やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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世界と…


つかの間のひととき

side比企谷八幡

 

キャンプといえばカレーだ。

専業主夫たるもの、カレーはおろか、ピッツァやラザニア、パスタのオードブルは勿論、メインディッシュの1つや2つ、作れて当たり前だ。むしろ、何を作っても気付けばイタリアンになるまである。

だが、料理ベタでも簡単に作れるカレー。実際、を入れたら何でもカレーになるあたり、全ての料理はカレーの材料と言っても過言じゃあない。

千葉のカレーといえばシタールが名店なわけだが、千葉村のカレーはもちろん飯盒炊爨に野外調理である。あと、シタールはホントにうまい。

そんなわけで今晩の夕食はキャンプの定番、カレーだ。

ちなみにお昼の弁当の件では総武高校組は小学校の教師達に大目玉を食らった。

 

教師「まったく!高校生にもなってこんな簡単な事も出来ないんですか!高校生は寝ているし、引率の教師もお弁当を放置して虫やカラスに荒らされて台無しになっていますし!SPW財団さんが予備を用意してくれていなかったらどうなさるつもりだったんですか!?公立県下1の総武高校も落ちたものですね!」

 

勿論、総武高校に対しての報告は実施した。弁当代の請求もきっちりと。

 

そんな事はさておき、小学生たちにお手本として炭に火を付けるところから始まる。デモンストレーションとしてしゃしゃり出てきた平塚。立ち直りが早いな?

 

平塚「まず最初に私が手本を見せよう」

 

言うが早いか、平塚が炭を積み上げる。その下には着火剤とくしゃくしゃにした新聞紙が置いてあった。着火剤に火をつけると、新聞紙が燃え上がる。その炎を炭に移そうとしばらく団扇で適当に煽っていたかと思うと、まだるっこしくなったらしく、いきなりサラダ油をぶっかけた。たちまち火柱が上がる。

何やってんだコラ(# ゜Д゜)そんなことを小学生がマネをしたらどうするんだ!事故や火事の元じゃあないか!

まぁ、何か問題行動を起こすだろうと思って俺は動画撮影を作動させていたわけだが。※本当に危険です。野外調理のプロである本城が言うので間違いありません!絶対にマネをしないで下さい!

歓声とも悲鳴ともつかない声が沸き起こる。だが、平塚は動じることなく、それどころか口に煙草をくわえ、ニヒルな笑みを浮かべた。くわえたままの煙草を顔ごと火に近づけ、ずうっと息を吸う。

顔を離し、スパ~っと一息吐いた。

だから何でナチュラルに小学生の前で指定場所の以外の喫煙をしやがるんだ!このダメ教師!

 

八幡「空条先生」

 

俺は撮影した動画を徐倫に送る。

 

徐倫「わかってる。平塚先生」

 

平塚「何だ?空条」

 

徐倫「今の問題行動については撮影されてました。学年主任の鶴見先生と校長には送信してありますので覚悟しておいて下さい」

 

平塚「何っ!空条貴様!」

 

おいおい、自分の問題行動が原因だろう。チクられて困るような行動をするんじゃあない。

 

教師「貴様と叫びたいのはこちらです!児童が真似をしたらどうするつもりですか!それで事故が起きたらどうなさるつもりだったんですか!次に何か問題を起こしたら警察を呼びますし、然るべき法的手段に訴えますからね!?」

 

小学校の教師達は大激怒だ。そのままもう何もするなと言われて調理場から追い出された。

 

仗助「すみません…うちのバカ教師が…然るべき処分を検討しますので…」

 

教師「東方社長は関係ないじゃあないですか?」

 

仗助「いえ、一応私も総武高校のPTA会長なので、全くの無関係というわけじゃあ無いんです。今回は会社のボランティアで着ていましたが、関係者が問題を起こしてはさすがに申し訳なくて…」

 

徐倫「私も総武高校の教師です。同僚が大変ご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありませんでした」

 

うん。本当に申し訳無いことをしたよ。これが原因で総武高校にはかなりの苦情が寄せられるだろう。高い確率で訴訟が起こる可能性もある。肉の芽とブラッディ・スタンドの影響とは言え……やっちまったな。

ひと昔前ならそれも受けていただろうが、今では時代が違う。それに、何にしても基本を教えなければならないのだが、平塚がやった行動を基本と勘違いして未来で大惨事を引き起こす可能性も無くはない。

ジョセフ達が音頭をとって、今度こそ正しい火の付け方をデモンストレーションする。

その一方で俺は葉山達を連れ出し、小学校の教師も一人だけ連れ出した。見る限りではこの場の責任者。

 

八幡「おい、お前ら。ツーペナルティーだ。お前らのせいで母校の名誉がかなり損なわれた。これ以上問題を起こされ、万が一にもマスコミとかに報道されてみろ。総武高校の偏差値が落とされでもしたら無関係の奴等の将来に影響を及ぼすとは考えねぇのか?」

 

葉山「今の平塚先生の行動はともかく、昼のはお前らのせいだろう!」

 

八幡「はぁ?何かあったっけ?」

 

静「いや?何も?変な言いがかりはやめろっつーの。邪神の使い捨て駒。もう迷惑だから何もすんな。楽しいキャンプが台無しだっつーの」

 

葉山「お前ら……」

 

汚いと思うことなかれ。この程度の蹴落としなど、大人の世界のそれに比べたら生ぬるい。もはや小学校側の総武高校の信頼は地に落ちている。これが戦略というものだ。

 

教師「もう総武高校のボランティアの方は出ていって下さい。この事は学校を通じて正式に抗議させて頂きます」

 

葉山達は炊事場から追い出される。これでやり易くなったな。ボランティアも、戦闘への挑発も。

 

邪魔物を追い出した後は、テキパキと準備をアーシスが進める。総武高校の評判を落としたのは悪かったが、世界の命運もかかってるんでね。一般人を巻き込むつもりはないと言ったが、すまん。あれは嘘だった。

俺達は軍手をはめて火を起こす準備を始める。

 

三浦「火の事なら任せろし!火遁の術!」

 

あーしさんがマジシャンズ・レッドで着火する。

やりたかったのね?忍者。スッゴい生き生きしてますよ?

 

徐倫「風はあたしたちを押し戻しているぞ!」

 

そこまで風が強かったら大惨事だわ!

見ると徐倫が言葉とは裏腹に地味にパタパタと団扇で扇いでいた。紛らわしいわ!

 

ジョセフ「エシディシとワムウを思い出すのう」

 

やめてくれる?今回はその柱の一族が相手なんだから。

せっかく忘れていたのに思い出すだろ。運命を。

俺も何もしないわけにはいかなかったので団扇でパタパタと扇ぐ。地味に熱いのでじんわりと額から汗が出てくる。ディオとジョナサンの戦いを思い出すなぁ。両方の視点から思い出せるのは良いのか悪いのか…

 

戸塚「思い出すね。あの戦いを」

 

八幡「お前も思い出していたか……」

 

あの思い出を共有できるのは戸塚と泉くらいだ。川崎の前世であるツェペリさんもあの戦いの段階では既に亡くなっていた。

そう…運命はツェペリさんでも避けることはできなかった…。俺も……この千葉村で。

 

戸塚「飲み物を取ってくる?」

 

八幡「いろはを呼んでくれないか?いろはなら俺のマッカンを持ってきてくれているハズだ。それに、いろはとの時間が欲しいからな」

 

戸塚「うん、わかったよ!やっぱり八幡の一番はいろはちゃんだね!」

 

戸塚はパタパタと走っていろはを探しに行った。多分だが、料理指導をしていることだろう。

 

八幡「………………何の用だ。お前らは追い出されただろ」

 

葉山「…………よくわかったな」

 

八幡「お前らが神と崇める柱の一族…その天敵が俺達波紋の一族だ。波紋の一族の気配察知能力をなめんな。それで?何の用だ?」

 

葉山「………ヒキタニくんはさ、ゆ」

 

いろは「お待たせしました、ハチ君。マッカンですよー?それとも、本当の目的はわたしですかー?」

 

葉山の言葉を遮っていろはが俺の頬に冷たいマッカンを当てる。いろはとマッカン。この二つが俺の心を癒してくれる。特に前者が。

見上げるとイタズラに成功したように純真無垢な満面の笑みを浮かべたマイハニーが。急いで取って来たのか息が少し上がっている。上気した頬が俺の心をいい意味でかきみだしてくれる。可愛さに健気補正が入ることで聖女度が上がっていた。

俺の鼓動は相変わらずとくとくと脈打っている。恋を越えた感情である愛。ときめきが無いわけでもなく、さりとて激しく燃え上がるような感情などでもない。安定した程よく、さりとて相手を求める感情。それが俺といろはの間にある愛だ。

 

八幡「おおっ!サンキュー!もちろん、マッカン以上にいろはと一緒にいたかった。当たり前だろ?」

 

いろは「もう、いつも言っていますけど既に口説かれているのに、更にわたしを口説いて…わたしをどうしたいんですか?ハチ君」

 

いろはは俺に抱きついてくる。そして葉山を睨む。

 

八幡「嫁を愛したいのは当たり前だろ?で、嫁との一時を覗いて何が楽しいんだ?葉山」

 

俺といろはを見て、何かを納得した葉山は安心したような表情をする。

 

葉山「代わるよ」

 

戸塚「君は追い出された身だろ。二人の邪魔をするならとっとと出ていけ」

 

戸塚は葉山を突き飛ばして睨み付ける。

それを可愛そうだとは思わない。こいつは以前、戸塚とテニス部の練習を邪魔したのだから。

 

三浦「葉山。あーしに燃やされたくないのなら、とっとと出ていけし。何ヒキオがほとんどやった火起こしの仕上げを横取りして手柄にしようとしてるし」

 

葉山「…………」

 

葉山は三浦と戸塚の殺気にあてられ、すごすごと引き下がる。戦いの場数が違うんだよ。命のやり取りをしたことのないお前が、この場の誰ともまともな相手になるものか。

 

陽乃「あいつは……はい、八幡くん」

 

小町と共に来た陽乃さんが洗顔ペーパーを渡して来た。

 

小町「お兄ちゃんは頑張っていたよ。ホントに」

 

小町が俺の頭をなでなでしてくれる。いつもとは逆だな。

 

陽乃「軍手で顔を拭うのはやめた方がいいよ?カッコいい顔が真っ黒だよ?」

 

小町「ほら、お兄ちゃん。拭いてあげる」

 

いろは「あーあ。せっかくの二人きりが…でも、この四人でいることに段々と安らぎを覚えている自分がいますから不思議です」

 

八幡「おいおい。俺の一番はいろは……お前だっての」

 

陽乃「私は順番に拘らないわよ?八幡くん」

 

俺がこだわるわ!重婚はダメ!絶対!

 

小町「小町は実の兄妹だから世間に認められる関係じゃあないけど、でもお父さんとお母さんは既に諦めているから大丈夫だよ?」

 

諦めるなよ!近親婚もダメ!絶対!

 

いろは「………そんなことでも、その先にハチ君との未来があるのなら……わたし一人では止められないなら」

 

小町「小町達は三人でお兄ちゃんを助ける…」

 

陽乃「これがわたしたちで出した結論だよ…八幡くん」

 

八幡「いろは…小町…陽乃さん……」

 

こんな俺なんかに…罪で塗り固められた俺の魂に…こんなにも慕ってくれる素敵な女の子が三人も…。

思わず頬に涙が伝う。

 

八幡「ありがとう……」

 

自分でそう言いながら、誰か個人に向けられた言葉ではないとわかっていた。

 

←To be continued




八幡、とうとう小町と陽乃に陥落。
しかし、八幡の中にこびりつく前世の罪、そして運命の存在。
果たしてヒロイン三人は運命を止められるのか!
そして、それを見守る静を含めた歴代ジョジョ達は八幡を救えるのか!?
最後の黄金の精神と、幸運を集めるめぐりのシンデレラ・ハーヴェストは運命を変えられるのか!?

それでは恒例の

平塚先生の火の付け方はおとがめなし……➡の訳ねぇだろ!大惨事だわ!原作何ページとか関わりなく、こんなのが許せるわけねぇ!平塚先生のファンの方はごめんなさい。…が、飯盒炊爨の火の付け方にあれはない!原作の小学校の教師!注意しろよ!更に葉山グループも追い出し。ただ、近くでただ見ています。

八幡の飲み物を持ってくるのは戸塚➡いろはに変更

八幡と団扇の交代するのは葉山➡戸塚

三浦は葉山をリスペクト➡三浦は葉山をディスる

洗顔ペーパーを渡すのは由比ヶ浜➡陽乃

頑張っている八幡を誉めるのは雪ノ下➡小町


それでは次回もよろしくお願いいたします!


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