やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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『ようやく彼と彼女の始まりが終わる』は発生しません。
ご了承下さい。


ぼーなすとらっく『例えばこんなバースデーソング』1

side比企谷八幡

 

部室に着いて、ふと窓の外を見ると、夕日が東京湾へゆっくり沈んでいくところだった。東方は…ではなく東側は薄い藍色を流したように夜の幕を引こうとしている。

 

承太郎「遅かったな?無事に解決したのか?」

 

静「ええ。心配してくれていたの?承太郎おじさん?」

 

承太郎「当然だ。後から来ていた徐倫が飛び出しかねなかったしな。余計にややこしくなりそうだったから止めたが…」

 

うん、確かに余計にややこしくなっていた。

特に脱衣ゲームの件は徐倫が知ったら内々で済まなくなっていた可能性がある。そういえばいろはは音声データをどうするんだろ?多分、解決したから消すとは思うけれども。

承太郎が帽子を目深に被り直す。一段落したときの承太郎のクセだ。というか、何で承太郎は室内でも帽子を脱がないの?実は頭頂部が危ないの?

またうっかり口にしたら校庭に転がされる可能性があるから言わないけど。

 

静「おじさん。仕事の方は?」

 

承太郎「ジジイ、ジョルノ、ポルナレフ、戸塚で何とかした。八幡、今日の仕事は結構溜まっていたぞ。何かあったのか?」

 

八幡「そこのウッペリに言ってくれ」

 

俺が川崎を睨む。

こいつが午前中に俺を金縛りにしたのがそもそも原因だからな。

 

紗希「ウッペリ言うな。悪かったよ。二度と金縛りはやらなかいから許してって」

 

川崎は手を合わせて謝ってきた。

 

徐倫「その金縛りだってあんたがアホな事を考えていたからやられたんでしょ?」

 

う………確かにそうだ。

あ、そうだ。この際だからお願いをしてみよう。

 

八幡「だったらまた旨いマッカンを頼む。サマーハプノ・サファイアなら簡単だろ?」

 

紗希「ああ、それだったらお安いご用だよ。一色や雪ノ下の姉や小町ちゃんが嫉妬しない程度になら。あいつらのスタンドとは相性が悪いんだ。そのうちあんたから幻影の波紋を教わるかも」

 

八幡「あれはジジイと俺しか出来ねぇよ。念写の能力が前提の技だから」

 

紗希「それは残念だね」

 

川崎はそう言って勉強道具を片付ける。

サバサバした性格の良い女じゃあないか。俺の周りではいないタイプだな。

 

静「あ、雪ノ下さん。ケーキは?」

 

雪乃「さっき一色さんがついでに持っていってくれるって連絡が来たわ」

 

気が利くなぁいろは。まぁ、先に行くからついでだったのも確かだが。

 

結衣「ケーキ?何でケーキ?そう言えば今日は何でホテルロイヤルオークラに集合なの?何かあったっけ?」

 

雪乃「それは会場に着いてからのお楽しみよ?由比ヶ浜さん」

 

雪ノ下が微笑んで答える。

 

陽乃「そう言えば社長やいろはちゃんは何で先に行っちゃったの?あと、問題の材木座君は?」

 

三浦「そう言えばいねぇし。アイツが今回の騒ぎの原因なんだから詫びくらいしろって。動いてないあーしが言うのも変だけど」

 

だよなぁ…。

 

静「お兄ちゃんはいつも通り露伴先生とケンカ。その煽りを食ってイーハも行っちゃったんだよ」

 

朋子「またぁ?よくケンカするネタが尽きないわね。もう15年も経つのに。おまけにいろはちゃんまで巻き込んで…。ホントに偉くなっても変わらないんだから」

 

朋子さんが頭を押さえてため息をつく。

 

戸塚「あはは…。エリナさん、一色さんに生まれ変わっても苦労が絶えないなぁ…。八幡もダメだよ?一色さんを大事にしないと」

 

大事だよ。世界一大事だよ。いろはがエリナだとわかる前から大事だったよ。

 

八幡「大丈夫だ戸塚。もう基本世界の時のようなことはこりごりだ」

 

基本世界と言えばイッシキは元気かな?何故だか知らないが、また会いそうな気がするんだよな。あのイッシキ・イロハに…。

 

ジョルノ「もう最終下校時刻になります。早く会場に行きませんか?」

 

感傷的になりすぎか……………許してくれるかな?みんな…………。

 

紗希「…………」

 

三浦「…………」

 

海老名「サキサキ?優美子?」

 

三浦「川崎……わかってるよね?」

 

紗希「わかってるよ、比企谷は………」

 

三浦「させないし…。ヒキオ………。そんなこと許さないし…」

 

そうか………悟られているのか……。俺が………。

 

 

キングクリムゾン!

 

誕生日。

それは自分自身が生まれた日であると同時に、新たな溝が生まれる日でもある。

例えば俺とジョジョだけが呼ばれなかった誕生日会。逆にジョジョやいろはや小町はクラスメイトをジョースター家のパーティーに呼ばなかったがな!

俺の為に歌われたかと思って少しは感動していたら同じ日に生まれたクラスメイトの為に歌われたバースデーソング。ジョジョだけしか俺の名前を呼んでくれなかった。腹いせに他の奴のバースデーソングは歌わなかったがな!

俺の名前が間違っている誕生日ケーキ…。あれは何かの手違いがあって母ちゃんが間違ったと思いたい。

今思えば俺達ってお互い以外の学校の人間の誕生日を祝った記憶がない。今日、由比ヶ浜の誕生日を祝うのが初めてである。

仲間の誰かを祝う気持ちは間違いはないよな?

静かな部室で俺達は教室に忘れ物を取りに行った由比ヶ浜を待っていた。

 

八幡「なあジジイ。今日はもう仕事はなしで良いんだよな?」

 

ジョセフ「今日までのノルマは終わらせたし、残っている仕事も今からでは中途半端じゃから、もう良いじゃろう。この後は由比ヶ浜の誕生日を祝うわけじゃし、奉仕部としても問題ないじゃろ?徐倫」

 

徐倫「そうね。部内の依頼だったけど、1つ依頼は解決したから今日は終わりで良いんじゃない?それともハッチはまだやる?」

 

八幡「や、頼りになる家族でラッキーって感じなんだが。ほんと由比ヶ浜が生まれてきてくれて良かったよなー。おかげで今日の仕事はほとんどしなくて済んだし」

 

雪乃「話のスケールが大きいのか小さいのかわからないわ…戦いや仕事に取りかかった時の真面目なあなたと普段のあなた…底が見えないわ」

 

呆れた様子で雪ノ下は建築の専門書を閉じた。

 

八幡「ばっかお前、簡単に底が見えるのはそのまま器の大小を見せるものだぞ!」

 

雪乃「何故かしら。普段の底の浅い部分ですら、立派に見えてきたわ」

 

八幡「何故だろう。普段の俺が底の浅い人間に聞こえる」

 

おかしくないか?俺、結構ちゃんとやって……ないわな。斜めの方向でしか。

 

大志「姉ちゃんが言うには、今のお兄さんは底が浅いくらいで丁度良いらしいですよ?」

 

八幡「何でお前に底の浅い人間扱いされなきゃいけねーんだよ。あと、気安くお兄さんと呼ぶんじゃあない。そう呼んで良いのはエンポリオだけだ!」

 

そう言うと大志は疲れた顔をして…。

 

大志「師匠、泣くっすよ?」

 

と言われた。

 

八幡「良いんだよ。それで。良いか?俺は性格が悪いことを除けば基本高スペックだぞ?」

 

俺が改めて宣言すると全員が頭を押さえた。

 

徐倫「その性格の悪さがあんたの価値を一般人にとっては低くしてるのよ。友達だって今年に入るまでは学校じゃあ静だけだったじゃない」

 

雪乃「友達の数が多いというのがステータスという一般論には私も異を唱えるわ」

 

静「右に同じく!わかってるじゃない」

 

八幡&静「yeah!」

 

雪ノ下を巻き込んで、パシッ!ピシッ!ガシッ!グッ!グッ!

雪ノ下も最近はわかってきたのかトライアングルでやれるようになった。

 

ポルナレフ「あれって…」

 

海老名「わたしとポルナレフが潜水艦でやったやつだよね?ミドラーに襲われたときに」

 

ポルナレフさんは柏手を打ち( ^人^)、v(^o^)、(^^)d、(・-┐)とやった。

幽霊だから柏手から音は出なかったが。

 

海老名「ぱん、ツー、まる、見え」

 

ポルナレフ「そうそう、それそれ」

 

海老名「今のわたしって女子だから、普通にセクハラだよ?ポルナレフ」

 

ジョセフ「女性の方が多いこの部屋で下らん事をしてるんじゃあない!ミドラーはまだ日本にいるから呼んで襲わせるぞ!」

 

承太郎「あの時もジジイが珍しくツッコミに回ってたな…やれやれだ」

 

海外組はまだ日本にいるからな。ミドラーさんもダービーさんもミスタさんも出発は明日の夕方だって言っていたし、一応は呼んでおいたから来るかもな。特にダービーさんには今日はお世話になったし、是非参加して欲しいものだ。杜王町組はさすがに帰ったが。

 

三浦「今は奉仕部がそのまま友達みたいなもんなんだから良いんじゃあないの?」

 

雪ノ下「え?私も…良いの?」

 

海老名「今さらでしょ。お互い、命を賭けて共闘してるんだし、戦友だって立派な友達だよ?」

 

雪ノ下「そう……ありがとう…」

 

雪ノ下が顔を赤くして俯く。この二ヶ月でだいぶ増えたなぁ。

そんな時、ガラガラと扉が開かれた。

 

結衣「やっはろー!ん?何の話をしてるの?」

 

アホアホしい挨拶と共に現れたのは由比ヶ浜結衣だ。

 

八幡「奉仕部のメンバーがそのまま友達だって話をしていたんだよ」

 

それを聞き、由比ヶ浜は雪ノ下に抱きついた。

 

結衣「確かにそうだけど、ユキノンの一番の友達はあたしなんだからね?」

 

雪乃「暑苦しい…あと、比企谷くんが自分は立派な人間だと譲らないものだから」

 

それを聞き、今度は爆笑を始めた。

 

結衣「あっはっはっ!それはないない!」

 

八幡「速攻で否定すんなよ!待て、落ち着け。順を追って説明してやる。まずは顔がいい時点でプラス1ポイント」

 

ジョセフ「目が腐っとる。マイナス1ポイント」

 

三浦「自分で言ってるし」

 

ジジイ………。だが、全員が引いていた。

 

八幡「くっ…なら……大学卒業している。プラス1ポイント」

 

徐倫「だからって授業も試験もマジメに受けてない。マイナス1ポイント。ヤレヤレだわ」

 

結衣「……あ、あはは。あたしはみんなのおかげでやっと平均点だったから保留で…」

 

くっ!ぐうの音がでない!

 

八幡「じゃあ、これでどうだ!波紋の力で驚異の身体能力!プラス1ポイント」

 

承太郎「おかげで妙な都市伝説が総武高校に量産されてる。マイナス1ポイントだ。ヤレヤレだ」

 

戸塚「それに関しては原因の一端である僕が言える立場じゃあ無いかな?保留で」

 

八幡「ぐぬぬぬ…作戦立てるのが早いし効率的。プラス1ポイント」

 

ジョルノ「その分、やり口の性格が悪くてたまに敵に同情したくなる。マイナス1ポイント」

 

陽乃「ほんと、ズィーズィーとかテレンスとか」

 

沙希「あはははは…開幕催眠術を仕掛けたあたしも人の事を言えないから保留で」

 

他のこと、他のこと……

 

八幡「いろはや家族への愛が強い!プラス1ポイント」

 

陽乃「その中でも妹と婚約者へ愛が重い。マイナス2ポイント」

 

八幡「その配点おかしくね?くそ…他には…ダメだ。何も思い付かねぇ」

 

考えたが他にまったく出てこない。悩む俺に向かって雪ノ下が微笑む。

 

雪乃「何だかんだで身内には優しい…プラス1ポイントなんてどう?」

 

一同「…………」

 

どうせ赤の他人には容赦ないとかくるんだろ?とか思ったが、みんなはポカンとするだけだった。

 

雪乃「そ、そろそろ行きましょう!ケーキにフルーツを使っているのよ。新鮮な内に食べた方がいいわ」

 

八幡「お、おう……」

 

雪ノ下はそそくさと部室を出ていく。それを抱きつきながら由比ヶ浜も続く。

 

結衣「やった!ケーキだ!ゆきのん、フルーツって何使ったの?スイカ?」

 

雪乃「そこで真っ先にスイカが出てくるあたり、相変わらず料理は苦手なのね…」

 

困った妹を見るような目で雪ノ下と由比ヶ浜は廊下を歩いていった。

いつまでも仲良くいろよ…

 

 

side静・ジョースター

 

静「……ハッチ……」

 

最近、ハッチがおかしい。

何かを隠している。重大な何かを。

 

ジョセフ「聖地……最後の仲間………原石は…悟った気になっとるんじゃあないぞ……誰がお前を……」

 

パパが何かをぶつぶついっている。パパも何かを知っている!?

 

ジョセフ「誰がお前を……消させるものか……命に代えても……」

 

パパはハッチを睨み、歯を食いしばる。

どういうこと?

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

最後は不穏な内容で終わりましたね。
最近、八幡の様子がおかしくなっていることに気付いていましたか?
何名かは何かを知っている様子ですが。


それでは恒例の。

八幡は部活が無くなったことを喜ぶ➡仕事をやってもらった事を喜ぶ。

ケーキの事に関してはここでネタばらし➡サプライズなのでまだ引っ張る。

↑までが「ようやく彼と彼女の始まりが終わる」。そこから丸々カット

プレゼント渡しは会場で。まだサプライズなので。

八幡は家族以外に誰からも誕生日を祝われていないし、その家族からも内容は微妙なのでトラウマが凄い➡家族はもちろん、ジョースター家、一色家、アーシスからは盛大に祝われているので、それほどトラウマはない。が、クラスからは祝われていないのは同様。

雪ノ下が底の浅い人間しか言わずに罵倒➡深い部分も知っている為、底の見えない…に変更。変わった雪ノ下は安易に罵倒しません。

奉仕部は大所帯になりました。部員数よりも大人の数が多いような?

雪ノ下には友達は1人➡三浦「奉仕部がそのまま友達みたいなもの」友達が一気に増える。

八幡の評価にマイナスを下すのは雪乃➡歴代ジョジョ。角が一番たちません。


それでは次回もよろしくお願いいたします。

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