やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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紅魔郷編最終戦です。


悪魔の妹と星と原石と水晶の罠

side比企谷八幡

 

完全なる不意打ちを食らった…。

気配を察知して不意打ちを避けることが出来たのは俺と射命丸だけだった。

視線を感じた瞬間には謎の爆発が発生し、承太郎博士も含めて仲間達が巻き込まれ、重症を負ってしまった。

 

フラン「あはははは!簡単に壊れちゃった♪あ、お姉さまがやられてる♪あの人達は楽しく遊べるかな?」

 

そして、彼らはそのまま連れていかれていかれてしまう。

 

承太郎「フラン……異変の本当の原因はあいつ…昔以上に正気じゃあない…。何がフランを元に戻した!」

 

八幡『何が原因かは後だ!まずは無力化しないとまずいぞ!』

 

あの承太郎博士を不意討ちでとはやられるなんてヤバすぎる!

まずはあのガキを何とかしなければ原因究明もなにもない!それに、ここにはいろはも仗助もジョルノもいない!再起不能になった奴等を治さないと死ぬやつも出てくる可能性がある!

クレイジー・ダイヤモンドやゴールド・エクスペリエンスが必要だ!

 

承太郎「また目の力を使うしか無いのか!」

 

ああ、相手の能力を無効果にするとかいうやつか。

あいつの破壊力は確かに強力だ。使えるものならば何でもつかうべきだろう。

ん?使える能力?あ、あれがあった。

 

八幡『ブラッドォ♪』

 

ブラッド『ビクゥ?』

 

おや、普段承太郎2号から色々酷いことをされているのに何でびくつく?

 

ブラッド『あなたは僕の体の自由を奪うからですよ!また体を奪う気なんですか!?』

 

いやいや違うよ?ちょっと試したいことが…

 

ブラッド『絶対に録な事を考えてないよね!』

 

正解。まぁ、お前に拒否権はないんだがな。悪霊に出会ってしまったと思って諦めろ。(基本的に平和的な幻想郷なので、悪霊と言ってもたかが知れている。現存する悪霊よりも八幡は悪霊とも言える)

さて…と。では……

 

ブラッド『やめてぇぇぇぇぇ!やっぱり僕はそんな扱いですかぁ!?』

 

八幡『ばっかお前!2号の為だろう!反則的な過剰な力なんてなぁ、振るわなければそれに越したことはねぇんだよ!こいつの記憶を見てみた。なんだあの暴走は』

 

過剰な力にはそれに伴った代償や副作用がある。

大きすぎる力の欠点を克服することも大事だが、それ以上に大きすぎる力を使わないようにすることも大事だ。

 

八幡『2号を暴走させない。そのためには……俺の得意技が必要だ』

 

さて、始めるか。その実験を……

 

ブラッド『ギャアアアアアア!』

 

上手くいったようだな。

 

DIO(東方)『この男…エグい実験を……』

 

ジョナサン(東方)『やめようディオ…矛先が僕たちに向けられかねない……』

 

DIO(俺ガイル)『八幡は俺の影響で戦いと実験には容赦しない。それが正解だろう』

 

ジョナサン(俺ガイル)『ははははは…あまり誉められた行動じゃあない手段ばかり修得するよね…八幡って』

 

承太郎『やかましい!っていうかブラッドに何をした!八幡!』

 

ブラッド『フランちゃん最高、フランちゃんカワユス、フランちゃんケッコンして、フランちゃんフランちゃんフランちゃん』

 

明らかに正気じゃあないブラッド・メモリーに困惑する2号。

 

承太郎『おいっ!これじゃあココ・ジャンボも取り出せないから剣も使えない!どうするつもりだ!』

 

けっ!元々こいつの事はどうにでもなるだろが。

けどなぁ、お前の強すぎる力はまだまだ未完成。

俺よりも強いのは認める。が…

 

八幡『良いんだよ。お前のそれはもっと後で役に立つ。それにな……恐らくはこの世界の神が俺を利用しようとした理由が何となく読めてきたんだよ』

 

承太郎『なん……だと?』

 

八幡『お前は強い。だが、別の平行世界の幻想郷で起こした暴走…そうなった原因は実にジョースターらしいが、今のままではお前が幻想郷の異変になりかねん』

 

その世界の黄金の精神の欠点の指摘…。

助けてもらっておいておこがましいが、この承太郎にも欠点があった。

殺気がトリガーとなり、別の人格が起きてしまう現象。

親しい者、自分が身内と認めた者の命の危機により殺気がコントロール不能になる。

実にジョースターらしいトリガーだが、これは放ってはおけない。

2号の師匠が2号を暗殺者に育てた理由の1つは殺気のコントロールにあったのではないか?

少なくとも2号の能力の高さは半端じゃあない。

子供の頃から鍛え続けていた俺ですら、雑魚とも思えるレベル。

だが、その強さゆえにある弱点と欠点…強すぎる身体能力と強すぎるスタンド能力…強すぎる様々な能力。

負け知らず故に出てくる他人なら気が付かない弱点。

似たような者を…あいつを…一条承一郎を知っているからこそわかる欠点がある。

 

承太郎『俺が…弱いだと?』

 

八幡『単純な力や技術は俺よりも強い。だが、性格の悪さで俺やジョジョに振り回されているのは何故だ?多分だが、俺とお前が戦えば、お前は俺に指一本触れる事はなく無様に負けると宣言しよう』

 

承太郎『何ぃっ!』

 

八幡『その実例を見せてやるよ。2号。体をよこせ』

 

俺は再び承太郎から体を奪う。

そして、波紋の力を使って空に浮く。

 

承太郎『八幡っ!テメェ!』

 

八幡「うるせぇ…暴走しかけているテメェは自分の殺気をコントロールすることに集中していろ…こちとら砕けている魂をジョナサン達のサポートで何とかしている状態だ。テメェの面倒まで見ていられるか」

 

叫ぶ承太郎に対して俺は冷たく言い放つ。

今のこいつは危ない。親しいものが危機に陥った時に対する自身の殺気を満足に抑えられていない。

 

静「ハッチ?」

 

フランドール「お兄ちゃん?」

 

八幡「よぉ、ジョジョ。助けに来たぞ。そして、初めまして。フランドール・スカーレット。スカーレット妹で良いよな?」

 

俺はジョジョとスカーレット妹に挨拶をする。

スカーレット妹の目は哀しみに見開く。

 

フランドール「なんで……?何でお兄ちゃんはフランの事を他人のように扱うの!?」

 

八幡「悪いな。俺は比企谷八幡。空条承太郎に乗り移っている悪霊とでも思ってくれ。まぁ、俺が承太郎に乗り移っているのはお前のやらかした惨状に承太郎が自分の力にのまれかけていてな。やむ無しってところだ」

 

フラン「お兄ちゃんに乗り移っている悪霊…なら、お前を倒せばお兄ちゃんは元に戻るの?」

 

八幡「ああ、戻るぜ?もっとも、その時は承太郎も死ぬがな。キュッとしてドカーンでもやってみようものなら死ぬぜ?体は承太郎なんだからな」

 

自分の宿主を人質にしてスカーレット妹を脅す俺。

我ながら性格の悪い行動ともとれる。

 

フラン「ううう……」

 

霊夢「悪霊……まさに悪霊だわ…比企谷八幡」

 

だろうな。

だがな。これが戦いだ。

 

八幡「おい、スカーレット姉妹。実のところ、お前らを倒す事なんて簡単なんだよ。苦もなく、サクッとお前ら姉妹を殺す事なんてな。この承太郎のスタンド、ブラッド・メモリーの能力なら」

 

ホント、優しい奴だ。空条承太郎。

気付いていただろうにそれをやらなかったんだからな。

 

承太郎『八幡……テメェ……まさか……あのスタンドを使う気か!』

 

八幡「黙ってろ…と言ったはずだ…やるって言ったらどうするつもりだ?」

 

承太郎『殺す!テメェの魂を完膚なまでに殺してやる!』

 

八幡『安心しろ。脅しだ。もっとも、スカーレット妹次第だがな』

 

スカーレット姉妹に言っている事は脅しではあるが、嘘ではない。発動した段階で吸血鬼であるこの姉妹にはどうしようもないスタンドが2つ存在する。

 

レミリア「私達を…」

 

フランドール「サクッと殺せるスタンド…」

 

ガタガタと顔を青くするスカーレット姉妹。

俺の殺気に気圧されている。

 

静「私もわかったよ…ハッチ。ウェザー・リポートで霧を吹き飛ばして太陽(サン)を召喚する。天候を操れるウェザー・リポートと真夜中でも太陽を呼び出せるサン」

 

八幡「正解だ…さすがは相棒」

 

俺はジョジョと拳同士を合わせる。

本当にこいつとは気が合う。

 

文「そんなスタンドが……」

 

霊夢「吸血鬼にとっては悪夢のスタンドね…」

 

まだガタガタ震えるスカーレット姉妹。

だろうな。

天候を操れるウェザー・リポート。その力を遣えばこんな霧なんて一瞬で消せる。

そして真夜中でも太陽を呼び出せるアラビア・ファッツのサン。

それにまだまだある。

 

八幡「おまえら。流水は好きか?」

 

スカーレット姉妹「ビクゥ!」

 

伝承通りの吸血鬼なら流水も弱点。それを聞いたスカーレット姉妹はまたもやガタガタ震える。

 

八幡「アクア・ネックレスやゲブ神といった水を操るスタンドもあってな?そういえば紅いとはいえ、霧は霧、霧は水分の塊だよなぁ?良かったらどうだ?ウォータースライダーという流水の滑り台で遊び放題だぞ?」

 

静「そこに太陽のエネルギー、波紋も流してあげようか?水と波紋って相性が良いんだよね」

 

ジョジョは霧を集めて水滴に変え、ジャグリングする。

お?この様子だとジョジョも練習をしていたな?

アレの。

 

八幡「なんだ。この霧の中でならいくらでも俺たちの弾幕は作れたのか」

 

俺も霧を集めて水滴に変え、ジャグリングする。

俺とジョジョは互いにハイタッチする。

 

フラン「そんな水滴なんかで…」

 

残念だが既にお前に勝ち目は無いんだよ。

脅しは本当だし、お前らにとってはジョジョハチコンビは天敵だ。

能力的にも性格的にも!

 

八幡「甘いんだよ。」

 

俺も波紋でスカーレット妹の周囲に霧を集め、水滴に変えてスカーレット妹に向けて放つ。

 

フランドール「カゴメカゴメみたいな真似が!?」

 

八幡「逃げろ逃げろ♪この水滴には波紋が込められている。当たれば死ぬぞ?」

 

承太郎『やめろ!八幡!殺すぞ!』

 

おうおう、徐々に暴走具合が加速していやがる。

こいつのこの問題も何とかしなければな。

 

フランドール「『禁忌・レーヴァテイン』!」

 

レーバテイン?

神話にある巨大な炎の剣か。

スカーレット妹の剣が俺とジョジョを巻き込んで波紋の水滴を一掃する。

 

霊夢「承太郎!静!八幡!調子に乗るから…」

 

博麗の悲痛な叫びが響く。

俺(体は承太郎)とジョジョが死んだように見えるからな。

というか、博麗…お前も引っ掛かったのか…。

強運の巫女だろ?お前は…

 

八幡「どこを狙ってるんだ?」

 

静「私達はこっちだっつーの」

 

スカーレット妹の背後から声をかける俺達。

宙に浮いた状態で社交ダンスをしている。完璧に舐めきっています。はい。

 

フランドール「いつの間にか背後に…カゴメカゴメ!」

 

スカーレット妹は次々と俺達の回りに弾幕を張って攻撃を展開し、俺達はそれを食らうが…。

 

八幡&静「無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

………が、食らってダメージをもらったはずの俺達が今度はジョジョ立ちをしながらスカーレット妹の頭上に現れる。

 

フラン「何で……確かに当てているのに!」

 

承太郎『何故だ…俺にもわからん…確かに食らったはずだ…なのに何故俺は次の瞬間には移動している?時を止めたのなら俺にもわかるはず…何故だ!』

 

自分の体なのにお前もか2号。

それに、驚愕で暴走が収まりかけている。

 

フランドール「禁忌!フォーオブアカインド」

 

スカーレット妹が四人に増えて攻撃してくる。

攻撃の激しさによって紅魔館が次々と破壊されていく。

 

レミリア「これよ……恐れていたのは。狂ったフランが館を破壊して太陽が降り注がれる…これが恐ろしかった。昔以上に狂い始めたフランがこれをやった時を考えて私は紅霧異変をやるしかなかった…いま、異変を止められたらフランは死ぬ…」

 

それがスカーレット姉が異変を起こした理由か。

だが、それはどうでも良い。

別に何の感慨もない(・・・・・・・)

それよりもスカーレット妹を何とかしなくちゃな。

 

八幡「四人に増えたのなら…」

 

静「こっちも四人に…」

 

八幡&静「増えれば良いだけだよなぁ!」

 

俺とジョジョが四分身して散らばる。それも社交ダンスやジョジョ立ちをしながら。

 

承太郎『何をした…わからん!何故こうなっている!どうやってこんな形で分身できる!何の能力だ!』

 

言っておくが幻影の波紋は使っていない。

幻影の波紋は波紋のスパークに念写の力を写し出したもの。

ハーミット・パープルを持つ俺とジジイしか使えない技術だ。

ジョジョに幻影の波紋は使えない。

 

フラン「どうなってるの!?わからない!わからないよぉ!」

 

霊夢「何がどうなってるの…私にもわからない…」

 

驚愕に震えるスカーレット姉妹と博麗と承太郎。

 

文「あややや?皆さん何を言ってるんですか?」

 

空条「アホみたいに突っ立ってワケのわからない事を」

 

魔理沙「なんか霊夢、目の前が見えてないみたいなんだぜ」

 

三浦「なんかこの光景に似た状況って…」

 

海老名「見たことあるよね?」

 

サブレ「あう?」

 

ポルナレフ「嵌まっているな。あれは」

 

ミドラー「ああ。あの娘の技か。川崎沙希の」

 

目を覚ました仲間達の声が響く。

作戦成功だな。俺はパチンと指を鳴らす。

 

八幡「起きろブラッド。お前の力を使わせてもらう。ヘブンズ・ドアー!」

 

ブラッド「ハッ!今まで何を…フランちゃんに囲まれて酒池肉林をしている夢を見た!とにかくヘブンズ・ドアー!」

 

ブラッドはヘブンズ・ドアーでスカーレット妹の顔を本に変える。

さて、道化達を何とかするか。

 

パァン!

 

俺とジョジョは柏手を打つ。

 

霊夢&承太郎「ハッ!」

 

霊夢「え……?」

 

レミリア「破壊された館が…元に戻っている…」

 

承太郎「どうなっている?クレイジー・ダイヤモンドを使ったのか?」

 

呆気にとられている者達。

 

空条「破壊されていた?館は最初からどこも壊れていなかったが?」

 

承太郎『何!?』

 

ミドラー「催眠術に引っ掛かっていたんだよ。あんたらは」

 

そう、俺達は水滴のジャグリングの段階で全員を催眠術にかけていた。

2号、博麗、スカーレット姉妹は催眠術で良いように踊らされていたのだ。

その間に俺達は波紋で全員の応急処置をしていた。

主にジョジョが。

承太郎博士達が気絶から覚めたのはその為

 

承太郎『なん……だと?』

 

八幡「言っただろ。簡単に自分の殺気に飲まれ、簡単に罠に引っかかるお前じゃあ、いくら強くても俺達の敵じゃあない。こんなに簡単に催眠術に引っ掛かっているようじゃあ、お前は俺に指一本触れる事なく俺の攻撃によって致命傷を負う。お前よりも格段に弱い俺に…な。完璧な人間なんていない。お前の言う通りだ。完璧な強さなんてない。力で敵わないなら工夫すれば良い。罠に嵌めれば良い。サバイバー、ラバーズ、ハーヴェスト…スタンド使いは誰もが最強になれる資質がある。使い方や工夫でな。それを知らないお前じゃあないはずだ」

 

承太郎『ああ…その通りだ…』

 

思い出したか。スタンド使いは誰もが最強になれる資質がある。

そして、それはこの幻想郷の能力にも言える。

 

八幡「まずは殺気のコントロールから始めないとな。そうでなければお前は確実に異変の原因となる。いや、俺達という存在を知ったお前は、そうならなくてはならない。俺達のスタンドを使える可能性が出てきた。中には決して出してはならないスタンドが存在する」

 

承太郎『決して出してはならないスタンド…だと?』

 

八幡「リーシャウロン・アクアマリン…そのレクイエムであるデュオロン・オブシディアン…恨みや殺意を抱いた対象を杜王町の手のような物を呼び出して問答無用で地獄に魂を送り込む能力…間違ってもお前にその力を使わせる訳にはいかん」

 

鍛えなければな…。俺達が関与したことで2号がデュオロンを発動させてしまっては…。

 

まぁ、それは追い追いだ。

まずはスカーレット妹が何故狂ってしまったのか。

それを調べないとな。

 

←To be continued

 




今回は以上です。

チートと言える主人公にありがちな弱点。
本城はそこを見つけるのが得意です。
次回で新紅魔郷を終わらせ、フランの暴走の原因が判明した後に特訓回を挟み、新妖々夢に入りたいと思います。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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