やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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黄金の吹雪ー目覚める柱ー

陽乃の先制攻撃により

 

ポルポ…死亡

 

sideトリッシュ・ジョバァーナ

 

トリッシュ「邪魔よ!ワアナビィィィィ!」

 

ルカ「ほげええぇ!」

 

あたしのスパイス・ガールが屍生人たちを殴ると相手は柔らかくなって液状となり、地面の穴に染み込んでいく。

 

泪目のルカ…死亡

 

かつてのあたしの暗殺部隊やディアボロ親衛隊があたしたちチーム…ゴールデン・ウインドに狙いを集中して攻撃してくる。その数は他のチームの比じゃあない。

……ところで、あたしを睨んでくるこの変な男は誰だったっけ?因縁がある気もするけど、これといった事が思い浮かばない。

まぁ、暗殺チームやディアボロ親衛隊が死んだのってあたしが原因だったから全員に恨まれる理由があるっちゃぁあるんだけどさ。

 

トリッシュ「で、あんたは誰だったっけ?」

 

カルネ「貴様…舐めてるな。テメェに殺されたカルネだよ!」

 

トリッシュ「カルネ?うーん?ごめん、覚えてない」

 

カルネ「ふざけるな!ノトーリアス・B・I・Gのカルネだ!」

 

ノトーリアス?ああ…

 

トリッシュ「波相手に戦ってたあれね?億泰さんに消して貰ったけど。そう言えば本体ってこんな顔だったっけ?スタンドが本体みたいな奴だったから印象が薄かったわ」

 

大体なに?この丸々太ったこの男。たしか堂々と滑走路を歩いてきてミスタに殺された男じゃあない。

 

トリッシュ「で、何しにきたのよ。あんたを殺したのはミスタでしょ?あたしを恨むのやめてくれる?あたしはあんたのスタンドを倒しただけなの。それに、暗殺チームも親衛隊も勝手だわ?あたしは静かに暮らしていただけのただの娘だったの。あんたらの都合でジョルノ達に殺される羽目になっただけじゃあないのよ」

 

カルネ「うるさい!存在していたのがいけないんだ!お前も、ブラッディ・スタンドの娘も!そのために俺は命を落とさねばならなかったんだからよぉ!」

 

もはや理屈もへったくれもないわ。まぁ、腐っている屍生人だもの。脳みそまで腐っていてもおかしはないわ。それに、腐っている性根は生きている時からだったものね。

 

トリッシュ「ああ、そう。まぁ、やるってんなら始末させて貰うわ。やらないって言っても始末するけどね」

 

カルネ「ほざけよぉ!おんなぁ!」

 

カルネはその太っちょの体を揺らしてあたしに攻撃を仕掛けてきた。

 

トリッシュ「そうね。女の体は柔らかいわ。故に砕けない。特にあたしのスタンドの能力は柔らかくすることよ。柔らかいということはダイヤモンドよりも砕けないの。あたしの意思と同じでね」

 

スパイス・ガールで流れない程度に柔らかくなったあたしの体はカルネに捕まらずにするりと通り抜けた。

 

トリッシュ「そしてあんたはまた、あたしに負けるんだ。その醜くてださい格好を二度と見せるな!陽乃と雪乃と結衣はあたしが守るわ。特に結衣は何かシンパシーを感じるの。声が似てるからかしら?いずれにしても、あんたは醜い。あんた、公衆トイレ以下。じゃあ、もういい?ぶっ殺してやるわ!スパイス・ガール」

 

S・G「あなたは昔より遥かに強くなった。こんな男に遅れを取るあなたではない。ワァナビィィィィィ!」

 

ドカドカドカドカドカドカ!

 

カルネ「オオォォォォ………」

 

カルネは他の屍生人と同様、流れて土の中に沈んでいく。まあ、この土もあたしが柔らかくして底無し沼のようにしたんだけど。さっきから勝手に沈んでいく屍生人が多いわ。初めて倒した敵…という意味では初めての男だったわね。アリーヴェデルチ(さよならね)

 

カルネ…死亡

 

 

sideグイード・ミスタ

 

もう何匹屍生人を倒したかわからねぇ。

八幡からデザートイーグルを借りてきていて正解だったな。リボルバーじゃあないからピストルズは不満そうだが、いつものリボルバーじゃあ火力が足りない。

このデザートイーグルの50E弾ならば辛うじて屍生人の頭をザクロのように吹き飛ばせる。代わりにピストルズが弾道を曲げるのに苦労するようだが。

 

ホルマジロ…死亡

ティッツァーノ…死亡

スクアーロ…死亡

 

ミスタ「ったくよぉ。雪乃が相当重要なのか、それともパッショーネの業が深すぎるのか…俺が屍生人との戦いに慣れているから良いけど…な!」

 

ダウンダウン!

 

デザートイーグルのコロラド撃ちでギアッチョを仕留める。かつてはジョルノと二人がかりでやっと倒した男もスタンドがなければ雑魚同然だ。

 

ギアッチョ…死亡

 

サーレー「相変わらずの射撃の腕だな。ミスタ」

 

ミスタ「さんをつけろよ。フーゴやシーラに始末されたジャンキーよぉ。何しに来た」

 

サーレー「ジャンキーにされたのは俺を捕まえた奴が無理やりそうしたからだ。俺は望んでジャンキーになったわけじゃあねぇ」

 

ミスタ「が、結局は組織を裏切ってフーゴに始末されてりゃあ世話がねぇ。もう一度聞く。何しに来た」

 

サーレー「何って…何しに来たんだろうな。気が付いたらゾンビになってさ迷ってた」

 

ミスタ「で?見知った俺がいたからのこのこ近付いて来たわけか?」

 

サーレー「ああ。って銃口向けるなって。いや、まぁ、ゾンビだから仕方ねぇのか。任務失敗こいて消されちまうしよぉ。幹部様にお願いするのもわりいが、俺を消してくれねぇか?」

 

ミスタ「言われなくてもそうしてやるよ。言い残すことは?」

 

サーレー「特にねぇ。ああ、シーラちゃんによろしく言っといてくれ」

 

ミスタ「そうかい。アリーヴェデルチ(あばよ)、サーレー」

 

だん!だん!

せめてもの手向けだ。いつもの方の銃弾でサーレーの脳天を破壊する。

運のない、組織の忠実な部下、サーレー。あばよ。

あれ?おれの出番ってこれだけ?

 

サーレー…死亡

 

 

side鶴見留美

 

留美「よく今まで無事でいられたね。ジョルノ達は」

 

スティッキー・フィンガーでジッパーを付け、ゾンビをバラバラにしながら私はため息を吐く。

 

あの屍生人というゾンビを相手にジョルノ、ミスタ、陽乃というジョルノの親戚は明らかに戦いなれている…もしくは行動パターンを見切っている。

手を焼いているのは指揮官クラスの屍生人相手くらいだ。トリッシュも昔に比べたら段違いに動きが良い。

私も生まれ変わってトレーニングはしてきていたけれど、彼らに比べたら劣る。15年の月日に彼らはより効率的に、そして強くなる為の実戦の場数をこなしてきていたのだろう。

そして、雪乃。彼女も新参ながら頑張っている。

 

雪乃「うりゃうりゃうりゃうりゃうりゃぁ!」

 

人型の氷の塊のようなスタンドを駆使しながら、雪乃は屍生人を相手に善戦している。殴った相手を凍り漬けにする能力。ホワイトアルバムみたい。ほとんどこれが初めての実戦だと聞いたのに、なかなかやるね。

さて、私もこの状況を何とかしよう。

ところで、何でこんないたいけな少女に四人もくるのかな?

 

確かズッケーロ、ペッシ、プロシュート、セッコって言ったっけ?

 

ズッケーロ「てめぇ、あのブチャラティとかいうポルポの元部下だろ!なぁ、そうだろ?」

 

ペッシ「テメェには恨みがあるんだよ」

 

プロシュート「あのときは始末できなかったが、今は始末できる」

 

セッコ「今度はよぅ。殺してやるぜ、国語の教師よぉ」

 

はぁ…スティッキー・フィンガーを見られていたのかな…物は試しだ。

 

留美「おじさんたち。私まよっちゃったの…こんないたいけな女の子をいじめないよね?」

 

我ながら気持ち悪い。少なくともブローノ・ブチャラティのキャラじゃあない。だけど、引っ掛かってくれたのが一人いた。

 

セッコ「そ、そうだよな。国語の教師どころか、まだ小学生くらいだもんな……ブチャラティのわけないよな」

 

バカで助かった。

 

ペッシ「えーい!小学生のガキだうがなんだろうがやっちまえばいいんだよぅ!俺はもう死んでるんだぜぇ!何をやったって構わねぇよなぁ!」

 

死んでもゲスな野郎だ。ペッシとセッコは確か下衆だったよな?

 

ペッシ「釣ってやるぜ!ビーチ・ボーイズ!」

 

と言いながらただの川用の釣竿を振り回そうとする。

…が、釣り針はプロシュートの服に引っ掛かっている。よく見るとズッケーロがこちらにウインクしていた。そうか、ズッケーロは暗殺チームでもディアボロ親衛隊でもない。それに、ジョルノがボスになった後は彼の部下になっていたはずだ。だから、別段私たちに恨みは抱いていなかった。むしろ、味方になってくれている!

 

プロシュート「おいペッシ、何で俺に釣り針付けてんだ?ああっ!」

 

ペッシ「ごめんよぉ、兄貴ぃ!」

 

セッコ「仲間割れしてるんじゃあねぇ!ぶっ殺すぞ!テメェら!」

 

下衆が三人、言い合いを始める。これをズッケーロが狙っていたのなら大した物だと思う。

まぁ、絶好のチャンスだ。

 

留美「下衆ってのはさ、何をしても失敗する物なんだよねぇ。ましてや下衆が三人も揃えば、相乗効果で全てが上手くいかないのも当たり前だよね?それじゃあ」

 

S・F「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!」

 

とがががががががががががが!

からだ中をジッパーにされてバラバラになった三人は、トリッシュが作った底無し沼に落ちる。

もがくことも出来ずに三人は沈んでいった。

 

留美「これが元祖、アリーヴェデルチ(さよならだ)

 

私が三人を始末したあとにズッケーロに向き直る。

 

ズッケーロ「さすがです。ブチャラティの兄貴」

 

留美「兄貴はやめて。それに、何で私の味方をしたの?同じゾンビだったあなたが?」

 

ズッケーロ「敵に薬漬けにされてフーゴの兄貴に始末されはしましたが、俺はまだパッショーネのつもりですよ。だから、下衆が許せなかったっす」

 

留美「そうなんだ…で、どうするの?この後は?」

 

ズッケーロ「いやぁ、このままゾンビでいたって仕方ないんで。ブチャラティさん、苦しまないように始末してくれませんか?」

 

留美「いいの?それで」

 

ズッケーロ「今生きている方が奇跡なんで」

 

ズッケーロは私に殺すように依頼すると、そのまま五体倒置で私の攻撃を待つ。

ごめんなさい…でも、あなたの覚悟を尊敬するわ。

アリーヴェデルチ(さようなら)

 

プロシュート…死亡

ペッシ…死亡

セッコ…死亡

マリオ・ズッケーロ…死亡

 

 

side雪ノ下雪乃

 

E・D「うりゃうりゃうりゃうりゃうりゃぁ!」

 

メローネ「で、でたらめだ…こんなの…」

 

エンジェル・ダストの拳のラッシュが相手の体を凍結させ、そして砕く。比企谷君的に言うと「気化冷凍法」を思い出す…と言われているけど、気化冷凍法って何かしら。比企谷君曰く実戦で初めて負けたときに食らってしまった技なのだとか。

全身を絶対零度に凍らされてよく生きているものね。

 

メローネ…死亡

 

イルーゾォ「てめぇ!」

 

雪乃「あぶないっ!エンジェルアルバム!」

 

私は体に氷のプロテクターを纏う。訓練でジョルノ兄さんと模擬戦した時にやったら、「ホワイトアルバムみたいな技をやるね」とか言われたので、このプロテクターをエンジェルアルバムと名付けることにした。

敵の攻撃はいくら強いと言ってもザ・ジェムストーンやアクトン・クリスタルのように馬鹿げたパワーでなければエンジェルアルバムを貫通する事なんてできないわ。

 

雪乃「はぁっ!」

 

そしてジョースターさん得意の中国拳法の寸剄をやる。

仲間内では非力な私でも護身術として使えるようにとジョースターさんが教えてくれた技よ。私は体力はないけれども、技術とかを修得するのは昔から得意だったの。

私の拳によって吹き飛ぶ敵のゾンビ(屍生人とか言ったかしら?)。私はそれを追う。足元を氷にしてスケートの要領で追えばスピードが出るもの。

ジョルノ兄さんからホワイト・アルバムの事を聞いて、アーシスのホワイト・アルバムに関する資料を読ませて貰い、この技を練習した。

ジョルノ兄さんを苦戦させたスタンドだったみたいで、私がホワイト・アルバムを参考に色々と技をコピーするのを見て兄さんは複雑な表情をしていたけど。

 

雪乃「アイシング・エッジ!」

 

ザシュッ!

 

プロテクターの足元をスケートのエッジのように変えて移動していたので、そのままキックをゾンビに放つ。切れ味の鋭い氷の刃は相手の太ももを切り裂き、そのまま凍結させる。これで逃げられないはずよ。

なので…

 

雪乃「Vaporization freezing method|(気化冷凍法)!」

 

E・D「うりゃうりゃうりゃうりゃうりゃぁ!」

 

なんて事はないわ。ただの拳のラッシュを叩き込んだだけよ。

 

イルーゾォ「さけんな…こんなあっさり…俺が…スタンドが使えていたら……」

 

雪乃「比企谷くんがいたらこう言うわ。アリーヴェデルチ(さようなら)って…」

 

氷像となったゾンビに再び拳を加える。

 

イルーゾォ「ギャアアアアアア!この……餌に…俺が…」

 

バリィィィィィン!

ゾンビの氷像は砕け散り、私は勝利を収めた。

なによ、餌って……失礼な人ね。

だけど、実感できる。私は確実に強くなっている。

資料で戦い方を学び、それを練習して自分の技へと変えていく。知るのでは無く、識る…これがそうなのだと私は体験する。百聞は一見に如かず、百見は一験に如かず…もっとよ。もっと経験を!

観る、聴く、識る、感じる…私はそれらを自分の物にしたい!

これがこんなに楽しいなんて初めて知った…いえ、識った。

 

イルーゾォ…死亡

 

 

sideジョルノ・ジョバァーナ

 

チョコラータ「うがああぁぁぁぁ!仲間になれば、生きた本当の体をくれるんじゃあ無かったのかぁ!」

 

ジョルノ「自分を知れ。そんな美味しい話があるとでも思っていたのか」

 

僕の持ちかけた取引によって、自分の復活の事しか考えていなかった下衆が服を着て歩いていると言っても過言じゃあない男、チョコラータ。そいつを騙して粗方の屍生人を始末した僕は、最後にチョコラータをトリッシュが作った底無し沼に突き落とし、石をピラニアに変えて補食させる。あっという間にスケルトンになったチョコラータは二度目の死を迎えた。

 

ジョルノ「お前を復活させる事が出来るのならば、僕はポルナレフさんを本当に復活させている。最初からその約束は嘘だったんだ。もっとも、君に対してはまったく心が痛まない。騙すことに全く罪悪感を感じない相手というのも珍しい。そう言った意味では貴重な存在だったよ。お前は」

 

チョコラータ、他残りパッショーネの敵…死亡

 

平塚「があああああっ!」

 

ジョルノ「!!!」

 

平塚静の不意打ちを食らって僕は吹き飛ばされる。

何てバカ力だ!僕のゴールド・エクスペリエンスよりも格段に…いや、下手をしたらサンシャイン・ルビー並みのパワーだ。

 

G・E「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

戦慄してばかりもいられない。僕のラッシュを何発も叩き込むが……全く効いていない!ガンズ・アンド・ローゼズ並みの防御力!

 

平塚「があっ!」

 

平塚静のボディブローが決まり、僕の腹が抉られる…

 

ジョルノ「がフッ!………しまっ………た……」

 

平塚「まずは一匹……」

 

 

ジョルノ・ジョバァーナ(ゴールド・エクスペリエンス)…再起不能

 

side雪ノ下陽乃

 

陽乃「ジョルノ兄さん!」

 

大半の屍生人達を波紋で片付け、ジョルノ兄さんの気配が弱まっていると感じたわたしが駆けつけた時、ジョルノ兄さんは既に倒れていた。

 

平塚「陽乃か……遅かったな。汐華初流乃は既に始末した」

 

陽乃「兄さん!しっかりして!…………そんな……ジョルノ兄さんが……死んで………」

 

怒りが……込み上げる…。ジョルノ兄さんは良くわたしの面倒を見てくれた。雪乃ちゃんと再会してからは、雪乃ちゃんのことも家族として可愛がってくれた。

実の両親と訣別したわたしにとって、ジョルノ兄さんは数少ないわたしの本当の家族だった…。そのジョルノ兄さんを……

 

陽乃「許さない……」

 

平塚「なに?」

 

陽乃「許さないって言ったんだよ…。このエターナル・シングル」

 

平塚「永遠に独身だと?陽乃……貴様ぁ!」

 

陽乃「ぐうっ!」

 

平塚に殴られ、わたしはぶっ飛ぶ。確かにとんでもないパワー。だけどね?

 

陽乃「そんなもの?永遠の独身」

 

平塚「強がるのもそこまでだぁ!」

 

がしぃっ!

今度は真正面からそのパワーを受け止める。

 

平塚「なっ!何故効いていない!」

 

陽乃「あなたにとって、わたし達姉妹は天敵なの。ただの馬鹿力はわたしに通じない。その力、覚えたわ。うりゃりゃりゃぁ!」

 

わたしは素手で平塚を殴る。こいつは、こいつだけは苦しませて殺す…。

ガンっ!ガンっ!ガンっ!

 

平塚「くっ!何だ陽乃のこの力は!私の防御力を貫通してくる!」

 

陽乃「自分の力を受けた気分はどう?わたしのアヌビス神の能力は相手の力やスピードを食らって覚え、自分の物にすること。もっとも、一回解除すると覚えた力はリセットされる弱点はあるけれど、今は関係ないよね?ここであなたを始末するから」

 

私はありったけの殺気を込めて平塚に近寄る。

ただ力を持っただけの素人。

たかだか能力の相性が良かったからジョルノ兄さんを倒せただけのつまらない女。

そんなのがジョルノ兄さんを…許せない!

 

平塚「ファイヤーウォール!」

 

雪乃「フリージング・ビーム!」

 

平塚の炎の壁を雪乃ちゃんの能力が打ち消す。

 

平塚「雪ノ下…貴様、恩師に向かって…」

 

雪乃「あなたなんて恩師じゃあない。姉さんはやらせない。それに……よくもジョルノ兄さんを!」

 

雪乃ちゃんの目から涙がポタポタと流れている。雪乃ちゃんもかなりジョルノ兄さんに可愛がって貰っていた。自称恩師よりも、たった数ヶ月の付き合いながらもジョルノ兄さんの方になついていた。

 

雪乃「あなたはただ私の更正とか言いながら、あの部屋に押し込めていただけ。まるで囚人のように。ジョルノ兄さんは違った…私に色々と教えてくれた。一緒にお出掛けもしてくれて…何度も頭を撫でてくれた…。本当の家族になってくれた…そんなジョルノ兄さんをよくも…」

 

平塚「貴様らぁ!もう許さん!まとめて消えてしまえぇぇぇ!」

 

平塚は有り余る力で大木を何本もへし折ると、それを投げつけて来た。

 

陽乃「これ以上わたしの家族をやらせるかぁぁぁ!うりゃりゃりゃぁ!」

 

わたしは飛来する大木を何本かはアヌビス神の切れ味頼りに薪に切り捨てる。しかし、数が多すぎる!当たる!

 

留美「スティッキー・フィンガー!」

 

トリッシュ「スパイス・ガール!」

 

トリッシュ姉さんが柔らかくして命中した大木をクッションに変え、その木に留美ちゃんがジッパーを取り付けて通路を作る。

 

トリッシュ「雪乃は任せて!行って!陽乃!」

 

留美「あなたがけりを付けて。雪ノ下陽乃」

 

二人が作ってくれた道をわたしは進む。

 

平塚「まだだぁ!陽乃ぉ!」

 

ミスタ「陽乃をやらせるか!」

 

がぁん!

ミスタさんが平塚にデザートイーグルを発射し、その弾丸が顔に命中する。ダメージを与えるには至っていないが、顔を仰け反らせるには充分な威力だった。

 

平塚「おのれ……下等生物が無駄な事を…」

 

陽乃「でも、一瞬の隙を作るには十分だったね。ジョルノ兄さんの仇を……」

 

平塚「貴様を殴るには充分だぁ!」

 

平塚はわたしの顔を目掛けてパンチを放つ。しかし、そのパンチは割り込んで来た小鳥に当たると…。

 

平塚「ぐはぁっ!」

 

何故か平塚の腹に拳の跡が出来て苦しみ出す。

 

ジョルノ「ゴールド・エクスペリエンスの基本の能力、生み出した生物が受けたダメージをそのままはねかえす。戸部とかという生徒の専売特許じゃあないのさ」

 

死んだと思っていた…いえ、死んだ振りをしていたジョルノ兄さんがむくりと起き上がる。

 

ジョルノ「僕はいろはのように自分を治すことができるし、欠損も治すことが出来る。欠点はダメージが消える訳じゃあないから、今にも気を失いそうになるくらい痛いけどね。けど、この瞬間を待っていたんだ。渾身の一撃を打ってくるその瞬間をね。自分の攻撃の痛みをじっくりと味わえ」

 

平塚「芝居だった…だと……卑怯な」

 

陽乃「スタンド使いの戦いに、卑怯汚いは日常茶飯事!兄さん!」

 

ジョルノ「わかっている。既にお前には僕の拳を与えている。狙いは感覚を暴走させる事だったんだ。鋭い痛みを…ゆっくり味わえ!」

 

陽乃「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!うりゃぁ!」

 

スパッスパッスパッスパッ!

 

アヌビス神の切れ味は鋭いが、それだけではない。透過能力…硬い部分はスルーさせ、内部だけを切り裂き平塚の四肢を切り裂く。八幡くんに白刃取りされたときや、綾瀬絢斗のクリームで刃先を削られた時の失敗を振り返った時、もし一部分だけを透過させる事が出来ていたのなら…。それを考えて訓練して出来るようにした部分透過能力。地味だけど、とても有効なわたしの切り札だ。

 

平塚「ぐあああああ!斬られる感覚が、ゆっくりと鋭く襲ってくる!痛い!一撃一撃が凄く痛いぃぃぃぃ!」

 

陽乃「四肢を切り捨てられるのは本当に痛い。私自身が四年前に味わった痛みよ。平塚。それがゆっくりと襲ってくる感覚に…あなたの精神は果たしてどこまで持つかな?」

 

いくら強靭な肉体を手に入れても、精神まではそうではないだろう。終わりだよ、平塚…社会的にも、肉体的にも……肉の芽を取り除いても、あなたの脳はもう…。

わたしは動けなくなった平塚から肉の芽を抜き取り、波紋で肉の芽を消す。しかし……

 

平塚「う……うぁ………」

 

やっぱり……もう、手遅れだった……既に脳のほとんどを肉の芽に侵されて…

 

その時だった……轟音が響き渡ったのは……

 

平塚静(ザ・オーガ)…再起不能

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。
陽乃や雪乃の活躍はいかがでしたでしょうか?

それでは次回もよろしくお願いいたします。




…………あれ?何かを忘れているような。

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