問題なく防げたようだ。

 

「・・ターゲット、ロックオン・・!!」

 

ヒイロは敵を確認すると、すぐさまバスターライフルを構える。狙うは頭にタコのような触手が生えている深海棲艦、空母ヲ級。

 

「攻撃開始。」

 

バスターライフルから放たれる山吹色の閃光はヲ級もろとも敵の艦隊を消滅させた。残りは敵艦載機だけだが、それは、アムロたちが駆けつけて、すぐに殲滅された。

 

「な、なんなのよ・・あんた達・・!!」

「い、一瞬で敵艦隊が消滅・・!?」

 

瑞鶴とその姉、翔鶴はヒイロ達に対して、警戒感を露わにする。無理もないだろう。いきなり現れて、深海棲艦を倒してくれたのはいいが味方と決まったわけではない。

 

「私達は、トラック泊地の残存部隊です。」

 

 




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