やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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鎮魂歌を…


最後の黄金の精神5

sideジョルノ・ジョバァーナ

 

昼の段階から彼女の事は気になっていた。

スタンド使いがスタンド使いに惹かれ合うあれだ。

彼女がブチャラティであることは何となく気が付いていた。四年前のGDstで沢山の幻影が現れたとき、彼の幻影と小さな少女の幻影が重なっていたのだから。

 

いろは『(イタリア語)初めてですね?パッショーネの誰かが転生しているのを見たのは』

 

僕達は周囲で聞き耳を立てている第三者を警戒してイタリア語で会話をしている。この場でイタリア語を話せる者はジョースター家の人間とパッショーネの人間くらいだ。後は材木座君が少しだけ話せるくらいかな?

 

留美『ジョルノ。パッショーネは今はどうなっているのか教えてくれる?』

 

ジョルノ『ディアボロを倒し、今は僕がパッショーネのボスを務めています。その過程で今はSPW財団と融合し、財団のヨーロッパ支部がパッショーネの表向きの組織として活動しています』

 

留美『空条承太郎と和解したということ?』

 

ジョルノ『ええ。今は僕もジョースター家の一員として迎えて貰っています』

 

留美『そう。私が死んだあと、全てが上手くいったんだね』

 

ジョルノ『あなたのおかげですよ。ブチャラティ』

 

留美『私だけの力じゃあない。アバッキオ、ナランチャのお陰でもある』

 

ジョルノ『そうでしたね。ところでブチャラティ…話があるのですが…』

 

僕はブチャラティの転生である留美に全てを語る。八幡のこと、これまでの事、ブラッディ・スタンドの事…運命の事……それらの全てを。

 

留美『そう…ちょっと試してみる』

 

ジョルノ『試す?』

 

留美『忘れたの?ジョルノ。私のスティッキー・フィンガー以外の特技を…』

 

ジョルノ『特技?ああ、あれですか』

 

一つだけあった。ブチャラティが前世に持っていた特技が一つだけ…。

 

side比企谷八幡

 

留美『ねぇ八幡?』

 

八幡『ん?』

 

留美がジョルノとの再会を切り上げ、俺に話しかけて来た。

 

留美『全部聞いた。八幡は諦めているの?』

 

チッ、ジョルノめ…余計なことを。

 

八幡『諦めてはいない。出来ることなら何とかしたいと思っている』

 

俺がそう言うと、留美は俺の頬をペロッと舐めてきた。

 

八幡『………おい。絵面的にかなりヤバイことをしているんじゃあない。俺はシスコンではあるが、ロリコンじゃあないからな』

 

留美は俺の抗議など意に介さず、自分の言いたいことだけを言う。

 

留美『この汗の味は半分嘘をついている味。八幡は諦めてはいないけれど、半分は運命を受け入れてしまっている』

 

な、何だ…この養女……。

 

ジョルノ『ブチャラティの特技だよ。彼女が言うには人間が嘘をつくときはどんなに狡猾に、上手に嘘をついても必ず僅かに汗をかくそうだ。そして、ブチャラティはその汗が嘘をついているかどうかを味で判断できる。僕も昔はそれでブチャラティに始末されかけた。それがパッショーネとの縁になったんだけどね。さて…半分は嘘とはどういうことだい?八幡』

 

いろは『ハチ君……』

 

ちくしょう…厄介な能力の持ち主だ。川崎といい、大志といい、ジョセフといい、スタンド能力以外で厄介な能力の持ち主が多すぎじゃあないか?いろはまで悲しい顔をしていやがるし…。

 

八幡『波紋の戦士に伝わる秘技の運命を見る予言の能力は、例えるならボインゴのトト神の予言とほぼ変わらない。下手をしたらトト神以上だ…スタンド使いは決して神ではない。どんなに頑張っても、ツェペリさんのように救えない命もあれば、変えられない運命もある…』

 

ジョセフ『じゃが、ワシらは何度もそれを乗り越えて来た』

 

承太郎『決して恐れず、最後まで戦い抜いた』

 

ジョルノ『どんなに辛い状況でも、最後まで諦めずに戦うことだ』

 

徐倫『最後の最後まで、勝利を信じて戦い抜いた』

 

仗助『信じる心…その心の強さが不可能を可能にした。それがジョースターじゃあねえのか?八幡』

 

いつの間に集まったのか、歴代ジョジョ達。

 

八幡『………俺だって……抗いたいよ……』

 

俺は耐えきれずにその場を離れた。くそ……。戦いそのものから逃げ出してしまっている。ジョースターの家訓はどこに消えたんだ…。日が暮れ始め、朱に染まる空を見上げる。俺の目に…光るものがあるのだろうか…。

承…郎……。お前の心の強さが…羨ましい…。

 

sideジョセフ・ジョースター

 

バカ者が…誰がお前を消えさせるものか!

あれは置いてきている。絶対に事は起こらんはずじゃ!

それが雪乃や結衣の犠牲が伴ったとしても…。

 

side比企谷八幡

 

カチャカチャとスプーンの立てる音が聞こえる。

かつての俺達と同様、一人でいることなど何とも思っていない留美を見送った俺は、半ば諦めた気持ちで、黙ったままみんなの元へ戻った。

ジョジョが火を見ていてくれたお蔭でカレーは良い感じに煮込まれていて、飯盒の方もなかなかの炊き上がりだ。

炊事場の方は木製のテーブルと、一対のベンチがある。それぞれが盛り付けると、座る場所の探りあいが始まった。さすがに飯抜きにさせるわけにはいかないので、ボランティア組は派閥関係なく座ることになる。

大人組は仗助と徐倫、平塚以外は同じ場所に固まり、学生組は同じテーブルに座ることになった。

最初に座ったのは雪ノ下だ。迷わずベンチの端をゲットした。次に座ったのが由比ヶ浜。雪ノ下の隣に座る。次に座ったのが三浦と海老名。何気にスタクル組と仲が良い。他もなるべく派閥の近くに座る。だが、どう詰めても財団の派閥と総武高校の派閥に間は開かない。誰か二人が隣り合う事になる。

 

仗助「八幡、お前は俺の隣だ」

 

徐倫「その反対側隣はあたしよ。ホントはいろはか小町の隣が良いだろうけど」

 

静「お兄ちゃんの正面が私。総武高校組と隣り合うのは嫌だけどね」

 

いろは「ハチ君の前がわたしですよ。絶対にハチ君の近くにハチ君を座らせない」

 

いつの間にか俺の席は決まっていたらしい。完全防護&囲い込みが完成している。いろはの隣は戸塚だ。

まぁ、どこだって良いさ。今はな…。

 

平塚「では、頂くとしようか。ジョースターどもが一緒では旨いものも不味いだろうがな」

 

ちっ!それはこっちもだ。

平塚の号令で総武高校側は「頂きます」と手を合わせる。

 

仗助「じゃあ、食おうぜ」

 

財団組も仗助の号令で手を合わせる。

 

戸塚「雰囲気がお通夜みたいだね…」

 

八幡「メニューはカレーだから、精進落としにしてはなまぐさだけどな」

 

雰囲気の悪さを感じたのか戸塚が言った。何でこうなるんだろうな?本当ならジョジョの誕生日のようにワイワイ楽しんでいたはずなのに。

黙々と雰囲気が悪い食事会が進んでいく…

ハァ………。

 

最悪の食事が終わり、笛付きケトルがカタカタ言い出し、さほど大きいとも言えないサイズながらけたたましい警笛を鳴らす。

もうじき小学生は就寝時間を迎えるはずだ。

紅茶を飲んでいた葉山がことりとカップを置いた。

 

葉山「今頃、修学旅行の夜っぽい話をしてるのかもな」

 

高校生になってから、俺達はまだ修学旅行へは行っていない。修学旅行は二学期に予定されている。どうせジジイやいろは達が暇をもて余して着いてきて、班別行動とか無視して遊んでいたに違いない。俺にはもう、関係ないかも知れないが。

 

葉山「大丈夫かな?」

 

葉山が呟く。

カチッとライターの音がした。また受動喫煙を考えないで喫煙かよ…。(# ゜Д゜)

 

平塚「ふむ。何か心配事かね?」

 

葉山「まぁ、ちょっと孤立しちゃってる生徒がいたので」

 

南「ねー、かわいそうだよねー」

 

相模が相づちのつもりなのか、当然の如くその言葉を口にした。俺はそれに対してイラつきが止まらない。

 

八幡「違うぞ葉山。あの子は好きで孤立を選んでいる。本当の仲間以外の仲間なんか望んではいないんだ」

 

南「はぁ?だからなんな訳?」

 

相模が聞き返して来た。二人称を完全にりかいしてるのか?このうちぃ。

 

平塚「それで君達はどうしたい?」

 

どうしたい?どうもしたくない。ただその事について話をしているだけだ。

所詮こいつらにとってブチャラティの事は他人事だ。

見てしまった以上は口するが、どうしようもできない。せめて憐れませて欲しい…。俺の嫌いな欺瞞に満ちた青春の延長線にあるものだ。SPW財団側の視線はとても冷たいものだった。

その感情は…もし悪意によって孤立させられた者からしてみたら…憐れみだけの感情など…迷惑だ。同情するなら金をくれ。同情するなら助けてくれ。

 

葉山「俺は…出来れば可能な範囲で何とかしたいと思います」

 

ふざけるな…だったら何もするな…。

 

雪乃「あなたには無理よ。そうだったでしょう?」

 

そう葉山を切り捨てたのは雪ノ下だった。

 

葉山「そう、だったかもな…でも、今は違う」

 

雪乃「どうかしらね」

 

葉山の答えに肩をすくめるような仕草をして冷たくあしらった。

雪ノ下の葉山に対する態度は普段のそれとは違う。

普段の冷たさは単なる隔絶の表れかもしれないが、さっきの雪ノ下の言葉には明確な意思がある。

 

平塚「やれやれ。雪ノ下、君は?」

 

雪乃「……………」

 

無視。明確な拒絶がそこにあった。

 

仗助「雪ノ下。お前はどうしたい?」

 

雪乃「確認があります。これは奉仕部の案件ですか?」

 

静「ノーね。一介の高校生が出来る範囲を越えていますから。東方社長。これはもっとデリケートで、なおかつ専門的な機関で扱うないようです」

 

平塚「そうかね?林間学校のボランティア活動と位置付けた上で部活動の一環とするならば、原理原則から言えばその範疇ではないのかね?」

 

静「まったく思わない。部外者は黙っていてもらえますか?彼女は助けを求めていない。現状で満足している。それでもこの件に首を突っ込むというのであれば、法的手段と腕付くでも絶対に止める」

 

平塚「それが君達奉仕部の結論か…。よろしい、やはり明日は決戦の時のようだ。葉山。どうしたいかは君達のグループで話し合いたまえ。私は寝る」

 

と、欠伸を噛み殺すかのように立ち上がった。

 

仗助「待てよ」

 

平塚「何だ?東方仗助」

 

仗助「自分の保護監督の範囲で何かする者達の監督責任を放棄する。その判断で構わないな?平塚静」

 

平塚「生徒の自主自立を促すと言って欲しいな」

 

校長『そうですか。職務放棄として受け取らせて頂きます。平塚先生、ボランティアより帰ってこられたら、あなたの進退について職員会議を行います。ですが、重い処分は確定ですので覚悟をしてください。なお、その件について生徒が行動をした場合、学校側としてもその生徒については停学以上の処分と訴訟も辞さないのでそのつもりでいてください。東方会長。ご報告に感謝いたします』

 

仗助「構いません。妹の通う学校に不祥事があっては妹の名誉に関わります。カワイイ妹の為にもそんな事は絶対にさせません」

 

校長『ありがとうございます。それでは失礼します』

 

仗助はスピーカーモードにしていた携帯を切る。

 

仗助「……と言うわけだ平塚静。お前はこのまま教職を失うことになるだろう」

 

奸計再び…というかただの自滅。

 

平塚「貴様ら…私ほど生徒思いの教師はいないというのに…そんな私に何て仕打ちをするんだ…」

 

徐倫「自分のことを自分で上方評価するものがその試しだった例はないわ。あなたは再教育を受けるべきよ。肉の芽が無かったとしても」

 

まぁ、もう未来は絶望的なのが確定している。

 

平塚「殺す……お前達だけは絶対に明日殺す……」

 

仗助「良いだろう。決着は肝試しのあと。そこでけりをつけよう」

 

ジョルノ「お前達に構っている暇はない。汐華冬乃にそう伝えろ」

 

全ての決着は明日だ

 

←To be continue

 




今回はここまでです。

高まる決戦の時。エンド・オブ・ワールドか、それともエンドレス・ワールドか…。


原作との相違点

留美ははぶられていることを気にしている➡ブチャラティがそんなやわな人間ではない。

夕食は給食のよう➡お通夜の精進落としのよう。

食事シーン……いらないよね?お通夜のように黙々と食べるだけだし。書く方が耐えられません、無理ですごめんなさい。

平塚先生職務放棄におとがめなし(# ゜Д゜)➡原作レイプだろうがなんだろうが言わせてもらう。社会的に職務監督放棄!既に社会で働いている八幡達に許せる行為ではない。スリーアウト、教師人生にゲームセット。

奉仕部案件発動➡……エンジェルラダーの時以上に部外者が立ち入るべき問題ではない。というか、この案件についてはいつも以上に原作レイプ上等。専門家以外が介入するな。原作のこの段階で普通に訴訟問題である。ふざけるな。よって以降の話し合いと原作八幡の作戦はカット。


この問題についてはさすがに原作通りにいかせる訳にはいきませんでした。本当にニュースや新聞沙汰になる事案です。原作自体にこの話はアンチヘイトをかけさせてもらいます。特に平塚先生の行為は原作の千葉村の案件だけでも解雇に十分な事を連発です。拉致監禁罪、用務上過失による火災発生未遂、そして越権行為を見過ごす上に職務放棄。社会人として許せませんでした。ファンには申し訳ありませんが。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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