これはその後の話となります。
side比企谷八幡
大和が矯正施設に連行された翌日。
昨日、あんなことがあったせいか、三浦グループは少し沈んでいた。特に由比ヶ浜だ。下手をしたら死んでいたかも知れない。その事実が後から恐怖を感じたらしい。
静「ハッチ、何だかんだで由比ヶ浜を心配しているんだね?」
八幡「何でそう思う?」
いろは「いつもの場所に行かないで、ここでお昼にしよう…と言った時からそんな気がしましたよー?何年一緒にいると思ってるんですかー?」
八幡「そういうあなたは人前でも気にせずイチャイチャするようになりましたね。あと、口調も昔みたいになったな」
いろは「今回みたいな事がいつあるとも限りませんからねー。もう、自分らしく行くことにしたんですよー♪ハチ君には、小悪魔のようにいくから、覚悟してね♪わたしを惚れさせた責任はとってもらいます♪」
八幡「welcome」
静「はいはい、暑い暑い。それよりも、雪ノ下さんまで呼んじゃって…戸惑ってるわよ?雪ノ下さん」
八幡「良いんだよ。俺達は覚悟していたことだが、雪ノ下と由比ヶ浜の二人は、今回はよく頑張った。死の恐怖を感じた戦いだったに違いない。あんな風に気丈に振る舞っていても、な……。それに、ジョルノの奴が盛大にやらかしてくれたおかげで、死の恐怖が二割増しだしな」
今回限りのアフターケアだ。死の暴虐はいつも突然やって来る。聞いた限りでは、由比ヶ浜と雪ノ下が先陣を切って覚悟を決めたとか。彼女たちはどんどん変わっていっているな。
八幡「助けたいな。ブラッディ・スタンドから」
静「そうね。大和のように、残念な結果に終わってしまったパターンもあれば、ああやって前向きに進んでいく人もいる。あの特殊な矢が何を引き起こすのかはまだわからないけれど…」
八幡「………」
いろは「まさか…ハチ君、あの力を…」
八幡「使うかもな…。鎮魂歌を…」
俺達は三浦達と…そして大和がいない葉山グループを見ながら言った。
綾瀬香澄…
あの女が何故ブラッディ・スタンド使いを増やしているかは不明だ。目的の一つが俺達アーシスであることは間違いないだろう。だが、それはついでにすぎないような気がする。
ガールズトークは雪ノ下が戸惑いつつも、三浦と戸塚(何故混じってる?)が上手くリードして、終始華のある和やかな空気で進んでいく。
一方で、葉山グループ。ここで、俺の十八幡…ではなく、十八番である観察の出番だ。他にも昼寝やあやとり、射撃がある…って俺は○び太か!
葉山たちは窓際の席に陣取っていた。葉山が壁際に寄りかかり、それを囲むように戸部と大岡がいる。壁という絶対の背もたれを持つ場所こそ、王者の場所にふさわしい。おそらく本人たちにはその自覚はあるまい。だが、自覚がないからこそ、それは本能的、本質的な行動であることを示している。
三人の会話や動きはぎこちない。今までは大岡が話をふり、大和が受け、戸部が盛り上げる良くできた演劇のようなものだ。それが大和がいなくなった影響は徐々に出てきている。「人生は舞台だ」とシェイクスピアは言ったが、その与えられた役割が破綻してしまった今、それを直すも壊すも王の役目だ。
葉山は時には話を振り、時に笑い、時に一緒になってはしゃぐ。
彼らを見ると様々な事に気がつく。小さな舌打ちをしたり、隣の奴が話題を振ると急に黙ったり、下ネタになると反応に困ったり。戸塚が分析した通りだな。
葉山「悪い、ちょっとごめん」
葉山は俺の視線に気がついて席を立ち、俺の方に睨みながら近づいてくる。
八幡「……んだよ」
臨戦態勢に入りつつ、傍らに立った葉山に話しかける。
葉山「いや、結局、こうなる以外に無かったのかなって思ってさ」
八幡「ない。これでもこっちは出来る限りのアフターケアはしたつもりだ。あの光景を見ろよ」
俺は顎であの二人を示す。二人とも携帯をいじり、だるーっとしていた。
八幡「あの二人…いや、大和も含めた三人にとって、お前は友達で、その他は友達の友達だったって事だ」
静「あんたがそれに気付いて気を回していれば、避けられていたかも知れない事態だったかもね。テニスに乱入してきた時、あんたは面白いことを言っていたね?みんな仲良く…だったっけ?その戯言を掲げているリーダーのグループの成れの果てがあれだったっていうの?」
いろは「…………」
ジョジョが辛辣な言葉を放ち、いろはは無言の拒絶をする。
葉山「俺は今までみんな仲良くやれればいいって思ってたけど、俺のせいでもめることも、あるんだな…それに気が付くのが…遅かった……」
そう呟いた時の葉山の顔は、どこか寂しそうだった。
八幡「そうでもねぇさ。戸部はまだ生きているし、大岡達野球部もおとがめ無しで済ませることが出来た。問題の大和だって、結局カラーギャング共を始末したのがウチの財団だったし。今後の矯正を大和がどれだけ真摯に受け止めるか次第だな。早くても一学期が終わるまでは復帰は出来ないわけだし」
葉山「始末…か。君には、人の心はあるのか?」
八幡「ない。俺達アーシスは、既に人の道から外れている。誇りをもって棄てた心だ。お前にとやかくは言わせん。葉山…警告しておく。お前の主義や主張は勝手だ。だが、俺達を巻き込む事をやってみろ。その時は…今回のように助けることはない。ましてや、最悪、アーシスの誰かが死ぬことになったときは…覚悟しておけ。わかったら行け…」
葉山「ヒキタニ…俺は…君を…」
八幡「きこえなかったか?行けと言った。昨日は誰かが死んでいてもおかしくはなかった…お前の自称友達のお陰でな。しばらくはその面を見たくない」
葉山「………俺はそれでも、理想を捨てない…」
八幡「好きにしろ。だが、アーシスやSPWの障害になったときは、容赦はしない。それだけは覚えておけよ」
俺は殺気を飛ばして葉山を睨む。
見れば三浦達も冷ややかな視線を送っていた。
葉山は殺気に気圧され、スゴスゴとグループの元に戻っていった。
それでいい。俺らに関わるには、お前の理念はアーシスとは合わなすぎる。
葉山は自分の友達、自分のグループのために解決策を求めて奉仕部を訪れたのに、待っていたのは辛い現実と裏の世界の血生臭さ。
基本的に良いやつなのだろう。だが、歪んだ家系によりそのやり方が極端なのだ。
昨日、冷静になった大和と話してみたが、自分でもどうしてあんなことをやったのか、理解できていないようだった。
それがブラッディ・スタンドの特性ゆえか、力を得たことにより、分不相応の物を求めたが故の増長なのか…。
それはわからない。だが、スタンドを封じられ、正気に戻った大和からは、あの狂気が消えていた。もっとも、あのスタンドは危険すぎるので、封印を解くつもりはないが。
あの様子なら、数ヵ月での社会復帰はかのうかもしれない。
静「ま、考えたって仕方がないよ。それよりも、見学場所を書きに行こう」
八幡「露伴先生の家だな」
戸塚「諦めが悪いね…日本支部の本部じゃあなくて、関東支部が希望なのかい?」
八幡「日本支部の本部でお願いします」
静「やっと諦めたね。じゃあ、私が書きに行くよ」
ジョジョがSPW財団日本支部の会社名を書く。他の平行世界の俺が何人も言っているが、自分が働いている職場に見学に行くって何の罰ゲームだろうね?
というか、あらゆる分野に精通した財団以外の見学者なんているのん?
案の定、葉山グループが日本支部の希望を書いたところで、クラス全員が俺も私もと黒板に書き足され、あれよあれよという間に俺達の名前が消えた。
それに合わせて俺の存在感も希薄になっていく。
よし、今なら逃げられるかな?やっぱり伊賀か甲賀にでも職場見学に行くか!
では、拙者。この辺りでドロンさせていただくでござる!
それではドロン!逃げるんだよォォォ!
徐倫「比企谷が逃げたァ!ジョースター家!スクランブル!」
総武高校都市伝説
チェーンメールに注意!嘘から出た誠!こっくりさんを上回る危険性が!
カラーギャングは稲毛に近づくな!ヨーロッパ最大のギャングに潰される!
アホ毛のチャーミングな女子をナンパするときは背後に注意!修羅の不意打ちを食らって一晩中気絶させられる!
世界最大のご令嬢にケンカを売るな!運動部が束になってもボコボコにされる!
←To be continued
チェーンメール編が終了しました。
まあ、彼に関しても死んだわけでもなければ社会的に終わったわけでもないので、また出てくるでしょうけれど、ひとまずはこれにて彼の回は終了です。
後味は悪かったですが…。
恒例の原作との相違点
チェーンメールの犯人探し➡本当にチェーンメール通りに事件が発生。それどころではなくなる。
戸部、大和、大岡の三人がグループを組み、八幡の所に葉山と戸塚が加わる➡大和が休学に入ったため、残った葉山グループがそのまま。八幡グループは静と戸塚で組んだ。
雪ノ下の過去のチェーンメールの話は丸々カット。
それでは、長らく空気だったあの兄弟編がいよいよ開幕です!かわ………かわ………かわなんとかさん!出番ですよ!