やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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異変の始まり

side静・ジョースター

 

静「コオォォォ…」

 

博霊神社の境内。

私は早朝の波紋と武術の型の稽古をしている。朝のランニングの代わりだ。

毎朝体を動かさないと気持ち悪くて仕方がないからだ。

 

承太郎「おはよう。静」

 

静「おはよう。承太郎さん」

 

承太郎「俺の方が年下なんだがな」

 

静「おじさんと同じ名前を呼び捨てするのは違和感あるからね。見た目的にも。恐れ多くて呼べないわよ」

 

承太郎「そうか…それにしても早朝の修行とはせいが出るな」

 

静「まぁ、帰った後でも戦いは続くからね。トレーニングはサボれないわよ。それにしても、髪の毛…」

 

承太郎「ああ、取り込んだDIOの影響で起き抜けは金髪になるんだ。ヤレヤレだぜ」

 

静「変わった体質ね…」

 

承太郎「スタンド使いなんてそんなものだろ」

 

それもそうだね。私は気にしないことにして武術の修行を再開した。

 

承太郎「柔術、那覇手を主体とした空手、太極拳を主体とした中国拳法、システィマ、コマンドサンボ、テコンドー…多種多様だな」

 

静「よくわかったね。使いやすいように色々アレンジしてるのに」

 

承太郎「意外かも知れんが、俺もお前達のように裏の事はしていたんでな。丸腰で戦えるように訓練は積んできた。その過程で相手の動きからスタイルを見極めるのは必然だろう」

 

静「実戦的ね」

 

承太郎「それはお互い様だろう」

 

静「そうね。そっちも稽古?」

 

承太郎「素振りは毎朝の日課だ」

 

静「その刀…ちょっと持たせてくれる?」

 

承太郎「ああ」

 

私は承太郎さんから刀を受け取る。

これ、やっぱり普通の刀じゃあない。

それに、普通のに比べてとてつもなく重い。

 

承太郎「上級波紋の戦士だけあるな。顔色ひとつ変えずにその刀を振り回すか…」

 

静「重いものは重いけどね。これは確かにトレーニングになるわ。こんなものを振り回せるのは中々いない。承太郎おじさんくらいかな?おじさん本体は武術の心得がないから振り回せても扱えないとは思うけど」

 

そう言って鞘に納め、刀を承太郎さんに返す。

 

静「じゃあ、私は続きを始めるから」

 

私が再び鍛練に入る。今度はゆっくりと、健康太極拳のように型をなぞる。

型の鍛練と共に技を繰り出すための必要な筋力を鍛える為だ。

 

承太郎「意外だな。この幻想郷の奴等は戦闘狂のように戦いを挑んでくるのに、お前は違うんだな」

 

静「稽古ならともかく、私達クラスが戦えばスタンド無しだとしても良くて骨折クラスの怪我、最悪死ぬわよ。これから異変が起きるとわかっているのに、そんなバカをするわけ無いでしょ?それに、異変がなくてもやらないわよ。私達の戦いの本質は殺し合いを前提としたもの。安易にやれるものじゃあないわ」

 

私が冷たく言うと、承太郎さんは満足げに頷いた。

 

承太郎「それが分かる奴で助かる。それに、抑えているのに中々の殺気だ」

 

静「言葉とは裏腹に、隙があるなら打ち込んで来そうな殺気を放ってそれを言う?本気じゃあなければ反応して打ち込んでいたわよ。油断が出来ないわね」

 

承太郎「流石だ。試したことを謝る」

 

ホントに油断出来ない。一流の暗殺者でも中々到達出来ない殺気を隠した殺気。

パパやハッチ、マーチやイーハのような真似を…。

普段と変わらないリラックスしたように穏やかで巧妙に殺気を隠す事が出来る者は暗殺者としては一流だ。

普段からそうした者を身近に置いているから承太郎さんの殺気に気付けた。

 

承太郎「……」

静「……」

 

今度は互いがいないような振る舞いで黙々と稽古を続ける。

 

承太郎&静「!」

 

が、そこで互いに技を繰り出す。互いの攻撃が…私の抜き手が承太郎さんの喉を、承太郎さんの斬撃が私の首で寸止めされる。

 

承太郎「躊躇いもなく的確に殺しにかかる抜き手…食らっていたら死んでいたな」

 

静「それもお互い様。私の首がはねられていたわ」

 

承太郎「透明化したアクトンで白刃取りしておいてよく言う」

 

静「そっちこそ、喉から出しているスタープラチナの手で私の腕を掴んでいるくせに。引き分け…かしら?」

 

承太郎「もう一手打っておきながらしれっと言うな」

 

承太郎さんは頭の上でパシッと物を掴む。

 

承太郎「俺の攻撃を読んだ時から石を透明にして蹴りあげていただろう。抜き手が止められる事まで読んで」

 

静「バレたか」

 

結構引っ掛かるんだけどね。私の攻撃を止めたと思って安心しているところに『ごつん』って。

 

承太郎「まったく。相手の行動を読んで、その上で更に欺こうとするとは。流石はジョースター家の者だな」

 

静「私は養子よ」

 

承太郎「血の繋がりなんて問題じゃあない。その精神性は立派にお前がジョースターの一族であることを示している」

 

…………。

四年前にジョースターコンプレックスを解消してなければ落ちてた。そんなところも油断できないわね。

 

静「なに?口説いてるの?天然たらし?たしかに今のはかなりグッときたし心に染み渡る良い言葉だったけど私には既にお兄ちゃんがいるし異世界の人間なんてあり得ないんで無理よ。ごめんね」

 

イーハの真似をしてみる。

 

承太郎「口説いてねぇよ。何でいきなり振られなきゃならん。そして八幡、ゲラゲラ笑ってるんじゃあない。高速お断り?なんだそれは」

 

ハッチの爆笑している姿が目に浮かぶわ。

私はエア、ポルナレフさん式ハンドシグナルをやる。

year ぱぁん、ピシッ!バシッ!グッ!グッ!

 

承太郎「八幡も同じタイミングでハンドシグナルを…気味が悪いくらいに似たもの同士め…」

 

そりゃ相棒ですから。

そんな時だ…西の方角から赤い霧が流れて来たのは…

 

静「これは…赤い霧なんて普通じゃあない。これが異変なの?」

 

承太郎「バカな…これはレミリアの…何故レミリアが紅霧異変を始めるんだ…今のアイツはこんなことをするはずがない!」

 

静「前例があるのね。こんな事をするはずがないけど実際に起こっている。やっぱり異変は始まっているのよ」

 

承太郎「……信じられんが、現実を受け止めるしかないな。本殿に戻るぞ。すぐに霊夢が動こうとするはずだ」

 

静「ええ」

 

私達は神社の中に戻る。待っていたよ、異変。

これを解決してハッチを連れて帰るんだ…。

 

 

side空条承太郎博士

 

居間に集まり、俺達は白米と味噌汁、新香だけの簡単な朝食をつまみながら会議を始めた。

 

霊夢「まさか紅霧異変の再来とはね。レミリアの奴、何を考えているのかしら…早速とっちめに行かないと」

 

直ぐに動くのは悪いことじゃあない。

だが、状況を見極めずに動くのは果たして得策と言えるのだろうか?

 

海老名「承太郎博士。あなたの意見を聞かせて?」

 

空条「直ぐに異変を解決に乗り出すことには異論はない。だが、情報が少ない。それに、前回失敗している手段でまたやって来ることに違和感を感じている。本当にこれはレミリア・スカーレットとかいう吸血鬼が起こしている異変なのか…そこが気になる」

 

仮にも永い年月を生き永らえている吸血鬼。それが同じ愚を起こすような者とはとてもではないが思えない。

 

慧音「だが、レミリアは再びこの手段を使ってきた。このままでは妖霧のせいで人々の生活が立ちいかなくなる。手をこまねいている場合ではない」

 

行くしか無いということか…。

この世界も十分人の力では介入できるレベルじゃあないと思うのだがな。だが、八幡の為だ。

 

空条「わかった。だが、情報を集めることも怠るな。観察することが大事だ。敵の状態をよく観察するんだ」

 

三浦「見るではなく観る…と言うことね?わかったし」

 

海老名「観察は得意だよ?」

 

三浦「ある意味ではね」

 

文「ちょっと待って下さい。アーシスの方々は大丈夫なんですか?妖霧の中では人間は…」

 

それが問題だな。戦いに出ていったは良いが、直ぐに再起不能では話にならない。

 

霊夢「それなら問題ないわ。藤崎忍さんからアーシス装備を預かってるから」

 

そういって博麗霊夢が奥に入っていき、篭を持って戻ってきた。

 

魔理沙「なんだその篭。凄い魔力を感じるんだぜ」

 

確かにな。魔力言うのはわからんが、並々ならない力がこの篭の中から感じるのがわかる。

霊夢が篭を開けると、中から籠手と具足と犬用の首輪が出てきた。

 

霊夢「これは藤崎忍と縁のある幻想郷とは別の異世界の神にあたる女王が作った物よ」

 

空条「藤崎忍……ただのカフェの店長ではないとはフロリダの時から思っていたが、異世界とコネがあるとはな」

 

承太郎「こんなものを作り出す者とコネがある奴とは、つくづく世の中は不思議で溢れているな」

 

霊夢「この籠手と具足を付ければ霊力の扱いを補助してくれるそうよ。だけど、あくまでもその扱いを補助するだけ。行使する力はあなた達の霊力やスタンドの力よ」

 

ミドラー「具体的には何が出来るんだい?」

 

霊夢「空を飛ぶことと霊力の弾幕を射つこと、そしてこの妖霧みたいな物から身を守る程度の能力よ」

 

静「十分凄すぎるんですけど」

 

慧音「いいえ。本来ならお前達がこの幻想郷で少し修行すれば出来たこと。だが、そんな時間はない。だからその世界の女王はこれを用意したのだろう」

 

霊夢「正解よ。これは四年前、あなた達がプッチを倒して世界を救い、そして女王が大切にしている宝物を守った功績として用意された物」

 

空条「ただ家族を救うためにやったことだったのだがな」

 

霊夢「英雄なんて呼ばれる人の事情なんてこんなものよ」

 

案外そうなのかもしれない。ジョナサンは父親を助ける為に、そして恋人のエリナを助ける為に戦った。ジジイはエリナお婆さんとスピードワゴンを波紋の宿命から救う為に戦った。約三十年前の俺達は母を助ける為にDIOを討伐する旅に出た。杜王町の事もジジイの隠し子である仗助の為に動いただけだ。フロリダにしてもそうだ。

事が大きくなって色々背負ってしまったが、戦うきっかけなんてそんなものだった。

世界の為なんかじゃあない。ただ、身近な物を守る為。

今回だってそうだ。ただ、比企谷八幡という家族を、友人を助けに来た。

世界を守るとかはついでに過ぎない。

 

霊夢「藤崎忍……というよりは、異世界の女王から伝言よ。『間接的に異世界食堂を救ったジョースター家や比企谷八幡は我々の仲間であり、よき友人だ。必ず救い出せ』だそうよ」

 

空条「そっちの方がこいつを受け取る理由に納得できる。世界を救えだのよりは、友人を助けたいから力を貸してほしい。という方がな」

 

俺は服の下に籠手と具足を装着する。他のメンバーもだ。

 

幽香「話はまとまったな?私も行こう。一度ならず二度までも花に悪影響を及ぼす妖霧を幻想郷に撒き散らした紅魔館を放ってはおけないわ」

 

文「これは妖怪の山にも影響が出ますね。良い取材にもなりますし、わたしもいきますよ?」

 

慧音「私も行かせて貰おう。人里に悪影響を及ぼす霧は止めねばならない」

 

霊夢「幻想郷の巫女として、博麗の宿命として、私も当然行くわ」

 

魔理沙「あたしも行くんだぜ。ちょうど本を切らしていたからな。ついでにバチュリーの所にも寄るんだぜ」

 

承太郎「約2名ほど、邪な目的があるようだが、決まりだな。当然、幻想郷の守り手として俺も行こう。それにこれはジョースターの問題でもあるからな」

 

承太郎はそう言った後に小声で呟く。

 

承太郎「それに、奴が動きを見せないのが不気味だ…必ず何かある

 

俺もそこは気になっていた。

今回の事態の本当の黒幕が出て来ていない。

俺達を呼んでおきながら、動きを見せないのは妙としか言いようがない。

取り敢えずメンバーは決まった。

 

アーシスからは

 

海洋博士…空条承太郎(スタープラチナ)

 

SPW財団日本支社副社長兼総武高校二年…

静・ジョースター(アクトン・クリスタル)

 

SPW財団イタリア支社副社長兼パッショーネNo.2…

ジャン・ピエール・ポルナレフ(シルバー・チャリオッツ)(幻想郷の影響でココ・ジャンボに冷凍保存されていた死体が無制限で動けるようになった)

 

総武高校二年…三浦優美子(マジシャンズ・レッド)

 

総武高校二年…海老名姫菜(ハイエロファント・グリーン)

 

ミニチュアダックスフンド…サブレ(ザ・フール)

 

 

幻想郷からは

 

星の末裔及び幻想郷の守護者…空条承太郎(ブラッド・メモリー)

 

異変を終わらせる巫女…博麗霊夢(霊力を操る程度の能力)

 

東洋の西洋魔術師…霧雨魔理沙(魔法を操る程度の能力)

 

鴉天狗のジャーナリスト…射命丸文(風を操る程度の能力)

 

四季のフラワーマスター…風見幽香(花を操る程度の能力)

 

知識と歴史の半獣…上白沢慧音(歴史を創る程度の能力)

 

 

空条「このチームを幻想星屑軍と称する」

 

承太郎「早い話がスターダスト・クルセイダーズと幻想郷の連合軍…というところか。悪くはない…のか?さて…」

 

空条「ああ…」

 

ダブル承太郎「行くぞ!」

 

←To be continued




今回はここまでです。

東方のメンバー選出は霊夢や魔理沙はとうぜんとして、他のメンバーの基準は以下の通り。

現段階でジョースターさん作の「星の末裔が幻想郷で暮らすようです」の承太郎と出会っている。

「紅魔郷」「妖々夢」の敵で登場していない。

射命丸文…原作の主人公歴が多い

風見幽香…承太郎を苦戦させた経歴を持つ

上白沢慧音…承太郎の雇い主で交流が多い

という点です。
武を…とも思ったのですが、ジョースターさんより武が力を発揮できる場面ではないと思われる…との事で、代わりに幽香が参入しました。
アリスとか咲夜とか妖夢とか参入させたいメンバーもいたのですが、「紅魔郷」「妖々夢」のキャラでしたので泣く泣く見送りました。

それでは次回より「続・紅魔郷編」が始まります。

よろしくお願いします。

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