やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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アーシスの罠をくぐり抜けた川崎兄弟を待っていたのは八幡とジョセフだった。
ジョセフ対シーザーの転生、川崎大志。
二人の戦いは終始、戦いの年季を発揮したジョセフが主導権を握る形となる。
だが、スタンドの単純ながらも強力な能力により追い込まれるジョセフ。しかし、周囲の状況を上手く利用するジョセフの戦略はここでも発揮。
大志の圧縮されたシャボンを逆に利用する作戦を思い付く。
リサリサの形見であるエイジャの赤石から放たれる本物のルビーレーザーを、幻影の波紋の応用でレンズ代わりに圧縮し、シャボンで反射させた攻撃を射つ!
ジョセフの老獪な戦い方に大志は敗北を宣言した。
一方………


ジョースターとツェペリの戦い2

side比企谷八幡

 

俺は川崎と対峙して構えを取っていた。

隣のジョセフと大志の戦いは、肉弾戦を展開している。

 

沙希「こっちも始めるよ、ジョジョ。小手始めにこれはどう対処する?」

 

川崎は張り巡らせた波紋で半径五メートルの範囲を朝露で濡れた人工芝についている水滴を固めて波紋の刃にし、自分の周囲にぐるぐる回す。いきなり何て技術を見せつけてくるんだよ。

俺にオールレンジ攻撃を仕掛けてきた。

資料で見たすぐ側で戦っているシーザーのシャボンカッターみたいな技を現地調達でやって来るのかよ!ファンネルか!

ちょいとばかり驚いた。が、小手調べと言ってきたように、こんなので遅れを取るわけにはいかない。

 

八幡「コオォォォ…」

 

教室のやり取りでやったように、逆の性質を持った波紋で水滴の波紋カッターをただの水滴に変える。

 

沙希「やるね。まだまだいくよ?」

 

同じように水滴を展開する川崎。またしてもぐるぐると複雑な動きを空中で展開する。

 

八幡「見よう見まねでこっちもやってやるさ」

 

川崎ほどではないが、俺も水滴を浮かび上がらせ、空中でジャグリングする。

 

川崎「水を加工して自由自在に操る。その程度の技術は今のエア・サプレーナの技術でもあったみたいだね」

 

八幡「小町をなめんな。水を自在に操るのは波紋の基礎だろうが。お前みたいな真似はさすがに無かったがな。スタンドの能力かと思ったぞ」

 

沙希「だったら撃ち合ってみる?」

 

八幡「望むところだ!」

 

俺と川崎の二つの水滴の波紋カッターがぶつかり合う。

だが、見よう見まねの俺では川崎のそれとでは技量が一味も二味も違いすぎる。なので水のカッターに幻影の波紋をミックスさせて、姿を隠しながら接近を図る。幻影の波紋で川崎には俺が二人に見えるはずだ。が…

 

八幡「ぐおっ!」

 

川崎の奴、全部をカッターにせずに、指弾でベアリングのように弾丸に換えて射って来やがった!が、んなもんで怯むか!

 

沙希「へえ、少しくらい、体に穴が相手も気にせずに突っ込んでくるんだ。人間の讃歌は勇気の讃歌。あたしの教えは忘れてはいなかったようだね」

 

八幡「この程度のダメージは沢山受けてきたさ。覚悟が道を切り開く。避けきれないなら致命傷だけ避けて多少のダメージ覚悟で接近するさ!ハッ!」

 

沙希「いい勇気だ!いい目だ!楽しむぞ、ジョジョ!」

 

空手の夫婦手で左右の拳を同時に川崎の顔面と腹部を狙って繰り出す。川崎はそれを捌いて拳を反らす。

避けられる事は織り込み済みだ。走った勢いをそのままに飛び膝蹴りを川崎の腹部に入れる。しかし、それも読まれており、川崎は自ら後方に飛んで膝蹴りの威力を軽減させる。実質はノーダメージ。

が、これも決まれば良いな、くらいの技だ。

 

八幡「せいっ!」

 

空手の幻の技と言われている同じ脚からの上段蹴り、二枚蹴り。川崎は反対側の蹴りを警戒していたようで、二枚蹴りは予想外だったらしく、蹴りを顎に食らってのけ反る。

 

八幡「おまけだ!」

 

蹴りあげた脚を、今度はテコンドーのネリチャギ…踵落としで追撃する。

 

沙希「四発目のハイキックは良かったよ!ハッ!ハッ!ハッ!ハァッ!」

 

のけ反り、転倒したように見せかけて川崎は地面に手をついて片手で逆立ち体勢をとり、踵落としをそのまま足の裏で受け止めると、後ろを向いた倒立姿勢のままで俺の腹部に蹴りを入れる。後ろ蹴りの要領で腹に蹴りを入れると、前向きに向きを変えて逆立ちのまま俺の顔、胸、そして逆立ちからのジャンプの、あとに上下を入れ換えてしなやかな回し蹴り…いや、旋風脚を放ってきた。

これはカポエラの技と中国拳法のミックス…。こんな実践的な使い方を初めて見た。ガードするのが手一杯だ。

 

沙希「まだまだ!」

 

更に旋風脚の回転を利用して後ろ回し蹴り…いや、これは…

 

八幡「サバットまでやってるのかよ!どれだけ蹴り技に精通してるんだ!」

 

蹴りが鋭そうな脚だとは思っていたが、まさかここまで変幻自在の連続技が飛んで来るとは思わなかった。それぞれの格闘技では必殺の威力の技じゃあないか!

上体を反らしてソバットを回避する。しかし、川崎の猛攻は止まらない。横向きの体勢で地面に落下したと思ったら、地面に落下直前に再び手を地面に手を置き、ドリルのように回転しながら両足で俺に弾丸ダブルキック!

ドリルキックなの?ダ○シム?要領的には変形の○破弾かな?いや、威力は超○破弾だけど。

 

八幡(だが、その両足は捉えたぞ!くらえ!)

 

俺は捉えた脚に波紋を流し、そしてそのままその脚の回転を利用して川崎の体を縦方向に回し、そのタキシードの胸ぐらを掴んで俺の前に浮かす。手品で見るような、「この人は今、浮いています」状態だ。

そっちが超烈破弾ならこっちは当○身投げだ。悪のカリスマなら悪のカリスマらしい技で攻撃してやる。

 

八幡「レイジ○グス○ーム!」

 

某ギー○・ハワードの超必殺技のように川崎の腹部に両手を当て、波紋と気功を重ねた両手からの撥勁を川崎を地面に叩きつけながら撃つ。

 

沙希「くはっ!くっ!サマーハプノ・サファイア!」

 

S・S「パパウパウパウ!」

 

ドバババ!

 

川崎から青い人型のスタンドが出現し、ラッシュを射ってくる。

○イジング○トーム(気は出ていません)を放った直後の体勢を狙われ、俺は拳を受けて殴り飛ばされてしまい、川崎から距離を取らされてしまった。

しかし、ずいぶんと懐かしい掛け声だ。

 

沙希「ケホッケホッ!やるじゃあない、ジョジョ。柔術の源流の合気古武道、中国拳法、テコンドー、空手。技が多彩で驚いたわ」

 

川崎は立ち上がりながら、咳き込んだ状態から呼吸を整え直す。

俺もスタンドに殴られて出血した口の中の血を吐き出す。そこには殴られたときに折れたのか、歯が一本混じっていた。

 

八幡「ぺっ!あーあ、奥歯が一本折れちまった。後で仗助に治して貰わないと…切断はいろはには治せないからな。それにしても、技の多彩さは流石だな、川崎。そっちもカポエラ、中国拳法、サバット…蹴り技が多彩じゃあないか。テコンドーやムエタイとかも修得していそうだ」

 

沙希「格闘戦では負けたけどね。アンタを侮っていたよ。ここからは本気を出すよ、ジョジョ。サマーハプノ・サファイア!」

 

川崎はスタンドを出すと、踊るような構えをとる。カポエラの構えだ。

踊るような川崎の体が2つ、3つと多くなる。なるほど、分身を作り出すスタンド能力か。

 

沙希「幻影を使えるのはアンタだけじゃあない。あたしにだって出来るんだよ」

 

くそ、気配を残すやり方で分身にも気配があるからどれが本物かわからん!しかも、さっきの攻撃で足に来ているのか、妙に体から力が抜けているし、頭がクラクラしてやがる。

 

八幡「ザ・ジェムストーン。お前の攻撃が効いているせいで、俺も余裕がない。朝飯前で腹が減っているし、とっとと終わらせて、飯を食わせてもらうぞ」

 

沙希「だろうね。けど、終わるのはアンタのほうだ。ジョジョ。アンタじゃああたしには勝てない。もうアンタは終わってるんだよ。じっくりと、あたしのスタンドの威力を味わいな」

 

7人に分身した川崎が一斉に襲ってきた。

 

八幡「だったら時を止めて全部を攻撃すればいい!ザ・ジェムストーン!時よ止まれ!」

 

ブウゥゥゥゥン…カチカチカチ…

歯車が止まるような音がした錯覚に陥りながら、世界がモノクロに彩られる。

さあ、食らえ川崎。いくら分身を作っても、動きを止められてしまえば無意味なんだよ。

 

G・S「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

襲ってきた川崎全てに拳を当てる。

 

八幡「な…全部分身だと!?」

 

何故だ!いつ全て分身になった!川崎が立っていた位置に目を向けると、川崎自身は一歩も動いていなかった。

 

八幡「味なマネを…だったらそこに拳を当てれば良い」

 

俺は川崎の位置に距離を詰める。そこで時間切れだ。

 

八幡「そして時は動き出す」

 

沙希「!!いつの間にそこまで!時間停止の能力!?」

 

八幡「イグザクトリー。今度こそ終われ、川崎」

 

G・S「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

沙希「うわあああああ!」

 

捉えた…感触あり!俺の勝ちだ。

 

沙希「く……まさか、こんなにあっさりと……」

 

八幡「案外、大したことがなかったな?川崎」

 

もう少し苦戦すると思ったんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いろは「ハチ君!何を攻撃しているの?誰と話をしているの?」

 

何?今、俺の攻撃が川崎をノックダウンさせていたじゃあないか。

いろはこそ何を見ている?

俺は川崎が殴り飛ばされた方向に目を向ける。すると、殴り飛ばされ、倒れた川崎の姿は薄くなって消えてしまった。

ヤバい!あれも分身?

俺は周囲に警戒する。すると、川崎の分身が俺を囲んでいた。

 

G・S「無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

八幡「また全部分身!?」

 

すべての川崎を殴り飛ばしたが、次の瞬間にはそれらは消え、再び川崎に囲まれる。

何故だ!確かにクリーンヒットの手応えはあるのに、全部分身だなんて!

 

仗助「分身?何のことを言っているんだ?派手な格闘戦の後は、お前が変なことをしている以外、何もないぞ?」

 

ジョルノ「既に八幡は彼女の術に嵌まってしまっているようです。多分、もう八幡に勝ち目はありません。分析して相手をよく観察する八幡の戦い方が、逆に仇になったようです」

 

承太郎「良く観察することが逆に仇になるとはな。だが、スタンドの能力がわからん。何故八幡はあんな状態になっている?」

 

どう言うことだ?川崎は分身していない?

それに、承太郎が言うように俺の体がさっきからおかしい。妙に眠いし頭がボーッとする。空腹が激しいし、冷や汗が酷すぎる。朝飯を抜いたからといっても波紋使いは何日も飲まず食わずで平気で活動出来るのんだぞ!?

何をやられたんだ!

 

沙希「言ったでしょ?アンタは既に終わっているって。これ以上は命に関わるわ」

 

いろは「ハチ君!目の前だよ!」

 

目の前だって?なんでいろはに見えて俺には見えていない!

 

沙希「無理だよ。立っているのがやっと。もうジョジョは動けない。ハッ!」

 

真っ正面から聞こえる川崎の声、そして腹部にくるボディ・ブローの衝撃。寸勁か…。

だが、この程度のダメージ…。

耐えようと思ったが、体が痙攣してそのまま無様に俺は倒れる。立ち上がろうと思っても、体に力が入らない。

何故だ!

 

パァン!

 

柏手を打つ音が響く。

すると、両手を合わせた川崎の姿が目の前に現れる。

 

沙希「アンタは最初の段階であたしに負けていた。あたしの催眠術にひっかかってね。何であたしが水滴をぐるぐる回していたと思ってるの?戯れに格闘戦はつきあったけれど、アンタは既にその段階で催眠状態だった」

 

その段階で催眠をかけていた?

 

八幡「お前の…能力は催眠術か?だからこんな状態に俺はなっているのか…」

 

沙希「違う。水滴の動きとあたしの構え。全てに催眠はかけられていた。波紋の気配と揺らめきでね。波紋使いの気配察知を逆手にとった奇術にすぎない」

 

最初から最後まで波紋の応用でやられていたのか…。

やっぱりアンタはツェペリさんだよ。波紋の使い方が俺よりも遥かに上を行っている。

 

沙希「あたしのスタンド能力はもっとショボいわ。だけど、使い方次第ではアンタをこんな風に出来る」

 

川崎の能力は…そうか、今になって解った…。だからエンジェルラダーのバーテンをやっていた時、評判が良かったのか…。こいつのMAXコーヒーは確かに旨かった。だか、それだと確かにショボい…だが、そのショボさも知らなければ俺のようになる。

 

八幡「負けだ……俺の。その能力相手じゃあ、これ以上はマジで命に関わる」

 

川崎「そう。はい、これ。これで少しはマシになるわ」

 

そう言って川崎は包みを放って寄越す。

ちっ、完敗だ。さすがだよ。ツェペリさん。

 

ジョセフ「なんじゃ。負けたのか、八幡」

 

大志に肩を貸し、俺の所にやってくるジジイ。

 

ジョセフ「次はワシが相手になろう。お若いレディ」

 

沙希「やるつもり?ジョセフ・ジョースター」

 

ゴゴゴゴゴ…

 

二人のにらみ合いが始まった。

 

←To be continued




はい、ここまでです。

八幡、まさかの敗北!
いったい、八幡は何をやられたのか!
全ては八幡に起きた体の異変と会話にあります!
次はジョセフ対ツェペリ川崎!

さてどうなるか!

次回もまた、お願いします!

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