やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までのアーシスの活動

試験も終わり、職場見学へ。
場所は学年全体がSPW財団。
職場見学の時は警備が薄くなる関係から、秘匿エリアの警備に当たっていた八幡達。
そして、事件は発生する。
綾瀬香澄の襲撃により、雪ノ下と由比ヶ浜が負傷。
そのまま八幡達が警備するエリアに現れた綾瀬香澄は三浦によって既に瀕死の状態だった。
綾瀬香澄は小町によって完全なトドメを刺され、死亡。
そして、この事件によって雪ノ下と由比ヶ浜は覚悟をついに本当の決め、八幡に対して入学式の事故の事を謝罪。彼女達は正式なアーシスとなった。
そして、季節は6月に突入する。


ある八幡の日常2

side比企谷八幡

 

露伴先生からのメール。その内容は材木座の原稿。

 

八幡「なんじゃこりゃ…」

 

露伴先生…朝からこのおぞましい文章はキツいですよ。

なんたって、スターダスト・クルセイダーズの内容そのままなんだもの。しかも、承太郎の役目は足利義光。

タイトルは「星屑の十字軍」

どこに「星屑」の要素がある?室町の要素しかないだろ!しかも、能力は陽乃さんそのもの。

ほほう、俺はどうやって負けたんだ?心の中でディオがめっちゃ激怒している。

しかも、戦いは全て一人で終わらせている。

じゃあもう「十字軍」じゃあないじゃん。

うん、俺達がアメリカで苦戦した連中を苦もなく倒しているのはムカつくな。

これ、スタクルメンバーに見せたら怒られるぞ?三浦は天敵だろ。能力的にも性格的にも。

今は全員集合してるんだから。

露伴先生、匙を投げないで下さい。指導しきれないのはわかりましたから。

もちろん、クリスタル・クルセイダーズのメンバーも黙っちゃいないだろう。

材木座よ…。今のアーシス特務戦闘部隊はクリスタル・クルセイダーズが母体なんだぞ…。

お前、殺されるぞ?マジで。

ダービーさんとか玉美さんとかガンズ・アンド・ローゼズではどうしようも出来ない人だっているからな?

主人公の能力の元になっている陽乃さんだって、激怒するに違いない。強化外骨格の笑顔を張り付けて、確実なトドメを刺しそうだ。精神の方を。

うん、これは評価だけを送信した後は削除しよう。サンシャイン・ルビーの気持ちになって…

 

評価

ゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミぃ!っと。

そして削除。

危なかった。

陽乃さんが雪ノ下と同居して以来、朝は姉妹の時間と決めたようで、陽乃さんが朝飯時に遊びに来なくなったお陰で助かった。もしいたらメールの中身を見られていた可能性がある。

不愉快な気分で一仕事終え、いろはが淹れてくれたコーヒーをまずはブラックで飲む。甘いコーヒーも良いが、いろはの淹れたコーヒーはブラックでも絶妙な濃さで楽しませてくれる。

やっぱり、もはや俺の嫁だ。

 

八幡「いろは~。もう一杯貰うけど、良い?」

 

いろは「もちろん良いよー?ブラック?MAX用に淹れ直しても良いよー?」

 

共働きの両親はもう家を出ており(何で息子と娘が給料を家に入れているのに共働きしてんの?)、リビングにいるのは俺達兄妹と嫁のいろはのみ。

たまにジョースター家の誰かが来るが、今日はいない。

一番よく来るのはやはりというか、東方兄妹とその下宿中の徐倫だ。

 

八幡「いろはが淹れてくれたコーヒーならブラックでも美味しく飲める。お世辞抜きでマジ俺好み。見た目も性格も相性もマジで俺好み。さすが嫁」

 

小町「あ、お兄ちゃん、今それを言ったら!」

 

エプロン姿でいろはと二人でガチャガチャと朝食を並べていた小町が悲鳴をあげる。

 

いろは「え、いきなり何ですか?もう口説かれているのに更に口説いてくるなんてわたしをどうしたいんですか?キスですか?キスですよね?というか違っていてもキスしますハチ君が悪いんです朝一でわたしをときめかせるハチ君が悪いので止まりません。ごめんなさい」

 

朝食の準備を放り投げ、俺に駆け寄ってきて抱きつき、俺の唇をキツツキのように奪ういろは。俺の太ももに座って正面から抱き付かれている。何か体勢がエロい。

welcome…なのだが、ブラックコーヒーがマッカンをしのぐレベルで甘くなってしまったな。雰囲気が。

 

小町「こうなるのわかってて無自覚でお姉ちゃんに甘い言葉を囁くんだからタチが悪いよ、ゴミぃちゃんは」

 

とか言いながらも、いつも笑っている小町。

なんだかんだで俺といろはの夫婦仲が良い事に関しては満足なのだ(まだ結婚してません)。

けど、油断してはいけない。タンクトップにショートパンツでエプロンをしていて、正面を向かれるとまるで裸エプロンみたいに見えるのがタチが悪い。

コイツはコイツでちゃっかり誘惑してくるのだ。

いろはがキスに夢中になったので、一人で準備を始めた小町はきつね色をスコーンと、お代わりのコーヒー、そしてジャムの瓶が並べられる。

おおっ!こんがりと焼かれたスコーンの香ばしい匂いと、いろは特製の澄んだコーヒーから立ち上る香りが組曲を奏で合い、そして色とりどりのジャムがスイートでいろはと小町のプリティでキュアっキュアッな朝食だった。

朝食の準備が終わったので、目をトロンとさせていまだにキスをしてくるいろはには悪いが、そのアマ色の綺麗な髪を撫でて、優しく引き離す。

 

八幡「いろは…。食べようぜ」

 

ここで甘い言葉を言うのが普通なのだが、それは出来立てカップルとかの話だ。こと俺達二人の場合、そんなキザな事を言えば一気にいろはは冷めて「ハチ君はそんなキャラじゃあない」と言って一気に不機嫌になるので、あくまでも俺らしくいろはを諭す。

俺が職場見学で言ったように自然体のいろはが好きなように、いろはも自然体の俺を求めてるからだ。それにキザな俺なんて似合わんしな。

 

いろは「ほぉ……朝から満足です♪じゃあ食べよう!マチちゃんもごめんね?途中から任せちゃって」

 

そう言いながらツヤツヤした顔で自分の席に座るいろはす。

 

小町「今のはお兄ちゃんが悪いよ。実質もう同棲してるみたいなものだけど、いきなり嫁扱いすればお姉ちゃんがこうなるなんて分かりきってるじゃんか」

 

いろは「困ったものだよねー、この無自覚たらしは」

 

なんか風向きが向かい風だ。

 

八幡「いただきます」

 

小町「はいはーい、小町愛情たっぷりの朝御飯を召し上がれ~♪冷めかけたけど…ご飯も愛情も」

 

八幡「温め直して?ご飯はともかく愛情は温め直して?出来れば普通の兄妹愛の愛情を」

 

小町「それは無理~♪いただきま~す」

 

いろは「いたただきます」

 

三人で手を合わせてからモキュモキュとスコーンを口に運ぶ。

新聞にも目を通す。変な小説があるな。

本城淳の「THE KING OF STREET FIGHTERS」?

削除。

 

小町「今日の朝ご飯、懐かしいでしょ?お兄ちゃんもお姉ちゃんも!スコーンとかブリティッシュっぽいでしょ?」

 

いろは「本当、懐かしいね。わたしたち全員、前世がイギリス人だから、たまにはブリティッシュ料理も良いよね。たまに忘れちゃうし」

 

八幡「ブリティッシュ料理って世界一うまくないって言われてるけど、それでもソウルフードとしてたまにほ食わないと落ち着かん。まぁ、今となっては和食もソウルフードだけど」

 

小町「ジョースター家に付き合ってるとアメリカ料理やイタリア料理も日常的になっちゃうよね。何だか一人多国籍軍だね。小町達。お兄ちゃんは語学が一人多国籍軍だけど」

 

八幡「ほっといてくれ。材木座が仲間に加わってドイツ語をマスターしつつあるからな。ポルナレフさんが長期滞在するなら、そろそろフランス語に挑戦するか」

 

言いながらブラックコーヒーを飲み干し、練乳を引き寄せる。

すると、タイミングよくいろはが別のコーヒーメーカーから出来たコーヒーを出してくる。

 

いろは「もうドイツ語をマスターしつつあるんだ。さすがはハチ君♪はい、マックス仕様用のコーヒー」

 

さすがは長年連れ添った嫁。タイミングバッチリだ。

コーヒーに練乳を入れてMAXコーヒー仕様にして飲むことを千葉ッシュという。いろはは練乳を入れてMAXコーヒーにより近くなる濃さのコーヒーを別のサーバーで作って出してくれたのだ。この為だけに同じコーヒーサーバーが2つある。ごめんね、俺のせいで無駄な手間作っちゃって。

 

いろは「ブリティッシュって言ったら紅茶だけど…」

 

小町「うん、お兄ちゃんはコーヒーの方が好きだし、そっちの方が小町的にポイント高いかなーって」

 

小町のチャームポイントである八重歯を覗かせてニパァっと笑う。

 

八幡「そうだねー。超ポイント高いねー。そういうポイント制度があったら、そろそろ小町に使うかもなー」

 

ずずーっと偽MAXコーヒーを啜りつつ、いつものように軽く流しているつもりで答えた俺だったのだが…。

小町は眉をハの字にしてしまった。

 

小町「……お兄ちゃん。やっぱり根を詰めすぎだよ?ブラッディ・スタンド使いの事で。普段通りに振る舞おうと無理しても、小町やお姉ちゃん達にはすぐに変だってわかっちゃうよ」

 

小町といろはは悲しそうにする。気を使わせまいと思っていたんだがなぁ。

 

八幡「そんなにか?いつものように軽く流したつもりだったんだが?」

 

小町「おかしいよ!普段ならこの手のこと言うと、うざがってもっと邪険に扱うじゃんか!ちょっと冷たい態度に逆に愛と快感を感じていたのに!」

 

八幡「変なのはお前だ。ちょっと接し方変えるわ。知りたくなかったわ、その性癖」

 

わりかしマジで。

 

小町「まぁ、冗談は置いとくとして」

 

小町はそういうが、どこまでが冗談かわからなくて怖い。というか、その恍惚とした表情はなに?妹が冷たくされることに快感を覚える変態だとしたら、これからどう接していいか困る。毎日冷たく接してせっせとポイントを稼いでしまいそうだ。なに?この歪んだ兄妹愛&前世親子愛。

 

小町「ん~…お兄ちゃん、とにかく根を詰めすぎて最近変だよ。覇気がない、目が腐ってる、ツッコミが中途半端。わりかしいつも通りに見えるけど、小町達にはそれがいつもと違うのはすぐにわかるのです!」

 

コクコクとうなずくいろは。

 

八幡「お前、心配してんの?貶してるの?ケンカ売ってるの?ねえ、どれ?」

 

愛されてるのはわかるが、MなのかSなのか…。

 

八幡「まぁ、もう暑くなってるからな。腐りやすいんだろ?目とか性根とか」

 

小町「おお、うまいこと言った!」

 

いろは「80点」

 

自爆ネタで高得点てもの悲しくなるな。

 

八幡「しかし、6月は駄目だろ、雨降るし、なんか暑いし、6月なのにろくでもない」

 

いろは「は?8点」

 

一気に9割減点された。

 

小町「それは下手」

 

会心のどや顔で言ったことを否定されると妙にさみしい。徐倫の気持ちがちょっと理解できてしまった。

徐倫で思い出したけど、そろそろ学校に行かないと。遅刻するとまた拳骨が落ちてくるし、巻き添えにするジョジョにも悪い。というか、そろそろお怒りの襲撃が来てしまう。

俺は残りのスコーンを千葉ッシュにしたコーヒーで流し込む。

 

八幡「俺、先に出るけど?」

 

ガシッ!後ろ襟首を捕まれた。

 

小町「一緒に行くの!これが小町の朝の楽しみなの!」

 

今日もやらなきゃダメなのね?猛ダッシュ。

リスのように目一杯スコーンを頬張り、小町がいそいそと着替え始めた。だからここで着替えるなっつーの!

ジョジョの口癖が移っちまった。

 

いろは「ハーチ君♪おっさきー♪チュッ!」

 

いろはがキスをしてから出発する。

そのタイミングで玄関の鍵が外から開けられ、扉が勢い良く開かれる。あーあ、襲撃タイムだ。

 

静「イーハ!ゆっくりしすぎ!遅刻するって!ハッチやマーチも!って、イチャイチャしてっし、いい加減にしろっつーの!」

 

元祖「つーの!」をもらっちまった。

 

いろは「ごめん!ジョジョちゃん!行こうっ!」

 

いろはがジョジョを伴って玄関に行く。

 

八幡「小町、急ぐぞ。早くしろよー。先にジョジョ達と行ってるから、追い付いてこいよー」

 

ふわーい、という間延びした返事を背中に受けながら玄関を出ると、むわっとした梅雨独特の空気がまとわりついた。

嫌でも先日の綾瀬香澄の事を思い出す。むわっとしてそうだったもんな。あの霧のような能力。

職場見学以来、青空を見た覚えがなかった。

雨が降ったときのダッシュってカッパを着るからダサくてイヤだよなぁ。などとしょうもない事を考えながら、俺は自転車のいろはと並走するジョジョ達に追い付き、登校した。

まあ、後から追い付いた小町に連れ去られるように猛ダッシュさせられたのだが。

 

第三巻プロローグ終了、本編スタート!

←To be continued




はい、第三巻がスタートしました。
第2巻のラストが大きく変わった影響は出るのだろうか!?
そしてプロローグはいきなりプチ八色でした。

THE KING OF STREET FIGHTERSは気まぐれで始めたKOF物です。もっとも、小説ではありませんが。

それでは、恒例の原作との相違点!

材木座の小説の内容は創作小説の略称「はしはる」➡主人公が一人だけで無双するバージョンの、タイトル詐欺も良いところの「星屑の十字軍」。略称はすたくる。

いろはがいる(今さら)。本来いろはの登場は二学期の後半であるため、この段階では影も形も存在していない。

アホの子の小町はブリティッシュをイギリッシュと言う➡前世イギリス人が言うわけないし、こっちの小町は超絶ブラコンなだけでアホではないので、この間違いは絶対にない。代わりに3人とも前世がイギリス人なので懐かしがるシーンに差し替え。

一部ゲーガイルネタを持ってきた。

八幡が元気がないのは由比ヶ浜との人間関係をリセットしたこと➡第2巻改変の影響でそれはない。代わりにブラッディ・スタンドの事で気を張り詰めている。

プライベートの問題ゆえに小町は原因がわかっていない➡アーシスの悩みはみんなの悩み。当然原因も気づいており、それを八幡が背負い込もうとしているのも理解している。

では、次回もまたよろしくお願いします。

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