やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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これは、もう1つのボーナストラックと二つに別れていた一人の魂のお話。
そして、無念に散った一人の少年と女のお話。


城廻めぐりと導かれし小道の守り神達

side岸部露伴

 

由比ヶ浜結衣の誕生日パーティーが終わり、僕達は懐かしいマイクロバスでそれぞれの家の前で降ろされ、僕が千葉での拠点にしているアパートの前に着いた時だった。

 

沙希「岸部露伴先生。東方社長。広瀬康一さん。あなた達はここで降りた方が良いです…。導かれし黄金の魂が1つ……あなた達を求めている…。特に、その人は。比企谷の為になる…。特に露伴先生は…絶対に降りるべきです」

 

ジョセフ「それは、アンタの予言か?トンペティ老師より受け継いだ技の…」

 

沙希「はい。運命の魂が揃えば、比企谷の運命が変わる。あの不吉な予言に変化が訪れる」

 

ジョセフ「………仗助、露伴君、康一君……言うとおりにするんじゃ…頼む」

 

八幡くんの不吉な運命だって?それに…導かれし黄金の魂とは誰なんだ!

 

仗助「どういうことだ?ジジイ!八幡に何が起こるんだ!」

 

ジョセフ「………時が来れば話す。じゃから、今は行け!」

 

ここの近くに僕の仮の家がある以上は僕はここで降りるけど、康一君はともかく、よりにもよって東方仗助と行動を共にすることになるとは…。

 

露伴「川崎沙希。今は君に従おう。しかし、何も起こらなかったら君を許さない。そして、八幡くんの身に何が起こるのか…話してもらう」

 

沙希「わかった…」

 

僕達は半ば無理矢理降ろされ、僕の仮住まいまで歩くことにした。

 

キングクリムゾン!

 

露伴「何で君達と一緒に僕が歩かなくちゃあならないんだ」

 

仗助「知らねぇよ。けどよぉ、八幡の為になるっつぅんなら、従うしかねぇだろうがよ」

 

それは僕も同意だ。あんなことを言われて、気にならない方がおかしい。八幡くんは数少ない僕の理解者だ。こんなにも波長が合う人は僕の周りでは彼だけだ。これが八幡くんのいう本物なのだろうか。

 

仗助「露伴…康一…気がついてんだろ?最近、八幡の奴が前にも増しておかしいというのが…」

 

康一「うん……彼は何かを隠している」

 

露伴「ああ……もちろんだ」

 

康一君は嘘をついている。あのパーティーで、ジョセフ・ジョースターさんから何かを聞いたはずだ。そして怒っていた。あの康一君がジョセフ・ジョースターさんに対して…。間違いなく八幡くんに関係する何かだ。

 

康一「僕たちを求めてる魂って誰なんだろう…」

 

仗助「さぁな。波紋を使う奴の不思議パワーはわからねぇ」

 

露伴「おや?君は僕たちよりも波紋の適正は高いじゃあないか」

 

仗助「でも、自力で波紋は使えねぇ。あくまでも同調するのがやっとのレベルだ。はっきり言って前世の八幡であるDIOを倒せる気がしない」

 

康一「!!待って…何か聞こえる」

 

音を操る康一君のスタンド能力故か、康一君の聴力は常人よりも遥かに高い。

 

康一「ここ声は…城廻弁護士の娘さんの悲鳴だ!仗助君!露伴先生!急ぐよ!」

 

康一君は先導をきって走り出した。その先にいたのは…頭から血を流して倒れている昼間に見た生徒会の女の子だった。

 

仗助「こいつは…生徒会長の城廻めぐり!まだ息はある!クレイジー・ダイヤモンド!」

 

康一「く………犯人は…肉の芽に操られた葉山弁護士だと……?くそっ!エコーズに気付いて逃げられた!休職中の国語教師も連れていかれた!」

 

そうか、既にエコーズを飛ばしていたんだね。

 

仗助「ちっ……川崎の言葉をきいてて正解だったぜ。明日の朝イチで生徒会長の訃報を聞くなんて嫌すぎるからなぁ」

 

露伴「しかし、どうするか……警察でも呼ぶか?」

 

康一「でもスタンド使いの事件だからなぁ…最初からアーシス預かりにした方が良くないですか?」

 

仗助「そうだな…まずは承太郎さんに…」

 

??『待つんだど、仗助』

 

??『待ってちょうだい、康一君』

 

城廻めぐりの体から二つのスタンドが現れた。

 

仗助「これは……重チーのハーヴェスト!」

 

康一「辻彩さんのシンデレラも!城廻弁護士の娘さんは君達の転生!?」

 

重チーくんと辻彩…。

僕を可愛がってくれ、そして僕を庇って殺された杉本鈴美を最初の殺人として、以後15年もの間、沢山の人を殺し続けた殺人鬼、吉良吉影…。

鈴美さんが逃がしてくれなかったら、もしかしたら僕も殺されていたかもしれなかった杜王町が生んだ連続殺人鬼の被害者だった二人…。

 

ハーヴェスト『違うど。オラ達の魂はバラバラに砕かれてあの世に飛ばされたど。だからオラ達は長い時間をかけて魂を再生しないと転生が出来ないんだど』

 

仗助「惨いぜ…吉良の野郎…それじゃあ。今オメエに会えているのは奇跡なのかよ…重チーよぉ」

 

ハーヴェスト『だけど、会えなかったハズなのに一瞬でも会えた。いい奇跡だど』

 

シンデレラ『ふぅ…康一君、あの子はどうなったのかしら?』

 

康一「あのまま僕と結婚しました。今でも仲良し夫婦です。彩さんのお陰です」

 

シンデレラ『そう、良かったわ。知ることが出来て。もう私達には時間が無かったから』

 

露伴「時間がない?どういうことだ?」

 

すると2体のスタンドは僕に向き直る。

 

ハーヴェスト『オラ達、この子の力として一つになるんだど。この子の二つに別れていた魂がもうすぐ、一つになって完全になるんだど』

 

シンデレラ『そして、私達もその中に溶け込む。この娘のスタンドとして』

 

ハーヴェスト『この子の前世の片割れのお陰で、杜王町は平和になったんだど』

 

シンデレラ『あまりの無念に魂は半分に割れ、片方は城廻めぐりに転生し、もう片方は無念を残して杜王町の守り神となった』

 

杜王町の守り神だって!?まさか……。

 

ハーヴェスト『だけど、守り神は失った半分に溶け込めなかったんだど』

 

シンデレラ『割れていた時間があまりにも長すぎたのね。だから、一つになるためには時間と切っ掛けが必要だった。その切っ掛けが…』

 

??『露伴ちゃん。あなたよ』

 

城廻めぐりの中から、懐かしいあの姿が現れた。

 

露伴「杉本……鈴美……城廻めぐりは…君の転生?」

 

何てことだ。僕の前に現れたこのホワホワな少女が、あの鈴美お姉ちゃんだなんて。

 

鈴美『ただいま、露伴ちゃん。やっと…やっと会えたよ?露伴ちゃんに…重チーくんと彩さん。今まであたしを…めぐりを守ってくれてありがとう。』

 

ハーヴェスト『なにいってるんだど。鈴美さんがいてくれたから、パパやママが守られたんだど。だから、今度はオラが鈴美さんを守っていくんだど』

 

シンデレラ『あなたは私の仇を取ってくれたわ。これは私からのお礼』

 

仗助「もうお別れなのかよ、重チー…せっかく会えたのによぉ」

 

康一「彩さん…」

 

東方仗助と康一君は寂しそうな顔をしている。

 

ハーヴェスト『オラも会えて嬉しかったど、仗助。だけど、完全なお別れじゃあないど?オラは城廻めぐりのスタンドとして、これからめぐりの中で生きるんだど。これからは仗助達と一緒に、今度は世界を守るんだど!良いよな?仗助』

 

仗助「もちろんだ……重チー。グレートだぜ。オメェはよ」

 

シンデレラ『今度は世界をキレイにする。良いんじゃない?………ふぅ』

 

康一「どんな能力になるんですかね。名前はハーヴェスト・シンデレラ…ですか?」

 

シンデレラ『灰かぶりの収穫?良いかもね』

 

スタンドの二人が康一君達と別れの挨拶をしている。

 

鈴美『露伴ちゃん。この子、何か勘違いしちゃったみたいだし、責任は取ってよね?』

 

何だと?責任ってなんだ?

 

鈴美『それじゃあ、今度は城廻めぐりとしてよろしくねぇ!』

 

鈴美お姉ちゃんの魂はハーヴェストとシンデレラと一つになって城廻めぐりの中へと入っていく。

割れていたもう1つの魂と融合する為に…。

ふん、鈴美お姉ちゃんの転生がアーシス入りか。柄にもなく嬉しいとか思ってしまうじゃあないか。

 

 

side城廻めぐり

 

寒い………暗い………

やっと、憧れの岸部露伴先生に会えたのに…。

わたしは死んじゃうのかな。

生徒会に保存してある奉仕部の名簿から、岸部露伴先生の住所と千葉の拠点の住所を調べて(←職権濫用による個人情報保護違反。犯罪)近くまで来た。

こんなに近くにいたんだ…。露伴先生。

何でだろう。カッコいいと思える男の子は何人もいたのに、岸部露伴先生ほど恋い焦がれる人はいなかった。

これは初恋なのかな?一目惚れかな?

ウキウキして露伴先生の家に向かう。(←やっていることが既にストーカーのそれ。犯罪)

その途中…タイミングが悪かった。

 

めぐり「あれ?あれは平塚先生?休職中だよね?」

 

なんか気合いの入った服を着ている平塚先生が、男の人と話している。

 

平塚「イヤだ……肉の芽はイヤだぁ!」

 

葉山父「何を言う。君も我々と同じ、神の神子になれるのだ!こんな名誉はなかろう!」

 

平塚「洗脳されきっている物が言うことかぁ!くそ…あの時綾瀬の甘言に乗らなければ…」

 

葉山父「聖なる力を宿してしまった今となっては遅い。大人しく聖なる芽を受けるが良い」

 

男の人の手から投げられたそれは平塚先生の頭に刺さり、そして…平塚先生は力なく倒れた。

 

葉山父「おや?君は確か城廻弁護士の娘さんだったかな?こんな場面に出てしまうとは…君も運がない。可愛そうではあるが、死んでもらうよ?城廻めぐり」

 

いや……いや!何でこんなことになってるの!?

男はわたしの方に歩いてくる。来ないで!

 

『守るど!』

『いいわ!』

 

いつもわたしを守ってくれている何かがわたしから飛び出す。だけど…。

 

『防ぎ切れないど!』

『スタンドのパワーが違う!』

 

何かにふき飛ばされ、頭を強打してしまった。

 

葉山父「浅かったかな?まぁ、あれでは助かるまい。それよりも、ジョースターの追跡がもう来たか。ふん、平塚静の回収が優先だ。ここは退かせてもらうぞ」

 

男の人はそう言ってどこかへ行った。

わたしの意識はそこで途切れた。

 

めぐり『寒い………もう、駄目なのかな…』

 

ハーヴェスト『諦めるのは早いど!』

 

シンデレラ『まだよ』

 

鈴美『諦めちゃダメぇ!』

 

暗く、寒かった世界に光が差し、暖かさが戻ってくる。

わたしの前に、誰かが降りてくる。あれは…あたしだ!

 

鈴美『やっと見つけてくれたのね?もう1つの自分を』

 

めぐり『うん。わたしの前世の杉本鈴美…吉良吉影に殺された女の子…』

 

鈴美『受け入れてくれるかしら?あたしを』

 

めぐり『もちろんだよぉ!だってあなたとわたしはもともと1つだったんだから!重チー君も彩さんもありがとう!今まで守ってくれて!』

 

ハーヴェスト『体の傷は仗助が治してくれてあるど。後はめぐりちゃんが起きるだけだど』

 

シンデレラ『そして、別れの時よ。私達の力は預けるわ。今後は自分の身は自分で守りなさい?』

 

鈴美『さぁ、露伴ちゃん達が待ってるわ。一つになって…そして………目覚めましょう。新しい城廻めぐりとして!』

 

わたしの杉本鈴美の…そして、杉本鈴美の記憶が入り込んで来る。ああ、そして重チー君と辻彩さんの力もわたしの中で溶け合い…そして、一つに融合していく。

シンデレラ・ハーヴェスト……

集めてくるハーヴェストの力と、面相とかを変えて幸運を操っていたシンデレラ……

幸運を集める能力……スタンド使いとしては微妙だけども、ハーヴェストの力もシンデレラの力も使えるみたいだし、ありがたく借りておこう。

 

めぐり「それに、これほどまでに追い求めて露伴ちゃんを探していたってことは、これはやっぱり運命なんだよ!露伴ちゃん!」

 

鈴美『あーあ、やっぱりこうなっちゃった。ね?みんな………』

 

ハーヴェスト『………』

 

シンデレラ『………』

 

もう、眠りに就いちゃったんだね。今まで…ありがとうございました。あなた達の代わりに、わたしが露伴ちゃんや仗助君を守ります。

だから…安らかにおやすみなさい…。

 

 

side岸部露伴

 

めぐり「………ううん」

 

仗助「お、目を覚ましたぜ!?」

 

めぐり「あ……露伴ちゃん!」

 

がばっ!

え?

城廻めぐりは目を覚ますなりいきなり僕に抱きついてきた。

 

めぐり「やっと会えた!わたしの運命の人!」

 

……………なんだって!僕が運命の人って…

 

めぐり「だって、鳥って生まれて初めて見たものを親だと思うんでしょ?じゃあ、一つになった城廻めぐりが初めて見た人は露伴ちゃんだし、もうこれは運命だと思うんだよ!うん!年はかなり離れちゃったけど、頑張って露伴ちゃんの子供を産むよ!うんっ!」

 

露伴「話が飛躍しすぎだ!なんだこの天然具合はっ!前世以上だぞ!」

 

めぐり「えーっ!だって露伴ちゃん、子供の時は鈴美お姉ちゃんと結婚するーって言ってたじゃない。子供の時は『はいはい』って感じだったけど、わたし的には今は有効だよー。花のピチピチ女子高生がお嫁さんだよ!露伴ちゃん!」

 

露伴「これほ……山岸由花子以上に話が通じない!」

 

めぐり「逃げても追いかけちゃうんだよ?シンデレラ・ハーヴェストは幸せを集めるスタンドだから。わたしにとっての幸せは、露伴ちゃん!だから必ず露伴ちゃんの元にたどり着くように幸せをつかうんだから!」

 

康一「こ、これは…露伴先生、多分陥落するなぁ。露伴先生が一番アーシスの中では縁遠かったから、これで安心…なのかな?」

 

仗助「まぁ、良いんじゃあねえの?たまにはこんな再会もよ。毎回ドンパチするのもいい加減飽きてきたぜ」

 

康一君、いやもうこの際東方仗助でも良い!この女の勘違いを何とかしろ!

 

ポン♪

 

仗助「ようこそ、千葉のジョースケの世界へ」

 

東方仗助ぇぇぇぇぇ!

 

 

side比企谷八幡

 

翌日の学校。奉仕部部室。

 

めぐり「ということでぇ、わたしもアーシスの一員になったんでぇよろしくねぇ♪」

 

一同「は、はぁ…」

 

という訳でって言われてもなぁ。なんか露伴先生は疲れきっているし…。

 

ジョセフ「まさか鈴美さんとはのう」

 

承太郎「初めてだな。カマクラ以外の杜王町の転生は」

 

しかし、知らないところで仲間が増えると微妙だなぁ。

それも、いきなり露伴先生の恋人として現れるし。

あれ、昨日出会ったんだよな?

あの露伴先生と城廻先輩が?嘘だよな?

両方鉄壁さに定評があるひとだぞ?

露伴先生は言うに及ばず城廻先輩もあのほわほわさでガードが固い人と由比ヶ浜が言っていたのを覚えている。

 

めぐり「それじゃ、露伴ちゃんを借りていきますね?さあさあ露伴ちゃん、生徒会室に行こう?」

 

露伴「な、何で僕が君の生徒会を手伝わなくちゃあならないんだ!それだったら自分の仕事を僕はやる!」

 

めぐり「良いから良いから。じゃあ、滅多にここには来れないけど、よろしくだよ~♪」

 

そう言って城廻先輩は露伴先生を強引に連れ出し、行ってしまった。

 

いろは「あれ…基本世界のわたしのポジションのような気がする」

 

うん。俺もそう思った。

 

いろは「わたしのアイデンティティーがぁ!」

 

知らんがな。

 

←To be continued




はい。めぐりが先行登場しました。

半ば一色化してますが。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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