やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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神が…


最後の黄金の精神2

side比企谷八幡

 

オリエンテーリングは、フィールド上に設置されたポイントを指定された順序で通過し、ゴールまでの所要時間を競うスポーツ。そう、スポーツなのだ。本来は地図とコンパスを駆使し全力疾走するというガチな競技だ。

なので最初のボランティアの時、波紋の戦士達(ジョセフ含む)が全力で猛ダッシュしてトレイルレースになっても仕方がない。小町が圧倒的な差を付けて勝利するけど。

中の弁当がメチャクチャになり、次にやったら財団が利用できなくなるように厳重注意をされた。

次に忍者ごっこレース。誰が何役をやるのかでいつも争う。弥七が一番人気だ。大抵俺は柘植の飛猿になる。

小町が弥七でジョジョが陽炎のお銀だ。ジジイは黄門様になりきろうとするが異議あり!黄門様は忍者じゃあない!

これは意外にも好評。この時期だけ見れるアトラクション扱いされてしまった。千葉村としては困っているらしいが、知ったことではない。

もちろん、小学生達に全力疾走させる訳がなく、レクリエーションとしてのオリエンテーリングだ。数人のグループで山の中を歩いて回り、地図上に書かれたチェックポイントのクイズに答え、正解数とタイムを競う。

俺達がやったときのクイズは東大受験レベルの難易度だった。間違えて小学生がこちらをやってしまい、ガチで泣き声を上げていたのは懐かしい思い出だ。後で朋子さんから大目玉を食らったが。しかもジョルノの奴がゴールド・エクスペリエンスで本当に顔くらいの大目玉を作って「これを食べてください。これがホントの大目玉です」とか真顔で言ってきた。メチャクチャグロかった。

思い返してみてもボランティア以外で自分が参加した記憶がない。あ、そう言えば自分のクラスが参加したときもジョースター家のボランティア側で参加してたわ。

俺が参加する予定だったグループはアホ揃いのせいでクイズの正解がボロボロだった。俺とジョジョは参加しなくて良かったねーとか言いながら飛猿とお銀を続行した記憶があるわ。後で「ジョースターさんと一緒の班になったから楽しみにしていたのに何でサボったんだ!」と責められたが、知ったことではなかった。そう言えばフォークダンスでそいつらはエアダンスしていたっけ?

俺とジョジョ、いろは、小町、仗助、ジョセフ、朋子さん、康一さん、由花子さん、貞夫さん、ホリイさん、うちの両親、一色さん夫妻で楽しくフォークダンスを踊った。

高原は真夏でも涼しく、風が吹く度にしゃわしゃわと葉鳴りした。

俺達は別に参加しているわけじゃあないので、ひたすらゴール地点を目指す。途中の道々で看板を探し回ったり、小さな紙に額を突っつき合わせてなぞなぞを解いている小学生達か見受けられた。

みんな楽しそうで何より。

最初は三浦も海老名も小学生を見かける度に、「がんばれー!」「ゴールで待ってるから!」とか声をかけてちゃんとボランティアのお姉さんをやっていたが、葉山もやっていると興醒めしてしてやめた。

 

三浦「あーし、子供とか応援すんの好きだからやってるのに、葉山とカップル扱いは嫌だし。ヒキオ、何かない?」

 

八幡「任せろ!ご隠居、お銀、弥七!」

 

ジョセフ、静、小町「ガッテン!飛猿!」

 

波紋の戦士達「ハッ!」

 

木のてっぺんまでジャンプした俺達。そして川崎を見て目で合図。

 

八幡「来い!半治!」

 

沙希「何であたしだけ大岡越前!?まぁ飛ぶけどさ」

 

と言って木の上にジャンプ。

 

ペットショップ「クエエエエ!」

 

木に跳び移った俺の肩にペットショップが掴まる。カワイイ奴だ。

 

子供達「わぁ!あれって一年に一回しか見れない忍者のショーだ!」

 

子供達「あんなにジャンプ出来るなんて…忍者はホントにいたんだ!」

 

京華「わー!みんなカッコいい!さーちゃん、スゴいスゴーい!ジョーちゃん、しーちゃん、はーちゃん、リサリサ様ステキー!」

 

うん、けーちゃんの声援でやる気が倍増だ。

さっきから陽乃さんや大志が忍者やってるけどね?俺達ほど波紋のレベルは高くないからなぁ。

 

八幡「うっぺり。ムササビの術だ」

 

沙希「え?ディオとの戦いの時にやったあれ?まぁ、あれならけーちゃんが喜ぶか。子供達よ!コレがムササビの術!」

 

川崎は周囲の葉っぱを集めて即席ハングライダーを作って更にジャンプし、空を滑空する。けーちゃんが関わると途端にシスコンを発揮するな。同士よ…。

 

京華「うわーい!さーちゃん、すごーい!」

 

川崎の頑張りにけーちゃんも声援で応える。

 

今日も黒のレースか………。

 

小町「ゴミィちゃん…」

 

ゴン!

 

小町に拳骨されて木から滑り落ちる俺。キャンプでスカートはいてくるうっぺりさんが悪くね?

ただ落ちるだけなのも芸がないので膝を抱えて空中でくるくる回転しながら落下し、見事に着地する。

 

ふ……決まった……

パチパチパチパチ!

子供達がはしゃいで拍手を送る中……

 

ゴン!

痛い……誰だ今の拳骨!と思って振り返ると………般若がいた。

 

いろは「ハァチィくぅん?」

 

しまった。いろはがいたのを忘れてた!ゆらゆらとナイチンゲールが揺れている。やばっ!

 

八幡「忍法!分身の術!」

 

俺の得意技、幻影の波紋を発動!四方八方にハーミット・アメジストで分身を作って散らしながら木を蹴りピョンピョン跳びながら木の上に戻る。

 

京華「はーちゃん!忍者カッコいい!」

 

八幡「柘植の飛猿と呼んでくれ!」

 

子供達「とーびっざる!とーびっざる!」

 

飛猿コールが響く。

 

ジョルノ「忍法口寄せ。飛猿を追え」

 

ジョルノが葉っぱにゴールド・エクスペリエンスの力を加える。葉っぱは蜂の群れに姿を変えて俺を追ってくる。

ざけんな黒ジョルノー!

 

八幡「ジョルノてめぇ!後で覚えてろー!」

 

ジョルノ「ワサビを用意して待っているよ。蜂幡」

 

上手いこと言ったつもりかぁ!八幡なだけに蜂をチョイスしやがったのかよ!

俺はしばらくの間、蜂から逃げ回る羽目になった。

 

 

 

八幡「ひどい目に遭った…」

 

何とか全ての蜂を叩き落として俺はいろは達と合流した。あの蜂に反射の力を加えられていたら詰んでいたが、そこまでジョルノも鬼ではなかった。

ただ、忍者ごっこが功を奏したのか子供達も小町達になついて来るようになった。何故か飛猿は敬遠された。蜂に襲われたくないかららしい。ジョルノめ…。

 

八幡「蜂と言ったらジョジョだろうが」

 

静「それは基本世界の静・ジョースターのスタンドでしょ。あのグラサン女のワイルド・ハニー。アクトン・クリスタルの方が基本能力は上だし見た目もカワイイっつーの!」

 

グラサン女はお前もだろうが。

透明化したものを把握できる能力がアクトンは劣るだけにジョジョは基本世界の静・ジョースター(あっちの静・ジョースターをジョジョと言うと両方とも怒る)のワイルド・ハニーに対してライバル心を持っている。あっちはあっちで見た目は淑女で強いジョジョに対してライバル心持っているけど。

ジョジョと違って静・ジョースターの本質は闘争心が具現化して成長したのがワイルド・ハニーだからなぁ。

 

相棒と話をしていると、度々小学生の集団に出くわすのだが、中には二、三回会う子もいた。客の顔を覚えるのは接客の基本だからな。クラスメイトは覚える気がないだけだ。

そんな中、プチ雪ノ下のいる女の子5人の集団に出くわした。

プチ雪ノ下以外は活発そうな雰囲気だが、プチノ下は二歩ほど遅れて歩いている。

すらりと健康的に見えた手足、紫がかったストレートの黒髪、他の子と比べて幾分大人びた印象を受ける子だ。

フェミニンな服装も周囲より垢抜けている。ありたいていに言って、プチノ下と呼称するくらいにはカワイイと呼べる目立つ子。

間違いない。昔の俺達と同じで周囲に溶け込めない、前世持ちの子供…。ジョルノの事を知っているようだし、もしかしたらこの子の前世は……。

そして、周りの子はプチノ下を時折振り返ってはクスクスと笑っている。だが、プチノ下は一切気にしていない様子だった。

その女子は手に持っているデジカメでジョルノやミスタさん、それに蜂に追い回された後の俺や、ミスタさんと仲のいいミドラーさんや小町、ジョジョを撮っている。

集団の端でプチノ下は集団とは別の方向を見ている。

スタンド使いがスタンド使いと惹かれ合うように、ボッチとボッチは惹かれ合う。まぁ、実際この子もスタンド使いだろう。それも、パッショーネに縁のある殺意が高いスタンド…。

 

雪乃「………」

 

雪ノ下が状況の異質さに気がついたようだが、気にするな。人間誰もが人生で一度や二度は孤独について考える時がある。いや、無くてはいけない。俺なんて百年もの間、考えていたんだからな?

そして、この子は多分、望んで孤独になっている。

パッショーネのスタンド使いの転生ならば、平和な日本の子供たちと仲良く馴染めるはずがない。

小町やいろはだってそうだったように。

だから俺から接触することはない。

俺は信念をもって放置を決め込んだ。

けど、みんな仲良く…なんて絵空事を信念にしているお馬鹿がプチノ下に話しかけた。

 

葉山「チェックポイントは見つかった?」

 

プチノ下に話しかけたのは葉山だった。

 

プチノ下「………いいえ」

 

葉山「そっか、じゃあみんなで探そう。名前は?」

 

留美「鶴見留美」

 

葉山「俺は葉山隼人、よろしくね。あっちの…」

 

留美「ジョルノ・ジョバァーナさんはどこ?あなたに用はない」

 

葉山撃沈。

 

八幡「ぶふっ!確かに葉山よりジョルノの方がカッコいいもんな」

 

静「ちょっとイケメンなだけで調子にのんなっつーの」

 

俺達の言葉を聞いて葉山が青筋を立てる。

 

八幡「あ?なんだテメェ」

 

俺が殺気をわずかに込めると葉山はたじろいだ。

 

留美「下らない。つまらない男。無理矢理あの中に突っ込もうとするなら始末しますよ?じゃ、アリーヴェデルチ」

 

留美にボロクソに言われて唖然とする葉山。

 

八幡「みんな仲良く。そんなのが幻想だなんて子供でもわかるんだよ」

 

静「これ以上、あの子に付きまとわないことだね。あんたにはわからないよ。あの子の境遇が」

 

葉山「ヒキタニ……貴様が……」

 

胸ぐらを掴んでくる葉山の手を掴んで手を捻りあげた後に柔術の技でひっくり返し、鳩尾に足を落とす。葉山はこれでしばらくは動けない。

 

八幡「不様。ただそれだけに尽きる。満足に受け身も取れない、最悪守らなくちゃいけない頭もガードが出来ていない。そんなんで俺の相手をするつもりか?子供達の命がかかっているからこれ以上はやらんが…」

 

俺はサイレンサー付きのワルサーを取り出して葉山の頬をかするように発砲した。

 

八幡「これでお前は死んだ。いや、普段だったら投げた段階で殺しているか。頭から落として首の骨が折れるようにな。最後通告だ。スタンド使いの世界から手を引いてこのまま帰れ。明日の決戦の時に姿を現したときは…容赦しない。必ず殺す。柱の一族、サンタナのように。いいな」

 

俺はもう一度葉山の鳩尾に足を落とす。

 

雪乃「邪魔よ」

 

ドカッ!

 

葉山「げふっ!」

 

道のど真ん中に転がる葉山に蹴りを入れる雪ノ下。

 

結衣「邪魔」

 

今度は由比ヶ浜が葉山に蹴りを入れる。敵には容赦するなと教えて来たからな。

今の二人には葉山は敵だ。

 

戸部「べー、結衣、俺達友だ…」

 

ゴスッ!

触ろうとする戸部と大岡を由比ヶ浜は膝蹴りとアッパーで沈める。

 

結衣「触らないで。あんたたちなんか友達じゃあないし!」

 

もうかつての気弱な由比ヶ浜の姿はどこにもない。

 

結衣「いこっ!ゆきのん」

 

雪乃「ええ」

 

不様に転がる三人を無視して先を急ぐ俺達。

俺達が来なければヒーローであった彼らも、心身ともにボロボロだ。わざとそうしているのだが。

 

静「由比ヶ浜は私達の中でも最弱よ。それ相手にその体たらく」

 

がりっ!

ジョジョは戸部の頭をぐりぐり踏みつける。

 

静「ハッチの言うとおりあんたらはここでリタイアした方が身のため。決戦の時にあんたらがいたら、ハッチの言うとおり殺す。いいね?」

 

ジョジョは戸部の頭をもう一度踏んで雪ノ下達の後を追う。

 

side葉山隼人

 

強い。俺達では勝てないかも知れない。だが、調子に乗るのもここまでだ…。

俺達の役目は終わった…。地獄を見るのはお前たちだ。ヒキタニ……。

 

←To be continued




はい今回はここまでです。

最後に不穏な事を言っている葉山。一体何を企んでいるのか!?


それでは恒例の。

小学生の時に八幡も参加した➡サボってボランティア側で参加。

三浦が子供に声援を送っていたのは葉山に子供好きアピール➡後半三浦のおかん体質(アヴドゥル体質)

留美はとある理由でハブられている。そしてそれを気にしている➡元々馴染んでいないし気にしてない。第一章の八幡たちと同じ。

葉山の誘導に留美は応じる➡拒否

八幡は葉山を誉める➡八幡は葉山と軽くドンパチ

次回もよろしくお願いします。


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