幻想郷のスタンド使い達
side博麗霊夢(幻想郷)
霊夢「!!!」
承太郎「霊夢、どうした?」
霊夢「……承太郎。異世界のスタンド使いがこの幻想郷に現れると言ったらどうする?」
承太郎「何度か来てるだろ。熱を操るあの野郎とか。問題ないのなら放っておくに限る」
承太郎は何を今さら…と言った表情でお茶を啜る。
今回はそう言うわけにも行かないのよねぇ…紫から聞いている内容ならば…。
霊夢「ジョナサン・ジョースターとDIOの魂が融合して転生した男の魂の欠片……でも?」
私がそう言うと、承太郎は湯飲みを握り潰して割った。
承太郎「なにぃっ!ジョナサンとDIOだと!」
すごい食い付きね!何か思い入れでもあるの!?
承太郎「ジョナサン・ジョースターは俺の一族の始まりとも言える先祖だ。そしてDIOは一族を挙げて戦ってきた仇敵だ。異世界のとは言え、放っておくわけにもいかないだろう。また異変か……ヤレヤレだぜ」
承太郎は思い腰を上げて立ち上がった。ほっ……
承太郎じゃなければ多分抑えきれないわ。
欠片となり、聖なる遺体となって来るのは相当性格の悪い男みたいだし。
承太郎「霊夢……何か言ったか?」
霊夢「何も言ってないわよ?承太郎が動いてくれる事になって助かるなぁって」
承太郎「テメェ……ぜってぇ何か隠しているだろ」
相変わらず勘が鋭いわね。
でも、少なくとも彼の魂の欠片を回収して迎えにくる誰かに渡さないといけないのよね?
わざとその世界の私はそうしたようだし。
その世界の紫は何を考えて彼の魂をわざと砕かせたのだろうか。
何か異変が起こるのは間違い無いみたいだし…。
霊夢「とにかく助けてよ。あなたは幻想郷の守り人でしょ?」
私はこれ以上突っ込まれ無いために空へと浮かび上がる。
承太郎「無性に嫌な予感しかしないんだがな」
そう言いながらも承太郎は私に付いてきて体を浮かび上がらせた。
何だかんだ言っても付き合ってくれるあなたが好きよ?承太郎。
魔法の森
霊夢「はぁ…承太郎、こっちで良いの?」
承太郎「魂の惹かれ合い……とでも言えば良いか?スタンド使いの血縁同士は互いの位置がなんと無くわかるみたいだ。俺の先祖にあたる初代空条承太郎もそうだったらしいからな」
霊夢「まさか、ここに落ちてくるなんて…アイツが絶対に絡んで来るに決まってるわ。遺体を盗まれなきゃいいけれど…」
承太郎「霊夢……それはフラグだ」
承太郎がジト目で私を見る。
承太郎「良かったな。待ち人きたるだぞ」
げっ、噂をすれば影。森から霧雨魔理沙が箒に乗って飛んできた。
魔理沙「霊夢、呼んだか?」
霊夢「魔理沙は呼んでないわよ。さっさと帰りなさい」
魔理沙「おかしいなぁ。確かに呼ばれた気がしたんだ。それとも承太郎が呼んだのか?」
承太郎「俺は呼んでいない。魔理沙…お前はどんだけ耳が良いんだ?」
承太郎がそう言うと、魔理沙は親指を私に立てて良い笑顔で答えた。
魔理沙「あたしは面白そうな話と金になりそうな話には千里眼ならぬ千里耳になるんだぜ」
魔理沙が言うと本当っぽく聞こえるから不思議ね。
それにしても例の魂の欠片は何処にあるんだろう。
承太郎「………見つけたぜ。魔理沙、お宝はあっちだ」
承太郎は魔理沙を呼んで指をさして森の一角を示した。
魔理沙は目を輝かせてもの凄い勢いで飛んでいく。
魔理沙「よっしゃぁぁぁぁ!何だか知らないけどお宝はあたしが死ぬまで借りておくんだぜぇぇぇぇ!」
じょ、承太郎っ!?何で魔理沙に場所を教えちゃったの!?幻想郷に必要な物だって紫は言っていたのに!?
霊夢「ちょっ!承太郎!?嘘でしょ!?魔理沙に取られるわよ!?もしかしたら幻想郷の希望になるかも知れない宝物が!」
承太郎「ああ、嘘だ。だが、間抜けが二人、騙されたみたいだな。本当は元々魔理沙が現れた場所……つまりここの真下だ。そしてどういう事だ?幻想郷の希望?DIOの魂がか?テメェからは後で詳しく聞かせてもらうぞ」
そう言って承太郎は森に着地する。
しまった……慌てて口にしちゃった。
私も承太郎を追って着地。するとそこには…
右腕のようなミイラが転がっていた。
巫女「見つけたわ。承太郎。これが転生の世界から迷い込んだ聖なる遺体よ。予言が本当なら、もうじき異変が起きるはずよ。彼の力は、あなたと共に力になる」
これが紫から聞いていたこの幻想郷に必要となる聖なる遺体の欠片…。
この遺体には何か意思のようなものを感じる。
承太郎「やれやれだぜ。これがもしかしたら俺達の希望になるかも知れないとはな」
承太郎がそれを拾おうとすると、それは承太郎の右腕の中に入り込んでいく。
承太郎「こいつは…正に聖なる遺体!しまった……俺の中に入り込んで……」
side空条承太郎
しまった!聖なる遺体の特性を忘れていた!遺体が俺の右腕に入り込んで…
ジョナサン『俺達は人間に戻るぞ!ディオォォォ!』
なんだ…この記憶は…
空条承太郎「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」
比企谷八幡「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」
オリジナルの空条承太郎とこの遺体の人間が幼児だった頃の戦い?
承太郎「後は…任せるぜ…八幡」
八幡「まだ引退は…させねーよ…承太郎」
承太郎「…そうか…」
八幡「…ああ…」
承太郎「本当に…」
八幡「ああ…本当に…」
八幡&承太郎「ヤレヤレだぜ…」
バタッ!
幼児が年を食っていたのとはいえオリジナルの空条承太郎と引き分ける……だと?
仗助「ありがとうっス。おじいちゃん達」
DIO「ふん。ジョジョよ、貴様との共演、悪くなかったぞ」
ジョナサン「僕もだディオ。仗助…君にジョースター家の未来を託す。僕達は八幡の中で見ているよ…さようなら」
DIO「東方仗助。次に静を泣かせることがあれば、このDIOが再び現れ、今度は私が貴様を裁く!それを忘れるな!さらばだ!」
この記憶はアメリカか?
成長して中学生くらいの年齢になった少年がアレッシーの罠にはまり、前世の姿に戻ったDIOとジョナサンが東方仗助と協力して戦った時の記憶か。
あのDIOがジョースター家の仲間になるとはな。
静「お兄ちゃんのプロポーズ、静はお受けします!式はいつ?指輪も作らなきゃ!あ、結婚できる歳になったら入籍だよね?どっちの籍?東方静?仗助・ジョースター?ウフフフ♪楽しみだねぇ♪」
おう…その世界の静・ジョースターはブラコンか。しかも東方仗助は妹に落とされたのか…。
八幡「……みんな、やっぱり運命は変えられなかった…やはり俺の運命は……ここで消える運命だったらしい」
こいつの辿った最後の記憶は…レクイエム?
ジョセフ「何を……まさか!あれを既に盗み取っておったのか!やめろ!やめるんじゃ!八幡!」
承太郎「馬鹿な!矢は全て第7倉庫にあったのを出発前に確認した!何故ここにある!」
仗助「やめろ!やめてくれぇ!」
静「ハッチ!ダメぇぇぇぇ!」
徐倫「てめぇ!やめろハッチ!それをやったら…」
ジョルノ「暗示に出ていただろう!それをやったら君は消える!君はレクイエムをやってはダメだ!」
俺の先祖達がこの少年を止めようとするなか…
八幡「じゃあな…消えるのは、輝かしい未来の奴等じゃあない。この邪悪の化身で良い。…大好きだったよ。みんな…後は頼んだ…おおおおおお!」
俺と同い年くらいまで成長した少年はみんなの制止を振り切ってレクイエムを発動させ…
そして…魂は砕けてそれぞれ異なる異世界へと飛び散っていった。
承太郎「ぐうぅぅぅ!」
霊夢「承太郎!」
ジョナサンとDIOが融合して転生した少年のその短すぎる生涯の記憶が一気に流れ、頭痛に襲われる俺。
八幡『おいこらニセ承太郎(# ゜Д゜)まだ死んでねぇよ。勝手に殺すんじゃあない』
少年の意志が話しかけてきた。
承太郎『こんな状態になっても生きているとはな…あと俺は偽者じゃあない。空条承太郎の何代か後の末裔だ。名前は空条承太郎。それよりもお前は何者だ……』
八幡『八幡。比企谷八幡。ジョナサンとディオが融合し、転生した男だ。ここはどこだ?地球ですら無さそうなんだが…』
承太郎『ここは幻想郷。テメェはこの世界でこれから起こる異変を解決する宿命にあるらしいが……とりあえず、まず俺の体に異変が発生したらしい……』
八幡『あ?なんだ……俺まで意識が……とりあえずその辺りの説明は…あとでしろ……よ?ニセ承太郎……』
どうやらこの男、あくまでも俺を偽者扱いしたいらしいな。やれやれだぜ……
霊夢「承太郎!承太郎ぉー!」
霊夢が耳元で怒鳴る声を最後に俺の意識は途絶えた。
side博麗霊夢
私は気絶した承太郎を騙されて怒りながら帰って来た魔理沙と一緒に博麗神社まで運ぶ。
さて、今度は結界の外から来る別の平行世界からのお客さんを迎えなければならない。
初めてよね。紫が関わらない方法で平行世界の人間が来るケースなのは。
私は結界の外に出て、その時を待つ。しばらくすると、アメリカの国旗と一緒に妙な集団がやって来た。
元から連絡を取り合っていたファニー・ヴァレンタイン大統領。
五十代には見えない美しさを保つアラビア美女。
ミニチュアダックスフンド。
亀を持っているアメリカの少年。
金髪縦ロールの少女。
赤い眼鏡をかけている少女。
サングラスを頭にかけている黒髪ストレートロングの少女。
そして……四十代まで承太郎を老けさせた感じの男。
霊夢「ファニー。この人たちがそうなの?」
ファニー「うむ。彼らはSPW財団会長の空条承太郎博士と次期SPW財団副会長の静・ジョースター君だ。空条博士。彼女がこの世界の幻想郷の結界を管理している博麗霊夢君だ」
驚いた。見た目だけじゃなくて名前も同じなのね。だけどこの老けた承太郎といい、静さんといい、凄い睨んでるんだけど…何!?
空条「君の名前などどうでも良い。八幡の魂の欠片がその幻想郷とやらに飛んだようだ。早いところ回収させて貰いに来た」
空条博士は単刀直入に言ってきた。ものすごい態度が悪いんだけど、私ってなにかしたっけ?
霊夢「えーっと……あなた達の知り合いってもしかして聖なる遺体となってこの世界に飛んできた子かな?」
静「白々しいっつーの。あんたがハッチを見殺しにしてこんな事態になったんだろ。この世界に必要だかなんだか言って。こんな世界の事は知らないから早くハッチの魂を返せっつーの」
その世界の私。もっと上手くやりなさいよ。
頑張ってる振りをして力及ばずこうなっちゃいましたー的な演技とか!
そりゃ信頼も何も無いわよね。
霊夢「えっと……その魂の遺体なんだけど、私の友達と言うか居候のスタンド使いが取り込んじゃって…取り敢えず幻想郷に来て本人と話をしてみるのが一番かと思うんだけど」
……というか、殺気が半端ない。
一人一人が私クラスだわ。特に、老けた承太郎とグラサン女の殺気は頭ひとつ飛び抜けている。承太郎並みに修羅場を潜ってるわね。
空条「待て」
老けた承太郎…もう空条博士でいいわ。空条博士は私を呼び止める。
空条「何故わざわざ幻想郷とやらに行かねばならない?この場に八幡の魂を取り込んだ奴を呼べば良いじゃあないか」
く……似てるのは見た目だけじゃないわね。中身も口調も承太郎並みだわ。随分と警戒心が強いわね。
ここは下手な駆け引きをしないで素直に話した方が良いわ。私たちの承太郎ならそれで応じてくれるはず。
霊夢「あなた達に……頼みたいことがあるのよ。私たちの住む幻想郷は度々異変に襲われる世界なの。私達の住む世界の管理人は、今回の異変ではあなた達やその八幡って人の力を合わせる必要があると聞いているの…お願い、力を貸してほしい」
下手な駆け引きを捨てたせいか、空条博士は帽子をマブかに被ってしばらく何かを考える。
空条「ここで下手な小細工をしてくるようなら応じない所だった。既に俺の世界の博麗霊夢からは話を聞いている。今の質問は君の人柄を試すために聞いた質問だ。ここで素直に理由を話せないような人間なら、良い関係が保てる訳が無いだろうからな。会わせて貰おうか…その世界にいる空条承太郎とやらに…」
既にこちらの事情は知っているのね…。
やっぱりこの人は承太郎に似ている…。将来、承太郎はこんな渋い大人になるのかしら?
楽しみだわ。
空条「閣下。後は我々で対処します。仗助やジョルノをお願いします」
ヴァレンタイン「分かりました。空条博士。健闘を祈ります。では、どジャアァァァン!」
ファニーはスタンドの国旗で消えていった。
霊夢「では行きましょう。結界を緩めるから私に付いてきて」
私は結界を緩め、一行を博麗神社へと誘う。
静「ここが……ハッチのいる幻想郷」
霊夢「ようこそ、幻想郷へ。あなた達を歓迎するわ」
空条「待っていろ八幡。必ずお前を助けてやる…この空条承太郎がな」
←To be continued
第4章ー3、「幻想郷のスターダスト・クルセイダーズ」の始まりです。
ジョースターさんの世界の幻想郷に来た静と承太郎。果たしてどんなストーリーが展開されるでしょうか?
それでは次回もよろしくお願いいたします。