sideエリザベス・ジョースター
リサリサ「………うう……ぐすっ……お兄ちゃん……お兄ちゃん……寂しいよ……うう………」
涙が止まらない……こんなに弱かったんだ…気丈に振る舞える自信があったのに……。
小町「……リサリサちゃん……」
リサリサ「この世界の小町……うっ……」
見られたくなかった。
小町はどの世界の小町よりも強くなくちゃいけない…。
何があったのか記憶にプロテクトがかかっているけれど、基本世界の小町はその世界の比企谷八幡の逆鱗に触れてしまい、それが原因で仲違いしていた。
小町はあんなことにはならない…なっちゃいけない。
だから小町は誓った……どこの世界の小町よりも強くなろうって…。逆にお兄ちゃんを守れるくらいに…。
それに……小町にはお兄ちゃんが必要だ。それが重度の依存だってわかってる。だけど、それでも構わない。構わなかったのに……。
小町「そうだよね。わかるよ…リサリサちゃん」
リサリサ「何がわかるっていうのさ!小町にはお兄ちゃんしかいなかったんだよ!だから小町はどの世界の小町よりも…お兄ちゃんよりも強くなって守りたかったんだよ!なのに……なのにさ……うう……うわぁぁ!前世だってそうだ!せっかく強くなったのに、小町は何も守れなかったんだよ!ジョージも!エリナお母さんの心も!シーザーも!ジョセフだって左腕を失っちゃった!死んでもおかしくない状況だった!そして…お兄ちゃんだって……小町は何の為に強くなったのさ!」
小町「………わかる…何て言うのは自惚れかもね…だけど、小町だってそうなんだよ。たった一人の残った肉親が…お兄ちゃんだったんだよ…」
小町は小町に抱きついて来た。
小町「小町もね……お父さんとお母さんがネイバーに殺されちゃって…もうお兄ちゃんしかいないんだ…遥お姉ちゃんの両親や城戸さんが今では親代わりになって小町を見てくれるけど、本当の肉親は……お兄ちゃんしか…うう……だからね…小町がボーダーに入ったのは…少しでもお兄ちゃんの負担にならないようにって……少しでも強くなりたいって…そう思ったからなんだ……だから同じなの…小町も……」
リサリサ「小町……」
そうだったんだ…。平行世界の数だけ辿った歴史が違うんだ。基本世界の小町を見て…中には本気でお兄ちゃんと憎み合っている小町を見て…他の世界の全ての自分を小町は嫌っていた…。だけど、こういう小町だっているんだ…中には死んじゃっていた小町もいたっけ…。
リサリサ「ごめん……小町だけじゃあなかったんだよね…態度が悪くてごめんね……うう……うわぁぁぁぁぁん!」
小町「良いんだよ…小町だって態度が悪かったから…リサリサちゃん、吐き出そうよ……辛いこと……小町も一緒に泣いてあげるからさ……うわぁぁぁぁぁん!」
二人の小町達は抱き合いながら大声で泣きわめいた。
もう、恥も外聞も無かったよ…。これは小町じゃあない。平行世界を見てきて嫌いだった別の世界の小町。だけど、小町同士だからこそ解り合える部分もあるんだ。
拒絶しかしなかったから、こんなことは解らなかったけど…。
小町はこの世界の小町に今までの事を話した…。どうして他の世界の小町を嫌うようになったかも含めて。
小町「………はぁ……。それはないよ。小町だってそんな小町ばかりだったら平行世界を嫌いになっちゃうかもね…。じゃあ、初めてなんだ…リサリサ小町が仲良くなれそうな小町って…」
リサリサ「……………うん。でも、これは小町の思い込みだったんだね…もし、今まで会った他の世界の小町に会えたら、もう一度正面から向き合って見ようと思う。その上で嫌いだったら……コレ…かな?」
小町「アハハハハ。冗談に聞こえないから止めようね?でも、お兄ちゃんを憎んでる小町は懲らしめてもいいかもね。アホな事を言うゴミぃちゃんだけど、そこがカワイイって何で思えないのさ!ってね」
リサリサ「小町も十分ブラコンだよ…もう、愛人の座を狙わないとね」
小町「ごめん。ブラコンなのは悔しいけど認めるとして、愛人とかのそこだけは分かり合えない」
リサリサ「アハハハハ!やっぱり?」
小町「うん。それだけは越えられない一線だよ」
ボーダー小町は目をどんよりさせて答えた。
小町「それにしても、ルビーレーザーにあんな弱点があったなんて…」
リサリサ「完璧な能力なんて無いんだよ。ジョセフの孫に承太郎おじさんっているんだけどさ。承太郎おじさんのスター・プラチナってスタンドはお兄ちゃんのザ・ワールドと同じタイプのスタンドなんだ。それでね、スター・プラチナはスタンド使いの中でも最強って恐れられているんだけど、承太郎おじさんはそうは思ってないんだ」
小町「最強?サンシャイン・ルビーじゃなくて?」
リサリサ「そう、スター・プラチナはサンシャイン・ルビーと同じなの。射程と成長を除いては最強のスペックだし、サンシャイン・ルビーにはないザ・ワールドと同じように時を止める能力もあるんだ…だけどね、おじさんは言ってたの…」
承太郎『経営や人間関係、何気ない会話での駆け引き。そんな目に見えない戦いなんていくらでもある。俺は自分が強い気になっていて、そんな戦いとかからいつもジジイに助けられていた。そういった戦いは、俺のスタンドは何の役にも立たない。スタープラチナは、そういった俺の不器用さを皮肉にも現している。ジジイのハーミットパープルが時々うらやましく思うときだってあるんだ』
リサリサ「お兄ちゃんとの会話で、承太郎おじさんがそう言っているのをたまたま聞いちゃってさ…ああ、承太郎おじさんのスター・プラチナと小町のサンシャイン・ルビーは似てるなって…数字的な物は強くても、サンシャイン・ルビーは不器用なんだ…ほんと、たまにジョセフのハーミット・パープルやお兄ちゃんのザ・ジェムストーンが羨ましく思うよ。特にザ・ジェムストーン」
小町「ザ・ジェムストーン?ザ・ワールドじゃ無くて?」
リサリサ「お兄ちゃんは二人の人間の転生だから、スタンドが2つあるの。ジョセフのハーミット・パープルはお兄ちゃんも使えるんだ。それを融合させたのがザ・ジェムストーン。何で八幡さんがザ・ジェムストーンを使えないのかはわからないけど。あのスタンドは何でもありだよ…」
小町「小町からしたら、波紋を使えるリサリサちゃんも十分に化け物だけどね。三輪さん達が生身にやられたなんて未だに信じられないもん」
そうかな?波紋にしたって量は最強だけど、扱いに関しては小町は不器用だ。総合的に言えばお兄ちゃんやジョセフに負けるかもね。
だけど、嘆いていても仕方ない。波紋もサンシャイン・ルビーもあるだけの力で上手く使うしかない。
元気が出てきたよ。
………さて…と。もう戦えないと思ってたけど、やっぱり小町はエリザベス・ジョースターなんだ。リサリサなんだね。この小町を…初めて出来た平行世界の友達になれそうな自分を助けなきゃ!
リサリサ「迅さん、出てきて。出歯亀はポイント低いよ?」
小町が目を向けると迅さんが出てきた。
迅「バレてたのかよ。でも、俺のサイドエフェクトが言っていたのさ。本来は止めるべきだった小町の行動だけど、リサリサの為にもこのまま行かせて様子を見ろってな」
それで出歯亀って…。まあ、小町の考えを改めるにはいい機会だったよ。
リサリサ「小町……逃げて。ゲートが来る」
迅「今はベイルアウトが出来ない。捕まったりトリオンが破壊されたら終わりだぞ」
小町と迅さんは構える。
小町がアホをやったせいで状況はかなり悪い。ここでボーダーの小町に何かあったら小町は自分が許せなくなる。
来た。バムスターが多数……。
迅「本気を出すぜ。風刃」
迅さんのブラックトリガー、風刃…。本気でやってくれるみたいだ。
リサリサ「サンシャイン・ルビー!&トリガー・オン!」
スタンドを構え、小町もトリオン体になる。
小町「まって!小町も戦える!」
迅「C級が生意気を言うんじゃない!C級が防衛任務が出来ない理由には意味があるんだ!早く本部に戻れ!」
本気で怒鳴る迅さん。そう、ランクとか階級とかには意味がある。だから、今は戦っちゃダメなんだ。
小町「で、でも…二人だけじゃ……」
リサリサ「良いから逃げて!」
S・R「ゴミゴミゴミゴミ!」
戦線が重なり、戦いが始まる。開幕は小町のゴミゴミラッシュ。一番小町が慣れている攻撃がバムスターの手足をベコベコに凹ませて動けなくする。
迅「そらよっ!」
そこに迅さんがバムスターの弱点の目を斬り、まずは一体…。
リサリサ「やりますね、迅さん」
迅「伊達にS級をやってる訳じゃないんでな!後退しなよ、リサリサ。佐鳥のツインスナイプが来るぜ!」
リサリサ「便利だね、そのサイドエフェクト」
バックステップで距離を取り、佐鳥さんの殺気の射線から逃れると、2つのトリオン弾がバムスターの目に直撃して崩れ落ちる。
いろは「そっちの世界のわたしなら……エメラルド・ストライクぅぅぅ!無理無理無理無理!」
二宮「真面目にやれ。一色」
お姉ちゃんが間に合ってくれた!でも、本当のお姉ちゃんのマネはしなくても良くないかなぁ……。
お姉ちゃんと二宮さんが放ったトリオンキューブが雨のように降り注ぐ。何体かを一気に倒し、何体かに損傷を与えた。
陽乃「うりゃりゃりゃりゃりゃあ!」
お姉ちゃんが損傷を与えた敵に、陽乃さんが弧月で目を切り落とす。だから陽乃さんまでうちの陽乃さんを真似しないで……連続突きは無理でしょ?
八幡「ザ・ワールド&スコーピオン!無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」
八幡さんがザ・ワールドで無駄無駄ラッシュをしながら動きを止めて本体を切りつける!
そこに別のバムスター2体が小町が逃げた方向に向かう。
八幡「初めて使うが…ハーミット・パープル&スコーピオン!」
八幡さんがスコーピオンをハーミット・パープルに持たせ、器用に曲げてバムスターの目を破壊した。だけどもう1体向かってる!
???「震えるぞハート!ぶっ壊すほどシュートォ!仙道波紋のバイパー乱れ射ちだぜ!」
………変な声が聞こえた。懐かしいって言えば懐かしいけどさ…ここで出すかなぁ。
目を向けた先には……緑色のマフラーにバンダナ、跳ねた黒髪、星の痣が首にある若い男……。前世のお兄ちゃん、ジョナサンにそっくりなこの男は…。
ジョセフ(第2部ver)「ここよここ!ここに俺がいることを忘れないで欲しいのよ!リサリサ先生!」
トリガーを悪用して全盛期の姿に若返ったジョセフがいた。いつか、手段があったらやると思ってたよ。トリガーが無ければ無理だろうけど…。
小町「……あれって若いときのジョセフさん?」
リサリサ「やめてジョセフ…身内の恥を晒さないで」
何で口調まで若返ってんのさ!そりゃあの姿でジジイ口調は変だけどさ!
なら小町も特訓の成果を見せるよ…。
リサリサ「みんな!」
一同「げ…………」
クルッ♪シュゴォォォ!×多数
一同「逃げるんだよォォォ!」
いつも通りのコレが楽しいなぁ。でも、使うのはルビーレーザーじゃあない!
小町はお姉ちゃんや二宮さんから教わった射手の技能…これでトリオンの弾幕をはる!
リサリサ「ゴミゴミゴミゴミィ!ワッセローイ!」
バシュゥゥゥゥン!
前方にありったけのトリオン弾を放つ。
残りのバムスターは小町のトリオンの威力で吹き飛ばされ、立ち上がろうともがく。そこに…
佐鳥「ゆっくり狙えるぜ。ナイスだリサリサ」
佐鳥さんのスナイプが残りの敵を倒す。
ガハマ「あははは……やっと着いたのに終わっちゃってるよ…」
シーザー「また出番なしか…」
遅れて到着したガハマさんとシーザーがガックリ肩を落とした。ふぅ…一瞬ヒヤッとしたけど何とか終わったね。前方だけでも射手の練習は続けよう。
少しはルビーレーザーが上手く扱えるようになるかも知れないからね。
キングクリムゾン
城戸「小町……このバカもんがぁ!」
城戸さんの一喝が小町を襲う。小町といってもボーダーの小町だけどね。
リサリサ「いやぁ……城戸さん。悪いのは小町……じゃあなくてエリザベスの方で…」
城戸「勿論お前もだ!まったく…余計な事しかせんな!エリザベス・ジョースター!いや、比企谷小町!」
小町&リサリサ「ひぅっ!」
城戸さんはメチャクチャ怒ってる…。隊務違反だもんね。完全に。
城戸「良いか?小町。Cランクに防衛任務を禁じているのは訳がある。それは己の力量や力の使い方を図り間違えている者が戦場に出れば、被害を拡大させる事は勿論、命を落とすことがよくある。C級を戦場に出さないのはそういった最悪の場面を少しでも避ける為にやっているんだ。いくら強くても、C級はその辺がまだ未熟。それを解らせる為に、地道に訓練させているんだ。最近では勘違いをしている者も少なくないが…」
城戸さんは深く椅子に腰掛け直した。
小町「小町は…やっぱりクビ?」
城戸「……今日はどこぞのアホ娘がやらかしたせいでシステムがほとんどダウンしていた。よってC級がネイバーと戦おうとした記録は残念ながらない。あの場の映像に移っていた比企谷小町はエリザベス・ジョースターなのだろう。スタンド使いだかなんだかは知らんが、変な超能力を使うアホ娘だ。C級の隊員はあの場にはいなかった…今回だけはそう言うことにして大目に見よう。だが、次はないぞ?小町」
そう言うと、小町は城戸さんに抱き付いた。
小町「ありがとう!城戸さん!大好き!」
城戸「こ、こら!やめんか!」
城戸さんは顔を赤くして言うが、完全に親バカの顔だね。ジョジョお姉ちゃんや徐倫お姉ちゃんを見る承太郎にそっくりだよ。
粋だね!この世界のボーダー!
←To be continued
はい、今回はここまでです。
小町の異世界嫌いも少しずつ改善されれば良いですね。
そして……ついにやっちゃいました…若ジョセフ…。
後はカーズとの決戦。ワールドトリガーの戦闘潮流も残りあとわずかとなりました。
それでは次回もよろしくお願いいたします!