やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までの八幡の冒険

深夜の美浜大橋で決闘に挑む八幡と承太郎
今という時でしか出来ない、何のしがらみもない純粋な互角の殴り合い!
小細工、作戦など今は不粋!
八幡と承太郎、ぶつかり合う二人!
勝敗を分けるのはどちらの執念か!
幼少期編最終決戦!ここに決着!


JOJOの世界 2

side空条承太郎

 

スタープラチナ「オラオラオラオラオラ!」

ザ・ワールド「無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

使いなれて無く、動きが覚束ないが、今の俺よりも早くて重い攻撃のザ・ワールド。

使い慣れていて、動きの精密さはあるが、力も速さもいまいち衰えが出ているスタープラチナ。

 

質の違いはあれど、現段階では互角のスタンド。

 

波紋は使えないが、生まれついての大人のガタイに、フィールドワークで歳の割には体力がある俺。

まだ小学生にもなっていない小さな子供だが、波紋の戦士で並の大人など足元にも及ばないフィジカルの持ち主、比企谷八幡。

 

ちょっとずつダメージが入るが、互いに体力には余裕がある。

 

楽しい…まだ終わらないでくれ…。

こんな事が出来るのは今しかない。

やはり君を選んで正解だった。

 

sideジョセフ・ジョースター

 

承太郎…お前はこれがやりたかったんじゃな…

承太郎が小さい頃はアメリカと日本の距離的な問題と、事業が大変じゃったということもあり、一時期はワシの顔を忘れられてしまうくらい、ワシが承太郎を構ってやれなかった。

それに子供の頃の承太郎はワシを怖がっていた節がある。顔の皺が増え、世間の荒波に揉まれたワシの眼光は、そんじょそこらの若造や、私腹を肥やしてヌクヌクとしていた奴等など一睨みしただけでチビっていたものじゃが、逆に子供になつかれる事はまれじゃった。

それは承太郎も例外ではなかった。

たまに会ったときは、ワシも精一杯可愛がったつもりじゃが、やはり溝は埋まらんかった。

初めてマトモに接する事が出来たのが、あのDIOを討伐する旅であったくらいじゃ。

次々とくる敵のスタンド使いとの戦い、日本からエジプトまでの長い旅路、次々と傷付く仲間。

痛い、辛い、疲れた…弱音を吐きたい気持ちも飲み込まねばならなかった大変な旅ではあったが、それでも辛いことの合間にあるささやかな仲間達とのやり取りは、楽しかったといえる旅であったとワシは思うし、承太郎もそうだったと思う。

あの旅から帰って来た後の承太郎は、ワシの後を継いで一生懸命やってくれた。

会社をつぐことはなかったが、海洋冒険家として世界中を渡り歩いていたのは、事業や年老いて身動きが出来なかったワシの代わりにスタンドの事に関わる調査や事件の解決などをやるにはうってつけの職業じゃったのじゃろう。

承太郎はよくやってくれている。杜王町やパッショーネの件など、その一端に過ぎん。

その一方で、ここ数年の承太郎には何かのフラストレーションがあったのは端から見ても一目瞭然じゃった。

家庭関係が冷えきり、それが原因だと思っておった。

じゃが、それだけじゃぁ無かったんじゃな?承太郎。

戦いに身を置きながらも、その内容は常に命のやり取りで、楽しいと思える戦いが…ワシにとってのシーザーのようなライバルがおらんかったのが、満足できる戦いが出来なかったのが心残りじゃったのじゃな?

やっと見つけた最高のライバル…それが些細な事から始まったトラブルで知り合った、かつての宿敵と先祖の魂が混じりあった子供…比企谷八幡。

彼に諦めかけていた夢を見つけた。

ワシは祖父として情けない。

承太郎の葛藤に気付いてやれなんだ…

承太郎がワシに見せた初めてのワガママを、ワシは最後まで責任をもって叶えてやろう。

多少の損失なんぞ、今、承太郎が見せている楽しそうな表情の前では安いものじゃ!

 

 

side東方仗助

 

高校一年の入学式の日。

お袋を捨て、俺達家族を放っておいて今さら会いに来たジョースター家の遣い。

一回りも年齢が違う、年上の奇妙な甥。

ジョースター家の家庭事情と俺達が当時住んでいた杜王町の危機を伝えにやって来た。

髪の毛をバカにされ、キレた俺とケンカになって初めて俺をケンカで負かした男。

それが空条承太郎さんとの出会いだった。

後で聞いたが、承太郎さんは俺に殴られる覚悟でやって来たらしい。

そんな承太郎さんは、俺の些細なミスでじいちゃんを死なせてしまった時、一緒にいて俺を元気つけてくれた。

あの時は相手のスタンド使いも倒さなくてはならなかったし、承太郎さんも不器用で口数が少ないからわからなかったが、今にして思えば承太郎さんの気遣いは俺に元気を与えてくれた。

それからも承太郎さんは吉良の一件が終わるまで、杜王町を俺と共に守ってくれた。

もし承太郎さんがいなければ5年前にどこかでやられていただろうし、静もいない。億泰や康一、気に入らないが岸部露伴の今は無かったに違いない。

俺にとって、空条承太郎さんは俺の甥という形ではなく、兄のようであり、ヒーローだった。

承太郎さんも俺の事を弟分のように思ってくれているようで、たまに日本に来たときはどんなに忙しくても杜王町まで来て一緒に出掛けたし、アメリカに留学した今は定期的に会って遊んだり、スタンドの訓練や勉強を見てもらっている。

だけど、承太郎さんにとって俺は、かわいい弟分で、信頼できる仲間であっても、ライバルではなかった。

ちくしょう…何で俺じゃないんだ!

悔しかった…大好きな兄貴分の欲しがっていたモノが自分ではないなんて…

嫉妬した。

比企谷八幡。

俺がなりたかったものになった小さくて小生意気な俺の新しい友人。

あいつは小さいながらも俺が憧れたそれになれた。

悔しくて妬けたが、今の承太郎さんはどうだ。

まるで少年時代に…高校生に戻ったかのように楽しそうで充実した目をしている。

あそこに立っているのが俺じゃ無いことは悔しいが、今は憧れの兄貴の願いを叶えた友人に感謝しよう。

比企谷八幡。

俺にとって、親子ほどの歳の離れた生涯の友と言える親友との出会い…

この3日間の奇妙な出会いに感謝する。

頑張れ八幡!俺の兄貴分を頼むぞ!

 

 

sideジョルノ・ジョバァーナ

 

僕と空条承太郎さんの出会いは間接的なものだった。

僕がDIOという男の子供と知り、広瀬康一さんを調査の為に寄越した男。

それが空条承太郎さんだった。

正直、良い印象などなかった。

それはそうだろう?

僕の事を知りたければ、人を寄越さずに自分で来れば良かったんだ。

なのに人を遣い、それも調査する内容は伝えずこそこそと…。

もっとも、当時の僕が承太郎さんと出会っていたとしても、信用していなかったと思うが。

あの当時は一匹狼で、自分のその日を生きるのに精一杯だったからだ。

もし来ていたとしても、当時の僕は彼をカモとして騙し、今のようにはなっていなかったはずだ。

承太郎さんとの本格的な出会いは、ディアボロとの戦いが終わり、少しした後だ。

パッショーネのボスとなった僕の片腕とも呼べる幽霊のポルナレフさん。

パッショーネの禁忌を侵し、麻薬の売買に手を染めたディアボロ時代の負の遺産を排除したかった僕に、ポルナレフさんはSPW財団との協力を提案してきた。

その時の交渉の場に来たのが空条承太郎さんだ。

あの康一さんの一件で僕はジョースター家を警戒していたが、ポルナレフさんはそんな僕たちの間を取り持ち、見事にパッショーネと財団の同盟は成立した。

今では承太郎さんの計らいで財団のイタリア支部の肩書きが入り、パッショーネの隠れ蓑として機能している。

おかげで安定した収入もあり、パッショーネは今やヨーロッパ最大のギャングとなった。

また、承太郎さんを橋渡しとしてジョースター家とも和解を果たし、僕も今ではジョースター家の一員として迎え入れられている。

出会いこそ最悪だった承太郎さんだったが、今では僕にもパッショーネにもかかすことの出来ない存在となった。

そして、その承太郎さんが紡いだ縁は、今再び僕に新たな縁を繋いでくれた。

比企谷八幡君。

DIOとジョナサン・ジョースター…僕の一人で二人いる奇妙な父親の融合した魂を受け継いだ仲間。

彼には期待をしてしまう。

今年から加わっている花京院さんの墓参り。

表向きは僕もジョースターの人間だからという理由で参加しているが、花京院さんの戦友だったポルナレフさんはともかく、僕はパッショーネとしてではなく、個人的にあるものを探していた。

日本の、それもこの千葉にそれはある。

SPW財団の支部長兼パッショーネのボスとして僕が長くとどまることは不可能だ。

もしかしたら、彼がそれを見つけてくれるかも知れない…

空条承太郎さんが新たに見つけた自分の後継者たる可能性をもった小さな仲間。

僕たちを繋いだ男と新しい小さな仲間の激しくも希望に満ちた饗宴…

しかし、どんなに愉しく、終わってほしくない祭典も、始まりがあれば終わりもある。

二人の至福の時は、もう間もなく終わる。

 

side一色いろは

 

ハチ君と承太郎…いえ、空条承太郎さんの戦いが始まりました。

時間的には一昨日のハチ君の戦いは、工夫して、細工を施して、頭を使い、技術を凝らしての戦いを展開していました。

前世と融合する前も、例えば波紋での修行でもハチ君はマチちゃんとの組手では(表向きでは遊びでしたが、マチちゃん…と言うよりはエリザベス的にはお兄ちゃんの波紋の才能を伸ばす修行だったらしい)まともな打ち合いはあまりしないで、搦め手で戦っていました。

そのハチ君が今は承太郎さんと激しく殴り合いをしています…それが信じられませんでしたし、正直に言えば、見ていられませんでした。

大切な人と前世の玄孫…拳を出す度に拳が互いの拳や顔や胴に当たり、今や二人はボロボロです。

顔や拳からは見ていられないくらいに血だらけで、紅く染まっていないところを探す方が困難でした。

なのに…

なのに何故…

何故二人の顔は笑っているのでしょう?

痛め付けられ、ボロボロにされ、血だらけでいるのに、何故二人は楽しそうなのでしょうか?

 

何故、私は見たくもないのに、好きな人が血まみれで今にも倒れそうなのに、目を反らすことが出来ないのでしょうか?

 

何故…私はただ見ているだけで、この戦いではエメラルドヒーリングやエメラルドストライクでハチ君の援護をしてはいけないと思ってしまうのでしょう?

 

何故…悲しさよりも、何か感動のような物を感じてしまうのでしょうか?

 

いつの間にか、本当に知らない間に私の瞳からは涙が流れていました。戦いなんて嫌いなのに、あの二人の戦いを美しいと思ってしまっている私がいました。

涙を流していたのは私だけではありませんでした。

「すまん…承太郎…ありがとう…ありがとう…八幡…」

ジョセフ…

「カッピョ良いっす…グレートッスよ…二人とも」

仗助…

「戦いはいつもシビアだった…なのに、こんなにも心を震わせる戦いがあったなんて…僕は知らなかった」

ジョルノ

「あれ、難でだろう…なんで、静は泣いてるんだろう…でも、何かイヤじゃない…」

静ちゃん

「お兄ちゃん…普段はあんななのに…小町的にポイント高すぎるよ…ストップ高だよ…」

マチちゃん

「こんなに泣いたのはいつ以来だ…シェリーが死んだ時以来か…アヴドゥルとイギーを失った時か…だが、悲しみの涙じゃない、こんな気持ちの良い涙は初めてだ…幽霊の私でも、まだ涙は出るんだな」

ポルナレフさん

「こんな涙は…玲美さんを送った時以来だ…承太郎さん」

康一さん

 

みんなが…本当にみんなが涙を流して二人の戦いを見守っています!

 

一同「頑張れ!!承太郎(さん)!」

一同「頑張れ!!八幡(お兄ちゃん)!」

 

ワアァァァ!

 

そして私も…

いろは「頑張れぇ!!ハチくぅぅぅん!」

 

side比企谷八幡

 

拳が痛い…体のあちこちが痛い…痛くない所がどこもない…眠い…疲れた…何でこんな泥臭い事やってるの?

普段ならこんな事を考える。なのにこれが楽しいと感じてしまう。

 

波紋を使え!時間を止めろ!ハーミットパープルを使え!頭を使え!ばか正直にやるな!

普段なら少しでも効率良く戦う事を選ぶ。なのにそんな事は不粋だと、つまらないと感じてしまう。

 

ワアァァァ!

何だ?この歓声は

 

俺も承太郎もそちらに目を向ける

 

誰もが涙を流しながら、頑張れと叫んでいる。

 

ジョナサン『戦いは…苦しみや悲しみだけをいつも残していた…だけど、こんなにも見るものを感動させる戦いがあったんだな』

ディオ『このディオにとって、戦いとは支配するための手段であり、目的だった。だが…ふん、こんな戦いも見ているだけなら良いものかも知れんな』

 

心の中の二人も、何かを口にしている…

 

いろは「頑張れ!!ハチくぅぅぅん!」

 

俺の一番の声も聞こえる。

 

承太郎「いつまでも、こんな戦いなら続けていたい…だが、それも限界か…終わるのが惜しい戦いなんて…本当に初めてだった…たった一度きりのワガママ…本当に出来て良かった…」

八幡「俺もだ…普段なら素直にこんな事をいう柄ではないけれど、楽しい戦いだった…次の一撃で、多分もう終わる…ありがとうな…承太郎…」

 

空条承太郎「オラオラオラオラ!オラァ!」

比企谷八幡「無駄無駄無駄無駄!無駄ぁ!」

 

狙ったかのように互いに拳が入る。

 

八幡&承太郎「「ぐふぅ!」」

 

ダブルノックアウト…

俺も承太郎も気力で立ち上がるが、もう駄目だ。

一歩も動けない。

 

承太郎「後は…任せるぜ…八幡」

八幡「まだ引退は…させねーよ…承太郎」

承太郎「…そうか…」

八幡「…ああ…」

 

承太郎「本当に…」

八幡「ああ…本当に…」

 

八幡&承太郎「ヤレヤレだぜ…」

 

バタッ!

 

比企谷八幡、空条承太郎

互いの健闘を称えながらダブルノックアウトのドロー

 

←To be continue

 

 

 

 

 

 

次回「さらばジョースター 石の海までの別れ」

 




いかがでしたでしょうか?

八幡と承太郎。
幼少期編の最後を飾る戦いは、何となくではありますが、これで良かったのだと思います。

そして、二人の戦いをしめる言葉…

今の承太郎の
「ヤレヤレだ…」

ではなく第3部承太郎の
「ヤレヤレだぜ…」
が相応しいと思ってしまうのは私だけでしょうか?

自分で書いていてなんですが、承太郎編は感動的になってふざける気がしません。

次回は幼少期編エピローグをお送り致します。

感動的にしめられる自信はありませんが、よろしくお願いいたします。
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