やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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奉仕部対遊戯部3

side比企谷八幡

 

八幡「おい、色々と指導したいところはあるが、お前らはこの男に用があるだろ?」

 

俺は材木座を前に差し出し、遊戯部の奴らに告げた。

 

材木座「昨日ぶりだな。色々と言ってくれたが、自分は自分なりに考え、やはり貴様らには言いたいことがあったが為にここに参った」

 

昨日から色々と言われ、尻込みしていた材木座であったが、師をバカにされては黙っていられなかったのか、材木座は一歩前に出て二人の後輩に宣言する。

良かった、ここで先輩風だけを吹かすようなら見捨てていたかも知れない。だが、そこはやはり元ナチス将校であり、ジョセフの盟友。

しかし、二人の後輩にはそれは通じない。

 

遊戯部員1「おい、さっき言ってたのってこの人?うわー…痛ぇ」

 

遊戯部員2「だろ?マジないよな」

 

ぷっくすくす、というべき嘲笑をする二人。

材木座の行動に悪いところが無かったとは言えない。だが、それでも悩んだ末に訪れた人間に対して話を聞かないで、頭からバカにしくさった対応はなんだろうか?

 

材木座「く…自分の行動に悪いところがあったにせよ、これでは…」

 

まあな。お前の行動に悪いところがあったことは確かだ。手段を選ばず人の道を時として外れてしまう俺が言うのだからわかる。

しかし、それを鑑みてなお、この場に来た材木座を頭から否定してバカにするのはどうなのだろう。

バカにされてしまうのは材木座自身に問題があるのだから仕方がない。しかし、俺やジョジョには面と向かって取れない態度を、材木座に対してはあからさまに取るのはどうなんだ?

 

八幡「おい、相手に応じて態度を変えるのは人としては仕方がない。だが、この男は俺達にとっても認めるところがあるからこそこうして俺は共にいる。お前らにとってはバカにする対象かもしれん。ならば、俺達に対しても終始その態度でいろよ。人間、そういう所は少なからずあるが、吐いた唾を飲み込む真似をするな。まじで不愉快だ」

 

遊戯部員達「す、すいません…」

 

いろは「材木座先輩と揉めたのはどっち?」

 

いろはが前ぶりもなく言う。

まぁ、いろはは同級生の男子とはあまり仲良くないからな。

そうなってはいろはの人物評は俺達同様、雪ノ下や由比ヶ浜のような一部の例外を除いては滅多に覆らない。

二人が最悪からアーシスとして認められたのも、命を賭けた覚悟を行動で示し、身を張って得た立場なのだから。そうでなければアーシスの人間が人を認める事はない。比較的優しい康一さんだとて…。

果たして、二人はどうだろうか?いろはの中ではかつての雪ノ下達以下の評価が下されているに違いない。

 

秦野「お、俺です。同級生の秦野です」

 

相模「お、俺は同じく同級生の相模」

 

いろは「そう。名前はどうでも良いから名乗らなくてもよかったんだけどね?」

 

二人はいろはの物言いにムッとするも、見透かしたいろはの殺気に気圧され、言い返せなくなる。本当のいろはを知ればただの美少女だという評価なんて下せない。

下手をしたらジョジョ以上に容赦ないのがいろはなのだから。世界的企業の上級幹部をなめるな。例え家族であっても高校生でありながら地方支部の副社長なんて、実力がなければその立場に据えるほどジョースター…いや、ジョセフや承太郎が与える訳がない。与えられた立場はきっちりこなす。その為ならば嫌いな戦いや人殺しをいろはやる。責任感の強さゆえに。それ故に得た強さがいろはにはある。

そのいろはに直接睨まれ、気圧されているやや猫背気味の痩せ型の男が材木座と争った秦野。眼鏡や目付きはシャープそうな雰囲気だが、このタイプの人間としては…という感じだ。

もう一人の相模は白い肌をした中学生みたいな風貌でこちらも細い。眼鏡は丸形でありながら、次の時代を先どった感じだが、肝心の中身はどうだろうか?相模…ねぇ。まぁ、似ていないしうちのクラスの女とは同姓の他人だろう。今までのやり取りで見たかんじだと、中身はどうでも良いその他大勢だろうが、良い意味で裏切ってくれた例外が目の前にいる以上は初対面の印象だけで決めつけるのは良くない。

現段階では名前を覚える価値はない以上、眼鏡で判別することにした。

 

八幡「で、こいつとゲームで勝負するらしいけど、お前ら格ゲーが強いんだろ?やる前から勝負は見えてるし?別のゲームで良いだろ?まぁ?何で主義主張のぶつかり合いの決着をゲームで付けるのかが俺にはまったく理解できないんだが、そういう話になったならまぁどうでもいい。嫌なら別に良いぞ?今すぐリアル格ゲーに変えれば良いんだしな?」

 

当然の事ながら彼らは難色を示したが、俺達が睨むと慌てて頷く。

 

秦野「それなら…まぁ」

 

相模「いいですけど…」

 

怯えながらも、その態度には自信が滲んでいる。自分達がゲームで負けるはずがないという確かな矜持がそこにあった。その自信がいつまでもつかな?

 

秦野「けど、変える以上は何か見返りがないと……」

 

秦野は少し遠慮気味に言った。

 

八幡「材木座の土下座だ。少なくとも昨日のネットの煽りに関しては全面的に材木座が悪いんだからな」

 

秦野「まぁ、いいですけど」

 

遊戯部二人は渋々納得してくれた。下卑た目で女性陣達を見ていたが、余計な事を言ったら殺す…と目で言っておいた。

 

八幡「やるゲームは任せる。あんま難しいのはやめてくれ。一見さんにハードル高いゲームは新規が入れないから格ゲーと変わらなくなる」

 

実際、格ゲーが昔より下火になった理由って新規参入が難しいからだ。技表を見ながら必殺技を試している人間相手に対して無遠慮に乱入してなにもさせずにボコボコにする。そんな事をされれば新しいプレイヤーが参入するのはまずいなくなる。

 

秦野「なら、みんなが知っているゲームを少しだけアレンジします」

 

結衣「そのゲームの名前は?」

 

相模「ダブル大富豪ってゲームをやろうと思います」

 

トランプのカードゲームか。詰んだな。お前らが。

 

××××××

 

雪ノ下が大富豪のルールを知らなかったので、ローカルルールを含めてルールを決める。が、別にここではしない。大富豪のルールがわからない人はGoogle先生に聞いてください。

 

秦野「ルール自体は普通の大富豪でやります」

 

相模「違うのはペアでやる点です」

 

静「ペア?つまり二人で相談しながらやるってこと?」

 

ジョジョが問うと、遊戯部ペアはまったく同じタイミングで首を振る。

 

秦野「いいえ、1ターン毎に交代で手札を出してもらいます」

 

相模「相談は無しです」

 

つまり、敵の考えだけでなく、パートナーの思考も読みながらゲームをしなくちゃならないのか。ふむ、案外戦略性あるな。そうなるとペア選びだが…。いつもならここで組む奴は決まっているのだが…

俺とジョジョは目配せして頷く。

そして、ペアを組む。

 

 

 

 

それぞれの婚約者と。

 

材木座「八幡!何故我と組まぬ!」

 

八幡「お前、普通に考えてもジョジョと組むっての。今は仗助がいるから相棒を譲っただけだ。俺もいろはがいるからな。文句はないだろ?」

 

これが一番自然な組み合わせなんだよ。

とっととお前も組め。もはや決まってるようなものだろ?

 

結衣「ユキノン、組も?」

 

雪乃「え?あ、そうね」

 

由比ヶ浜と雪ノ下ペアも決まった。これも当然だ。

必然的に材木座と露伴先生が組むことになる。

 

八幡「実質、4対1だからそっちから先で良いぞ?」

 

俺はまずは(・・・)普通にカードを配る。

その前に…

 

八幡「材木座。デュエルモンスターズごっこをしたらゲーム中に二度と喋れなくなるようにするからそのつもりでいろよ?お前の為にやってることなんだからな」

 

俺達はそれぞれ最初は様子見のゲームが展開していく。カードを抜き取る音とカードを場に置く音。

いろはもジョジョ程では無いが、俺のパートナーという点では最適の相手だ。

ジョジョと仗助も言うまでもなく。

由比ヶ浜と雪ノ下も順当に減らしていく。

露伴先生と材木座は…まぁ、上手く露伴先生がフォローしながらカードを減らしていく。

 

何を企んでいる?遊戯部。自分達が提案したゲームをやっておきながらこんなに弱いはずがない。

スタンド使いで無いことも確認している。

ジョジョもいろはも仗助も。みな警戒心を強くしている。

そして特に何も起こらないまま、遊戯部ペアがビリとなった。

 

材木座「大したことないな。遊戯部」

 

相模「いやー秦野くん、負けちゃったね。しまったー」

 

秦野「そうだな相模くん。油断してしまった」

 

そう言っているわりには危機感を感じているようには見受けられない。むしろ楽しそうだ。何を考えているんだ?

 

相模「困ったね」

 

秦野「困ったな」

 

相模&秦野「だって、負けたら服を脱がなきゃいけないんだから」

 

二人はそう言ってベストを脱ぎ捨てた。

そうか、そういうことか。

 

結衣「なっ!何よそのルールっ!」

 

由比ヶ浜がばんっと机を叩いて抗議する。だが、遊戯部はニヤニヤと笑うだけだ。

 

秦野「え?ゲームで負けたら脱ぐのが普通じゃないですか?」

 

相模「そうそう、麻雀もじゃん拳も負けたら脱ぐものです」

 

いや、それは野球拳だろ。

オーケーオーケー。そう言うことね?

 

八幡「下らん。次に行くぞ」

 

俺は素早くカードを回収するとシャッフルを開始する。

 

結衣「ちょっ!ヒッキー!」

 

八幡「コイツらのルールじゃあ負けたら脱ぐんだろ?ただそれだけじゃあないか」

 

俺はさっさかとカードを配る。

 

結衣「ユキノン!帰ろう!ヒッキーまでおかしいよ!」

 

だろうな。普段の俺だったら怒り狂う自信がある。

いろはやジョジョはもちろん、雪ノ下や由比ヶ浜が脱衣するのだって嫌だ。

何故なら仲間であることもさることながら…それ以上に男女で脱衣とか、罰ゲームで盛り上がるとか、そういう頭の悪い大学生みたいなノリが一番嫌いなんだ。戸塚と初めて会ったときにも思ったが。

まぁ、見てろ。

次のゲームは俺達がビリになった。そうなるように立ち回ったし。

 

八幡「じゃあ、次に行くぞ」

 

相模「はぁ?ちょっと待って下さいよ。何で脱がないんですか?」

 

八幡「お前らが負けたら脱ぐものなんだろ?それはお前達の趣味なんだから好きなだけ負けたら脱げよ。俺達が脱がなければならないルールはどこにもない」

 

秦野「ちょっ!俺達が脱いだときに何も言わなかったじゃないですか!同意したんじゃないんですか?」

 

静「同意はしたよ?あんたらが勝手に脱ぐことにだけはね?私たちが脱ぐとは一言も言ってないけど。最初にその取り決めがされていなかったのだから、脱がなきゃいけない義務なんてないじゃん?後から勝手にそっちが付け足しただけで。それとも、脱がなきゃだめなの?」

 

相模「当然じゃないですか。空気を読んで下さいよ」

 

いろは「今の会話、録音したんで、学校に出して良い?」

 

秦野「はぁ?なんですかそれ?!」

 

いやいや、普通に学校の部活動でして良い内容じゃあないだろ。

 

八幡「勝手に強制わいせつ罪未遂を犯したのはお前らであって、こちらは何もしてないよな?どちらがそんな事を考えたのかはわからないけれど、あり得ないだろ」

 

これからあり得ない暴論をかざすのは俺だがな。

コイツらの考えている事は多分こうだ。男達のスケベ心を利用して仲間割れをさせようと言う魂胆だったのだろうが…。俺らの絆をなめんな。

材木座はわからんが、俺や仗助、露伴先生がそんなんで揺さぶられるか。むしろ、いろはやジョジョの綺麗な肌などお前らなんかに見せるものか!

逆にお前らの穴を突いてやる!さぁ、お前らが仲間割れをする番だ。

 

八幡「まぁ、それを学校に提出するかどうかはともかくとして、ゲームを続行するか。当然、脱ぎはしないがな?あ、お前らは露出癖があるんだったっけか?好きなだけ脱げよ。お前らのはだかを見せられる強制わいせつに関しては同意したんだから文句は言わないよ?」

 

そう言いながらまだ(・・)普通にカードを配る。こちらが不利目に。もちろん、何度も負ける。

ゲームを研究しているだけあって、コイツらは普通に強かった。

が、こちらは脱がない。何度も何度も。

 

秦野「いい加減、負けを認めてくれませんか?」

 

いろは「何で?」

 

相模「だって、何度もこちらが勝ってるじゃないか!」

 

仗助「けど、俺達は負けてない。なぜなら、明確な敗北条件が示されてないんだ。何度負けようが関係ないよな?」

 

いろは「だとしたらこちらが根負けするまでゲームは続行。違うかな?」

 

秦野「はぁ?何でそうなるんですか!」

 

八幡「だってそうだろ?チップもない、何勝したら勝ちとかもない。最初にそういう取り決めをしなかったのはそっちの落ち度だ。あ、ちなみに俺はお前らが全裸になったら通報するから」

 

相模「秦野くん!何でそういう明確なルールを決めなかったんだ!」

 

秦野「はぁ!?相模くんだって同じじゃないか!」

 

仗助「それじゃ、次だ」

 

今度は俺達なりの(・・・・・)配りかたをする。

 

相模達はニヤリとする。強いカードばかりがいったからな。

 

そして俺達は2とキングを相模達に出す。代わりに4が2枚来た。

 

八幡「じゃあ、スペ3の俺からだな」

 

4枚揃っている3を一気に出して革命。

そして4を2枚、5を三枚出し…と怒濤の攻めで一位。

もちろん、革命発動後は遊戯部が一番不利になるように配っている。

まぁ、普通にいかさまなんだが。

こんな風に任意のカードを自由に配るくらいのマネはジジイから仕込まれている。もはやペアがどうとかそういうレベルではない。

何度かやったのち、遊戯部二人もおかしいことに気付き始めた。もはや次の勝負で下着が出る段階になったからかもしれない。

 

秦野「さすがにおかしい…先輩、何かしてますね!?」

 

八幡「何かって何を?」

 

相模「ふざけないで下さい!こうも不利なカードばかりが配られるなんておかしいですよ!」

 

八幡「たまたまだろ?じゃあ、俺が何をしたんだ?言ってみろ」

 

秦野「やっぱりいかさましてるんだな!」

 

八幡「だから俺が何のいかさまをしているんだと聞いている。具体的にどういう方法でどんないかさまをしているんだ?言いがかりはやめろよ」

 

相模「さっきからあなたは信用できない…僕たちがディーラーをやる!」

 

八幡「逆にお前らがイカサマをやるってか?だったら表を歩いている、あの来客の人に頼もうか?」

 

俺は表にいる中年の男性に指を指して言った。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

外道!まさに八幡外道!
空気をぶっ壊しまくってます!
というより、作者が原作を見て、何で?と思いまくったシーンです!

では原作との相違点を交えながら。

材木座は相手が年下だとわかったら強気になった。➡ボツ。シュトロハイムが年齢の上下で序列を決めるタイプには見えないため。

大富豪のルール説明➡文字数節約のためカット。すみません。

ディーラーは秦野➡いかさまする気満々でさり気なく八幡が実施。

脱衣ゲームと化す➡勝手に脱ぐ分には構わないよ?え?こっちも?事案でしょ。
マジで後から追加したルールをさも当然に強要してきたのか…

敗北条件?原作でも特に設定なかったよね?まぁ、脱衣ゲームが成立していたからだろうけど=奉仕部の敗北条件なし!何度負けてもオーケー!(外道)

いかさまは見破られなければいかさまじゃあない!(外道)

次回、更なる外道ぶりが遊戯部を襲う!かも?

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