やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までの八幡の冒険

呼び出され、ホテルの屋上でいろはと八幡。
八幡=ディオの事実にいろはは八幡を拒絶。
いろは=エリナの事実を知った八幡=ジョナサンはハーミットパープルで互いの意識を繋ぐ。
精神の世界でジョナサンとエリナは幸せの絶頂と絶望のドン底の舞台となった新婚旅行の船上で再会。
後を八幡といろはに託し、エリナといろはは完全に融合を果たした。
互いを受け入れた八幡といろはの大円団にジョースター家も加わり、笑顔の終わりかと思われたが怒れるリサリサの転生者、小町の襲来により一転。八幡とジョセフは数時間に及ぶ説教を受ける羽目になる。
そして、ホテルの客室には承太郎の置き手紙が。
内容は八幡との決闘を申し込む内容だった。
幼少期編、最後の戦いが始まる!


JOJOの世界 1

side 比企谷八幡

 

ジョセフの部屋で承太郎を除くジョースター家のスタンド使いと比企谷兄妹、いろはが揃っていた。

ちなみに両親には迷子になっていた小町がジョースター家に保護され、静と遊び疲れて寝てしまったのでこちらで面倒を見るという名目でこちらにいる。

かなり苦しい言い訳だが、未だに目を覚まさない俺といろはの事(偽装)で疲れている両親は、ジョースター側の申し出を受け入れた。

父さんに母さん…心配かけてゴメン。

 

ポルナレフ「承太郎が決闘とは…アイツらしくもない」

ジョセフ「それだけ大事な事なんじゃよ。このジョースター家にとって、始まりの因縁とも言える事なんじゃ。DIOとジョナサン・ジョースターの因縁とはな。承太郎はDIOとの因縁に決着を着けた者じゃ。ただの戦いで終わらせたくない。八幡との戦いは、きっとあいつにとっては特別な事なのじゃ」

小町ことリサリサとの再会で、ジョセフの心は若返り、肉体も少し若返ったように見える。エジプトで戦ったときのような姿だ。

小町「お兄ちゃん。どうするの?」

八幡「当然、行く。ここで行かなかったら、ジョナサン・ジョースターの名を語る資格は俺にはない。それにディオとしても…。比企谷八幡としては行きたくないけど」

小町「最後のがなかったら小町的にもリサリサ的にもポイント高かったのに、台無しだよ…ゴミいちゃん」

いろは「わかってないですねぇ、マチちゃん。なんだかんだ言って義理堅いのがハチ君なんですよ。ハチ君としても根は優しいし、ジョナサンの黄金の魂も持ってます」

小町「うわ…空気よんでよいろはお姉ちゃん…ラブラブオーラを出してる空気じゃないから。ん~…小町としては、複雑なんだよ?小町も曾孫としての承太郎の事を知ってるし、今は比企谷八幡の妹だし、どっちの応援もしたいけど、どっちの応援もしたくない」

ジョセフ「リサリサ先生らしくないのう。エア・サプレーナ島で息子のワシを死ぬような目に遇わせておいて」

小町「ジョセフ。師弟関係となったら親子の情は切り捨てるというのが波紋の一族なの。それに、ああでもしなかったらジョセフは柱の一族と対抗出来なかったと思うし。後で思ったけど、ああして正解だったよ。エリナお母さんから聞いたけど、勉強はサボってたみたいだし、スージーから聞いたら、小町のお風呂を覗こうとしていたらしいじゃん」

 

ピシリ…

ザ・ワールドを使っていないのに時が停止した気がした。

 

八幡「よし、ジョセフ。承太郎との決闘の前にスパーリングに付き合え。小町も久々にジョセフと修行したいだろ?いろはや他の奴らもどうだ?」

小町「やるぅ♪」

いろは「ジョジョ…そこまで…」

仗助「63にもなって浮気するようなジジイだし、何か若返ってる感じがするから、静の為にもここで一辺〆とかねぇとなぁ」

ジョルノ「僕にとってはどうでも良いことですが、覚悟があって覗きをしている人ですよね?見つかったら絞められたり通報されたりする危険を常に覚悟して覗いている人…ですよね?」

康一「ジョースターさん…さすがに…」

ポルナレフ「ジョースターさん…同じエジプトの仲間として恥ずかしいですよ」

静「スヤスヤ…(仗助の膝でうたた寝)」

ジョセフ「小町がリサリサ先生の時じゃった話じゃ!」

一同「なんだ。マザコンか」

ジョセフ「その時はまだ母親とは知らんかったんじゃ!とても五十歳には見えん体じゃったから、ついつい覗いてしまったんじゃ!」

一同「覗きの自白、いただきました!」

ジョセフ「Oh Noー!」

静「ムニャ…ヤレヤレだね…スー…スー…」

仗助「絶妙なタイミングッス…承太郎さんがいたら、ぜってー言うよな…ホントに寝てんのかコイツ?」

 

夢の中

 

DIO『気分はどうだ?八幡』

八幡「お前らが出てきたから最悪だよ」

ジョナサン『十六年越しの決着をつける時だね。勝てそうかい?』

八幡「普通にやれば。でも、今回は小細工なしでやらなくちゃいけない。そんな気がする」

DIO『今のスタープラチナなら、このDIOがやれば間違いなく勝てる。…が、お前では…』

ディオの言いたいことはわかる。

八幡「今の俺では満足にザ・ワールドを扱いきれていない。衰えたとはいえ、スタープラチナがスタンド使いの間で最強であるのには違いない。そう言いたいんだろ?」

DIO『わかっているじゃぁないか。それでも小細工なしでやるのか?』

八幡「ああ。そうでなくては意味がない。何故だか、そんな確信があるんだ」

DIO『強情っ張りめ。そこまで言うなら、俺はもう何も言わん。好きにしろ』

ディオはそう言い残して消えた。

八幡「あいつ、何しに安眠妨害しに来たの?」

ジョナサン『やはり心配なんだよ。自分の認めた者に対してディオはディオなりに親愛とも言える感情はある。あれはディオなりの心配の現れであり、応援だったんだよ』

八幡「野菜の王子か…ツンデレ過ぎて分かりづれぇよ」

ジョナサン『僕も…君を心配してるし応援したい。頑張れよ八幡』

八幡「ハイハイ」

ジョナサンは苦笑いをしてから、消えて行き、俺もそのまま眠りに落ちた。

 

side空条承太郎

約束の時間の美浜大橋

 

さすがにこの時間ともなると、車の通りが少ない。

それに、SPW財団と結託してこの橋は今、道路工事の名目で通行止めにしてもらってある。

権力をちらつかせて金を包めばどの国のお偉いさんも、それらしい理由を付けて言うことを聞いてくれる。

交通の要衝を通行止めにするなど、日本の経済にも影響が出そうなものだが、私腹さえ肥やせればお偉いさんにはそんな事は知ったこっちゃ無いらしい。どこのお偉いさんも、大概がそんなものだ。

今の千葉県の道路管理の議員は雪ノ下といったか?最近では家業の建築会社の方がSPW財団や建築業界の方面にも力を付けて世界進出を始めたジョースター不動産に押され始め、業績が下降しているという話だ。

仗助が大学を卒業したら、ジジイ達ジョースター本家は完全に引退し、日本の空条家の世話になるらしい。

そのせいか、この二社はジジイ達のサポートをするために日本支部へ力を入れ、特に東日本での基盤を磐石にするべく活動している。

仗助にはいずれ、世界的大企業の舵をとってもらうため、手始めに日本支部の支部長になって下積みを積んでもらう予定らしい。静と康一君をサポートに付けて。

土地に根付いている地方の企業は今後の未来は暗い。

雪ノ下は稼げるならば少しでも稼ぎたいのであろう。

例えそれが汚い金でも。

それを利用しておいて言えた義理ではないが。

まったく、ヤレヤレだ。

だが、おかげで十六年前の決着をやり直すのには最適な舞台が揃った。

カイロでDIOとの決着を付けた場所に少しは似せることが出来ただろう。

思えばスタンド使い同士の戦いは、常に命のやり取りだった。

少しでも油断をすれば命はない。

正々堂々だとか、卑怯汚いとか、スポーツでは無いのだから、罠に小細工、不意討ちなどは当たり前。

命のやり取りで正々堂々など、それこそ小説の世界の戯言だろう。

DIOの言った勝利して支配する。

あの下衆野郎を肯定するのはシャクに障るが、正々堂々とか後味が悪いとか人生に悔いを残すとか、そういった物は実戦では何の意味もなさない。

この歳になってわかる。

今でこそ海洋冒険家として名をはせてはいるが、そこに至るまでにはスタンドの戦いとは別の、見えない大人の戦いはいくらでもあった。

学会での派閥争いや、研究の妨害、そんなどうでも良いことに家族が狙われた事など一度や二度ではない。

ジジイやSPWに知らずに護られていなければどうなっていたかわからない事もある。

戦いは綺麗事では済まされない。

だが、今は…今のこの時だけは…綺麗事で終わる戦いがあっても良いじゃぁないのか?

この肉体が、スタンドが衰え始めた今、何のしがらみもなくただ力と力をぶつけるだけの、ただの戦いがしてみたい。

そして、この空条承太郎のささやかな願いを叶えてくれる相手が現れた。

まだ5歳になるかならないかの小さなライバル。

比企谷八幡。

あのDIOとご先祖様のジョナサン・ジョースターの魂が融合して転生した奇妙な存在。

昨日の夕方に見た光景は、俺の荒んだ心にも素直に感動を与えてくれるものだった。

そして、懸念は消えた。

ならば、俺のスタンド使いとして、最初で最後のワガママを叶えてくれるライバルとして、俺の希望に見えた。

たった五歳の少年に抱く感情ではないのはわかってはいるが、俺が少年のライバルとして、ただのケンカをするライバルとして立てるのは今をおいて他にない。

少年は成長し、より強くなるだろう。

俺はより歳を重ね、衰えるだろう。

神がいるとして、運命を操作しているとしたら、百年前や十六年前の事をも含め、今この時に俺と八幡が出会うように関係を計算されたものはない。

 

スタ 23時半

 

今、美浜大橋を通行できる事が可能なのはジョースター関係者のみ。時間よりも彼は早く来たようだ。

 

まるでリングのみが明るくなるように点灯する橋の街灯。そこに例の五歳児が立っていた。

 

承太郎「早かったな」

八幡「小町の教育の賜物さ。待ち合わせには早く行けってな」

承太郎「それは女の子とのデートの待ち合わせの話じゃぁないのか?」

八幡「そうなのか?女の子とデートしたことなんて無いから知らんけど」

承太郎「…そうか。…まさか転生とはいえ、DIOとこうして穏やかに話をする日がくるとは夢にも思わなかった。よく、今この時に俺と出会ってくれた。感謝する。良い歳をしたオッサンが、幼児の君にこんなことをするのは大人げないと思うか?」

八幡「いや、DIOとして言う。よくぞ今という時に再会してくれた、承太郎。あの時の続きをやるには、今をもって他にない」

承太郎「…ふっ。俺がDIOに感謝し、感謝される日がくるとは…奇妙だな。…さて」

八幡「……ああ」

 

俺と八幡は間合いを詰める。

 

DIO『ほう、近付いてくるか?承太郎』

承太郎『近付かなきゃ、テメエを殴れないんでな』

 

あのカイロの市街地で、俺とDIOが最初に面と向かって対峙した時を思い出す。

スタンドを出してゆっくりと、そして確実に向かい合い…

 

そして

 

空条承太郎「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」

比企谷八幡「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

 

 

至福の時間が始まった

 

 

 

←To be continue

 




とうとう始まりました幼少期編ラストバトル

改めてジョジョを読み返してみると、承太郎にとって戦いとは常に何かを背負っての戦いでした。
それは、30を過ぎてもなお、大人達の戦いを経験。
そんな中で作中ではなんだかんだとバカにしていたジョセフから、実は見えない大人の力で護られていた事を知る機会もあったに違いありません。
一人立ちして落ち着いた承太郎。
もしかしたら、この話のように衰えを感じ始めた時に承太郎は思ったかもしれません。
使命も守るものも関係のない、何のしがらみもなく、ただのキレイな戦いをやってみたい…と。
ジョジョを題材にしながら、どちらかと言えばドラゴンボールや不良漫画のようなジョジョらしくない展開ですが、この戦いでの承太郎はこれを望んでいる。
その相手は因縁ある同じタイプのスタンド使い、DIOの転生八幡以外にいない。
作者はそう承太郎に書かされた気がします。
なので、この戦いでは時を止めたり、転生八幡お馴染みのハミパ&波紋は使いません。
ロードローラーも無しです!
第3部初期の承太郎のようにパワー比べで展開します。

サブタイトルである「JOJOの世界」は第3部ラストバトルである「DIOの世界」をもじりました。
第3部格ゲーの承太郎ステージ、「裁くのは誰だ!」をもじって「裁くのは俺達だ!」でも良かったのですが、場所、相手的にもシチュエーション的にDIOの世界の方がピッタリだと思ったので「JOJOの世界」にしました。

戦いの舞台となったのは俺ガイルの総武高校生徒会と海浜高校生徒会の合同クリスマスイベントの際、進まないイベント企画と生徒会選挙の事件で更に溝が深まった奉仕部との関係、更には小町とのケンカで悩む八幡を平塚先生が連れ出し、励ましたシーンの舞台となった場所です。
俺ガイルのイベントスポットとDIOのロードローラーだ!等をやった第3部承太郎VSDIOの最終決戦の舞台となった橋。双方に合った幼少期編の最後の八幡VS承太郎の戦いにピッタリだと思い、美浜大橋を決戦の場に選びました。
皆様はどうでしたか?

それでは次回に会いましょう。

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