やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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とある大きな間違いの大騒動

いろは「どうしたの?ハチ君」

八幡「いや、今年いろはの誕生日の大騒ぎで何か重要な事を忘れているような…」

いろは「私の誕生日で………あっ!やば…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

ジョルノ「僕の誕生日の事じゃあないかな?僕といろはの誕生日が同じという事を忘れていたわけじゃあないよね?八幡」

八幡(ダラダラダラダラダラダラ)

ジョルノ「いやいや、良いんだよ?多分本城淳が知らなかっただけで、知ったのがつい最近って言うだけなんだよね?君達はちゃんとプレゼントを贈ってくれたじゃあないか…」

八幡「う、うん。そうだよな?」

ジョルノ「ろころで東京ワンニャンショーに行くらしいけど、その日は誰の誕生日か忘れていたら…始末するからね?」

はい、4月16日はいろはの誕生日とジョルノの誕生日が同じという事を初めて知った作者の小ネタでした。

※大したイベントではないため、戸塚のゲーセン回はカットしました。

戸塚&材木座「解せぬ!」


東京ワンニャンショー1

side比企谷八幡

 

一週間のうちで最強の曜日は土曜日だ。その圧倒的優位が揺らぐことはないだろう。休日でありながら次の日も休みだなんて、超サイヤ人のバーゲンセールみたいなもんだ。

朝方いろはの部屋でミノムシ状態から解放され、隣の家から戻った俺は、起き抜けの頭でぼーっと朝刊を流し読む。今日もコボちゃんは秀逸だった。まぁ、本命は社会面だが。ついでにチラシチェック。

安いものを見つけたら小町といろはに渡す。そしてそれをいろはと小町はお買い物メモ帳に書き留めていく。買い物に行くのは母親だ。

そして、そのチラシの中にひときわ輝くフォントを見出だした。しかし…マジかぁ。よりによって今日かぁ。まぁ、夕方までに間に合えば良いんだけどさ。

 

八幡「こ、小町、いろは。これを見ろこれ!東京ワンニャンショーが今年もやってくるぞ!」

 

ちょっとテンション高めにチラシをつかみ出して高々と揚げてしまったが。どっかのライオンのミュージカルのワンシーンみたいだ。思わずそれっぽい雄叫びもあげちゃう。ウラウラウラウラー。これジェロニモ…でもなくなっている何かのスタンドラッシュだな。

 

小町「あっ!これだったんだ!幕張メッセで準備してたのって!やったぁ!お兄ちゃんよくぞ見つけ出した!」

 

いろは「カマクラちゃんを家族にした日以来、比企谷兄弟の恒例行事だもんねー♪あれ?でも今日って…」

 

小町「キャーステキー!お兄ちゃん抱いてー!」

 

比企谷母「………うるさいバカップルとバカ兄妹。あと妹の方は自重しろ…」

 

母親が泥人形テイストで寝室から這い出てきて、呪いをぶちまけた。ボサ髪でずり落ちたメガネ、その下には消えそうにない隈を刻みつけている。

 

八幡「ああ、悪い。というか、近々工業部門の何かの課長に昇進だって?」

 

比企谷母「そうよ……今引き継ぎで大変なの。前の係長時代の引き継ぎもあるし」

 

八幡「関東支部長と変わる?」

 

比企谷母「うっ!やめとくわ…よくあんたら、あれだけの業務を学業の傍らで片付けてるわ…」

 

俺の提案を断るお袋はまた寝室へと戻っていく。また長い眠りにつくつもりらしい。…どさくさ紛れで支部長から逃げようと思ったのに失敗した。

寝室の扉に手をかけたところでお袋が振り返った。

 

比企谷母「あんた。出掛けるのは良いけど、夕方にはホテルロイヤルオークラに入らないと大変よ?今年はこっちにいるから、日本支部で主催するんでしょ?パーティー。昨日、彼らも来日したし、アーシス?の人達も大体は来ているそうじゃない」

 

八幡「わかってるよ。俺はともかく、小町は遅れさせねーよ。パッショーネはまじで始末しかねんし」

 

両親の小町への愛情はとても深い。女の子というのが大きいし、可愛いし。

それに比べて長男の方は邪悪の化身だしな。

 

比企谷母「はぁ……あんた、怒るよ?夕べ、なんのためにあんな恥ずかしい思いで言葉を伝えたと思っているのよ。あんたの心配もしてんの」

 

八幡「………悪い」

 

不覚にもウルッときた。

 

八幡「か、母ちゃん」

 

比企谷母「ホント、心配だわ。何か目的があるみたいだけど、それが終わったらあんたはそのままどっかにいなくなりそうで。そんなことしたら、生涯許さないからね?というか、お父さんが草の根掻き分けても探し出して殺すわよ?」

 

いろは「ハチ君……いなくならないよね?」

 

泣き出しそうないろはの頭をポンポンっと叩いて微笑んでおく。

親父か…。何だかんだで親父は小町だけを溺愛しているように見せて、俺の事もしっかり愛してくれている。

普段は娘バカで逆に小町に鬱陶しがられているが。

 

小町「お兄ちゃんは絶対にどこにも行かさないよ。なに考えているかなんて、小町にわからないとでも思ったの?絶対に、失踪なんかさせない。全てが終わったら、人知れず消えようだなんて…そんなことさせないから。お兄ちゃんが死んだり、いなくなったら小町も死ぬから!」

 

小町は目に涙を溜めて訴える。参ったな…確かに前まではそんな事を考えていたけど。

 

比企谷父「小町の泣き声が!八幡きさまぁ!」

 

八幡「うぜぇ」

 

俺は親父のパンチを捌いて波紋で気絶させる。

睡眠不足でイラついてんだな。俺が寝かしつけてやろう。俺からの優しさだ。

まったく、俺に勝ったためしがないのに何べん挑んで来るんだ?このくそ親父は。

気絶した親父をお袋に預け、俺は出かける準備を始める。

 

比企谷母「あんたらの正装はホテルに運んでおくわ。くれぐれもトリッシュさんのバースデーパーティーに遅れるんじゃあないよ!あと小遣いは…」

 

八幡「自分の稼ぎで何とかするよ。お昼は会社の食堂で食べるわ。あそこくらいしか外食できないし」

 

小町「上級幹部ってこれだから不便だね。いこっ!お兄ちゃん、お姉ちゃん!」

 

比企谷母「はい、いってらっしゃい。ヒットマンに気を付けるのよ」

 

それを心配する家族って…。

 

……………

 

家から「東京ワンニャンショー」の会場がある幕張メッセまでバスで15分。俺達兄妹だけなら幕張メッセまでダッシュなのだが、いろはがいるならバスだ。

いろはの可愛い私服姿を乱れさせる訳にはいかない。だが、いろはの可愛い私服姿を見るやつは殴る。ナンパする奴は目を潰す。痴漢しようする奴は縛り首にする。

小町の場合も同じだ。

 

小町「ゴミぃちゃん…。殺気振り撒かないで…。お姉ちゃんや小町への愛情がお兄ちゃんをそうさせているのは嬉しいんだけど」

 

いろは「大丈夫だよ?ハチ君。殺気にも気づかないで声をかけてきた人にはスナイプしてもらうから」

 

そう言いながら二人は俺の両腕に自分達の腕を絡ませ、サンドイッチする。

リア充爆発しろという呪詛の言葉と、なにあいつ、強そうに見えないのに怖い、という呟きが聞こえる。

そんな男供の呪詛を聞き流し、到着。バス停から見えるは近くには毎度お馴染みで、今日の夕方にもお世話になる思い出の毎度ホテルロイヤルオークラ、最近思い出の1ページに加わったマリンスタジアム、そして嫌な思い出のSPWジャパン本部ビル。

そしての目的地の幕張メッセ!東京ワンニャンショーなのに千葉でやっているから注意が必要だ。間違えて東京ビッグサイトとかに行きかねない。今日の場合は助かったが。

会場はそこそこの数の人が立っていた。中にはペットを連れて来ている人もいる。

それなりに盛況なので、二人ともどちらからともなく手を握る。いろはとの仲良しデートに小町が着いてくるのは子供の頃から変わらないので自然とそうなるのが当たり前だ。ここにジョジョと仗助が加わって幼なじみーズの完成なのだが、実はジョジョも若干犬嫌いだからワンニャンショーには誘わなかった。

お、億泰さんが奥さんの京さんと息子さんを連れて来ている。夕方までは暇だから、パーティーの招待客である億泰さんもここに来たのか。もしかしたら普段は会えないアーシスのメンバーもいるかも知れない。

ちょっと目が合ったので軽く会釈。万作さんは部屋でカマクラと戯れていることだろう。

 

億泰「おう!八幡、小町、いろは!オメェらも来たのか?うちの家族はたまたまイベントみたいだったからよぉ、家族サービスも兼ねて来たんだよぉ」

 

八幡「億泰さん。先月ぶりですね。東京ワンニャンショーって、実はカマクラと出会ったイベントなんですよ。だからってわけでは無いんですが、毎年来るようになっちゃって」

 

億泰「へぇ…ここでか。だとすると、うちも無関係ではねぇよなぁ。なあ?京?」

 

京「久しぶり、八幡君たち。ほら、兆。挨拶しなさい」

 

兆「お久しぶりです。八幡お兄ちゃん達」

 

兆は億泰さんと京さんの息子だ。今年から小学生と聞いている。

 

京「義父さんの精神安定にカマクラは欠かせないわ。うちの兆も可愛がってくれてるけどね?他の猫じゃあダメなのよ。やっぱりカマクラと義父さんの相性は最高なのよね。それじゃ、お邪魔でしょうし、別々に回りましょう?ほら、あんた。行くよ」

 

億泰「え?でもよぅ」

 

京「デートを邪魔してどうするのよ。行くわよ」

 

億泰「あ、そうか…じゃあ、また夜にな」

 

億泰さんは兆を肩車して行ってしまった。向こうも一家団欒中のようだし、親子水入らずに邪魔するのも申し訳ない。さて、行くか。

小町は鼻歌交じりに俺の手をぶんぶん振り回す。脱臼して思わずズームパンチをやってしまいそう。

朝にあんな空気になってしまったが、今日は服装のせいか、いつもよりも明るく元気に見えた。このイベントが毎年楽しみだと言うのもある。

弾けるような屈託のない一級品の笑顔はどこに出しても恥ずかしくない自慢の妹だ。どこにも出さないけど。

そんな小町を俺をはさんで反対側からいろはが「仕方ないなぁ」と母親的な目で見ている。やだ、母性に目覚めているいろはもカワイイし、これはこれで将来、俺といろはの子供が生まれたときの予行演習になってる。いろはが俺の視線に気付いて小首を傾げるが、俺の考えがわかったのだろう。顔を真っ赤にし、そのまま俺の肩に頭を置いてきた。どこに出しても恥ずかしくない自慢の嫁だ。うち以外に出すつもりないけど。

その横を無表情にサングラスをピシャッとかけたダークグレーのスーツ姿の、よく見覚えのある癖のないロングヘアーの女性が並んで歩いてきた。どこに出しても恥ずかしくない自慢の相棒だ。

その更に横にニヤニヤしながらオールバックに紺のスーツ姿の三十代の男が来る。先ほどの女性に男性が横に並ぶと、女性がその腕を取る。本職に間違われそうなどこに出しても恥ずかしい自慢にならない兄貴分だ。

…て、ジョジョと仗助がなぜここにいる?

 

静「どっかに行くなら誘ってくれても良いでしょ。確かに犬が苦手だけど、何も黙っていくのは酷くない?」

 

仗助「誘わずにお前らが出掛けたのが気に食わないってよ。家を出ていく姿を見られていたみたいだぜ?」

 

確かにバス停に行くまでに東方家の前を通るから、その時に見られたんだろう。何だよ、その時に声をかければ良いのに。わざわざ車で追いかけて来たのか。よく行き先がわかったな。まぁ、夜の事もあるからだろうけど。

結局、いつもの5人組になったな。

さて、この東京ワンニャンショーだが、要するに、犬や猫といったペットの展示即売会だ。その一方でちょっと珍しい動物の展示もあったりしてなかなか楽しい。これが入場無料なのだから、恐るべきイベントだ。やはり千葉最高。

会場に入ってすぐに小町がはしゃぎながら指差した。

 

小町「わー、お兄ちゃん!ペンギン、ペンギンがたくさん歩いているよ!カワイイ!あ、お兄ちゃん」

 

八幡「ん?」

 

小町「お兄ちゃんのことだから、ペンギンはラテン語で肥満とかという無駄知識を披露しそうだけど、それを言ったら小町はしばらく口利かないからね?」

 

八幡「読まれた…だと?」

 

静「このメンツなら誰だってわかるっつーの。ハッチがやりそうな事くらい」

 

ジョジョは相変わらずサングラスをかけて無表情だ。声をかけなかったのを根に持ってるなぁ…。普段は頭にかけているサングラスを、無意識に目にかけてる時は不機嫌な時だ。

 

いろは「ジョジョちゃん、機嫌直してくれても…」

 

静「イーハもマーチも同罪だよ。断るかも知れないけど、せめて声をかけてくれたって…」

 

ジョジョはぶつくさ文句を言う。確かにどうせ来ないだろうと思って声をかけなかったのは悪いことをしたな。文句を言われるくらいで機嫌が直るなら、甘んじて受けておこう。

 

小町「ジョジョお姉ちゃんはともかくとして、お兄ちゃん?デートの時にそういうこと言っちゃダメだよ?女の子が『カワイイね』って言ったら『そうだね、でも彼女の方が可愛いけどね』って返さないと」

 

八幡「いろはがそんな頭悪そうな事を求めるか。…基本世界のイロハならやりそうだが」

 

いろは「ですです。そんな事に気の回るハチ君の方がむしろ裏を感じて不気味だよ?マチちゃん、そんなハチ君はハチ君じゃあなくない?」

 

小町「あー…お兄ちゃんとお姉ちゃんならそんな感じだよね。互いをわかり合いすぎて。というか、そんな薄っぺらい関係じゃあないか。逆にのろけられた」

 

当たり前だ。そんなペラペラなやり取りをする関係なんてとっくに通りすぎている。

 

静「余計な事を言いかけたお返しのお返しを自爆しちゃったね、マーチ」

 

小町「うん…小町、なんかお兄ちゃん達を見ているとさ…」

 

静「ん?」

 

小町「やっぱり、小町にはお兄ちゃん達やジョースター家しかないというのがよくわかるよ。今さら彼氏とか無理!」

 

静「…………ププッ」

 

ジョジョが思わず噴き出す。

 

静「アハハハハハハ!安定のブラコンマーチ!」

 

ジョジョがサングラスを上げる。機嫌が直ったようだ。

 

静「あー、やられた。こんなに爆笑させられたんじゃ、いつまでもヘソを曲げているこっちがバカバカしいじゃん。参った参った」

 

仗助「ははっ!やっぱり俺のお姫様の機嫌を直すにはお前達が一番だな。賭けは俺の勝ちだな」

 

この兄妹、すぐにジョジョの機嫌が直るか直らないかで賭けをしていたな?その時の情景が目に浮かぶ。

※勝手な八幡のイメージ

 

静『ハッチ達酷い!私を誘わないでどっかに出掛けちゃった!絶対に許さない!』

 

仗助『そんな事を言って、どうせあいつら相手だとすぐに機嫌を直すくせに』

 

静『いいや、今回ばかりは許さない!』

 

仗助『じゃあ、賭けてみっか?俺が負けたら今度1日、なんでも言うこと聞いてやるよ』

 

静『ほんと!?のった!』

 

仗助『多分、行き先はコレだろ。追いかけるか?』

 

静『ワンニャンショー…でも行く!』

 

仗助『決まりだ。着替えて行くぜ?髪、頼むぞ』

 

静『すぐに支度するよ!』

 

勝手な想像終わり。

 

仗助「大体合ってるぜ?八幡」

 

八幡「心を読むな」

 

多分だが、その段階でジョジョの機嫌は直っていたな?

さっきまでの不機嫌そうな態度は不機嫌な振り。

小町はそれを見抜いてあっさりその仮面を外す演技だったと。

やるな、小町。

 

八幡「で、賭けに勝ったお前は何をジョジョにさせる気なんだ?」

 

仗助「別に何も?俺が負けたときのペナルティは言ったが、俺が勝ったときの事は決めてなかったからな」

 

八幡「優しい兄貴なことで」

 

仗助「勝つとわかってる賭けにペナルティを決めてどうするんだ。ここに連れてくる口実と、お姫様の機嫌を直す手段だよ。明日に持ち越した方が厄介だしな」

 

コイツはホントに俺達の頼れる兄貴だな。円満にすぐにケンカを終わらせる手段を速攻で考え付きやがった。

ところで…なんかこの鳥エリア、妙に寒いんだが?

それに、あそこで億泰さん一家とミドラーさん一家を見て震えてるのって…雪ノ下?

何やってるんだ?あいつ。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

アニメ版では削られていて、ららぽーとイベントに集約されたワンニャンショーイベントですね。
こちらでは削りません。オチは読めたかと思えますが。
こんなおいしいイベントはありませんし。


それでは原作との相違点。

八幡はコボちゃんしか見ない➡いつも社会面を中心に新聞を読んでいる。コボちゃんはおまけ

買い物に行くのは小町か母親➡稼ぎが多い小町にいかせるなど言語道断。母親のみ。

ワンニャンショーイベント➡ワンニャンショーイベントと同時にトリッシュの誕生日が重なりました。

比企谷家の八幡の扱いは小町優先➡ほぼ同等だが、父親は娘バカ。だが、八幡の考えは…

しつこいようだが、現段階でいろはは原作では登場していない。

雪ノ下、鳥エリアで迷子➡…からの億泰一家を見て震えてる。


それでは次回もお願いいたします。

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